気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

HJ文庫

英雄と賢者の転生婚~かつての好敵手と婚約して最強夫婦になりました~

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「誰かに褒めてもらえるのって、すごくうれしいことだとわたしは思ってる。だけどレイドはずっと一人でいたから、まだそのことに気づいてない」

(略)

「――だけど、今はわたしがいるから一人じゃない」

 

1000年前の戦場において、大剣を振るい戦果を挙げ続けた英雄レイドと、魔法という新技術を編み出し彼と戦い続けていたエルフの賢者エルリア。

2人は所属する国が違うために戦っていましたが、それぞれより良い未来を目指していたのは同じで。

50年以上戦い続けていたが、エルリアの死によってその関係は一度終わりを迎えます。訃報を聞いてからレイドが取った行動が好きだなぁ。

 

そして2人は死後、どういうわけか1000年後の未来に転生を果たす。

エルリアの国が大陸の覇者となり、魔法市場主義が敷かれる事となった世界では、魔法への適正がなく物理特化の英雄だったレイドは評価が難しい対象だったわけですが。

今世では人間となり、名家に生まれたエルリアがレイドを発見。婚約者として迎え入れることで、彼の立場を確立しようとします。

 

それは利益供与の契約ではありますが、あくまで建前。対人コミュニケーション能力が乏しいエルリアが告げられなかっただけで、しっかり彼への恋心があるのが良き。

レイドの方も前世での縁もあって、彼女の存在を忘れた事はなかったようですし。2人の関係が中々に尊くて良いですね。

ただ世界全体が魔法至上主義になってしまったのは、危うさも感じますけどねー。一極化しすぎると、それが通じなかった時対処するの大変そうじゃないですか。

まぁこの2人のスペックがとんでもなく高いので、大抵の障害は蹴散らせるので安心して読めますが。

なぜ2人が同じ時代に転生したのか。歴史から消された情報がある事などなど、気になる設定はいくつもあるので、シリーズの続きを楽しみに待ちたい。

魔術破りのリベンジ・マギア1 極東術士の学園攻略

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「別に僕は……ただ、生まれ持った境遇に甘えている人間が嫌いなだけだ。運命に屈し、努力を怠る人間もまた怠慢だ。そんなものは覆せばいいし、自分次第でどうにでもなる」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。

魔術が存在する地球を舞台にしたファンタジー。

陰陽師として確かな実力があり「天文博士」と言う地位も確立した主人公、土御門晴栄。

ある日、合衆国に設立された現代魔女術を教える学舎での失踪事件の解決に協力してほしいという依頼が土御門家に持ち込まれて。

 

女性のみを対象とした魔女術を教える学舎である故、派遣する人材も女性を希望してきたのは相手方としては当然の要求でしょう。

しかし土御門を代表して派遣される、女性かつ学生として振る舞える年齢として候補に挙がる少女、鴨女は実力は確かながらそれ以外がズボラな性格をしていて。

調査を行うならもっといい人材が居ますよ! と春栄を女装させて送り込むことを提案してきて……なんか通ったらしいですね。

表紙にいる、似た顔の男女は二卵性双生児とかではなくノーマル晴栄と女装バージョンだったわけです。

 

早々に一人に正体がバレてしまうトラブルもありましたが、協力者0よりは状況マシになるでしょうし、結果オーライなのでは。

あとは異国の術士として因縁を付けられて、決闘することになったりと色々目立つ羽目になったりもしていますが。

しっかり状況を見据えて、黒幕に迫ったのはお見事でした。後手に回ったり、思い悩んで足踏みしたりするシーンもありましたけど、有名な術への対策を練った上で学園に入り込んでいたり、術の効きが悪かったらすぐに切り替えが出来たり、戦闘面では本当に優秀なので、総じて頼れる主人公、って感じでしたね。

まだまだ成長の余地は残されてますし、今後に期待できそうです。1巻で、当初の目的だった事件は解決したものの、それで好感をもたれて通学――つまり、女装継続が決定したのはご愁傷様というか。応援してるよ! 

