気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

★2.5

蒼き鋼のアルペジオ29

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「そういう時代が来る事を考えているのかな 千早群像は……」

 

162166話を収録。

相変わらずあっちこっちで状況が動いていくので亀の歩み。

日本に協力するメンタルモデルたち。霧のスペックは相当なものですが……それを受け取る日本の生産力は、一度壊滅的な状況に陥ったために厳しいものがあって。

求めるラインに到達するには45年はかかるだろう、という話。

昨今の情勢を思うと45年はあまりにも遠い、というか。状況が二転三転はしそう。

資源が得られることになったのは日本で暮らす人々からすればありがたいことですけどね……。

 

千早群像たちが囮となり、本命の白鯨のメンバーはアメリカに到着できたわけですが。

霧から提供された技術を使っている日本は、霧と通じているのではないかと疑う勢力が出始めている、と。

それを忠告してくれる、良心的な軍人もいたのは救いですが……。

トップである大統領が一度死んだ後に蘇った、ヴァーディクトによって復活した転生体で。その転生者の集まりが「騎士団」と呼ばれているらしいですが。

転移で自由に動き回れるとかいう権能まで持っているとかで、人類と霧の対立と謎めいた存在であるヴァーディクトの動きだけでも大変なのに、各々目的のある「騎士団」が試しに来るとか、厄介すぎるな……。

転生令嬢アリステリアは今度こそ自立して楽しく生きる~街に出てこっそり知識供与を始めました~1

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「私は、私の領民が幸福になれる方法を見つけました。今の私の手の中には、それを成す機会と、それを可能にできる力があります。ならば最大限手を伸ばす事こそが、領主の義務であり誇りであると私は自負しています」

 

彼氏の浮気現場に鉢合わせ傷心の中死んだ主人公は、異世界転生した。

自分を捨てた男の吐き捨てた「自分が無い女はつまらない」という言葉に反発するかのように、次のせいでは自立しようと奮起して。

ヴァンフォート公爵家の令嬢アリステリアとして生まれた彼女は、王太子エストエッジの婚約者として王妃教育をはじめ、王太子の業務の手伝いなんかもしていた。

 

……しかし、今度は自立しすぎたというか。アリステリアがその有能さを周囲に示し過ぎたせいで、王太子は頑張っても追いつけず……自分よりもアリステリアの方が評価されていると、歪んだ感情を持つことになって。

そんな苛立った心を癒してくれる女性を見つけたことで、エストエッジはアリステリアとの婚約を公衆の面前で破棄することに。

 

アリステリアは、王家が公爵家に妙なレッテルを張って婚約破棄してきたという事実を武器に、交渉をして国の直轄地であるクレーゼン領の一代限りの統治権を得て、領主として赴任することに。

国の直轄地なので代官が統治しており、おおむね平穏を維持していた。

しかしその平穏が「停滞」に切り替わり衰退する分岐点にいる状態でもあって……。

アリステリアは、代官の有能さを認めこれまで通りの統治を認めつつ、問題点を指摘して改善のために動き出せるように状況を整えることに。

 

その上で、優秀な領主であった祖父の「市井の生活と言うものを肌で感じるべきだ」という教えを実践するために、彼女は自分の素性を隠して市内で暮らすことに。

そこでクレーゼンに住む女性たちのお悩み相談みたいな事をはじめて……代官による組織の改革と、アリステリアが市井で行う足元からの改革があって、上手くハマればより強い領地になりそうですねぇ。

まぁ、始まりは奥様方の井戸端会議で。アリステリアの家でそれを開催する代わりに、アリステリアの持っている知識を奥様方に与えるという形で。

王妃教育を受けていたのもあるし、転生者という事もあって簿記の知識とかもあるしで、かなり効果的な教えを奥様達は教授することになって……クレーゼン単体で見れば、良い流れが生じてて良かったですね。

 

