気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

その他

元将軍のアンデッドナイト4

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「……正義を盾に非道を繰り返し、是非と問われれば答えに躊躇う私を笑うか」

「笑いはせぬ。善人を殺しながら躊躇いなく正義を語る者がいれば、それは傲慢にほかならぬだろう」

(略)

「それが悩み抜いた果ての答えであり、積み上げて来た死体の重みを背負い続けているのであれば、既に遠い過去に屍の身となったこの俺に、貴様らを裁く権利などありはしないだろう」

 

前回の騒動において、異端審問官の介入を受けたランベール。

禁忌を扱う『笛吹き悪魔』のような勢力に対抗するために、禁忌に手を出した陣営みたいですが。……スポンサーが別の悪役みたいなもんだよなぁ……。

『人食い鬼の大森林』と呼ばれる森の奥地で、アンデッドと洗脳した人間を配下に置いていた魔術師を殺す際、洗脳された配下は解除すれば復帰することも出来ただろうに、もろともに「救済」したりする過激な面があって。

 

ランベールが情報屋にあたっても「狂犬」とか言われてましたしねぇ。

彼は異端審問会を見極めるために、飼い主であるゼベダイ枢機卿に会おうと聖都ハインスティアを訪れることに。

『笛吹き悪魔』への対抗勢力であるのも確かだから、彼らが大規模な行動をとるのであれば、『笛吹き悪魔』とも対峙できるだろうという考えはあったようですが。

アンデッドの身で異端審問官を見定めようとするの、覚悟決まってるなぁ。そんな彼の強大さに気づきながら、迷いの中で必要性を訴えた四大聖柱のヨハンも良いキャラしてました。

 

この作品、悪役は相応の報いを受けますが、善人もまぁそれなりに死んでいくんですよね……。

まぁ他の四大聖柱、最初に語ったみたいにまだ助けられる可能性のある存在も諸共に排除したりしたし。教会批判を行っている貴族の動きを鈍らせるために、末端を拷問して処刑するようなことまでしていたし。飼い主のゼベダイもヨハンほど覚悟決まってはなかったしで、報いを受ける側だったんですが……。

順調に『笛吹き悪魔』の八賢者を削っていたランベールですが、今回の敵は……予想外のところから刺されましたねぇ。

元将軍のアンデッドナイト3

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「……お前は俺のやり口を甘い、ぬるま湯にいたのだろうと、そう言ったな」

(略)

「地獄で有ろうとも理想を貫ける力を持った剣士であれとの、陛下との約束があるのでな。……そこには統一という名の侵略行為への反感を減らす意味合いもあったのだが、俺の指針で有り、誇りであった」

 

ランベールがアンデッドナイトとして復活する三年前、『笛吹き悪魔』の暗躍は続いており……辺境のラガール子爵家に接触し、赤字が出ていた鉱山をもらい受ける契約を取り付けた。

ラガール子爵は、1巻で罪を暴かれたおーぼっく伯爵が『笛吹き悪魔』についたという事を知っており、悪魔陣営の方が勝ち馬だと判断して与することになったようですけど。

 

まぁ、そういう後ろ暗い側に与したのを抜きにしても、無能と評価される領主だったとか。領民を奴隷のように使って賃金削減して運用しても鉱山で赤字出したりしたみたいですし。

不審な噂を聞きつけたランベールが調査の為に乗り込んでいったわけですが。

……王国も全く無能という訳ではなく、監察兵団『不死鳥の瞳』という部隊を動かしていたのは良かったですね。

まぁ不死鳥の瞳の隊長の実力も、当然ですがランベールに及ぶものではなく、『笛吹き悪魔』の実力者クラスには敵いそうになかったので、ランベールが居合わせていなかったら行方不明者が増えていた可能性があるよな……と思うと心配になる。

 

手がかりを求めてラガール子爵のところに正面から乗り込んで行ったり、ランベール、調査とかも出来ないわけではなさそうですけど、敵の強大さを知ってるから敵地に踏み込むの躊躇いませんよねぇ……。

今回、敵の拠点への潜入にあたって不死鳥の瞳の面々も同行させたりもしてましたが。

敵の下っ端を見逃すかどうか、という問題にあたって「大義を通し、国も守る。それを為すために、我々は徒成す者どもより遥か高みに立たねばならぬ」というランベールの指針は結構好きです。……まぁ、それはそれとして今回ランベール力加減や判断ミスで、情報源を取り逃がしたりもしてるんですが……。



