気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

HJ文庫

この日、『偽りの勇者』である俺は『真の勇者』である彼をパーティから追放した1

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「誰が何を言おうと、わたしにとっての勇者は貴方なのです。ありがとう、あの時わたしを助けてくれて」

 

魔王と呼ばれる存在が現れ、その脅威に瀕した国が存在する世界。

主人公たちの住んでいる地域は片田舎の村であり、そうした騒動とは無縁の長閑な村だった。同年代の子供たちとはしゃいで遊び、魔王と戦う勇者の物語に憧れて自分も勇者になろうと言い合う、平和な時間を過ごしていたわけですが。

この世界では十歳になったときに『神託』を受けて、職業を授かるという風習があって……。

 

主人公のフォイルは『勇者』の職業を与えられると同時、「偽りの勇者」という称号までも与えられ……。職業を与えられなかった幼馴染のユウが、真の勇者であることもまた理解してしまった。

そのため、魔王との戦いにユウと魔法使いの職業に目覚めたもう一人の幼馴染の少女メイを連れていくことを決断したわけですが……。

 

勇者パーティーとして参加することになった剣士グラディウスは、女癖が悪いし力なき相手をさげすむ傾向があり。もう一人の魔法使い、貴族令嬢メアリーは選民思想が強く平民を切り捨てるような行動を平気で取ることもある。

そんな状況だったので、職業がないユウは居心地悪かったと思うんですよねぇ。

彼の献身と提案した作戦によって成果を上げたこともあるけれど、メアリーの反発によってフォイルの功績かのように扱われてしまって。

それを受け入れてしまっているユウの姿を見たフォイルは、敢えて彼をパーティーから追放し、『偽りの勇者』として振舞うことで覚醒を促そうと考えた。

 

フォイルは、かつて勇者に憧れたこともあり、多くを救いたいと考える善良な少年だったわけですが……女神の授けた職業と称号が、そのまま光の道を進むことを許さなかった。

追放したユウが覚醒するに応じて、自分の力が低下していくのを自覚しながらも、最後まで『偽りの勇者』として振舞い続けたのは、見事だったと言ってもいい。

偽りつづけた罪を背負って命を賭ける覚悟だったわけですしね。

 

ただ実際には死にかけたフォイルを救ってくれた少女が現れるわけですが。

聖女の職業を与えられた、かつてフォイルに助けられた少女アイリス。あの時に助けてくれたのは貴方だから、とフォイルが自分の勇者であると言ってくれたのは良かった。

意図せず命を拾ったフォイルは、今後は自分の心を偽らずに誰かを助けるために動こうと思えるようになったのも良いですよね。

実際、フォイルに因縁があり追っていた相手とはいえ、村一つ滅ぼしていたかもしれない魔族を、勇者不在の状態で撃破してましたし。フォイル自身は好きなので、今後を見守りたいですねぇ。

 

……これまでの歴史になかった、偽りの勇者と真の勇者なんて三文劇を突然開催した女神オリンピアの『神託』とか、メアリーみたいな選民思想にかぶれた貴族とか、世界に対する不満はありますが。メアリーはその愚かさの代償を自分で払うことになってたし、まぁ……。

神託の真意についてはおいおい明らかになって欲しいものです。

毒の王1 最強の力に覚醒した俺は美姫たちを従え、発情ハーレムの主となる

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『幸せになりなさい。いつか貴方の家族を見つけて、共に生きなさい』

 

主人公のカイムは生まれながらにして毒に蝕まれた『呪い子』として、父や双子の妹、使用人や領民からも忌み嫌われている存在だった。

家族で唯一、母だけは彼に愛ししてくれていたものの、毒の影響もあって早くに亡くなり……彼女に恩のあるメイド、ティーだけがカイムの味方だった。

生まれながらにして、そんな厳しい環境に置かれていたカイムですが……。

 

その状況になったのは、両親の決断のせいなんですよね。

魔王級と呼ばれる災害『毒の王』を、犠牲を払いつつ倒した両親。父はその功績を持って貴族に任じられ領地を得たみたいですが……母はその争いで毒の呪いを受けてしまった。

このままでは死んでしまうという時に、父の知人であるドクトル・ファウストが登場。マッドサイエンティストの側面があり人体実験を行って数百と殺している一方、難病の治療薬などを作っている功績もあげている人物。