王太子の方は、これまであったアリステリアのサポートがなくなって。

仕事量は変わっていないのに執務が停滞しつづけて。真実の愛として迎えた恋人に、書類の整理だけでも手伝ってもらおうとしたら、彼女も執務に関しての適性はなく……最終的には執務室にすら来なくなった。

有能な婚約者を追い出したくせに、仕事を放り出しては「これまで創り上げて来た王太子像が崩れる」とか考えているのが片腹痛いというか、小物すぎるというか。

……アリステリアを呼び戻して仕事だけ手伝わせてやろう、とか考えて。彼女を呼び戻すために、またしても冤罪を作り上げてるのが本当にもう……この国は駄目ですね。

一応、王太子としての立場はあるので、アリステリアの現状を調べて「それを違法とする」法を敷いて、「お前を糾弾する!」と呼びつけてるので、形式だけは整えようとしてますけど。こんなのが王太子だと、この国の未来は暗いな……。



勇者の当て馬でしかない悪役貴族に転生した俺~勇者では推しヒロインを不幸にしかできないので、俺が彼女を幸せにするためにゲーム知識と過剰な努力でシナリオをぶっ壊します~

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「改めて約束する。セルヴィアの事は、何があっても絶対に俺が守る。俺はセルヴィアを幸せにしたいんだ」

 

とあるゲームにおいて、幼馴染で婚約者だったカインの歪んだ愛情によって苦しめられていたセルヴィア。彼女は勇者によって救われ、幸せになるはずだった。

しかし、勇者はセルヴィア以外にも多くのヒロインを助け、ハーレムを築くことになり……ヒロインごとの扱いにも差が生じて行った。

セルヴィアが最推しである主人公からすると、死んでからもカインの墓参りをしたりするくらい心が捕らわれている彼女は、まったく幸せになれてない。ハッピーエンドが用意されていない。

 

周回要素で隠しシナリオとかもなく……アプデに合わせてやった10周目のプレイで、いい加減このゲームから離れようかと思っていた。

しかし、主人公は気が付いたらセルヴィアの幼馴染であるカインに転生していた。

元々この2人は婚約者だったものの、セルヴィアが「世界樹の聖女」と呼ばれる神託が下り婚約が破談。セルヴィアが王子に取られてしまったものの、セルヴィアは聖女として期待される能力を発揮できず、王子に捨てられてカインの下に出戻ることに。

王子、世界樹の聖女だと偽ったセルヴィアを苛め抜け! とカインに命令するのは……まぁ小物過ぎるけど良しとするにしても。王家の封蝋を押した書状とか言う、弱みになり得る証拠品を残しているのはやり口が雑なのでは……?

 

ゲーム本編ではカインもその父もこの指示に従ってセルヴィアを苛め抜いたみたいですけど。

世界樹の聖女の力を戦争に生かして他国を蹂躙しようとか、平民は虫のように湧いて出る存在だから数千程度死んでも問題ないとか言っちゃう暗愚に従ったら、そりゃ破滅するよ。

カインの父、帝国との国境を任された辺境伯みたいですが……王家に絶対的な忠誠を誓ってなくて、帝国側の貴族とも交流を持ち危険がせまったら願ることも視野に入れたコウモリみたいですけど、どうして素直に従ったのやら。

 

さて。転生したカインは、セルヴィアを大事にしつつ、表向きはカイン王子の支持に従っているようなそぶりを見せて。

セルヴィアを鎖に繋いで「それっぽい写真」を取って誤魔化してましたが……なんかセルヴィア、兄が大好きすぎてそういうプレイとして受け入れ始めてるの、業が深い……。

自分達の関係を認めさせるために、カインは自らを鍛えることにして。ゲーム知識を生かしてスキルを獲得したりしてますが……現実となったことで上手くいかないこともありつつ、それでも前に進んでいるのはまぁ良し。

主人公がゲームを10周した上で転生したからか、ゲーム主人公である勇者くんが周回特典としてステータスを引き継ぎ状態でスタートして、いきなりトンデモない力を得たことで傲慢になりまくっている風なのがなぁ……悪い方向に転がりそうな予感しかしなくて不穏。