精霊幻想記22 純白の方程式

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(そう、よね。今までの私だったら、きっと貴方を頼っていたはず。けど、もうそれじゃ駄目なのよ。いつまでもリオや貴方に容易に頼って、守ってもらってばかりの私ではいられない。今後は私だって頼もしい戦力になるんだってところ、見せたいの。だから……、今回は私を信じて、一人で行かせてくれないかな?)

 

超越者になってしまい、神の敷いたルールに縛られことになってしまったリオ。

皆の記憶から消えてしまっても。彼女達を守るために力を振るう事に制限が掛かったとしても。守りに行けるリオが本当に格好いいですね。

ソラちゃんと早期に会うことができて、誓約を誤魔化す仮面を借りられたのは本当に大きい。

……暗躍しているレイスがそれらの事情を察して、リオの行動を縛ろう目論んでるのは頭が痛い問題ですが。

 

朗報なのが、セリアが記憶を取り戻してくれた事。

これも七賢人のリーナの遺産であるようですけど、それによってセリアは並列思考と思考加速という賢人の眷属がもつ特殊な能力を扱えるようになって。

ここだけ見るとセリアがリーナの眷属として世界に登録されたのか、って感じがしますけど……その割に、セリアの記憶が他の人々から消えていく気配がないので、リーナの仕込みな感じがしますねぇ。

 

直接の眷属ではなくて、眷属の末裔っぽいあたりが鍵なんだろうか。術式で誤魔化してるんだったらそれこそ竜王の方にテコ入れしてほしかったものですけども。

でも、これまで頼っていたリオとアイシアとの交流が難しくなってしまった状態だからこそ、セリアの活躍が光っていたので演出的にはとても美味しい。

しかしリーナ、セリアに中途半端に託した一方で、自身の転生体である美春の方にも不穏な言葉残していったり、何企んでるんだか。一応味方陣営のハズだけど、微妙に信じ切れない感が強い。

 

あと、今回注目したいのはレイジという、敵に回りその能力を存分に振るう勇者が現れた事で、ガルアーク国王たちが沙月たち味方陣営の勇者の力量を測ろうと決めたことでしょうか。

平和な時代であれば象徴としてあってくれれば良かったけど、いざという時に全く対処できませんなんて言えないから、同格の味方陣営に頼るのは正しいですよねぇ。

フランソワが結構胸の内を明かしてくれたのと、その辺りを察して適度な距離を保っていた沙月との関係が結構好きですね。勇者と国の関係で、一番理想的なのはガルアークだろうなぁ。

 

沙月は現状を加味してそれを受諾。レイジに敗れたサカタヒロアキもまた頷いて、エリカの後任になってしまった雅人も覚悟を決めていましたが……タカヒサだけはまーたごちゃごちゃ言ってるのがなぁ。

リオの記憶が失われたことで、千堂兄妹は一回自分達を縛っていた悪感情をリセットして自分の行いを振り返ることが出来たようで。

亜紀の方はしっかり前進してくれた感じがありますけど、タカヒサの方は足踏みどころか後退してる疑惑すらあって、また厄介な事起こしそうだなぁと思いました。やだなぁ、見えてる爆弾って。

今のタカヒサに比べると、敗北から成長したサカタヒロアキの方がマシに思えて、いよいよタカヒサの地位が危ない。危なくなかった時期がないか。



ドラマCD音源付限定の電子書籍版は、販売が22年10月末までなのでご注意を(閲覧期限なし)。

魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?15

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「俺がこの世で一番許せんのは、嫁とのデートが邪魔されることだ」

 

シアカーンとの戦を終え、今度こそ嫁の誕生日を祝うための準備を整えようとするザガン。

相変わらず愛してますねぇ……。まぁ、そうやって嫁の為の仕込みを行いつつ、事後処理もしっかりと行っていたようではありますが。

奮闘した配下に休暇を出したり、表向き死んだことにしていたラーファエルの偽装が露わになったから一時的に身を隠す必要が生じたり、などなど色々と事情が重なって手が足りくて終わってない部分もあるようで。

 

