気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

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転生陰陽師・賀茂一樹~二度と地獄はご免なので、閻魔大王の神気で無双します~5

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「荒ラ獅子魔王に限らず、陰陽師にはリスクが皆無ではありません。私は、陰陽師でございます。陰陽師を辞める気はございませんので、保険をかけておきたいのです」

(略)

「難儀なことじゃ」

 

天狗の羽団扇を作って陰陽師全体の戦力の底上げを図ったり、沙羅が得た羽団扇の持つ治癒能力によって引退していた陰陽師が戦線に復帰した。

初接触の時は撤退を余儀なくされましたけど、その後の対策と準備を怠っているわけではないんですよね。

一樹は占領地への強硬偵察任務なんかにも参加して、魔王の右腕が重症であることを看破してますし。

 

魔王は健在ですけど、羽団扇集めの時も見たように該当地域以外では普通の生活が続いているんですよね。

A級陰陽師だけではなく、普通の学生としての顔もある一樹が、分が差異を楽しむ余裕があったのは、良かったですね。

一樹の通う花咲学園で文化祭が行われることになったものの……一樹も蒼依も、そういった学校行事の知識は疎くて。

沙羅の妹である紫苑や、一樹の妹である綾華が通っている卿華女学院でも文化祭が開かれるのを知り、伝手で入場券を貰い見学に行くことに。

 

……紫苑のクラスがメイド喫茶やってて、からかいを交えて「美味しくなるおまじない」を頼んでいたのは……この2人の関係ならいいか。

そこで旧財閥三戸家の令嬢・愛奈と顔見知りになったりもしてましたが……そのお嬢様が、花咲一族の血が入っていて、犬神を継承する事でA級陰陽師になっている花咲家の当主継承戦に参加していたのはちょっと意外でしたね。

とは言えさすがに陰陽師としての鍛錬をしていた小太郎が勝ち抜くことになってましたが。……愛奈も愛奈で得るものはあったっぽいので、まぁ双方ヨシ。

 

メイド喫茶の視察に行ってきた一樹たちの報告と、伝手もあって一樹たちのクラスでもメイド喫茶をやることになってましたが。一樹がそこで、船の式神を会場に使うとかいう力技を披露し、大繁盛していたのは……良いのやら悪いのやら。

閑古鳥鳴くよりはよいですし、なんだかんだ良い思い出になりそうですけど、想定以上の修羅場経験をする羽目になってたのでそれは流石にお疲れ様です……としか。

 

そして、一樹は魔王討伐の前にもう一つ片づけておくべきことがあった。

それが昇神の道筋が見えていると言えど、未だ山姥になる可能性のある山姫である蒼依の存在で。一樹からの気の供給が絶えると、妖化してしまう。

だからそれを回避できる備えをしておきたい、と龍神から助言を貰ったり。先祖帰りしている五鬼堂家の令嬢・凪紗の助力を貰ったりして、無事にまとまったのは良かったですね。

慕っている主でもある一樹が、自らの死ぬ可能性を考慮していることに、蒼依は不満げでしたけど。とはいえ人間と妖怪で寿命の差があるうえ、一樹がA級陰陽師として危険な任務に向き合い続ける限りはいずれ対処しないといけない話でもあるわけで。

ひとまず、蒼依の問題には区切りがついたのは良かった。あくまで一歩目を踏み出しただけで、今後より高みを目指すならキリがないんでしょうけど。



転生陰陽師・賀茂一樹~二度と地獄はご免なので、閻魔大王の神気で無双します~4

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一樹が過去を公開することに、意味は無い。むしろ余計な気を使われたり、地蔵菩薩の神気を利用としようとされたりと、ろくなことにならないのが目に見えている。

故に一樹は、嘯いた。

「仏の慈悲が大きくて、助かったな」

 

A級を討伐に行ったら、そのA級を使役しているS級の魔王ともう1体のA級が現れて、撤退することになった陰陽師たち。

真のA級と呼ばれる高位陰陽師も1人が引退を余儀なくされる重体だし、1人は殉職したしで大痛手。宇賀さんの予知で、『敵の勢いを弱める』契約に留めておいて本当に良かった。

 