隻眼・隻腕・隻脚の魔術師―森の小屋に子も言っていたら早2000年。気づけば魔人と呼ばれていた。僕はだただ魔術の探求をしたいだけなのに―

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「これが魔術だよ。願いや欲望を自然界の摂理から脱したところまで昇華させ、世界に干渉する『術』を持つ者を魔術師と言うんだよ、――賢い魔法士くん?」

 

主人公のエインズは、隣国との国境に接する北の僻地にあるシルベ村の村人だった。

狩猟のため、そして村の防衛のためも込めて村の男たちは、幼少期から木刀を振って鍛錬をすることになっていた。

……しかしエインズはどうしてもその鍛錬に気乗りしなかった。

彼の興味は、辺鄙な村なため情報がまったくない魔法に注がれていた。村の女性が家事のために使っている水の生成魔法などの生活魔法に興味があって。

 

そんなある日、シルベ村を帝国の兵が蹂躙。その際にエインズは雷の攻撃魔法を見て……それに心囚われることに。それに興味関心が注がれるあまり、逃げる脚も止まってしまい、家の瓦礫に埋まり……近隣にあるタス村からやってきた人々に助けられたとき、エインズは隻腕・隻脚になった上、片目も見えなくなってしまっていた。

北方の実り薄い土地で、まともに働けない食い扶持が一人増えることに、タス村の住人の中にも思う所ある人はいたみたいですけど。エインズを保護した家の娘が、気を配ってくれて。

 

そんな中でも、攻撃魔法を実際に見たことで魔法の研究を始めるあたりエインズは、生粋の魔法バカですよねぇ……。

ある日、危険な魔獣も出る森に踏み込んだ村の子供達を助けるためにエインズは森に入り……魔法の研鑽結果をお披露目し、子供達を救うことに。

それによって村に受け入れられることになったものの、エインズは魔法への探求心を抑えられず。森の小屋に拠点を移しつつ、時に外に出てその成果をタス村の人々に還元するといった生活を続けていたみたいです。

 

そうやって生活を続けつつ研究に没頭していたある時、行き詰りを感じたエインズが外に出てみたら、実に2000年もの時間が経っていて。

……いくら没頭するっていったって限度があるだろ! とか。魔法バカではあるけれど、タス村の人に良くしてもらってる分を返せない罪悪感を抱く程度の付き合いはあったのに、その恩人たちの死を把握できてないのとか。いろいろと欠けすぎなんですよねぇ、エインズ。

ただ魔法に関する成果だけは本物で……アインズが村の役に立てばと残したメモが製本されて『原典』として魔法使いたちに崇められる貴重品になっていたり。その成果から、タス村のあった場所には自治都市が築き上げられるほどになっていたりするんですよねぇ。

 

エインズからすれば『魔法』と『魔術』には明確な違いがあり……世界のルールを超えられる「魔術」にエインズは傾倒してるみたいなんですよねぇ。

魔法は使えないけど魔術を使える才能のある少年には手ほどきをしたけど、騎士相手に優位を取れる魔法使いにはさっぱり興味がなさそうでしたし。

サブタイトルにある通り魔神と呼ばれてもおかしくない領域に踏み込んではいるみたいですが……エインズの認識がまだまだそこに及んでいなくて、常識破壊される周囲の人々が大変そうだなぁって思いました。


拾われ弟子と美麗魔術師~ものぐさ師匠の靴下探しは今日も大変です~

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「ああ……せっかく人が弟子の我儘を聞いて穏便に、店主は被害者で、加害者の小娘は恥を隠したい家族の手で修道院行き、そのまま幽閉で済ませてやろうと思ったのに。お前は恩人になるはずだったアリアを害した」

 

