気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

HJ文庫

凶乱令嬢ニア・リストン6 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録

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「どうしたらいいかわからない。

 ならば、どうしたいかを考えなさい。

 それならもう、あなたの答えは出ているでしょう?」

 

ニアが弟子たちと行った狩りで資金の目途がたち、武闘大会が開催されるという噂が流れ始めた王国。

賞金が億単位となれば、各国か精鋭がやってくるだろうし……裏社会からヤバい連中も出てくるかもしれない。……実際、噂を聞いた他国の腕利きが優勝賞金五億に飛びついて、楽しい大会になりそうではあります。

 

ニアが集めた八億に加え、セドーニ商会を筆頭に出資者が続出し最終的には四十億と言う資金が集まったのは凄まじい。

その資金を使って、浮島一つまるごと会場として、整地から建造などなどかなりの金が動く事業として動き始めて。その熱量は学生たちにも通じるほどでしたが。

資金稼ぎと注目を集めるためにつくった看板『冒険家リーノ』が大会に参加し、その優勝を持って引退することを発表したことで、さらにその動きは過熱。

 

『冒険家リーノ』は、ニアの想像をはるかに超えるほど成長していた、とニアが認めるほどでした。短期間で稼ぎまくった冒険家ドリームを体現する象徴として、注目を集めやすい対象ではあったんでしょうけど。

他国の参加者も集うってことは、単純に人が増えるってコトですからそれだけトラブルも起きやすくはなるんですよね。

天破流の師範代代理として学院で指導を行っているガンドルフが、本国からやってきた人員に八百長に近い提案をされて、ニアの弟子としても鍛え上げられた彼からすると呑み込みがたいものがあって悩むことになってましたが。

最終的に自身の腕で問題解決してたのは笑っちゃった。ニアが多少暗躍してしりぬぐいと言うか、火消しもしてましたけど力で押しとおったガンドルフの選択は称えたい。

 

ある意味で一番ニアの弟子やってる気がしますよね、ガンドルフ。武人肌だし。

リノキスは侍女としても傍にいるし、ニアを溺愛してるから過剰に守ろうとする部分があるし。アンゼルやフレッサは元々裏社会の住人だから、ニアの歩もうとする覇道とは道を違えてる人物なんですよねぇ。

しかしそんなアンゼルも、裏の住人だからこそ欠かせない義理というものがあって……。

アルトワール裏社会のボスであるカフス。アンゼルにとっても育ての親も同然の人が、アンゼルに大会に出場して優勝するように言ってきて。

裏で行う優勝者を決定する賭けで、アンゼルの優勝に賭けるから勝てという無理難題付きで、いつもニアに無茶ぶりされているのを見てるので、さらに背負うもの増えて流石にちょっと同情の念が湧いた。

ただアンゼル、他の弟子たちが技を教わる中で基礎を伸ばすことに注力していて、それはニア思う正解に近い鍛え方ではあったわけで。そういう意味では、ガンドルフとは別の意味でちゃんと弟子やってるんですよねぇ。

 

……そういう意味では、一番ちゃんと弟子してないのリノキスなんじゃないか疑惑。

本物のニアを知っていて、侍女と言う立ち場でニアの傍にいるのもあって、独特な距離感にいる。リノキスが睨み聞かせてないとニアは宿題後回しにしたりするでしょうから、ニアを英霊時代のような修羅に落とさず、人間として生活させているって言う意味では評価してますけど。

 

武闘大会はニアの個人的な願望であり、そちらに尽力はもちろんしていますが。

リストン領の魔法映像を発展させたい、という希望もニアの中には確かにあって。ウィングロードと言う、飛ぶバイクみたいな競技用単船でのレースに目を付けて。

厄介ファンがついてしまってちょっと消極的な部分のあったニアの兄が、進んで参加してくれるようになったのも、今後に期待できそうなネタで良いんじゃないですかね。

その切っ掛けとなった準放送局のシャール、確かに初登場時に興味のあるネタとして挙げていたなぁ。事故って捨てられたウィングロード用の単船を見つけて、そこで興味を持って自分で修理にまで挑戦してるとか。中々面白いテーマでしたね。

 

