気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

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魔術漁りは選び取る

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「起きた出来事がどれだけ大きくても、それを引き起こした人に壮大な目的があるとは限らない」

事件の大きさと、発端の大きさは比例しない。

歴史に刻まれる事件の裏に、必ずしも巨大な陰謀や思想が隠れているとは限らない。

二年以上もの間、戦場漁りとして戦場を渡ってきたカナタは経験からそれを知っている。

 

主人公のカナタは親を亡くし、ウヴァル傭兵団に拾われた。

と言っても戦士として鍛えられているわけではなく……下っ端も下っ端、戦闘が終わった地域に踏み込んで金になりそうな武器や小物を回収する「戦場漁り」という立場だったわけですけど。

ノルマを達成していればしっかりと生活の面倒を見てくれるし、悪い場所でもなかったみたいですけど。

 

カナタはノルマの分を集めきった後、趣味でラビッシュと呼ばれる魔術滓を拾っていた。

魔術師が魔力を使ったときに余計だった魔力の塊なので、魔術師からしても未熟さの表れとして「滓」とついている通り、ゴミ扱い。

見た目こそ珍しい色味の石、という感じだけど宝石ほど輝いているわけでもない。そもそもが魔術を使った際にでた滓なので、時間経過で消えてしまう。

だから「戦場漁り」のカナタでも、自分のモノとして得ることが出来た。

カナタはそのラビッシュの中にぼんやりと見える記号を眺めるのを好んでいたわけですが……ある日、そうやって何年も積み重ねていた解読がカチッとハマり、カナタは魔術を発動できるようになったわけです。

 

とは言え魔術についての知識なんにもなくて、ただ魔術滓の積み重ねで一つだけ魔術を使えるようになっただけで。

副団長のグリアーレが魔剣士という、魔力を扱える存在だったことで色々教えてくれたのは助かりましたね。

ウヴァル傭兵団が参加していた戦場、村同士の些細な争いを理由に貴族が大義名分もなく戦争を仕掛けたものだったそうで。ダンレスというその阿呆貴族が難癖をつけて来た時に、カナタは自ら前に立ったわけです。

 

決闘騒動に発展したりもしましたが、そこで「魔術滓から魔術を会得できる」というカナタの異能が明らかになって。

ダンレスよりは真っ当な貴族に目を付けられたカナタは……1巻後半に収録された第二部では、その出自を偽って貴族家の養子として迎えられることになったわけです。

突然子供が一人増えると言われて、面白いと思う関係者がいるはずもなく。つけられた侍女には初期嫌がらせされるし。母となる人物や魔術の教師は優しかったけど、カナタに直接苦言を呈してくる奴もいた。兄となる人物も内心では面白くないと思っていた。

そんな中で事件が起きて……カナタが自分なりの考えを持って踏み込んでいったのは、軸が通ってて良かったですけど。無茶するなぁ……とも思いましたね。

WEBで読んでて好きなシリーズなので、書籍化はめでたいしこのまま続いて欲しいものですが、さて。

ほんとはもっと、したいだけ

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「ま 小暦ちゃんなりの考えがあるんやろ 信じて待ってあげや恋人やん」

「うん……そうだね 私が信じてあげないとだよね」

 

2024年冬コミ新刊の百合漫画同人誌。

表紙の黒髪の女性が椎名弥子。デザイン会社に勤めており、表紙に居るもう一人の女性……学生時代の後輩・日南小暦 と恋人関係にあった。

小暦は在学中に漫画の賞をとり、卒業と同時に商業連載を始めたとか。

漫画の才能は有ったみたいですけど、連載って過酷だっていいますからね……弥子がたまたま連絡をとった時、ちょうど無理がたたって生活が破綻した状況になってて。

 

弥子が世話を焼く日々を続けていたところ、小暦から告白されて付き合うことになって。

そこから同棲をスタートし、喧嘩もせず順調に交際を続け、ついに小暦から誘われて一線を越えることに。

可愛い恋人の姿に弥子さんは理性を抑えられず……小暦が意識を失うまで暴走してしまったわけです。

その翌日からギクシャクしてしまって……経験者な弥子は、昔の知り合いに相談に行ったりとかしてましたが。

 

……実は小暦が行為の翌日から様子がおかしかった理由、タイトルで明示されてるんですよね……。

告白も、先に進もうって提案も小暦の方からだったわけですし、割と行動的なタイプなんですよね小暦。

そんな彼女を受け入れたいと思う弥子も良いですよねぇ……末永くイチャイチャしてほしい。

滅亡国家のやり直し 今日から始める軍師生活3

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「私は平和が好きです」

「僕もだよ」

 