訳ありの魔術師、ルーカス・ベイリー。

彼はオネェ口調で喋り、その日の気分で香水を決めるから準備に時間がかかるのよ~とか言う、美しさにこだわりを持つ人物だった。

死の森と呼ばれる場所に結界を張り、古城に住んでいる彼はある日その森の中で少女を拾い……育てることに。

ルーカスの弟子として育てられたアリアは、ルーカスを師匠として慕いつつも、彼の生活がだらしなくて汚部屋量産しまくっていることには苦言を呈しまくることに。

 

自分の美しさにこだわりある癖に、部屋の綺麗さにはこだわらないルーカスよ……。

とは言え、彼が色々と手を打ってくれたからアリアは助かって、健全に育ってるのも間違いはないんですよねぇ。

ルーカスの知人から聞いた話によれば、アリアは誰かに掛けられる呪いを吸い寄せる「呪い避け」の禁術の影響を受けていることで、発見時ボロボロだったって言う話ですし、アリアの過去も掘り下げていくと厄介な事情出てきそうではありますねぇ。

 

ルーカスはルーカスで秘密抱え込んでそうですしね。

それ抜きにしても実力はあるし、その美貌に惚れ込んだ女性から付きまとわれたりで別の厄介事引き寄せるタイプでもあるみたいですけど。

騒がし弟子と、素直じゃない師匠のやりとりは、2人ともなんだかんだ大事に想っているけどそれを伝えきれてないというか。すれ違いも時折起きるんですよねぇ。

それぞれの事情があるとは思いますが、深掘りはまだされてない謎の多い引きとなりましたね。

糸を紡ぐ転生者

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「はい、もし探しているのなら、元気で生きていることを知らせてあげたいと思いまして。もちろん捨てられていた可能性の方が高いのですが」

 

主人公のエディは、森で拾われた孤児。

七歳になった時に行われる祝福の儀で、女神様からステータスを授かることになっている世界で、彼が得たのは「糸」と呼ばれるこれまでの記録にないスキルだった。

孤児院の仲間たちとパーティーを組んで冒険者になろうとしていたところだったみたいですけど……「糸」というスキルは生産向きだろう、とパーティーから追放されることに。

 

パーティーメンバーの少女メアリーに好かれているエディの事に嫉妬していたアレン君が、町長の息子のユルゲンと組んで追放劇を実行に移したみたいですが。

息子がドラ息子なだけならまだマシでしたけど、町長も冒険者ギルドのギルドマスターもユルゲン側で、職権乱用してエディの登録妨害したりしてるの最悪~。

……まぁ小物過ぎて、かなり早い段階で悪事がバレて捕まる事態に陥ってたんですけど……。

 

ちなみにエディ君、ステータスを授かる時に記憶を取り戻した転生者で。

さらにはステータスを見られるようになったことで判明したんですが、彼はヴァルハーレン大公家に連なる身であることも判明。

エディを追放したパーティーメンバーとは違い、どこまでも味方してくれたハーフエルフのシスター・マルグリットからいろいろと教わり、スキルの使い方を研究した上で、エディは大公領を目指すことに。

「糸」のスキル、魔力が必要とは言え一度材料や糸そのものを取り込んでしまえば、触れることで自由に操れるし、再生産も出来るというかなり汎用性高いスキルだったのは良いですよね。

……まぁ職人のレギンさんが過去に知り合った人物が、「金属を取り込んで合金化する」という、エディと似たタイプのスキルを持っていたみたいですけど、魔力量が少なく使いこなせず絶望して死んだという話もありましたし、有用だけどエディ程使いこなせる人が居なかったんだろうなぁ……と言う部分はありました。

 

貴重な糸や布を生産できることもあって、商人ギルドに登録したことで身分証を得て動けるようになったのは良かったですけど。

エディ君に良くしてくれる人も多いんですけど、彼をないがしろにする愚か者もそれなりに居て。馬鹿の方がとことん馬鹿なんだよなぁ……そういうのを引き当てるエディ君はお疲れ様です。

 