準放送局に与えられている魔石が、短時間撮影用のものであることを踏まえて複数回撮影した物を編集して一つの番組纏める形式で放送したのは、新技術を活用しようとするアグレッシブさが感じられて良い。

魔法映像、まだまだ広まり切っていない中でも、アニメとか料理特番とか結婚式の風景の記録や、シャールのドキュメンタリーだとかいろんな方向性が見出されているの凄いですよねぇ。

凶乱令嬢ニア・リストン5 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録

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「自分で言うのもなんですが、報酬なんて出さなくても私は手伝いますよ?」

「いや、これは失敗の許されない仕事だ。無報酬だからと手を抜かれては困る。だから十分な報酬は払う」

……ふむ、そうか。

それだけ本気で、それだけ覚悟して責任を負えと。そういうことか。

 

休暇中に二億稼ぐことに成功したニア。

目標金額の十億にはまだ遠いものの、大規模な大会を開催するのに準備期間は必要だし、ある程度資金があるのであれば準備を始めることも出来る。

稼ぎのペースの相談のため、ヒルデトーラ伝いで王様に報告を挙げたところ、ざっくり一年半後の夏に四億あれば準備を始めることが決定。

当初の予定は十億稼ぐ予定だったし、そもそも資金があって困ることはないので、ニアは弟子たちと共に狩りを行ったりもしてるんですが。資金稼ぎを行いつつ、魔法映像関連の仕事も外せないのがニアのせわしないところですよねぇ。

 

冬休みの出稼ぎの際に知己を得たヒルデトーラの兄、第二王子ヒエロからヴァンドルージュで行われる結婚式に手を貸してほしいと呼び出されることに。

他国の撮影班が、貴族の結婚式の撮影を行うという事で色々な制限がありつつも、成し遂げれば普及に多大な貢献を果たすだろう仕事。

その大仕事の為に、ニアはしっかりを報酬をもらった上で協力することに。

……仕事の重大さは理解した上で、春休み中の撮影にニアも協力することになったわけですが。そうでなくても休暇はニアの撮影ストックを量産する殺人スケジュールが組まれているタイミングで……ニアの中身が英霊になってなかったら、それこそ撮影に殺されてるんじゃないかって雰囲気がしますねぇ。

 

魔法映像が知られていない中での撮影には、監視役も同行していましたが……厳しいスケジュールの中で監視役から度々チェックが入って、ニアたちの怒りボルテージが溜まっていったのはハラハラしましたね。

あまりに干渉が激しいので、「こういう映像を取ってるんですよ」という実例を見せたのは良かった。アレで実際にやりたいことが伝わって、協力的になってくれましたからねぇ。

監視としてなにかあった時に止めるために必要な行動なのはそう。

とはいえニアたちも一日で浮島を飛び回って二十以上の撮影をこなさないといけない中で、お客様を扱うように丁寧な対応なんてできるはずもない、って言うのもまぁ間違いはない。

物証を見せられたのは魔法映像ならではで、新郎新婦にも泣くほど喜んでもらえたのは苦労した甲斐がありましたかね……。

 

ニアたちの通う学校に準放送局として、学生がカメラマンや演者として行う学内限定の撮影班が結成されたり、魔法映像関連は次々活動を広げてってますねぇ。

面白ければ王都放送局でも放送されるという話にはなっていたみたいですが、しばらくたっても成果はなく。ニアたちに泣きついてきたわけですが……既に現場で働いている三人娘からは厳しい意見を貰うことに。

レリアレッド、ニアに頻繁に噛みついてくる挑戦的な子ではありますけど、学生たちの映像を見て「集音に気を使いなさいよ!」とか言える辺り、しっかり魔法映像に向き合っているというか、映る側としての要素しっかり押さえて偉い。



凶乱令嬢ニア・リストン4 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録

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「いいわね。あなたはもっともっと強くなるわ。断言する」

「そりゃどうも」

「一緒に血まみれの覇道を行きましょう?」

「行かねぇよ」

 