過去知識を駆使してゼッタでの大戦を乗り越え、望みうる戦果を掴んだロアたち。

とは言え、一つの戦を乗り越えただけで周辺国との関係も変わってないし、ロアの知るルデク内部の裏切り者たちも未だ健在なわけで。

長く落ち着けるわけではないですけど、少しだけでも穏やかな時間を過ごせたのは良かったですね。

 

それには北の大陸に通じる不文律として年末年始は戦わない、というのがあったからともいえますが。

一つ違えば大陸統を成し遂げたかもしれない傑物グランスウェウル。非凡な才能があったが、目的のためには苛烈さを示す人物で……年末年始に限らず時を選ばず戦いを続けた結果、民草から反乱を起こされて討たれたという故事に則っているとかなんとか。

こういう作中で通じる設定が開示されるの、楽しくて好きです。

 

年末年始は争わない……が、年が明ければロアの知るルデク滅亡の年を迎える節目のタイミングでもあって。

ロアがウィックハルトを救うことになったハクシャで、亡くなった人への献花をしたり。それまで縁のなかった第七騎士団のトップに会いに行ったり。

そんな事をしていたある日、ツェツェドラ皇子がルデク王への会談を申し込んでいるという話が、ルルリアに手紙を届けに行った南大陸の大臣ダスさんから持ち込まれて。

本来の歴史では死ぬ運命にあったツェツェドラとルルリアが無事で、ルデクとの縁を結ぶきっかけになってくれたのは良かったですね。

ロアと出会ったことで良い方向に変化したゼランド王子が、他国の皇子が来るのならこちらも同格の相手が出迎えるべきだと自ら提言したのも成長を感じて良かった。

 

そういった変化以外にも、ロアによって歴史が塗り替えられて運命が変わった人についても今回は明らかになっていくことになりましたが。

ルデクがゼッタの大戦で勝利したことで、ゴルベルでは粛清の嵐が巻き起こったとかで。ロアの知る歴史でも長く生きた英雄ローデライトが処刑されたり、かつてルデクに損害を与えウィックアルトも浅からぬ因縁のあるフランクルトが亡命を希望してきたりと、今まで以上に激動の時代、って感じがしてきましたねぇ……。最後でロアがとある決意をしていましたし。



魔術師クノンは見えている7

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「誰が悪いという話ではないですからね。

クノン君の実績が原因ではありますが、クノン君が間違ったことをしたわけではありませんから。

これだけは絶対です。あなたは間違ってません。あなたはあなたのやるべきことをしているだけにすぎません」

 

故郷のヒューグリア王国に残してきたはずの婚約者ミリカ。

なぜか彼女が師匠であるゼオンリーを伴って魔術都市のクノンのところへやってきて。

宮廷魔法士と王女が国元を離れているという特殊な状況。それを作ったのは……まぁ当然2人と縁のあるクノンなわけで。

「魔建具」の可能性に気付いて、出来るなら国で押さえたいと人員を動かしたみたいですが。魔術都市での研究なんて特許出してるに決まってるじゃないですかー。

 

まぁ、そのあたりはゼオンリーだってわかっていたし、上層部も分かっていたでしょうけど、それはそれとして人員を動かさないといけない部分もあったんだろうなぁ……。クノンも感じていたように国としての立場と柵は厄介ですね。

でもその柵のおかけで、予期せずミリカと会うことが出来たのはラッキー。

3日程度の滞在ではありましたが、その中で「鏡眼」のことを知っているゼオンリーに相談も出来ましたし。

 

「鏡眼」で見えるもの「法則」についての考察もちょっとは進んだ……といえるのかどうか。まだまだ謎が多いんですよねぇ。

ゼオンリーに言われてましたけどクノン基礎をいくつかすっ飛ばしてるからそこを抑えるのも必要だし、とは言え現時点でクノンは共同研究でいくつも結果出してる優秀さなのであちこち目移りして寄り道してるので、なかなか一つの研究が深まらない。

まぁ、そうやっていろんな経験をすることで、知識を得てステップアップしていってる部分もあるので、一概に否定も出来ないですけど。

それはそれとして基礎魔術もちゃんと習得していくべきではあるんでしょうねぇ……。

 

ミリカがクノンとの婚約を維持するための策の一つとして、城を出ていることとかも聞くことが出来て。

実力主義の傾向が強いヒューグリアにおいて、第九王女であるミリカがクノンと結婚するためには行動を起こさなくてはならなかった。そして、今後も関係を維持するためにはクノンの協力も必要だ、という話まで出来たのは良かった。