そんなタイミングで元魔王のアンドレアルフスが乗り込んできて。

彼が面倒を見ることになったネフェリム達を住まわせる街を作り上げるところまではやったそうです。ただ、希少種の集まりでもあるネフェリムを守るのに、現役の魔王の後ろ盾が欲しいとザガンに話を持ってきて。

ただ敵対したネフェリムを蹂躙したのもザガンなわけで、生き残った彼らの心情的にもザガンが庇護するのは悪手。

 

そこで候補に挙がったのが、戦場で力を示し守るために戦った賢竜オロバスの娘であるフォルで。対処できる人材が出てくるあたり、ザガン陣営本当に層が厚い。

また、魔術師と教会の間の確執についてもシアカーンの記憶を見たゴメリが放っておけないと言い出して。それに関しても手を打つことになっていましたが……。

良い神輿になりそうなのは確かですね。どっちも鈍いところあるから、こうやって背中押さないといつまで立っても一線超えられないだろうし。

……まぁそれは嫁と公言して、イチャついてるネフィと未だに「夫婦」ではなく「恋人」にとどまってるザガンにも返ってくるんですが。まぁ、ザガン達はこれでもスローペースに進んでるから……。

 

魔王が大分入れ替わりましたけど、今何人明らかになってるんでしたっけね。

主人公陣営にザガン、ネフィ、フォル、シャックス。記憶喪失のフルカスも保護してる。

復活したマルコシアスと、彼の呼びかけに応えた魔王たちがグラシャラボラス、アスモデウス、エリゴル。

一時的にザガンに手を貸してるけど、多分マルコシアス寄りなのがナベリウスか。

こうしてみると13人中10人までは出てきたのか。……誰か漏れてたらすみません。

どんな魔王がいるのか気になるので、シリーズ中に出て来てくれると嬉しいんですがどうなりますかねー。

 

今はまだザガンと敵対する気はないとエルゴルは言っていましたが、それはつまり準備が整ったら敵対するつもりってことですよね……。

なにか企んでいるようですし、ザガン達がそれにどう対応していくのかも気になるところです。続きが楽しみ。

インフィニット・デンドログラム18.King of Crime

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「仮初の命ですが、殺し合いましょう。――最後まで」

(中略)

「――殺し合った程度で俺を理解できると思うなよ?」

 

『犯罪王』のサブタイトル通り、レイの兄であるシュウと因縁のあるゼクスのエピソードが多く盛り込まれた巻でした。

神話級に近い古代伝説級のUBMを撃退したことなんかもあったようですし。そんな2人が特に激しくぶつかった過去の一幕は、熱かった。

お互い妥協せず代償を支払いつつ切り札を切って。でも、その為にできなくなってしまった事もある、と。中々重い。

 

現在、監獄に居るゼクスは脱獄を企てているし。

王国もまたしても戦争が近い中で、シュウは弟の設立したクランに所属するなど、これまでと違った環境が作られつつある状況。

もし2人がまたぶつかり合うとしても、その決着は違う形になりそうだなぁとは思いました。

 

レイは自身の装備を更新しつつ、クエストで得た報酬の枠をクランメンバーに還元して底上げを図るなどして、着実にクランの地力を伸ばしてる感じはします。

今回得たアクセサリで、代償を軽くしながらガルドランダを呼べるようになったりだとか、秘密が多そうな斧をゲットしたり、結構いい運を引き当ててる感じがしますね。

自分が『悪運寄り』という自覚があるレイがちょっと戸惑ってましたが、ネメシスがこれらの幸運は今までの積み重ねがあってこそだ、と励ましてたのは理想的なマスターとメイデンの関係のように思えて良かったですね。

最低ランクの冒険者、勇者少女を育てる~俺って数合わせのおっさんじゃなかったか~

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「バカ言うなよ。俺みたいな三級にできるんだ、誰だってできるさ。できないなら、そいつらは努力が足りてないだけだ。必死になって鍛えれば、誰だって俺くらいにはできる」

 

BOOK☆WALKER読み放題にて読了。
ダンジョンと言う異質な存在が出現するようになってしまった地球が舞台。

それに対抗するかのように魔法を扱える『覚醒者』が現れ始め、国は彼らをまとめあげ冒険者と呼称、ダンジョン攻略を行うことに。

ゲートをくぐり、ダンジョンの奥にある核を砕けばそのダンジョンは消滅するが、ダンジョン数に比べて冒険者の数は足りず……最低でも五年は国から課されるノルマをこなさいといけないとか、課題は多そう。