レリアレッドのシルヴァー領から生まれた大当たり企画、紙芝居。

そして一応現状だとリストン領の当たり企画は、ニアと犬の追いかけっこってことで何本も撮っているみたいですけど。

ヒルデトーラのいる王都の放送局ではそういった「目玉番組」がなくて、困っていたところ、ニアの兄ニールからの助言でヒルデトーラが料理をする「料理のお姫様」って企画が生み出されて、まだまだ先は長いけどそれでも各放送局で積み重ねが出来ているのは良いですね。

 

さて、一方でニアは武闘大会規格の為の準備も進めていて。どうせ稼ぐなら十億稼いでやろうと決意したわけです。

ニアが自由に動けるならその武術の腕でどうにでもしたんでしょうけど、まだ未成年の学生ってこともあって中々難しく。

リノキスを鍛え「冒険者リーノ」として活動させたり、以前ボコボコにしてから縁のある裏社会の住人アンゼルとフリッサも鍛えて戦力補ってるのは流石というかなんというか。

腕っぷしで何とか出来る事は本当になんとかしちゃうなこの子。

「氣」の扱いを学び始めたことで、ニアの異常さに気付けるくらいなのでアンゼルも才能ある筈なんですけどねぇ。ニアはニアだからなぁ……。

 

冬休みを活用して「冒険者リーノ」の弟子として出稼ぎに協力し、大物を狩りまくっているニアは実に楽しそうでしたねぇ。あまりにも武人すぎる。

当人としてはこういう荒事の方が性にあってるんでしょうけど、当人も言ってる通りそれで進めるの「血まみれの覇道」にしかならないでしょうから。残っている善性で、ニアの人生を貰ってしまった分親孝行をしなくては、と枷がついている状態なのは周囲の安寧って意味では救いか……という気持ちを強くしました。

「冒険者リーノ」の箔漬けと資金稼ぎのためだから全く遠慮せず稼いで、初日とか飛行船の積載量の問題で予定より早く切り上げる羽目になってましたからね……。

その上で出稼ぎに行った他国の軍隊すら狩るのを諦めた、魔獣を討伐したりもして常人の予想を軽々飛び越えて行ってるのが恐ろしい。

そんな実力者が突然現れて、当然その国の暗部が動いたりもしてましたが、ニアに手を出そうとしたのが悪手でしたね……合掌。いや制圧されただけで死んではないけど。

凶乱令嬢ニア・リストン3 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録

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「お前からは本気を感じる。魔法映像のために生きると決めているかのような覚悟を感じる。

それで? おまえはいつになったら実績を作れるのだ?」

 

夏休みに入り、リストン領に帰還したニア。

久しぶりに故郷でしたが、懐かしむ暇もなく……スケジュール詰め込みまくりの二週間で三十七本撮りとかいう鬼の予定組まれて、それでもなおやり遂げたのはお見事。

ニアを筆頭に撮影スタッフたちががベンデリオ相手に恨みを募らせていくのも無理はない。

学院に子供いる世代の注目が集まっている中、ニアが登場する映像を取れる時間が限られているとはいえ、無茶するなというか。そのうち刺されるぞベンデリオ。

あと、まだまだ普及してない環境で人員にも限りがあるとはいえ、ニア以外の目玉となり得る演者を今から確保した方がいいとは思いますけど。

 

それで言えばシルヴァー領は上手くやりましたよね。

引きこもりがちだけど、絵の才能がある次女リクルビタァ。幼少期には絵本や紙芝居を作ったりもした経験があるということで。

その話が出たことで魔法映像で、紙芝居を流す……つまりはアニメのような発想に至ったのは凄いというか。

それをかなり早い段階で企画化して、放送するまでかなりのペースでまとめ上げたシルヴァー領の手腕はお見事。

 

ニアもその魔法映像での紙芝居の可能性に気付きつつも、絵師の確保とか諸々の問題から難しいだろうなぁ……とも思っていましたが。

自分も気付いていたのにアイデアを持ってかれたようで、負けにカウントしてるのは戦闘脳すぎるというか。そんな中、ヒルデトーラに招かれた島で彼女の父……つまりは国王もバカンスを楽しむ予定になったと聞かされて。

敢えて子供に絡むような人ではないって話でしたけど、挨拶をしないわけにもいかず。その時にニアは「映像普及のために使えるものは何でも使え」と焚き付けられることに。

 