ファウストは、母が受けた呪いをその時に妊娠していた双子の片割れに呪いを移すことで、母体と子ども1人だけを助けるという提案をされて……それに頷いた。

 

だからこそ母は生まれてきてくれた子に業を背負わせてしまったと、せめてもの愛を与えようとして……。

父はカイムが呪いに耐えられずに死んでさえいれば尊い犠牲と思えたのに、生まれてきたことで妻を蝕み、非情な決断をしたことを突きつけられると、息子を遠ざける決断をした。

……その上で、どちらも息子に与えてしまった因果について説明しなかったっていうんだから、父が最底辺のクズではあるという前提で、母もちょっとダメな部分あるよなって感じ。父は自分の罪と向き合えずに歳を重ねているので、あまりにも醜いんだよなぁ……。

 

十三歳の孤立したカイムの前に、呪いを移した張本人ファウストが現れたことで、ようやく彼は事情を知ることができたわけですし。

彼女の介入によって自身の呪いと向き合ったカイムは、新たな『毒の王』として覚醒。力を得たためか18歳ほどの肉体に成長し、『毒の女王』と同じ毒を操る力を有しつつも、人の意識を残した彼は母の残した言葉に従い、自分を受け入れて裏切ることのない家族を探しに行くことにして……。

 

行きがけの駄賃で父を蹴散らして傷を残しているのは、罪を突きつける感じで痛快ではありましたが……命までは奪わなかったので、このクソ親父の再登場も約束されたようなもので、そこは億劫だなぁ。

気ままな一人旅になるかと思いきや、賊に襲われた帝国の令嬢を助けることになったり、メイドのティーが追いかけてきたり、女性の仲間には事欠かない状況に。

サブタイトルの「発情ハーレム」とある通り、そういうシーンの描写が織り込まれていて、中盤以降お色気シーンが増えていく作品ですな。

愛され天使なクラスメイトが俺にだけいたずらに微笑む

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「ただし、成功するまで頑張れ。失敗は反省の材料にして成功につなげろ。じゃないと、もったいない」

「もったいない、ですか」

「当たり前だろ。失敗を失敗のまま終わらせたら、何のための努力だって話だ。失敗は成功のためにあるんだ」

 

主人公の市瀬颯真は、パティシエを夢見る男子。

出来るならば製菓専門学校に進みたかったけれど、両親の反対にあって一般の高校に通うことになって。

それでも夢を諦めずお菓子作りを続け、クラスの女子に試食を頼むことで自分の腕を磨こうと励んでいた。

……ただまぁ、菓子にそこまで本気じゃない女子の意見は、彼の望んだ領域には達しておらず、どうしたものかと悩んでいたある日。

 

『安らぎの天使』と呼ばれ、多くの人々から可愛がられている里見千佳が、長所短所を踏まえた上での良質な意見を送ってくれた。

そのことに感動した颯真は、彼女に専属味見係として協力してほしいと提案して。

千佳はその頼みを受け入れた上で、自分にも協力してほしいと返してきた。

彼女は天使キャラというか、可愛がられる性質で……ありがたい反面、多くの場面で他人のフォローが入るせいで、自分だけで成し遂げたコトが少なかった。

そういう経験を積むために、適度に距離が遠い颯真に自分を見守って欲しいとのこと。

 

どちらかが一方的に手を貸してもらうのではなくて、お互いに利益のある関係を築けているのが良かったですね。

颯真と交流を続けていく中で、千佳は彼の可愛いところを見つけて、今まで誰かが自分を可愛いと言ってちょっかいを出してくる気持ちを理解。颯真相手にからかってくるような、普段と違う一面も見せてきて。

協力関係にある2人の日常を、千佳の親友が見た時に「イチャイチャしまくってる」と評したのも納得の空気を醸し出してるのが、実に微笑ましくて良かったですね。良質なラブコメで、これは2巻にも期待したい。

第三皇女の万能執事 世界一可愛い主を守れるのは俺だけです

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「大丈夫です。貴方が私を死なせないと護ってくれるように、私も貴方を死なせません。絶対に生きて――一緒に明日を迎えましょう」

「結婚しましょう」

「今の流れで何処から結婚の話が出てくるんですか!」

 