民間団体である陰陽師と違い、国の指揮下にある自衛隊は現状を座視するわけにもいかず。強力な現代兵器での攻撃を続けている模様。「敗走しました。打つ手有りません」と報道すると国民の士気が下がってしまうから、勇ましさを演出してると描かれていたのは……ぶっちゃけたなぁ……って感じではありましたが。

受肉している以上、当たれば聞くし肉体があることで得られる休息などの恩恵がなくなるので、完全に無意味ではない模様。物理的な攻撃だと、殺された後怨霊と化す可能性を排除できず、それに頼り切りなのも良くないみたいですけどね。

 

陰陽師協会をあげつらうような報道も一部ではみられて。協会長の向井さんは、市民からのクレームや政治家たちとの交渉で苦慮しているようです。

A級が不足している現状はよろしくない、と天狗の血を引く五鬼童家の長男に「真の天狗の羽団扇」を作って能力をブーストすることでA級に至らせる計画が実行されることに。

元々数年以内には呪力が成長してA級になるだろうと言われていたけど、現状を加味して待ってられないとなった模様。

 

一樹もその作成に協力する……ついでに、自分の事務所にいる沙羅の分の素材も要求しているの、なかなかに強かになってきましたね。

神の遣いという伝承のある霊鳥相手に交渉に行って「冤罪で地獄に落とされた」という自分の立場も活かしていましたし。そうやって得られた風切り羽で作った沙羅の羽団扇、神仏に直訴しただけあって、頼もしい性能になっていたのは良かったですね。



ダンジョンマスター班目2 普通にやっても無理そうだからカジノ作ることにした

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「ダイちゃん、私達は賭けに出るのが遅すぎたんだよ」

(略)

「ダイちゃん、やろう!」

 

1巻で、異世界に連れてこられダンジョンマスターをやる羽目になり、カジノを設置し人に危害を加えないことで特殊な立ち位置を確立したものの……既得権益であるグランドエイトに目を付けられた班目。

綱渡りな場面もありつつも賭けに勝ち、ダンジョンマスターのランキングトップに躍り出たわけですが……まだダンジョンマスターになった1年ちょっとなのもあって、地盤は全く整ってなくて。

 

元グランドエイトのうち4人が死んだとは言え、元1位のシルヴァーナとその派閥は健在だし。班目は上位8人だった元グランドエイトに対抗するために、燻っていた9位・10位の力を借りていたわけですが……ロンデミオ・ガルガンチュは班目との協力関係はもうないものとして扱っていて。

 

そんな中で班目は、下位でくすぶっているダンジョンマスターたちに「ダンジョン経営」についてのアイデアを提供することで、味方に引き込もうと考えた。

ポイントの強制取り立てによるダンジョン縮小からのリビルド。これが実際に行えるとわかったのは、割と大きそう。……いやまぁ、以前のダンジョンエイト政権下だと騙し合い上等だから、信用をもとにしたダンジョン縮小プランは運用し辛かったとは思いますし。

班目のアドバイスは的確で、それによって底上げを図るプランは効果を発揮していましたが、効果的すぎて支援プランを練ってる班目が仕事に追われる羽目になってましたし。

班目、まだまだ陣営が整っていないので手が届かないところが多すぎるんだよなぁ……と思いました。

 

最下位だったダンジョンマスター・カレンのダンジョン。

辺鄙な場所に誕生してしまい、ほとんど冒険者も来ないので攻略こそされなかったけれど、ダンジョン経営は傾いていた。そこで班目が、「辺鄙なところってことは流通にも難があるってことだから、有益なものを生み出して人が進んでくるようにしよう」とプランを立てたのは、カジノダンジョン作った彼ならではで面白かったですけど。

カレンが班目のダンジョン再生案にのるのも、一つのギャンブルではありましたけど。

 

今回はカジノダンジョンのカジノ要素より、班目のダンジョンマスターとしての要素に深掘りしていくエピソードになっていましたねぇ。

グランドエイトのダンジョンを攻略した四英雄がカジノダンジョンに乗り込んできたり。班目と因縁のある相手が勇者としてこの世界に召喚され、カジノダンジョンに攻め込んできたり。グランドエイトとしてのバチバチのほかに、カジノダンジョンそのものも安寧ではなく慌ただしかったわけですが。