ちなみにヴァルハーレン大公家の方々、幼少期に襲撃にあって見失ってしまったエディ君の事探し回ってはいたようですけど。

彼らの領地は王国の北方にあり……彼が過ごしたモトリーク辺境伯領の町コラビは王国の南方にある場所で。巻頭にある地図で見ると王国と同じくらい広い「魔の森」と呼ばれる魔獣たちの領域で接しているみたいですけど。赤子が通り抜けていると考えるのは流石に荒唐無稽すぎる。

その上、ある程度秘匿した上で、見逃しが無いように各領地を探し回っていたとするならば、そりゃ見つかりませんなぁ……。

 


色欲無双 変態スキルが暴走してヤリサーから追放された俺は、はからずも淫靡な力で最強になる

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「あたしは自分の仕事に誇りを持ってるし、こうして冒険するときは命を懸ける覚悟だ! いかがわしい目に遭うくらいで尻込みしてたまるか!」

 

冒険者の槍使いが集まったパーティー「ヤリサー」に所属していた主人公のリック。

しかし、彼が『色欲』というスキルを発現してしまったことで、彼はパーティーから離脱することに。リーダーが「このままだとウチから出て行ってもらうことになる」と追放の択から入ったとはいえ、ちゃんとリックと話そうとしていたのはまだ良かったか。

リック自身も状況が悪化しているのは自覚していたし、解決手段も提示できなかったため離脱を受け入れることになって。

リーダーに迷惑を掛けたくないという気持ちが湧く、良いパーティーだったんだなぁとは思いました。

 

『色欲』の効果は、異性からの好感度が上昇し、リックに執着するようになる。リックは異性と接触したり性的刺激を受けることで、自身にバフがかかるようになるというもので……。

ソロで活動することになったリックの実力は、Dランク冒険者としても平凡というか。山賊に襲われている馬車を見つけて助けに入ったものの、ノーマル状態では撃退されて。

助けに入った馬車に居た女性に頼んで下着を見せてもらうという、情けないシーンを挟んだ後は容易く撃退することに。

人間関係を悪化させたりするデメリット発揮してるとは言え、特殊なスキルな為かバフ量はかなり高いっぽいんですよね『色欲』。

 

リック、基本は好青年で『色欲』で人の感情を操っている事に思う事はあって。制御できるようになりたいとは思っているみたいなんですけど。

ソロ冒険者として無理なく活動できる範囲で動こうとしているのに、どうしてか厄介事ばかりが彼の前に現れて。

……そしてそういった事態に遭遇した時、リックは自分に出来る事をしようとするんですよね。盗賊の時しかり、基本的には助けるためにバフが必要だったから頼んでますし。

普段からそのスキルを活かしてハーレム作ろうとはしてないんですが。

そういう意味ではサブタイトルの「はからずも~最強になる」というのは間違ってはいない。『色欲』バフ強すぎて、数百年に一度あるかないかと言われる危険度高いモンスターですら打倒できてしまうので、大味に感じる部分もありますが。タイトル通りの展開を楽しめる作品です。最強に至る第一歩を踏み出したばかり、ではありますけどね。

『人斬り』少女、公爵令嬢の護衛になる

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「わたし、あなたに信じてもらうのは悪い気がしなかった。むしろ、嬉しいとさえ思った。だから、わたしのことを信じてよ。絶対に負けないからさ。前に言ったよね? たとえ世界中が敵になったとしても――わたしが必ず、あなたを守る」

 

ある人に仕えるためだけに育てられ、剣術を叩きこまれた少女シュリネ・ハザクラ。

幼少期から教え込まれた生き方に疑問を持つこともなかったし……何よりシュリネは強者との戦いを好む性格で、鍛錬が苦ではなかったのは大きい。

ただ強敵とのギリギリの命の奪い合いが唯一の楽しみである、という生き様は他者からは苛烈に見えて……『人斬り』なんて蔑称で呼ばれることもあって。

 