一歩間違うと死ぬ可能性もある稼業の為、金払いが良かったり各種サービスで優遇されるとかの特権はあるそうですけどね。

 

そして、覚醒者にも生まれつきかそうでないかで区分が分かれ、後天的に覚醒したものは基本的に先天的な覚醒者と比べて弱い。

主人公はそんな後天的覚醒者の一人で、等級で言えば一番下の三級冒険者。三十前後で覚醒してしまったため義務である五年間を、同じ境遇の仲間と一緒に乗り越えようと戦い続けていた。

覚醒時期の違いから「五年の義務」の終了時期にも差はあって、残すところ主人公のみとなったところで、転機を迎えることに。

 

情勢的に冒険者を育てる学校も設立されており、課題でダンジョンに潜る子たちもいるようですが。

そんなパーティーの一つが体調不良で人員が足りず、受付で揉めているのを目撃。放っておくとトラブルに遭遇しかねないのを、放置は出来ないと協力する辺りは人が良いですねぇ。

 

くたびれたおっさんパーティーより、若くて才能ある彼女達と一緒にいる方が生存確率は上がるだろうと、主人公が所属していたチームのリーダーが、「こいつを助っ人に出すから、五年の義務終わるまで雇ってよ」と仲間を売る一幕もありましたが。

それを飲んだ彼女達は、かなり良い選択をしたと思います。主人公は確かに等級は低いですけど、迷宮で多くのトラブルに遭遇しつつ生還した実績を持つ、知る人ぞ知る腕利きだった。

 

「人型の魔物も呼吸はしてるから、水で喉を塞げば終わり。大量の水なんて出せなくても問題ない」とか。他のパーティーと戦う時、卑屈に振る舞い油断を誘うとか。

能力の上限が低い分、工夫を凝らして戦い抜いてる彼が嫌いじゃないです。

華々しい勝利ではなく、非難されるとしても勝つ。想定外に出くわしたら逃げる。そんなことを教える先達ではありますが、冒険者数が足りてない現状には即してるんじゃないかな……。無謀な挑戦して人が減っていったら、ただでさえ足りない冒険者が減ってしまうでしょうし。

自分に出来ることをやり続けた結果、少女達からも慕われ評価されて、パーティー離脱申請却下されそうなのは、ご愁傷様というか……。実績がある分、普通に五年の任期終わっても、別件でなにがしかの仕事振られた気はしますけどね。

精霊幻想記21 竜の眷属

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「ありがとう。けど、ここで動かなかったら、俺は一生後悔する。それは確かなんだ。だから、行きたい。いや、行くよ」

 

超越者となったことで、皆の記憶から失われたリオ。

家族を殺され、ようやく復讐を果たした彼に幸せな未来が待っていてほしかったのですが。まだ運命は彼に戦えと言うらしい。

20巻でエリカに宿った何かがリオを「竜の王」と呼んだこととか、気になる情報が多かったですけど。

 

アイシアが「能力行使すると忘れられてしまう」事を自覚していたように、彼女がある程度の情報を思い出してくれたのは、本当に助かりましたねー。

と言う事で、メタ的なこと言うとこれまでまかれていた伏線関係を回収する説明エピソードが多めになってました。

アイシアの持っている記憶も完璧ではなかったので、それを補う新キャラの登場とかもありました。それで、過去何があったのかと言うのは結構判明したように思いますが。

 

……だいたい六賢神のせいじゃないか!! なんてろくでもない……。

神魔大戦の起きた経緯、勇者という存在の秘密とかが分かったのは嬉しいですけど。こういう設定開示エピソード大好きなので。

リーナという忘れられた賢神の一人が色々と策を練って、リオ達の状況を作ったようですけど。彼女の能力も万全ではないというか、過去においてもかなり失敗してる感はありましたよね……。

 