魔力量に秀でつつもポンコツドジっ子な第三皇女クレルと、毒舌でクレルを頻繁に揶揄うけれど彼女を愛していると言って憚らない執事ロート2人をメインにした物語。

国内でのクレルの立ち位置が微妙みたいで、皇宮には住まず郊外の屋敷に住んでいたり。

スペックの高いロートは結構色々抱え込んでいそうな雰囲気があったりと、2人が抱え込んでいる事情は見通せない部分が多いですけど。

 

2人がお互いをこれ以上なく大切に思っているのは確かで、そこは安心してみてられますね。

愛の想い執事が慕う主をからかいつつ、主もまた執事を大事にしている。そんな夫婦漫才の傍ら起きる事件を解決していく、と言う話ですね。

いつ何が起きるかわからないから何度でも繰り返し愛をささやくのだというロートと、そういう言葉は大切だからこそたまにいう方が良いと恥じらいを持っているクレルの主従は相互の愛がハッキリしててとても良い。

 

この2人、独自に目安箱を設置して投かんされた悩みへの回答をする活動をしていて……。

中にはイタズラのようなものもあり、それらには適当な返答をおくっていましたが。ある美術館から「展示品の盗難予告が届いた」と相談が寄せられて。

妨害工作などもありながら、無事に解決できたのは良かった。……まぁその過程で国が抱える闇なんかも見え隠れしてたので、シリーズが続いたときはそのあたりに切り込んでいくことになるんですかねぇ。

凶乱令嬢ニア・リストン1 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録

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「武とかどうとかはさっぱりだけど、賢い選択ができないってのはすごくよくわかるわ。賢く生きるための選択って話なら、私だって未来が見えない役者なんてやってない。

それこそとっとと実家に帰って農業やってれば、安定して暮らせるだろうしね」

ならばわかるだろう。

「私は行くわ。必要なことだから」

 

闘病生活を送っていたニア・リストンは、両親が快癒を願い様々な手を打ってきたものの、願い敵わず病没。

しかし、最後に両親が頼った男は怪しい術を習得した人物で……報酬を得るために、死んだニア・リストンの肉体に、別の魂を宿すことで一時しのぎをすることに。

病に侵された体は弱り……このままなら、新たな魂を入れても数日の命だろうと思われたものの。男が招いた魂は、尋常のモノではなかった。

 

サブタイトルによれば「神殺しの武人」であるところの魂は、体内の「気」を操る技法を習得しており、少しずつ病魔を追い払っていくことに成功。

ニアの肉体とこれからの人生をもらう形になってしまったのだから、彼女が背負うはずだった責任と義務は果たして親孝行はしよう、と考えるくらいの人間味は残っていたようですけど。

生まれ変わったニアの本質を一言でいうなら、戦闘狂なんですよね……のちに「凶乱令嬢」なんて二つ名を贈られてるのも、納得しかないくらいには。

 

かつてのニアの記憶も引き出せず、しかし前世で培った戦闘技術以外の記憶も朧気な主人公は、およそ45歳児らしからぬ言動をするようになるわけですが。

それでも受け入れてくれる両親の懐の広さは素晴らしい。

 

この世界、かつて「大地を裂く者ヴィケランダ」という特級魔獣が大地を裂き、その時の大地のかけらがどうしてか空に浮かぶ「浮島現象」が生じるようになって。

浮島では独自の生態系が作られたり、ダンジョンと呼ばれる迷宮が存在したり、かなり興味深い存在となっているようです。

 

プロローグで名前列挙されている、過去の英雄たちについても気になりはするんですけど。

「気」を操作し快方に向かっているとはいえ弱っていた初期のニアは、部屋で療養してばかりだし。彼女の興味が血沸き肉躍る「戦闘」に偏っているので、面白そうな世界観ながらこっちに流れてくる情報が絞られているのが惜しくはあります。

貴人の娘として求められた振る舞いをしつつ、裏では戦闘欲を発散する機会を伺っていて。1巻時点で裏組織一つにトドメを刺してるっていうんですから、将来が今から怖い子ではありますが。怖いもの見たさで見守りたくもある。



剣聖女アデルのやり直し――過去に戻った最強剣聖、姫を救うために聖女となる――

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「はい、何があっても私が姫様をお守りいたします。ですから、あまり一人でお悩みになられませんように……」

「はい。気を付けますね、アデル。ありがとうございます」

 

かつて奴隷として囚われ、違法な人体改造を施された上で戦いを強いられた主人公のアデル。その戦いの中で無数の傷を負い、両目も潰れてしまった。

それでも生き延びていたあたり実力は確かで……ある日、ユーフィニア王女によって救われ護衛として取り立てられることに。

 