ニア自身自覚してますけど、腕っぷしで何とかなる問題は、難なく打破できるんですけど。

勉強方面で頭を使うのは武術ほど得意ではなくて。

国を挙げての武闘大会を開催したい、と言ったニアに王様が「利点を五つ以上あげろ」と言われて、挙げられず。国王に「もっとあるだろ、アレとかコレとか」と意見を押し通しに行ったハズなのに、逆に助言を貰ってたの笑った。

 

どうせやるなら大々的に。他国も招くことも視野にいれるなら資金は潤沢にある方が良い……として提示されたのは、少なく見積もっても一億、欲を言えば十億は欲しいという国王からの意見があって。

お金を用意すれば他国も招く企画ということで王として仕切ってやるということで、ニアの目的にお金稼ぎが追加されることに。

 

大会を盛り上げるために侍女リノキスを本気で鍛えて、「最強の女」という偶像を作り上げようと決めたニアに、リノキスは「英霊であることを隠すつもりがないのか」とニアに踏み込んでいくことに。

ニア、邪法使いが無茶をしたからあんなことになったものだとばかり思ってましたけど。いや実際きっかけになったのは間違いないんでしょうけど。理屈は解明されていないけど、ニアのように「過去の英霊の魂が宿る」英霊憑きと呼ばれる現象は過去にも例があるって話が聞けたのは、世界観設定厨としては嬉しい情報でした。

 

……ニアが英霊憑きかどうか聞いて確定させるってことは、「本物のニアがもういない」という事を確定させてしまうことだから、リノキスも薄々察しつつもこれまで聞けなかったとか。

ニアの両親も本当は察しているんだろうけど、確かめる気はもうないんだろうとリノキスが考えているって話があったりもして、ちょっと胸が寂しくなるような気持ちになる部分もありましたが。


凶乱令嬢ニア・リストン2 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録

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「――魔法映像を制する者は、世界を制する……わたくしはそう思っています」

 

王都にある学院の寮に入るため、リストン領での撮影がしばらくお休みとなることになったニア。

最後の撮影に合わせて両親が会いにも来てましたが……「お父様とお母様と離れて暮らすなんてイヤとか言った方がいい?」って直接聞いちゃうニアもニアだし「気を使わなくていいよ」とかむしろ逆に「連日の撮影で疲れてるの?」とか言っちゃう両親も両親だよ。

ニア、中身が別人になってるとは言え、このサバサバ具合は親子だよ……。

 

王都に赴いたニアでしたけど、魔法映像の普及に力を入れようと考えている王女ヒルデトーラや、ニアをライバル視して魔法映像の世界に乗り込んだレリアレッドとの出会いもあって。

各々の事情から魔法映像に関係している三人は、ヒルデトーラからの呼びかけがあったこともあり、力を合わせることに。

実際映像を伝えられる魔法映像技術、かなりのものでヒルデトーラの夢も決して夢物語じゃないんですよね。

問題はまだ魔法映像を見る機材が高価なことと、レリアレッドのシルヴァー領なんか放送局開設から半年程度なこともあって、各地の普及率は伸び悩んでいるだけで。

 

まだ5%くらいの普及率のところ、一年で各地で一割以上の普及率……つまりは最低でも今の倍に届くようにしようと言い出したのは正攻法では無謀な挑戦ってところでしたけど。

ニア、そういった魔法技術の普及に協力するつもりはあるし、結構尽力してるのも間違いないんですが。

根っからの武人なので「早く強者を殴ったり蹴ったりしたい」と思っている部分もあるのが、おっかないというかなんというか。

幼さから冒険ものみたいな過激な映像の視聴に制限が掛けられている状況で、不満を蓄積しているニアが、闇闘技場なんて噂を聞いたらそりゃ乗り込もうと画策するわな……って納得はありました。



ダンジョンに閉じ込められて25年。救出されたときには立派な不審者になっていた1

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「問題ないことに困っているんだ」

「なにぃ?」

「地下四五階層でロクな装備も持たずに生きていける人間を、住所不定無職無資格の状態で、街に解き放てる訳がない……」

「あー……」

 