最後には仕える予定だった人を切り殺され、その冤罪を着せられそうになり……それまで快楽に任せて人を斬るような罪に問われるような行いはしてきてなかったシュリネは、わざわざご高説をたらしに来た敵を切り捨てて、国も捨てて気ままな一人旅に繰り出すことになったわけです。

そうやって乗り込んだ先の列車で、謎の追手に追われている少女ルーテシアと遭遇。

シュリネは無関係だったんですが、もしや自分の追手がここまで来たものかと立ち上がってしまったことで騒動に巻き込まれることに。

……巻き込まれたというか、「護衛として雇ってくれない?」と売り込みしたので、自分から突っ込んでいったんですけど。

 

ルーテシアは五大貴族ハイレンヴェルク家の若き当主。

王が跡継ぎを決められずに亡くなった場合に次代の王の選定に対して関わることのできる、五大貴族と呼ばれる名家でもあるそうで。

彼女が狙われたのは、まさにその「次代の王の選定」が行われる条件が整いそうなためで。つまりは権力争いの一環なわけですけど。

何も問題が無ければ第一王子であるアーヴァントが即位する。しかし彼には悪いうわさも付きまとっていて……。

 

五大貴族のうち2家しかアーヴァントに与していないという時点でその評価も知れる

アーヴァントが五家の一つである当主を害そうと工作を働きまくって、前当主夫妻それぞれの死にも関与していたりするとか、そりゃ王にしたくないわなぁという気持ちがある。

一方で、残り3家は第一王女を支持している立場なわけですけど。

自分の支持派閥を守ることも出来てないあたり、こっちはこっちで先行き不安ではー? みたいな気持ちが無いと言えば嘘にはなる。

 

先手を打たれてルーテシア確保された時点で、後から兵を準備したら内乱扱いになってしまうとかわからんでもありませんけど。

第一王子、五大貴族家の一つである当主を冤罪着せて処刑して、それによって血脈が断たれるハイレンヴェルク家を潰し、別の家を五大貴族家に祭り上げて自分が王になろうとしてるんですけど。

……敵対陣営で、挿げ替える準備も整っているとはいえ『五大貴族の当主』すら切り捨てようとしている王子を王にして、他の4家が自分たちが安泰だと思ってるんならそれは甘すぎない……?

そういう柵に囚われている王女様たちと違って、異邦人であるシュリネは「助けたい」という欲求に素直に従って、一敗地に塗れてもなお諦めず、王子の罠を食い破ってくれたので実に痛快でしたね。

MAIDes-メイデス- メイド、地獄の戦場に転送される。固有のゴミ収集魔法で、最弱クラスのまま人類最強に。

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「……これって、偶然じゃないの?」

(略)

「そう、動き出したのよ、オルセラの運命が。あと、人類の運命もね」

 

人類共通の敵、魔獣。

それらが跋扈する台地に各国が人員を送り戦線を維持していたものの……厳しい状況は続いており、非戦闘員から転職して戦いに送り込まれることも珍しくはない。

主人公の少女オルセラもその一人。

この世界の人々はクラスを授かりレベルアップすることで、ステータスが向上したりスキルを獲得したりできるみたいなんですが。

【メイド】クラスであるオルセラは2レベル。使える魔法は「人がいらなくなったものを呼び寄せる」……ゴミ収集の魔法しか使えない、貧弱な少女だった。

 

戦地に送られることになったけれど、そのために戦闘用クラスに転職すれば新しい魔法を得られる。

それだけがせめてもの救いだ、とオルセラは思っていたわけですが。

半年後の派遣に向けて覚悟を決めようと思っていた彼女は、先に戦地に送られる友人を見送ろうとした時に転送用の装置が発する光に近付きすぎて、意図せず戦地に送られてしまうことになって。

 

ドジな部分もあるけれど、その抜けた部分を補うツキも持ち合わせてる、というか。

危ない場面もありつつオルセラはなんとか戦場で戦う戦士と合流することが出来て、比較的安全な町に到着することにも成功。

色々と話をしている中で、オルセラの固有魔法はかなり汎用性が高いというか。相手がもう使っていない……つまり不要となったスキルをもらい受けることも可能だということが判明。