元将軍のアンデッドナイト2

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「兵に敬意を払わぬ将は、長続きせぬぞ。道理を通さず小手先で凌ぐ者は、結局のところ、いつか躓く」

 

『笛吹き悪魔』とつるんでいた貴族を叩き、直ぐにその街を離れたランベール。

彼は、『迷い人の大森林』と呼ばれる危険地帯を横断して、冒険者が集う都市バライラを目指していた。

道中、盲目の吟遊詩人と出くわしたり、首なしアンデッド馬を従えたりもしていました。

統一戦争時代においても希少であった、魔金を使って作られたランベールの鎧はとてつもなく重く、当時も並みの馬では潰れてしまう代物だった。

そこで同種であるアンデッド馬を活用しようと考えるの、なんというか「使える物は使う」精神で逞しいな。

 

アンデッド馬の存在などもあって、森の中の状況は混とんとしていたようですけど。

バライラ所属のギルド『踊る剣』の冒険者たちは、そんな中で穢れを祓うユニコーンの角を求めて森に入って。

……裏ギルドの襲撃を受けたり、別勢力である戦神ロビンフッドまで介入してくることになって、かなりややこしくなってましたが。

さらにそのタイミングでランベールがやってきて、『踊る剣』の命を救うことに繋がったわけです。

 

そこで縁が出来て『踊る剣』が依頼を受けていた、バライラ領主のモンド伯爵の顔合わせの場に同行することも出来て。

「バライラが『笛吹き悪魔』に狙われている」という警告だけして、去っていったのは潔いというか。私兵の実力は期待できないし、冒険者ギルドの形態も隙になり得る、としっかりと弱点指摘していくあたりは良い目をしてましたね……。

『踊る剣』のマスターであるユノスとは方針の違いが明確で、そのあたりもあって即座に離れて行ったのはあると思いますが。ランベール、裏切りによって殺されたけれど騎士の誇りは保ち続けているの良いですよねぇ。

 

実際ユノスの品性は下劣であって、その報いを受けることになったわけですからね……。二百年前からの因縁が多く残ってるのもあるけど、それ以外にも悪人が多くてよくもまぁ国としての形保ってるなぁというか。統一から二百年も続くと、どうしたって腐敗が進むか……みたいな悲しさはある。



処刑された賢者はリッチに転生して侵略戦争を始める2

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「これが最善ではないことは知っている。しかし、必ずやり遂げる。犠牲者の命を背負って私は進んでいるのだから」

 

世界平和のために、主に人類を蹂躙していたドワイト。

そのことで、亜人種であるエルフが接触してきて……人類に敵対するのであれば、亜人の我々を助けてもらえないか、ということでしたが。

あくまで目先の敵を蹴散らしているだけで、進んで亜人を保護はしないというスタンスを示しつつも、彼らが恭順するのであれは庇護すると宣言。

 

そして実際に敵対していた国を滅ぼしに行くんだから、迅速果断というか。

エルフの族長になった、ドワイトの生前を知る友人が、リッチに変貌してしまった彼を見てもドワイトであると気づいてくれたのは良かったですねぇ。

 

世界が魔王という悪を許さず、奇跡を介して帝国の装備開発を助けたり。

聖杖国に新たな聖女を誕生させたりと、善を良しとする上位存在の気配をうっすらと感じますが、ただ力だけが与えられている感じっぽいですかねぇ。

だからどちらかというと神様が力を託している、というよりは悪側に天秤が傾いたから適当に反対の更に重石を置いてバランスをとっているシステマチックな面が強く感じられますが……実際のところどうなんでしょうね。

魔王に対抗して勇者が誕生していますけど、ドワイトの魔王も実際自称ですからねぇ。直接介入してくる上位存在はいなそうですけども。
蹂躙は続き敵は弱まり、一方でドワイト側の戦力は拡充されて行ってる状況で、次なる介入はもっと規模が大きくなる可能性もあるよなぁと思いましたが、どうなるやら。



処刑された賢者はリッチに転生して侵略戦争を始める

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「ですが私は、自らの選んだ道を進み続けます。世界平和を実現するためならば、どこまでも堕ちていきましょう」

 

賢者ドワイト・ハーヴェルト。

彼は女勇者クレア・バトンとともに、人類の敵である「魔王」を打ち倒した英雄となった。……しかし、巨悪である魔王がいる間は人類は強力できたものの……魔王が消えたことで、人類同士の争いが勃発することに。

そんななかで英雄と称えられる勇者と賢者に生きていられては困る国王が、彼らに汚名を着せて処刑したわけです。

 