最後に班目が出した告知が、実に彼らしくて笑いました。


結界師の一輪華1

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「子の頑張りが分からぬ親など捨て置きなさいませ」

「親に媚びる必要はないのですよ華様」

 

1話~6話を収録したコミック第1巻。

11ページ目から「俺の嫁になれ」で、冷や汗ダラダラになってる華が登場してちょっと笑っちゃった。

 

五つの柱石によって守られている日本。その柱石を守る術者の家系が五家と崇められている家であり……主人公の華は、五家の一つである一ノ宮に通じる分家である一瀬家の令嬢だった。

しかし双子の姉妹である華と葉月には才能の差がありすぎ……両親は才能のひかる葉月だけを可愛がり、華の方は「出涸らし」と蔑視した。

彼女の頑張りを認めてくれる使用人の紗江さんが居てくれたのは良かったですけど。

 

両親に媚びる必要はない、と言ってもらったことで「もっと自由でいたい」と強く思うようになって。

自分の創った蝶の式神であるあずはだけを理解者として、双子の葉月とも距離が出来た状態で育ち……15歳になった時に突如として、膨大な力に目覚めることに。

ただ、これまでの両親の行いが消えてなくなるわけではない、と秘匿を続ける事を誓って。

 

とは言え、力を完全に使わないと言ったわけでもなくて。

他の人にバレないように力を秘匿しつつ、人型の式神をつくったりしているし。実力を誇示しようとはしないけど、妖魔を見つけたら討伐もする。

彼女の目的である、一般には「落ちこぼれ」とみられつつも自由に生きるスタンスで日々を過ごしていたわけですが。

術者の学校なため妖魔討伐の授業なんかもあって。予想外のトラブルが起きた時に、平穏な生活を捨てることになろうとも、守るために力を使おうとしたの偉かったですね。

 

その時は一ノ宮の当主に就任した朔が居合わせたことで、事なきを得ましたが。

ある日妖魔を討伐する際に、目隠しの結界を貼り忘れてしまったことで、朔に秘めた実力がバレてしまって……。

当主交代した朔は、柱石の守護の為に力のある花嫁を迎える必要があり、その相手として華を見出したわけです。

朔が早急に伴侶を求めていた事情もあって、華に契約結婚を求めて……出された条件が魅力的だったので肯いた華は、自由に生きてますねぇ……。

若くして引退した銀河帝国元帥は辺境の星でオーヴァーロードと暮らしたい

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「全艦、戦闘機動! これより我らは正義を執行する!」

 

若くして銀河帝国の皇帝に才能を見出され、元帥として実績を挙げていたゼンジ。

しかし皇帝が崩御し……次代の皇帝は幼く、補佐につくことになった人物が彼を快く思っていなかったために、元帥の座を追われることに。

ゼンジも恩義があるのは先代皇帝だったことや、オーヴァーロード……竜と呼ばれる高次元知性態の研究をしたいという個人的欲求もあって、ことさら抵抗はしなかったようですけど。

 

権力バランス変わった直後っていうのもありますけど、退役したとはいえ今なおゼンジを慕う人は多いみたいですね。

……先代の腹心で実績ある元帥を追いやれる宰相側につく、後ろ暗いところのある人間も相応に居るみたいでしたけど。

元帥時代からも宇宙に多くいる超常存在と不思議な縁があり……トラブルもありつつも生存してきたゼンジは場慣れしていると言いますか。

オーヴァーロードの強大な力を理解しつつ、必要以上に恐れていないのは良いですね。

 

退役してから住まいを移した辺境の地では、竜とエルフが暮らしていて……竜の子供を狙う密猟者が居てその問題解決に尽力したことで成竜ホルンとの縁が出来たり、ゼンジの恩人である先代皇帝と知己のあるエルフの姫リターニアが訪問してきたり。

……元帥時代になんか別のオーヴァーロードから面白そうなもの託されていたりするし、ゼンジ人たらしが過ぎるというかなんといか。善良な性質の人物なのでわかりますけどね。

彼は辺境に来たことで半世捨て人みたいに過ごそうとしていたわけですが……予期せぬ出来事で後見人となった人物の罪が暴かれて、大騒動に発展したのは……う、膿を早く出せてよかったね……とでもいいますか。お疲れ様です……。