突如ダンジョンが発生した世界。

主人公のナガはその黎明期にダンジョンに踏み込み、トレイン……逃げ惑うモンスターを追って集団になっていく現象に鉢合わせてしまった。

そこから命からがら逃げ延びたのはいいものの、ダンジョンの奥地に踏み込んでしまい帰り道を見失ってしまった。

 

ダンジョンの浅い階層は人工物が多く、深くなるほどに自然物が増えていく。そんな中でナガが迷い込んだのは完全に人工物が無い階層で……。

もう一度ソロで上るというのも困難な道ではあるけれど、自然物が多いことでその場所でサバイバルするのには困らなかった。

まぁモンスターという脅威はどうしようもなく存在するわけですけど……少しずつ倒せるモンスターを倒し、腕を磨くことで安定して生活できるようにはなった。

 

しかしいくら安定しているとはいえ、一生をダンジョンの中で過ごすというのも耐え難いため……ナガは、ついに地上に向けての逆ダンジョンアタックを始めるわけです。

そして上っていく道中で、レイスに襲われている少女と遭遇して救助。そこで情報交換した結果、ナガは25年もダンジョンで過ごしていたことが発覚したり。

ダンジョン内部に作られた拠点で、身ぎれいにしたらなぜか20代と見紛う外見を保っていたり。さらにはナガが生活していただいたい45層くらいで、「安定して生活した」実績は公的には認められておらず……ナガの存在は、どこを切り取っても特殊だって言うことが明らかになっていくわけです。

 

時代が流れて資格制になったり色々と環境が整った世界で、資格を取得し再びナガはダンジョンに入って。

地上に戻る際にレイスから助けた少女スイと、そのパーティーメンバーであるヒルネやトウカともたまたま出会い、一緒にダンジョン攻略することに。

長くダンジョンで暮らしているなかで培った経験と知識は、現代の探索者協会でも把握していないものが多くて、あちこちに衝撃を与えていたのは愉快でしたね。

狼型の魔獣が要る階層で罠を仕掛けて、人間側で情報共有するとかは思いついても良さそうなものですけどねぇ。

 

ナガが地上に出たからってわけではないでしょうけど、ダンジョンの魔物の中にも大きな動きが出始めて……長いダンジョン滞在の中で、ダンジョンの闇というか深みに踏み込んだナガも否応なく巻き込まれてましたが。やられっぱなしで済ませず、反攻しようとしてたのは良かったですね。



毒の王5 最強の力に覚醒した俺は美姫たちを従え、発情ハーレムの主となる

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「俺にできることと言えば敵を叩き潰すことくらいだな。慰めてはやれないが、代わりに」

 

暗殺者ロズベットを味方に引き入れたカイム達。

彼女がミリーシアの暗殺に失敗したことで、高額報酬狙いの暗殺者が群れを成してやってくることに。

千とも二千とも言われるメンバーを抱えた組織力が売りの『カンパニー』。

「暗殺」と聞いてイメージする闇に紛れる静かな振る舞いではなく……無数のスケルトンを使役して群れで潰しに来る『骨喰い将軍』。

 

多様な暗殺者に狙われつつ、それらを撃退していたわけですが……。

彼等もさるもの、というか。人質を取ってミリーシアが手出ししにくい、民をカイム達にぶつけてくるなんて搦め手を使ってきたりもして。

ミリーシアを確実に殺すために、街一つに壊滅的な被害を出す派手な行動をとったりもして……生き残った人に責め立てられる、精神的な方向での攻撃もしてくるんだからたまりませんね。

 

ミリーシアはしっかりと皇族としての覚悟があって、自分を狙って敵が動いた結果、街一つが滅びたという事実から目を逸らすわけにはいかないというあたり真面目ですよねぇ。

カイムにも律儀というか難儀とまで言われてましたが。

敵が自分を狙ってくるというのなら、敢えて自分の所在を明らかにすることで、敵をコントロールしようとしたのはお見事。

明らかに罠だけれど、一人だけが得られる報酬のために暗殺者同士でのレースになっていることから誰も引くことはなかった。

仮に報酬がしょっぱくても、ミリーシアがギルドを通して自分の位置を知らしめた以上、彼女が無事で過ごしていることが示されたら「あれだけ挑発されても、殺せなかった臆病者」というレッテル張られて今後の活動に響きそうですけどね。