死者の谷に打ち捨てられたドワイトは、そこの瘴気を吸収しリッチとして復活することになって。

女勇者クレアは、あらぬ疑いで処刑されるときも自らの犠牲で世界が平穏になるのであれば、と自らの死を受け入れて。その高潔さをドワイトは認めていたようですが……だからこそ、それが踏みにじられたのが許せなかった。

勇者の理想は正しくも、やり方が間違っていた。だから、元従者としてその遺志を継いで世界に平和を齎そうとドワイトは動き始めることに。

 

それがかつての魔王が君臨していた時には人類間の争いは落ち着いていた、という観点から、ドワイトは自分が新たな魔王として存在を示して世界を平定しようとしたわけです。

自らの力で配下を生み出したり、かつての魔王に使えていた四天王が向こうから接触してきたりして、少しずつ勢力を拡大して敵は徹底的に潰していって。

世界が「魔王」に対抗するための存在として生み出した「新たな勇者」すらも蹂躙したドワイトは、どんな未来を掴むのか気になるところ。

アルカディア サービス開始から三年、今更始める仮想世界攻略

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「昨日は楽しかったからさ、これからも一緒に遊べたら俺も嬉しい」

(略)

「よ、よろしくお願いしますっ……!」

 

WEB既読。

モーニングスターブックスはほとんど手を出していないレーベルだったのですが、電子ストアへの追加がちょい遅めでしたね。なんなら追加が遅くて紙版を購入しました。

蔵書、電子に移行しているので電子で買いたかったなー。買って帰ったらストアに追加されていたので、タイミングの問題があった。

 

閑話休題。

ゲーム発売から3年後に、世界で唯一のVRゲーム【Arcadia(アルカディア)】を起動できる筐体をついに入手した主人公の春日希(はるかのぞみ)。

それもそのはずで、「数世代は先取りしている」と言われるほどの技術が詰め込まれたその機械は、お値段なんと300万円。

学生の身では簡単に手を出せない値段であったが……唯一のVRゲームをプレイしたかった彼は、高校生活という青春時代をバイトに捧げまくってその資金を稼ぎ切った。

 

睡眠時間は4時間フラットで、バイトに明け暮れまくってる彼を心配した両親からは「学生らしくしろ」と注意を受けることになって。

勉強にも打ち込んで、当人の自称では学年トップという逆に頭が悪い成績を修めたりもしたそうです。そんな勉強とバイトに明け暮れた生活で、高校時代は友人もろくに作れなかったみたいですけど。

大学進学も決まって入学までの長期休暇で、念願のVR世界に踏み込むことを決めて。

 

新人ゲーマーのHNハルとしてゲーム世界に入り込んだ彼は、新規参入が難しいこの世界で同じタイミングでゲームを始めた新人の少女・ソラと出会って。

一緒にプレイを楽しんでいくわけですが。

……ハルはこのVR世界で高い適性を示して、掲示板で先人に質問すれば爆弾情報で大盛り上がり。それを聞きつけた職人が興味を持って接触してくることなんかもあって。

ゲームを本当に楽しく遊んでいるのが伝わってきてよいですね。3年の準備期間を経てついに参加できたゲーム世界でテンションバグりがちだけど、それだけ満喫しているのが良いですね。

WEBだとドンドン上り詰めていったり……また他にも魅力的なキャラが登場していくのが良いですよね。



滅亡国家のやり直し 今日から始める軍師生活1

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「レイズ様も言った通り、貴方は良くやった。さ、胸を張ってみんなの元に戻りましょう、ロア」

 

ルデク王国の平民、ロア

彼は記憶力が異常に良く、同僚からは人間辞書として重宝されていた、ちょっと本を読むのが好きなだけの文官だった。

しかし戦乱によってルデク王国は滅び……彼は40年間放浪した末に、異国の地で死んだハズだった。

 

死んだハズのロアが次に気が付いたのは42年前。

ルデク王国が滅亡に転がり落ちる前、なんとか踏みとどまれる可能性のある地点であった。未来の記憶も有している彼は、まだ過去に戻ったことに現実味がなく……友人たちとの会話の中で未来で知った情報をポロっと零すことになって。

「盗賊騒ぎに騎士団が派遣されることになったが、あれは領主が他国とつるんでいるから簡単には解決しない」と言う彼の言葉を、第10騎士団の副騎士団長であるレイズが聞きつけて。

 

