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「ルカ様、私、決めました。アストラに連れて行ってください」
主人公のマイアは、平民の少女ながら治癒魔法の才能があり『聖女』としての教育を受けることになった。
ただ通常は6歳ころまでに目覚める魔法の資質が、マイアは12歳になるまで目覚めなかった。
他の聖女たちよりも目覚めが遅く、それなのに若手の中で一番魔力が強くなり、第二王子アベルの有力な妃候補と目されるまでになって。
成り上がったとも言えますけど、マイア自身の望んだことでは無く……むしろそうやって平民なのに、遅く目覚めた聖女なのに……とやっかみを受けまくる始末。
魔力の影響を受けて巨大化・狂暴化した魔蟲を討伐するために、騎士が派遣されているそうですが……かなり危険で負傷率も高く、だからこそ子育てをしている既婚の聖女や年齢的に活動が厳しい聖女以外の若手聖女は、討伐隊にそれぞれ割り振られて活動することになっているとか。
マイアは若手の中でもトップクラスの腕なので、第二王子の参加する第一討伐隊に配属されていましたが……先述の通りやっかみを受けまくって針の筵。
討伐隊は男所帯だからと護衛もついてますけど、その実監視も兼ねているのは間違いなくて。
そんな中、マイアと同じように遅くに聖女の才能に目覚めたというトリンガム侯爵家の令嬢ティアラが第一討伐隊にやってきて。
ティアラは、欠損を治癒出来る「大聖女」の再来ともいえる強力な力を有している、悠直な貴族家の出身で、王子を慕っている。だからマイア相手に、王子との交流の時間を譲れと暗に迫ったりしてきたわけですが。
……それだけに飽きたらず。ティアラの治療を受けた相手は、彼女の信奉者になるという性質を利用してマイアを排除するために動きもしてくるんだから容赦ない。
というか、治療した相手を魅了して洗脳するとか、それ本当に聖女の力か……? なんか隣国では大聖女のなにがしかを禁術認定してるっぽいし、ヤバいことに手を出してそう。
殺されかけたマイアでしたが、討伐隊に参加していた傭兵……その実、隣国の諜報員であるルカに助けられて。
王都に言って真実を明かそうとしても、平民である彼女の訴えを聞いてもらえるかはわからない。だから、ルカの故郷であるアストラに亡命することを決意したわけです。
アストラとしても貴重な治癒魔法を使える聖女を確保できる、というのは国益に通じるという打算は当然ありますけど。ルカがマイアを助けたのが打算100%かというとそうでもなくて。
柵から解放されたマイアが、楽しそうに日々を過ごせているのが良かったですねぇ。月の影響で魔力持ちは体調を崩すことが多く、一目散に隣国へ脱出ともいかなかったですけど。聖女にならなかったら針子になっていただろうマイアが、楽しく刺繍する時間があったりもして、なんか和みました。
……まぁ道中で盗賊に出くわしたり、厄介事とも縁が切れないわけですけど。最後、かなり面倒そうな状況に陥ってしまったマイアが、どうか幸せな未来を掴めますように。