彼はユーフィニアを篤く慕う良い騎士だったようですが。世界を南北に二分した大戦が起きてしまい、姫様はその過程で落命。

ユーフィニアの願いにそぐわないと知りつつもアデルは復讐の戦いを辞められず……対戦を勝ち抜き英雄となった。

そんな彼の前に謎の存在が現れて、その行いは立派だったから願いをかなえてあげると言われ、迷わず姫を救うことを希望して。

そのまま蘇生させることは叶わないけれど、アデルをユーフィニアが生存していた過去に贈ることはできると言われ、迷わず受諾。

 

そして過去に戻った時アデルはなぜか少女の姿になっていた。

剣聖として戦い抜いた経験と知識はそのままに、さらにはこの世界で特別な存在である聖女としての力にまで目覚めていて。

前回とは違う形ではあれどユーフィニア王女と出会うことも出来て、騎士として傍に居られそうな状況にはなりましたが。

アデルが聖女としての力を持つために、教会から横槍が入ってくる一幕もありました。しかし、大聖女の一人がユーフィニアの仇であったり、アデル達が捕らわれていた闘技場の裏に枢機卿が居たりするみたいですし、どうにも信用しにくいんだよなぁ……。

 

1週目の世界では死んでしまった存在を助けられたりして、現状では良い方向に進んでいるように見えますが。アデルを転生させた存在によれば、運命には強制力があるため前回とは違う道を辿っても同じ結末にたどり着きやすいそうですし、油断は出来ませんな。

女性になった自覚が薄く、日常の振る舞いとかに課題はありますけど、戦闘方面でアデルは本当に頼りになるし、ユーフィニア王女も良い子だったので、結構楽しんで読みました。

中卒探索者の成り上がり英雄譚 2つのスキルでダンジョン最速突破を目指す2

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「探索者の中でスキルオーブを買うやつはそんなにいない。高いからな。でも、だからといってドロップ率が高いわけでもない。俺が言えることはただ一つ」

「は、はい」

「出るまで倒せば100%だ」

 

当人は乗り気じゃなかったものの主人公のハヤトはAランクに挙がることになってしまって。

色々な特権が付与される反面、義務も課される制度であり……ハヤトはそのせいで弟子を取ることに。

それが表紙の2人の少女、澪とロロナだった。

ろくな身分証もなしに動乱期に探索者になった上、中卒のソロだったハヤトがいきなり2人も弟子を持つのはハードル高そうだとは思いましたが。

弟子を取るのは義務だけど知人がいないから協会に公募を任せたら速攻で決まったり、たまたま立ち寄った店で弟子候補と出会ったりするのは予想外だろうからまぁ……。

 

初手、極貧生活を送っていた澪視点から始まりますが、年齢偽装した上で居酒屋バイトするとか、追い込まれてるな……。

というかよく面接通ったな。ちょっと前までのハヤトといい、やたらと若年の貧困層多く出てくるな……。

父が探索者に憧れて、母はそんな父に愛想をつかして……と言った具合で転がり落ちていった模様。こういうケース他にもありそうです。ロロナも家出してきた家なき子でしたしね……。

 

2人の弟子を抱えて乗り込んでみれば、澪はステータス激低スキル無し、ロロナはステータス開示は拒否するもスキルを3つ発現と両極端の才能を披露してくれて。

どちらも最前線攻略者にしようと考えていたハヤトの計画は、前途多難です。

オマケにAランクになって知名度も上がってしまって、実家からメッセンジャーとして妹がやってきたりして、面倒ごとの種は尽きませんなー。

というか、彼の実家とそこが担っている魔祓いの情報とか聞くと、ダンジョンとかなくてもファンタジーしてるんですよねこの世界……。

かつて弱くて放逐されたハヤトが力をつけて、妹相手とはいえ我を通して交渉を成立させたのはお見事でした。まぁ、その分さらなる厄介ごとが増えそうな気配がありますが、どうなるのやら。

インフィニット・デンドログラム20 砂上の狂騒曲

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「ここまでついてきてくれたあいつの、ささやかな願いすら叶えてやれなかった。そんな俺自身と【殺人姫】への憤懣は……ここで晴らす」

『エルドリッジさん』

「何より……二人が俺の勝利を信じているならば、それに応えるだけだ」

 