宇宙船が遭難したけど、目の前に地球型惑星があったから、今までの人生を捨ててイージーに生きたい

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『いや、生かす。彼女は……この星で貴重な情報源……いや、友達だ!』

『イエス、マスター。ナオミを運ぶ台車を移動させます。その場でお待ちください』

 

主人公のルディは、人工授精によって生まれ与えられた運送業の仕事に従事していた。

脳も肉体も改造されており、500年は生きられる寿命を持つ御年81歳の人物で……巻末の閑話で「運送屋ルディ」として働いている場面で、下請け故の苦悩を味わったりしつつ、出来る限りやり返したりする強かさを見せてくれたりもしてたのは良かったですね。

 

SF世界お約束のワープ的な、長距離移動が出来るジャンプゲートというものがあるみたいですが、それを駆使しても宇宙は広く……だからこそルディに500年とかいう寿命が与えられていたり、移動中コールドスリープできる装置が船に備わっていたりするみたいです。

ある仕事の際にジャンプゲートを移動した際に、テロ事件が起きて爆発が起きたせいか座標がズレ……ルディはこれまで生活していた文明圏から隔絶され、連絡も取れない宇宙に放り出されてしまうことになったわけです。

 

ただタイトルにもある通り、そんな彼は奇跡的に地球型惑星を発見。

ファンタジー世界的な魔法技術を扱う能力を持った人々が住む世界であるが……その魔法のエネルギー源となっているマナはそのまま摂取すれば死に至る毒に等しい。

今住んでいる人々はマナのある環境に適応しているが、ルディはそうではないのでワクチンを作って対処します、とか言って実際分析をサクッと片付けていたのはお見事。

そうやって準備を整えていざ上陸……しようとしたら、SF世界でも全く情報のないドラゴンが現れて襲撃される羽目になったりするハプニングがありつつも、何とか地表に到着。

 

人里離れたエリアだったのは、ルディ達の素性を隠す意味ではありがたくはありましたね。

分け合って隠居していた「奈落」の異名を持つ魔女ナオミとの縁が出来たり。なぜか、地表に墜落したと思しき、1000年以上前のルディと同じ文明由来と思われる宇宙船を見つけたりと、地上についてからも話題が尽きないルディではありましたが。

未知の部分もあるため、時折失敗をしたりもしますけどなんだかんだ軽く乗り切っていってるのでサクサク読めて良かったですね。

VRMMOはウサギマフラーとともに。8

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「『龍眼』が怖くなったかの?」

「……少しね。僕が持つには大きすぎるなって……」

「うむ。その気持ちを忘れるな。力に吞み込まれれば、『龍眼』はそなたをい限るであろう。『龍眼』の主として、力に囚われず、使いこなすのじゃ」

 

第五エリアに到達し、素材調達に励むシロ達。

クランとして『白銀城』を拠点に出来ているのは便利そうですねぇ……。

そんな中、【エルドラド】のトップであるゴールディがギルマスを辞めると言い出してるなんて噂が聞こえてきて。

 

ゴールディのリアルであるアイドル「金城つきひ」の、ファンクラブみたいな形に実質的にはなってたみたいですし、そのトップが辞めるともなれば揉めるのも止む無し。

元々ゴールディはアイドルであることを伏せていたみたいですけど、身バレしてファンが大量に入り込んだことで、シロとも交流のある【ザナドゥ】の面々とギクシャクした結果分裂騒動が起きたそうで。

そして新規メンバーを取ろうとした際に、既存のメンバーが「公式ファンクラブへ加入しろ」という圧を駆け始めた結果、ゴールディ自身とも溝が生じて距離が出来てしまった、と。

 

ゴールディ、元々は零細アイドルでアバターがほぼそのままなのも、宣伝の一環だったとか。最初はファンが増えることが嬉しくて、強く出れなかったとか。まぁ、分からないではない部分もありますが。暴走を止めきれなかった部分の責任が、まったくないとは言えないか。

でも、彼女自身は今の過激化してるメンバーを問題視する常識持ってるのは良かったですね。【ザナドゥ】の中に、【エルドラド】に情報を流してる奴がいるっていう話もたまたまシロと鉢合わせた時に教えてくれましたし。

最終的に暴走ファンが暴走しまくって、ゴールディが無関係だと示すために脱退して。ファンギルドだったからあえなく解体に至ったのは……まぁむべなるかな。

 