 

だいたいは蹴散らすことに成功していましたが、暗殺者界隈でも最古参の『不死蝶』と呼ばれる人物・アゲハまで出張ってきて。

彼女の狙いは、人でありながら魔物に育てられた『人魔』と呼ばれる……同胞であるリコスだった。しかし、リコスはリコスで既に自分の主をカイムと定めていたので、アゲハの誘いには肯かなかった。

 

その在り方を認めて引いてくれたのは良かったですね。『人魔』の寿命は定命の人とは違う、という情報も明かされてましたが。……『毒の女王』と同化したカイムはどうなんでしょうね。アゲハが興味示してなかったから『人魔』ではない扱いなんでしょうけど。リコスを一人にしないで上げて欲しいものですが、どーなるかなぁ。

口絵にも描かれてましたが、巻末の番外編「番う狼」で成長したリコスとのシーンが……夢という形ではあれど描かれたのは、リコスだけ仲間外れにならずに良かったというべきか。アゲハと出会ったことで、『人魔』ならではの技術を学んでますしいつか夢じゃ亡くなればリコス的にも本望でしょう。

本編は暗殺者という脅威を退けランスと合流を果たすところまでたどり着いてましたが……決戦まで1週間とかいう最後の一文が不穏ではありますね。戦力、足りるのだろうか。

毒の王4 最強の力に覚醒した俺は美姫たちを従え、発情ハーレムの主となる

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(改めて……俺はどんな星の下に生まれたんだろうな。故郷を飛び出してから一年も経っていないっていうのに、一生分の災難とぶつかった気分だぜ)

 

第一皇子との交渉は、予想できたことではありますが決裂。

暗殺者登場によって混乱した場で。カイムが出した毒ガスを爆発させることで隙を作り脱出には成功……したものの、仲間と分断されてしまうことに。

困ったカイムの元に真っ先に駆けつけたのが、孤児院に預けたはずの少女リコスで。狼に育てられたからかまさかの匂いで追跡してきたようで、彼女の力でミリーシアたちとも合流できたのは何より。

リコス、孤児院に置いていかれた事を怒っていて今度は置いてかれないようにカイムにしがみついているの、絵面は微笑ましいですね。

……リコス、院長の回想からするとなんか厄介な経歴の生まれっぽいですけど。まぁ魔狼に育てられている時点で今更か……。

 

兵士に追われながらも、何とか脱出したカイム達はミリーシアの提案で第二皇子ランスと合流しようと動き始めることに。

ランスの元へ向かう道中でカイムを阻止した、第一皇子の『双璧』についての話を聞いていましたが。帝国最強の騎士だとか、未来予知の力を持っている魔法使いが居るっていう話は共有しておくべきだったのでは……? まぁ教えられたからって、カイムが彼らに勝てるほどスペック向上させられる術があったわけじゃないので、結果は変わらなかったと思いますが。

 

さらに向かう途中でワイバーンに襲われている馬車を発見。

事情を聞くと、近ごろ周辺の村や町がワイバーンに襲われていて大変だという事で……ミリーシアが困る民を放っておけず、協力を申し出ることに。

アーサーとの交渉が決裂した上でも兵士に無駄な損害を出したくないと考えていたあたり、甘いですけど……そんな彼女だからこそ、味方につけられる人もいると示されたのは良かったですね。

 

他の冒険者チームが夜の見張りを引き受けてくれて……声を抑えるように努めたとは言え、その傍のテントでおっぱじめてるの、強すぎるな……。

彼等のイチャイチャっぷりに充てられて停滞していた、その見張りたちの関係も進展したのは良かったですけど、見張りはちゃんとしなー?