カルディナに滞在中のユーゴーでしたが、最近一緒に行動していた師匠が別件で同行できなくなったため、セフィロトの仲間の仕事に同行してみてはどうか、と提案されて。

デンドロ内でアルバイトをすることになったわけですが……〈超級〉は本当に誰も彼も個性が強いなぁ! と改めて思わされるエピソードでしたねぇ。

 

砂上を行く豪華客船で、黄河より盗まれたUBMの珠を回収する交渉を行うことになっていて。また【殺人姫】が現れた時の対応をユーゴーは求められたわけですが。

その船に乗り込んだのは、ユーゴ―のバイト先でもある珠の交渉に来たカルディナ陣営。複数の思惑を持って裏で動いていた〈IF〉陣営。

さらには、ドライフ皇国の政争で敗れた上で彼らの信じる正義を掲げてテロに手を染める決意をした集団や、王国で有数のPKギルドだったものの、〈超級〉に敗れ続けて凋落したゴブリン・ストリートのメンバーも出てきますし。そのどの勢力にも属さない、歴史の裏で動いていただろう存在もいるしで、混沌と呼ぶのにふさわしい。

 

IF側もエミリーに対して効果を発揮したユーゴーのスキルに対策を取って来るし、ユーゴ―が自覚していなかった地獄門の欠点なんかも今回の件で露呈。

それでも諦めず足掻き続けていたのは良かったですね。

あと、ゴブリン・ストリートのエルドリッジが思ったよりいい味出してくれてたと言いますか、準〈超級〉ではあるけれど〈超級〉に敗れ続けていた彼が、それでもついてきてくれた仲間に背中を押されて、カルディナ最強のPKに挑む展開は熱かった。

 

政争に敗れドライフ正統政府を名乗っていた集団は、どこまでも道化として蹴散らされていきましたが。

叡智の三角が作り上げた、マスター達のロマンを盛り込んだ強力な機体に搭載された「技名を音声認識にするシステム」に、ティアンの〈超級〉職が苦言を呈していたのが正直笑えた。個人戦力としては本当に突き抜けていたからこそ、ロマン機能に文句を言うのは分かる。

……でも叡智の三角ロマンを追求するマッドな集団だから、多分機能をオフにできる設定ないよ……合掌。

精霊幻想記23 春の戯曲

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「だから、気持ちを切り替えて旅を続けよう」

 

セリアはレイスとレンジの追跡から逃げ切ることに成功。

その足でガルアークの王都に帰るのを良しとせず、実家に影響が出るだろうから、と訪問を決意。それをリーゼロッテに相談してくれたおかげで、アリアという戦力を借りられたので偉い。

実際アリアが気を引いてくれたおかげで、弱みに成りうる母を保護することに成功したわけですしね。

 

領民への責任があるからと王国に残る決断をしたクレール伯爵は、貴族としての矜持を感じられて良いですけど……。

アルボー公爵派が力を持っている状況でどれだけのことが出来るだろうか。敵がレイスとつるんでいて、今回セリアを追撃したみたいに勇者レンジを持ってきたりするのが面倒なんですよねぇ。

ベルトラム王国本国には勇者ルイもいますけど、彼はまだ良識持ってる方なのが救いか。

 

一方でガルアーク王国側に集った勇者たちは、タカヒサ以外は特訓に乗り気。

ヒロアキがゴウキに「指南役務まるのかよ」って絡む一幕もありましたが、実力を確かめてからはしっかり認めてましたし、昔に比べると丸くなってきてますね。

……相変わらずどころか焦りからどんどん悪い方向へ進んでいるのがタカヒサで……。彼は美春のことをみすぎて、傍にいてくれたリリアーナの事を思いやれなかった。

そういう積み重ねによって、ついに絶縁状を叩きつけられたわけですけど。まぁなるべくしてなったというか。終盤、落ちるまでの速度感がヤバい。

 

美春がリーナから「間違った選択をすることを強く勧める」とか言われていた中で決断を下したわけですが。

次回予告では「正しい選択だった。そのはずだった」みたいに書かれてるのが不穏ではある。リーナ的には、アレを受け入れる方を勧めてたってコト……? 