六賢神が行った神魔大戦のきっかけとなった実験を止められてないし、その後の対応に関しても後手に回ったし。16ってことを加味しても、「千年後の彼と貴方にすべてを託すことになってしまう」じゃないのよ……と言いたくなってはしまうなぁ。

でも、彼女の残していた縁がきっかけで、忘れ去られたリオを繋ぎ止める存在もまた明らかになったりするわけで、うーん評価が難しいなリーナ。

 

そしてこれらの情報を踏まえて考えると、レイスの正体って神魔戦争の魔物側の存在でほぼ確定でしょうかねぇ。超越者の存在や縛り、かつての大戦の事について詳しいのとかもそれで説明つきそうですし。

徒に能力を行使すると、忘却が加速するっていう制限が加わってしまったリオが、彼を忘れ去った仲間を守りに来るのか試したり、打つ手がいやらしすぎるのでその内痛い目見て欲しいものですが、さて。

 

あとは、聖女エリカもあれだけの能力を行使したことによって超越者認定されて忘却の対象になっていたのは……うん、彼女にとっては幸いなことでしょう。この世界が大嫌いだった彼女が、本当の意味で解放されたように感じた。

でも、世界が「勇者が1枠消えたなら、新しい勇者呼ばないとね!」とか速攻で言ってくるのは予想外。それに選ばれてしまったのがまた今後に響きそうというか。

 

……でもこれで、皆がリオの事を思い出せたとして。リオに好意的な勇者が沙月、ルイに加えて3人になりそうなのはまだマシですか。

残りは勘違い勇者ヒロアキと、レイスの首輪付きのレンジ。それに美春に執着して、一度失敗したタカヒサだからな……。

というか、最後タカヒサはどの面下げて登場してるんですか。リオにボコられて引きこもってたんだから、そりゃ彼を忘れたら動き出すよね……巻末の22巻予告見たんですが、もう一回と言わず何回か怒られろ。

 

魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?14

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「自分は貴様ら市民を守るために賃金と地位を与えられている。好かれぬからといって守らぬのでは道理に合わぬであろう。それが菓子ひとつ足りないという、取るに足らんことでもだ」

 

シアカーン戦後に開かれたザガンの誕生会。

王として陣容を整えていたザガンに加え、ネフィにフォル、シャックスまでもが新たな魔王になったというのは凄まじいですよね。記憶を失っているとはいえフルカスも居ますし、魔王5人が一つの派閥に与してるのって中々に珍しい光景なのでは。

バルバロスやキメリエスといった魔王候補も多いですし、次の魔王もまたここから排出されても驚かないぞ。

 

14巻は短編集ですね。誕生会の様子を間に挟みつつ時系列の違う、いくつかの恋の話を盛り込んでいていつも以上に甘い仕上がりになっています。

例えば「幽霊屋敷のドッペルゲンガー」。本編10巻直後のエピソードで、アリステラ戦後に不調をきたしたバルバロスの研究室で起きた、不思議な出来事。

……バルバロスがポンコツに弱い原因を見た。あれだけ罠張られてるのに懲りずにザガンのところから本盗み出してる辺り、腕はいいんですよね本当に。

 

それ以外にも、魔王となったシャックスが今までなかった2つ名を定めるシーンとか格好いい場面もあるんですよね。

あと、黒花相手にしっかりと関係を詰めたのも偉い。明言されてないのでは……? と疑問を抱いた瞬間を多くに見られて、ようやくともいえますが。そんな2人の様子を描いた「黒猫カプリチオ」は糖度高くて良かった。

 

ラーファエルが黒花を養女として迎えた原因が分かる「私が黒猫を娘にした理由」も、他の短編とはまた味わいが違っていて良かったですねぇ。

昔から不器用だったんだなぁ……というのは、本編初登場時から分かり切っていたことですが。所々で笑いを挟みつつも、切ない気持ちになれるのはラーファエルならでは、かな。

 