それを活用して、メイドクラスのままレベルアップをしていってドンドン戦闘能力を伸ばしているのは面白かったですね。

 

視点変更が結構多くて、オルセラがただのメイドではなくて色々な事情を背負った少女であることも描かれていました。

彼女の養母ルクトレアが未来を見るスキルを持っている上、当人の嗜好もあってかなりの権力を確保してる「強い」人物であるみたいですね。オルセラの父母の出会いにも関与しているとか。

権力を欲しているけど、それはあくまで手札の一つとして強いからであって、本当に欲しいのは自分らしくある自由なんでしょうねぇ……。オルセラの事もなんだかんだ心配してるみたいですし。

 

魔獣と言う共通の敵がいて戦線維持に各国が協力しているけれど、一枚岩ではなく……国力を削ぐ目的で暗殺者派遣してくるところもあるのは、なにしてるんだというか。

ルクトレアが見た未来の一つが、要石であるオルセラが死んだことで、人類が滅亡するまで追いやられているシーンでしたしね。

そこまで行かないにせよ、国力が強いってことは魔獣との戦いに貢献してる国だろうに、そこの足引っ張りに行ってるとか、破滅願望の持ち主ばっかなのか……? ルクトレアは突出しすぎですが、足並み揃えられる程度の参謀はいて欲しいものですが。

オルセラの運命が動き出して、どちらに転ぶかまだまだ読めない状況みたいですけど、頑張って欲しいですねー。


辺境の村の英雄、42歳にして初めて村を出る

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「……分かった。困っている人を見たら必ず助けさせてもらう」

 

グルザルム王国の辺境にあるフーロ村。

立ち入ることすら禁忌とされている魔王領付近にあるため、国の地図にも載っていないほどの田舎の村……らしいですけど。

魔王が王国に攻め込む際に、地形上必ず通る場所にあるそうで。実際、主人公が把握しているだけで4度も侵攻があったとかで。それだけの要地であるなら、むしろ国が要塞化してしかるべきなのでは……? とも思いますし、国側も把握していない村なのに、村人たちが「一応はグルザルム王国に所属している」と認識してるのなんでなんでしょうね。

 

主人公のグレアムは、そんな村で魔王軍の襲来を退け続けた英雄。

しかし42歳になるまで戦い続けた結果、片腕を失ってしまって……村の人々は英雄である彼を優遇してくれていたけれど、慣れない復興作業でミスを頻発させてしまって。

過酷な立地である村に負担を増やすことをグレアム自身が許容できず、村を出ることに。

42歳でこれから体力は落ちていくだろうし、片腕で農作業への影響が出てしまうから……と言って村を出たグレアムなんですが。

 

その腕一本で村を守り続けた英雄としての実力は、隻腕でもなお健在というか。

魔王領近辺が王国から禁域指定されてるのも、まぁちょっと納得はしちゃいそうなくらい、フーロ村出身のグレアムと、王国の一般冒険者の実力は隔絶していて……。

片腕で農作業に影響が出てしまう、とは……??? 

ソロで活動を開始して未経験という事で、同じくソロで活動している少女を受付嬢に紹介してもらうことに。ジーニアという少女は、今まで依頼達成できたことがない新人だけど、だからこそグレアムでもパーティーを組んでもらえるのでは、という話。

結果的にはグレアムは腕利きで依頼を危なげなく片せるし、余裕もあるからジーニアを指導することだってできるので、良いパーティーになってましたけども。

 

グレアム、片腕だろうとBランク冒険者容易く蹴散らせるし、一般冒険者が死を覚悟する相手でも難なく倒すし、本当に英雄に相応しい実力はあるんですが。

辺境の村にこもり続けていたから、色々と常識が足りてないんですよねぇ……。悪人に食い物にされるほど弱くないし、良い出会いにも恵まれたので、なんだかんだうまく立ち回っていきそうですけど。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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