ちなみに第10騎士団の騎士団長は国王が就任しているそうで、レイズは全権を任されて現場で動いているそうで。現場のトップが、ロアの荒唐無稽ともとられかねない発言を聞いて、その根拠を聞き、しっかりと対応に反映させてくれる柔軟さを持っていたのは救いでしたね。

そのことからロアはレイズに見出され、第10騎士団に登用されることに。

ロアは未来で知った様々な知識を用いて、悲劇を回避しようと試みていくわけです。

ただ、ロアはあくまで一介の文官であり、祖国滅亡後は放浪していた身であって。出来ることには限りがあるんですよねぇ。

 

例えば瓶詰という新しい保存食が作られたのは知っていても、職人ではないから適した瓶をつくれたりするわけではない。……まぁアイデアは知ってるから、出来る範囲で形にしていったりしてるんですが。

例えば、異国の王子が死を賜る結果になった事件は知っていても、なんでその時その人物がそこに居たのかは知らないし。

 

それでも、歴史を知っているからこそ出来ることは間違いなくあって。

本来ならもっと多くの犠牲が出来ていた事件を、早期解決したり。負傷した引退を余儀なくされた人物を助けることに成功したり。

もっとも、国が滅びに向かう前……戦乱の時代の中ではあるので、まったくの犠牲が出ないなんてことはなく。

ロアはそういった犠牲とかとも向き合いながら、それでも祖国滅亡回避のために前へ進んで行くんですよね。WEBは完結済みで、既読なんですが好きな作品です。刊行続いて欲しいなぁ。

モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件

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「私はマルス王子の味方になる」

 

宰相が実験を握り、自分の娘を王の後妻に押し込んだうえ、生まれた孫に国を継がせたいと考えたために、前妻の息子である王子マルスを排除しようとした。

それを敏感に感じ取ったマルスは、城での食事を拒否。抜け道を使って外に出て、自分で狩りをして飢えをしのぐことに。

しかし抜け道が続いている城の裏手の森は、人の寄り付かぬ魔獣の森でもあった。さらには魔獣の肉には毒性があって、弱い魔物の肉でも食べれば腹を下すし、格上の魔獣の肉であったらより重度の体調不良を引き起こして、最悪は死ぬ可能性もある。

 

ただ暗殺の危険性を感じる城の食事よりはまだマシで……そんな日々を続けていたある日、モンスター喰らいをしているマルスに興味を持った人物が接触してくることに。

『剣聖の赤鬼』なんて呼ばれている、凄腕ながら制御不能と認定されているバーサーカーな女性であるところのカサンドラは、マルスに興味を持って彼を弟子に取ることに。

魔物を喰らえば力が付く。毒や重力など、罪人用だったり暗殺用の魔道具を敢えて自分に使うことで、それらに対して耐性をつける。王子だろうと、修行をサボれば容赦なくボコボコにする。

修行というか拷問手前みたいな感じでしたが。その成果は確かに出て、マルスはかなりの腕前を獲得することになって。

 

後は自分で努力しろと師匠が国を去ったタイミングで、腐った国の中枢から離れて、魔獣を狩って鍛えていたハンドレッドという集団とたまたま遭遇して。

彼らに認められて戦力を得ることに成功したりもして。調査の為に入り込んできた騎士団長まで、自然に(?)取り込んでいるあたり、脳筋が多い国だな……というか。

力をつけて行った結果、宰相に警戒され直接的に排除されそうになったのを受けて、ハンドレッドが燃え上がり、結果としてクーデターを起こす羽目になったりもして。

 

モンスター肉を食らうことで強くなる、という事を実感したことでよりパワーに傾倒してるハンドレッドの面々、勢いそのまま国内の統治に必要だろう貴族すら排除しまくってしまって、どうなるやらと思っていましたが。

マルス本人はそこまで考えていないけれど、結果として良い手を取って、状況を乗り越えていけてるのは凄いですね。勘違いモノっぽい味がするけど、マルスが国内トップの実力者であるのは間違いないでしょうしね……。

婚約者のフラウには……戦闘では勝てるとしても、フラウも強かだからな……。ある意味フラウが最強なのでは。

処刑された聖女は死霊となって舞い戻る1

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「なんていうか、元気そうで良かったよ。アレンが言っていたのは本当だったんだね」

「死んでるけどね!」

冗談のつもりで行ったら、アレンとカールが泣きそうな顔になった。今の生活割と気に入っているから、勝手に憐れまないでほしいな。

 