宇宙人の血を引き、銀竜に「トゥストラ」認定されたシロが、竜たちの戦いを描いたタペストリーを見て冷や汗書いてるのはちょっと笑った。竜の王の座を争って百年争っている竜の一匹っぽいって伝承と、そんな奴から認められた上で「同胞にも知らせる」なんて言われたのを思えば笑い事じゃないんですが。

その竜のタペストリー以外にも、エリア攻略に繋がりそうな情報の掛かれたタペストリーを見つけて、実際にその考察をもとに挑んだフィールドでボス討伐に至っているので、なんだかんだ攻略の最前線を走ってますよねクラン【白銀】。

エリア探索してる中で、『魔王の鉄槌(ルシファーズハンマー)』に続く魔王シリーズの武器である『魔王の王笏(ベルフェゴールセプター)』を見つけたりしてますし。

 

ゲームの方が順調ではありましたが……ミヤビとの縁があることが発覚して、帝国のトップが地球をより注視するようになって。

その動きを見て、宇宙側の陣営も一枚岩ではないために、暴走し始める輩まで出始める始末。

そのため馬鹿が馬鹿やったとき自衛できるよう、シロに『龍眼』のコントロールについてミヤビが教えてくれることに。「自分とは違う自分」のイメージに、リアルなゲームであるデモンズのPCをイメージして投影できる、っていうのは便利ですけど。

まず力の強さを恐れられるシロは、若いながらにちゃんとしてますね。偉い。

境界迷宮と異界の魔術師3

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「というわけで、だ。余の正式な名代として迷宮を探索している事が誰の目にもあきらかな称号を贈らせてもらおう。異界大使……などと言うのはどうかな。余の代行という事になるであろう」

 

騎士のチェスター卿、テオドールに絡んだ一件から思う所があったようで、迷宮に積極的に挑むようになって。

下水道順路を超えた先、大腐廃湖と呼ばれるエリアの調査を行う事を決意。もう名前からして、行きたくなさすぎるエリアですけど。「他者がやらぬなら我らこそが」と踏み込んでいって、最終的に成果を上げていたのはお見事。

増長していた人物が、叩きのめされてからちゃんと態度を改めてるのよいですよね。

 

チェスターの騎士の矜持と、テオドールの魔人はえげつないから敵対者へ容赦しない苛烈さとか、噛み合わない部分もあるでしょうし。

まだまだテオドールのあり方のみ込み切れてない部分はありそうですけど、初登場時よりは大分マシなキャラになってきましたよねチェスター。

そうやって実務での成果を求める姿勢は、政争からは一歩引く形にもなって。チェスターという有望株を第2王女ローズマリーに近付けることで権勢を強めようとしていた騎士団副団長のグレッグは困窮してましたが。

 

続いて差し出したフェルナンドは、別の騎士メルセディアの挙げた功績を横取りしようとしたし、当人の愚かさから魔人に情報を流してしまうし、面白いくらい順調にグレッグが破滅していきましたねぇ……。

 

フェルナンドから情報を得た魔人を叩きのめすために、テオドールも同行して。

悪名が轟いている魔人を、単身で撃破したことで王様の直臣として称号を与えられることになって。

家を出てまだそんなに経ってないハズなのに、実績上げるペースがとんでもない。

グレッグがパイプを繋ごうとしていた第2王女ローズマリーも、色々と暗躍をしている人物で。城を出て占い師に扮して、人をいいように動かすために情報を与えたりしていたみたいですし。それを察知したテオドールに叩きのめされてましたが。

「依頼を持ち込んでその日のうちに解決してしまうとか」と、縁あって知り合ったアルフレッド王子から呆れた目を向けられたりしてたのも無理はない。順当。

境界迷宮と異界の魔術師2

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「今の時点で何を言っても、多分に願望でしかないでしょう。何も為せないようならアシュレイ様の方から遠慮なく破談なさってくださって構いません。それでも――俺にその権利を認めてくれるなら。あなたの人生に関わらせて欲しい」

 