最後にザガンとネフィのデート回「魔王の休日」があるのも、いいオチでした。

隙を見つけてバルバロスが嫌な予感を感じで逃げるシーンは正直愉快だったし、その後シャスティル相手に失言してたのもなお笑えた。

ネフィ関連すると箍外れるからなぁ、ザガン。ネフィもか。お互い大事にし合ってるのが伝わって来て尊いってこんな感じかなぁとか思います。

インフィニット・デンドログラム17 白猫クレイドル

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「アイツは俺のファンで、俺と一対一で戦いたいと言ってくれている」

(略)

「その気持ちに応えなきゃ後味が悪いさ」

 

全編書き下ろしとなるエピソード。

運営主催のマスターのみが参加する、特別なフィールドでのイベントが行われることに。それの参加チケットをゲットしたレイは、ジュリエットやチェルシー、マックスなんかと共にイベントに参戦。

レイのリアルフレンドでメインの活動国が天地だったため、ゲーム内で接点が無かった夏目もチケットを入手していたとかで、協力してイベントに参加してました。

 

こういうのを見ると、デンドロがゲーム的にちゃんと運用されてるんだなぁと思います。

世界派と遊戯派とかのスタンスが分かれるくらいにはリアル……というか。運営AIたちの行動とかを見るに、絶対ただのゲームじゃないんですが。

国を移動するには自分で動くしかないデンドロ世界で、こうやって一同に介して遊んでるのは中々新鮮でしたねぇ。

 

……まぁ肝心のイベントがモンスターか他の参加プレイヤーからアイテムを奪って、パスワードを入力するって言うPvP要素も盛り込んだやつで。

エンブリオの進化を促したい運営側が、起爆剤として超級も紛れ込ませてたりしてはいましたが。ティアンの命が掛かってないので、こちらとしてもある程度安心して読めましたねぇ。

 

デンドロが相性ゲー極まってるな……という想いも強くしましたが。HPお化けのジャミ―をどうやって倒すのか、とか。夏目――キャラクターネーム:アルト――の切り札の入手方法だとか。

これまでのレイの戦闘に感銘を受けた天地の修羅勢とバトる羽目になってたのは、安心安定の主人公って感じでしたけど。

 

本当に彼の戦いを知っていたから、的確に地雷踏み抜いて来たのは凄い。嫌われるかもと思いつつも、理想の戦いのために願掛けをしてくる辺り、修羅だったなぁ……。

実際に勝利してたら有言実行してただろうとも思いますが、重兵衛のこと嫌いに慣れませんな。むしろ割と好き。

最強魔法師の隠遁計画3

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「そうか……なら一つだけ覚えておけ。敵が生きているうちは、何も守り切ったことにならない。手を汚さずに大事なものを守れるなんて、甘い考えは捨てろ。それが少しでも残っているなら、お前が持つその刀の切っ先は、いつか仲間か……さもなくば自分自身に向けられることになるぞ」

 

危険な研究者グドマ。

彼は人体実験を行い、それによって意志を奪った人間を兵器として運用していた。

それが学園への襲撃を行ってきて、多少なり油断していたとはいえシングル魔法師がいるエリアから逃げおおせる辺りは、スペック高いんですよね。

2度目の襲撃では禁忌とされる技術まで駆使した上で、囮としてアリスを攫うなんて行動までやってのけてますし。敵としては、厄介な部類でしたね。

 

かつて研究対象とされていた時に、アリスが親しくしていた少女メリッサ。

2巻の後書きによれば、書籍版で加筆されたキャラのようですが。久しぶりに再会した少女に声を掛けられて、会話した後に攫われて。

その後助けに来たテスフィアとアリス達が、メリッサと対峙するっていうのも王道なだけに良い展開だったと思います。

 

先手を打たれまくった後、作戦を前倒しにして敵地に潜入して。

調子に乗った研究者をうまくあしらってくれたかな。予想以上に多かった敵の兵隊を削るために、アルスの切り札っぽいものを発動してましたが。……さらっと書かれてましたけど、あれ大分厄ネタでは? 

ひと段落した後に縁談を持ち掛けられてましたけど、それを秘匿された情報を盾に保留してましたが、アレが関わってそうではある。

グドマを確保して、その研究も含めて殲滅にはほぼ成功してましたが。彼に援助していた黒幕に関しては手掛かりが薄い状態ってのが、今後面倒なことになりそうです。

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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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