 

リオは忘れ去られた勇者エリカの最期の願いを聞き届け、彼女の過去について知ることに。そこで勇者の力が覚醒する条件の推測もしてましたが……試そうにも試しにくいんですよね。

その用事が済んだ後に、リオはソラと共に神魔戦争が始まった地を訪れます。

これまでの主要な舞台となっていたガルアーク王国やベルトラム王国は、シュトラール地方東部の大国で……真逆の西部から神魔戦争が始まったそうです。

 

そんな最西端の地にあるのが、アルマダ聖王国。

聖王国と名乗るだけあって六賢神信仰が強い土地のようですが……宗教的立場のトップに立っているのが厄ネタだと発覚して頭が痛い。

この地は六賢神の実験の影響か、迷宮と呼ばれる魔物が湧き出る場所があり、その奥地にも魔族らしい存在がいるようですし。

聖王国も実質的に魔族に乗っ取られているのでは……? ベルトラム王国でもアルボー公爵派に影響力持ってるし、帝国の外交官も務めてるので、大分あちこちに爪痕残してるのが面倒すぎる。

新情報も出てきましたが、これからにつながる繋ぎの章って感じで若干盛り上がりには欠けましたね。

英雄と賢者の転生婚~かつての好敵手と婚約して最強夫婦になりました~3

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「あなたが駆けつけてくれた時……私は本当に嬉しかったんです。自身の命を賭してまで、その想いを貫いてくれたのですから」

(略)

「だから――その想いが遠い未来で果たされることを、私たちは過去より祈っています」

 

アルテイン時代のレイドのエピソードからスタート。

彼はあまりにも病弱で、故郷はそもそも寒村なのに戦争続きで貧困が続くような状況だった。

そんな状況であっても、息子の前では溜息をつかないように配慮できる母と、元気になったらいろいろと教えてやるとと笑ってくれる父の下に生まれたらしく、家庭環境だけは恵まれていたようです。

ただ、国や村の貧しさだけが問題で……ジリジリと平穏が崩れていっただけで。

 

優しい家族の、わずかな助けになればと自ら身売りに行こうとするあたり、レイドは思い切りが良すぎますが。

……そしてレイドは不審な男に出会い、「英雄と賢者、どっちになりたい」と聞かれるわけですが。

エルリア含めて転生してること含めて、絶対なにか知ってそうな奴が出てきましたね……。

その男もかつて英雄だった存在を知っていて、その相手の真意を理解できず突き放した経験を持ってるみたいですから、黒幕というには不審さが足りないというか。

いやでも終盤の台詞とかは怪しかったな。レイドが英雄を作った、みたいなこと言ってるし。その真意が明かされるのはいつになるのやら。

 

あとは、ファレグに付き従っていた従者2人が無事に復学することになってましたね。

しっかりと挨拶に来る辺り律儀だなぁ。まぁファレグ君も2巻で大分丸くなったとは思いますが。

従者2人はファレグの困った性格を知っている当主が、フォローを頼んでいたらしくてそこは納得しかありませんでしたが。

幼馴染故の親しさもあってか、ファレグの恥ずかしエピソードを赤裸々に語り合う2人はなかなかにいい性格してると思いました。

そしてその従者2人もまた、レイドとエルリアの地獄特訓の餌食となるのだ……合掌。

 

エルリアたちのいる国では外的変化を齎す魔法が発達したけど、東方では呪術という内的変化を齎す別技術が発展してるとかで。

普段はその地域を担当している特級2人が、今回レイドとエルリアの試験官としてやってくることに。

トトリ達の背景とかも結構良かったですけど……レグネアの情報が出てくると同時に、かつてのレイドが成し遂げた偉業の情報出てくるの笑っちゃうんだよな。危険な海域を泳いで渡るな……。

 

1000年前の、婚前に「そういうこと」をしないという価値観をレイドとエルリアは持っているわけですが。

凄いイチャついてて夫婦とからかわれても、まだ婚約者と都度訂正するその理由が、「どちらが強いか決着をつける」という名目で婚約したわけだし、まず目の前の問題としてそこに決着をつけたいと思うあたり、戦場にあった人だなぁという感じ。

まぁそれらはあくまで筋を通そうとする理屈であって、普通に好きだし惚れてると認められる状況ではあるみたいですし……状況によって対応を変えたりしてましたけどね。

照れてるエルリアが可愛かったです。

レイドたちの関係は良好ですが。転生の謎は深まるばかりというか、レイドとは別の『英雄』が現れたりして、気になること増えてきますねぇ。最後に手がかり見つけた感じで終わってるので、情報開示回となるだろう4巻が早めに来てくれると嬉しい。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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