ワイバーン単体だったらカイムにとっては容易い敵みたいですけど。飛んでいること、かなりの数が居て広範囲に被害が出ていることから、カイム一人が戦ってどうにかなる状況でもなくて。

 

対処方法として、ワイバーンに特化した毒を生み出して、兵士でも対処できるようにするって言うのは効果的で良かったと思います。カイムが苦手な魔力操作を工夫する良い理由にもなりましたしね。

……そうやって生み出したカイム謹製の毒にも、ミリーシア達みたいな一部の女性陣に刺さる「媚薬」としての性質が残っていて。

ミリーシアを殺しに来た「首狩り」と呼ばれる暗殺者ロズベットに効果抜群。拷問には耐性があっただろう彼女を、カイムが快楽によって陥落させて味方に引き込むことに成功したのは……戦力向上って意味ではありがたいか。

 

暗殺者の世界でもある程度のルールはあって、仲介人が依頼を持ってきて誰かが狙っている獲物には手を出さない。……けれど、最初に挑んだ相手が失敗したのなら、その後は早い者勝ちになっているとかで。

ロズベットを屈服させたことで、他の暗殺者たちが動き出すだろうって情報も得られたのはありがたかったか。……暗殺者に狙われまくるの厄介ですねぇ。そうでなくても、第一皇子とそれに与する勢力を敵に回してる中で、敵対者増やしたくないっていうのに。

……そもそも、アーサー、ランス、ミリーシア3人のうち2人を殺せとか言う依頼出してるの誰なんだって話ですし、暗殺者を撃退したとて尾を引きそうな気配がある。

毒の王3 最強の力に覚醒した俺は美姫たちを従え、発情ハーレムの主となる

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「一度は他国に逃げた私ですが……今度こそ、帝国を救うために命を賭けたいと思います。大丈夫です、私には支えてくれる仲間がいますから」

 

カイム、やる事やった後のピロートークで「旅の途中、特に活躍してなかったけど何ができるんだ」とか直球で聞いちゃうのは流石にどうなの。

ちなみにそこで明かされた情報だとミリーシア、実は神聖術の才能があるらしいですね。

怪我の治療とか道具を揃えれば結界を張れるし、アンデッドとかに聞く浄化も使えるそうですが……そりゃこれまでの道中では使いどころないですね。

そして役立たずですみませんと自虐して、カイムに慰めてもらおうとしてるので……まぁそれ以外にも女の武器も磨けてるんじゃないですかね、知らんけど。

 

兄弟の争いを止めようと帝都を目指すミリーシアに同行するカイム達。

しかし街道の封鎖によって足止めされてしまって。ミリーシアの神聖術を使ってアンデッド討伐をしたりしてましたが、状況は改善せず……危険地帯である迷いの森を突破するルートを選択することに。

魔境に詳しいサポーターを紹介してもらって、カイム達なら対処できる程度の障害を蹴散らしつつ進んで行ったところ……奥地で本来会うはずじゃない魔王級に次ぐ公爵級の魔物、狼の魔物リュカオンの群れの長にケンカを吹っ掛けられることに。

 

流石に「公爵級」となると厳しい戦いでしたが、辛くも勝利。相手にも思惑があっての戦いで手加減されていなければ危なかった、とカイムは感じていましたが。

力を示したことで長からカイムは、狼たちに育てられていた人間の少女を託されることになるわけです。

リコス、デザイン可愛くて良いですよね。魔境の奥地で魔物に育てられた、というだけあってただの少女ではなさそうな気配プンプンしますけど。

 

少女託された後、無事に帝都に到着できたのはなにより。ただミリーシアが信用している人物が管理しているとはいえ、施設にそのまま預けようとしていたのは、警戒心が薄いというか。

ミリーシア後継者争いで内紛間近なのを止めようとしているわけで、彼女の立場って結構皇女でありつつ危ういんですよね。

帝都についてすぐ預ければ良いか、と考えてましたが……それは相手を侮りすぎでは……? 感もある。とはいえ、じゃあ素直に連れて行って良いかと言われると悩ましい話なんですけども。

 

第一皇子との対面は無事に叶ったものの、内紛を止める事は叶わず。

側近によって排除されそうになったカイムたち。『毒の女王』を取り込んだカイムでも、一国のトップクラス相手となるとさすがに厳しく……ピンチになったところで、暗殺者とか言う予想外の乱入者によって、逃げ延びることが出来たわけですが。カイムのレベリングは急務ですねぇ。

 