タームウィルズに向かう道中に顔見知りになった、シルン男爵領家の当主アシュレイ。

テオドールはスネークバイトと彼等が呼び出したマンティコアを撃破したことなどで注目を集めいているし、アシュレイは婚約者も決まっていない貴族家当主で治癒魔法の才能もあるという事でどちらも縁談とかが持ち込まれるだろうという話もあって。

テオドールの母に恩義があり、ガートナー伯爵家時代から味方になってくれた使用人のグレイスとの関係もありますけど、その上で3人で先に進むことを決めて。

 

父親との関係も希薄だし。母親も魔人と戦って呪いに蝕まれて死んだ。母に助けてもらった人もいたけれど、結局は去っていった。そういう光景を見てきたことで、テオドールの原風景は荒んでるんですよね。

1巻でギルド職員のベリーネに「割合歪んでる」と評されたのも無理はない。

それでも。いや、だからこそと言うべきなのかもしれませんが、グレイスやアシュレイと関係を進める時に自分で言葉を選んでいるのは偉いですね。

 

そうやって日常を過ごし、合間で迷宮に潜ったりしている中……「行方不明の友人を探している」という盗賊ギルドの一員シーラから相談を持ちかけられて。

ちょっと探ってみたところ、なんと暗躍していた魔人が登場。

テオドールの母の命を奪った死睡の王と同族。テオドールの母が死んだのはあくまで死睡の王の遺した呪いによるものであって、死睡の王そのものは母が倒していたみたいなんですよね。

別人だと理解はしている。その上で思う所はある。激情を抱えたテオドールは、それで失敗しないように努めて冷静に振る舞い……単身で魔人を撃破。

ゲーム時代の技術みたいですが、シールドを足元に一瞬作って空中機動を実行するとか、トンデモ技法披露してて笑っちゃった。

でもあれ、テオドールの固有技能じゃなくてBFO上位層だったら普通にこなしてる技術で、運営もそれを抑制するのではなく、追加アイテムとかで門戸を広げる方向で対処したっていうんだから、BFOなかなかの魔境なのでは……?

 

冒険者であるテオドールが魔人討伐と言う功績を挙げたことで、面白くない騎士が絡んできたりもしましたが。

騎士の有望株であるチェスターを軽くあしらってたのは、お見事……ではありますけど。

魔人と比べるのは酷にしても、あの程度の腕でデカい態度とってたのか……感はある。

杖に困っていたテオドールが、褒賞として王城の宝物庫から有用な杖ウロボロスを貰えたのは良かったですね。


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「俺を喰らう? やれるものならやってみろよ」

 

技術が発展し、VRゲームが現実になった世界。

主人公もVRMMOBreak Force Online』ことBFOというゲームにハマって、戦闘に特化した魔法職バトルメイジのキャラ・テオドールとして楽しんでいたようです。

しかし、ある日空き巣によって殺されてしまい……ゲーム世界に、自作のキャラ・テオドールとして転生。

 

ガートナー伯爵家の愛人の息子であるテオドールは母の死後、伯爵家に引き取られたものの正妻とその息子たちとの関係は悪く、ハッキリ言えばいじめられていた。

わざわざ引き取ってるくらいですから父親はテオドールを大事にしたかったみたいですが、そのあたりの事実に気付くことはできず……。

どうあがいても禍根は残るので、テオドールはゲームの舞台にもなっていた境界都市、あるいは迷宮都市と呼ばれるタームウィルズに向かうことに。

 

主人公は前世の記憶を取り戻したときに、無詠唱で魔法を使えるようになったりゲーム時代と同等の実力を得ていたようですが。

覚醒したタイミングはゲーム本編よりも7年前の時間軸であった。現実となった歴史が同じように進むとは限らないから、情報を声高に叫ぼうとはしないけれど、いざ問題が激化した時に対処できるように力を蓄えようとして、実際そのためにタームウィルズについてからも研鑽を怠ってないのは良いですね。

迷宮探索を便利に行うために生活魔術の講義とかも受けるようにしてましたし。

 

迷宮で新人を狙った悪質な狩りをやっていた馬鹿どもを、返り討ちにしたりしてましたし、既にある程度の実力があるのに油断してないのは偉い。

実際、その悪人ども……スネークバイトの連中に未発見技術で作られた転移石を与えた黒幕もいるみたいですし、厄介ごとの種は多そうなので備えるに越したことはないでしょうけど。



プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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