平民の孤児セレナは、「聖女」というギフトを得たことで王宮で暮らすことになった。

国に結界を張って魔物からの被害を減らしたりしていたものの……王子の側室に迎え入るという話を断ったこと、平民が王宮に入ったことを良く思わない貴族も多かったことなどから、彼女の扱いは良くなかった。

……どころか子爵家の令嬢に、「聖女」には遠く及ばないものの聖属性の力を扱えるギフト持ちが現れたことで、さらに立場が悪くなり……暴走した王子によって裁判からの即日死刑を執行されることに。

 

そうやって死んだはずだったけれど、セレナは魔物に転生してしまって。

そんな状態になってもなぜか意識があり、威力は落ちていたけれど聖女としての能力も仕えた。彼女は魔物を倒してレベルを上げて、どんどん進化していって。

少しずつできる事を増やして、活動圏を広げていくわけですが。

聖女の結界によって隔離されていた魔王が、脅威が去ったことを敏感に感じ取ってすぐさま侵攻の準備を開始していて。

 

処刑に関与していた王子に思う所はあれど、教会の人々だったり孤児院の仲間だったりはセレナを大事にしてくれていた。

だから、この国が滅びればよいとまでは思えない、と。魔物の侵攻について知人に知らせようとすることにして。

孤児院で親しくしていた少年アレンが、セレナの事を信じてくれたのは良かったですねぇ。彼女を信じてくれる人が少しずつ増えて来てはいましたが。魔王ファンゲイルも厄介で……再会できたのに離れ離れになって2人が、幸せな結末迎えられると良いですねぇ。どうなるやら。

魔術師団長の契約結婚

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「お前は今後、どうしたいんだい」

(略)

「……これからも仲良く暮らしたいと思っています」

 

魔術師団長を務めるレイは、魔術公爵家筆頭であるミラー公爵家に生まれた容姿端麗の青年。しかし親しい人からは「外見は派手でも、中身は地味」と称されるような人物でもあり……要するに、見た目で寄ってくる人は多いけれど、それを楽しめるような性格はしてなくて。

彼に近づこうとする女性たちがもめる様子を見てきたせいで、妙に枯れた部分を持ってしまって今に至るまで独身だった。

 

そんなある日、占いを得意とするレイの祖母の手配で縁談をすることになってしまって。

お相手はテイラー公爵家の令嬢、ブリジット。最年少で監査を行う部署の班長を務める女傑であり、「鉄の女」とまであだ名される人物だった。

2人とも仕事に打ち込んでいて、出会いを求めるようなタイプではなく。とりあえず家族の手前、顔合わせだけはして断ろうと思ったから、送られてきた身上書にすら目を通さなかった。

 

そんなどこか似たところのある2人だったので、不思議とウマが合って……今後同じような縁談を持ち込まれるのも面倒でしょうから、もういっそ条件を突き合わせて相手を尊重した「契約結婚」をしませんか? ということになって。

時に仕事に協力をしたり、時に夜会に参加したりして。お互いの素の表情なんかを見る度に、じわじわと気持ちが育っていって……。

仮初の契約だったはずの2人が、本当の夫婦になるまでの物語。本編は半分程度の分量でサクッと終わっていて、後半は書下ろしの短~中編が収録されています。

 

「猫耳花粉症」はタイトル通り。前魔術師団長が作成に失敗した魔法薬が拡散してしまって、花粉症の人々に猫耳が生える、という奇怪な症状が広まってしまうことになって。

ブリジットもまた猫耳が生えてしまって、レイが妻を愛でるの楽しんでるの癖が出てて笑った。それとは別に、軽い男である前師団長とのやり取りに嫉妬してるのとかも、ちゃんと恋人してて良いなぁと思いましたよ。

 

「詐欺師」は、地球で言うとマルチみたいな悪徳サービスを提供している男がいるが、作中の法では明確にしょっ引けるものでもなくて。それに対抗するためにちょっと工夫することになる話。

「レイと出会う前のブリジット」はタイトル通り、実家から見合いについての話が持ち込まれてから、見合いの席でレイに会うまでの彼女の心情が見られる話。真面目だなぁ、というのが良く伝わってきました。

「嘘がつけなくなる薬」は前師団長が作成した表題の薬をもらったブリジットが葛藤することになる話。微笑ましくて好きですね。

 

そして「花祭り」は、好きな相手に女性が自作した紐飾りを贈るという風習のある祭りについて。ブリジットもレイもそのあたりの事情に疎いのは、なんからしくて笑っちゃった。でも2人ならではのやりとりをして、幸せそうなんだからそれで良し!

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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