あとこれらのイベントの合間に相変わらずなアレコレもやってるんですが。

レンカが首輪持参で「お散歩」プレイに興じてたり、巻末の番外編「囚われのレンカ」では黒歴史を綴っていたり、もうダメだよこの女騎士。性癖に正直すぎる……。

ギルドマスターのシャロンとワンナイト堪能してましたが、三人の恋人ほどの高ぶりは感じなかったとかで、旅の仲間が特別であることを実感したりもしてましたが。

魔境のテントの中とか、兄と対話するために来た城では「妹でも予定の横入は許さん」と後回しにされて……その結果、城のミリーシアの私室で盛ったりしてるので、カイム色事方面では無敵か……? 女性陣の方がカイムを誘惑しまくっての結果ですが、それを受け入れてるわけだからな……。

インフィニット・デンドログラムSP2 南海編〈下〉

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『俺の仕事は、リエラの護衛でもお守りでもない』

リエラを一瞥してから、シュウは理由を述べる。

『リエラの仇討ちを助ける。それが俺とリエラの契約だ』

 

醤油抗菌、デンドロ黎明期に初めて「どうせ変わらないだろ……」って適当ネーミングにしたけど、この世界の人々と交流する中で色んなものを背負い込んでしまった重い男なんですよねぇ……。

カラーイラストのキルゾーン、格好良かったですけど名前がギャグなのが温度差激しくしてる。

 

アビスシェルダーに挑んで散っていったサトミ。

それでも腐っても超級、戦いの中で得た情報をサトミは自分のクラン「GFRS」のホームページにアップロードしていて。

シュウがリアルでそれを確認した上で、リエラたちと方針について相談することに。

レイにも宣言した、極小だろうと諦めなければ『可能性はいつだって俺達の意思と共に在る』というのを貫くために、足掻き続けているの良いですね。

 

死骸を真珠化させて、それを捕食することで吸収する。UBMをデザインしたジャバウォック的にも予期せぬ出来事が積み重なった結果生まれたイレギュラーらしいですが。

耐性が強いメタルスライム系統のモンスターを喰らい続けて、外殻が完全耐性レベルになっていること。補色を続けたことで素のステータスが極大化していること。

それがアビスシェルダーの「無敵」のタネだと暴くことには成功したわけですが……基礎スペックが高い方とかは、単純だからこそ対処が難しい類ですよね……。

そりゃ破壊王か獣王レベル引っ張ってこないと対処できないとかいうわけだ、と納得しました。

ただまぁ、シュウのバルドルはあくまで水陸両用の戦艦形態もあるけれどあくまで陸戦主体であって。水棲のアビスシェルダーと戦うには相性が悪い。

その為には他のマスターの手助けがいるけれど……その手札を持つ人物は、リエラの帰還を望んでいる。そんな綱渡りを渡り切って、決戦にまで持ち込んだのはお見事。

 

抗ったのはシュウやリエラだけではなく。グランバロア七大エンブリオと称される、7人の超級もそれぞれ活躍していたのが良かったですね。もちろん、現地住人も可能な範囲で戦い抜いてましたし。

サトミ、醤油抗菌、最も若く先達から教導を受けているミロスラーヴァ。

比翼連理の二つ名を持つ、機動力に長けたリアル夫婦エドワーズ夫妻。

エドワーズ夫妻、個人で参加しているけど合衆国の諜報員としての顔もあり、あとがきで書かれていましたが、本編キャラであるルークの両親に「ゲームの謎を解き明かして」という依頼を出した人物と書かれていて、予期せぬところで繋がりがあるな……。

エドワーズ夫妻の部分と、各船団の後継者部分とかの描写は特典版から加筆された要素だったみたいです。

 

そして隠されていた残りの超級2人ともシュウは出会うことになっていましたけど……つくづく超級との縁があるな……。

シュウはいつでもどこでも彼らしさを貫いている男なわけですが。

……かつて自国の戦争に参加しなかった一件があり、「母国の戦争には不参加だったのに、なんで今回は手を貸してくれるんだ」と思われているの、犯罪王ゼタとの一件が表に出ていないから仕方ないけれど、若干モヤモヤしましたねぇ。

とは言え周囲がどう評価しようと、自分を貫くのがシュウという男で……必殺スキルの時間制限内に、しっかり仕事を果たしてくれたのが格好良かったですね。

プロフィール

ちゃか

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