クノン、侍女の教育で表面上ナンパな女好きですけど、ちゃんとミリカ大事にしてるんですよね。協力要請されて、まっさきにあんなに楽しそうにしている魔術学院を辞めるって選択肢が出てきてましたし。

ミリカに今以上に学んでいって欲しいという風に言われて翻意してましたが、あそこでミリカが頷いていたらほんとに辞めてただろうな……。
まだ伸ばす余地はありつつも、成長もしっかりしているクノンの今後に期待。また新しい事学ぼうとしてますしね。

オルクセン王国史1 野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか

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「貴方、前から言おうと思っていたが。優しすぎる。やさしさの発露方法が、他者からわかりにくいほどといってもいい。そこまで相手のことを考えている。一匹の牡としては素晴らしいこと。感謝もしている。でも、王としてはもう少し、堂々とされるがいい。傲慢になるといい。それでも臣下はついてくる。この私もそうだ。こんなものは傲慢のうちに入らない。慈悲深い。深く、深く、底が見えないほど深い」

 

魔種族統一国家オルクセンの国王グスタフは、大喰らいで知られるオーク族。

かつては「他の魔種族すら喰らう」という習慣があったそうですが、グスタフが王に就任して以来、それを廃止して。その代わり、民が飢えることのないように食糧管理をはじめ国力増強に努めて、統一国家オルクセンを作るまでに至った理性的な王なんですよね、グスタフ。

そんな彼がある日、隣国であり仮想敵国であるエルフたちの国家エルフィンド近くに赴いた時、ダークエルフと呼ばれる黒い肌を持つエルフ族の美女が倒れているのを発見。

 

グスタフに救われたダークエルフ族の族長ディネルースは、エルフィンド内部で白エルフによる「ダークエルフ狩り」が行われている、という状況をグスタフに伝えて。

同胞を殺したエルフを許さず、殺戮しかえしてやろうと誓うディネルースに、統一国家オルクセンへ来て、将来の捲土重来に備えるのはどうかとグスタフは提案。
……というか初手内ゲバしてるんですが、言うほど平和ですかねエルフの国。
まぁオークの国が他種族喰らう野蛮な習慣を廃したのもここ70年ほどらしいので、それ以前はまぁ……平和かぁ?

魔種族っていうのは長命で、グスタフも150年を生きているそうですが、ディネルースは彼よりも年上みたいですし。

長命ゆえにディネルースはいろいろと知ってることが多いし、魔法の知識も秀でているみたいですが。同胞である白エルフの狡猾さについては、知らなかった。

かつてグスタフが一兵士として参加したエルフとの戦争で、オークは敗走。その際にダークエルフはオーク撃破と言う作戦目標を達成して撤退したが、白エルフはその騒動に則ってドワーフの国を滅ぼしに行ったりしてたみたいですし。

他の種族も自国から追い出したりしてる傲慢さ、というか苛烈さが光るなぁ……といいますか。

 

グスタフは仮に魔種族の間での戦争がひと段落したとして、その次には人間種族との戦いが勃発するだろうし、銃火器が発達している中では優位を保っていられる保証がない。

だから国王として先を見据えて色々と手を打っている、というのが実に良い。

そうやって立派な王様をやる一方で、しれっと市井に出て民と交流を持ったりしているおおらかさもあるみたいですけど。ディネルースは優しい王と評していましたね。

……まぁ優しい一方で、争いに備える事を辞めない王でもあるんですが。油断してないってことで良いことでもあるんですけど。

補給大隊のタウベルトを助けるためにグスタフが力を使う場面、良かったですよね。……そのあと、スッとお出しされた未来がこの作品が優しいだけじゃないっての見せてきましたが。まぁ、そもそも初手ダークエルフの虐殺起きてますしね……。

大きな争いが起きているわけではなくて、備え続けている状況開示のエピソードが多い話でしたが面白かったですね。



死ぬに死ねない中年狙撃魔術師

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「どんな魂胆があって、そんなに誠実なんだ」

「誠実で、何の問題があるだろうか。無駄な嘘や欺瞞は対立を深めるだけであろう?」

「道理だ。それだけに、気に入らない」

 

「狙撃」というあだ名で呼ばれる、魔術師の男が主人公。

恋人と共に旅をしていたが、その中で強大な敵と戦う羽目になり……恋人に庇われて、彼だけが助かってしまって。

自分もそのまま死んでしまいたかったが、恋人は死に際に「ぼくの分まで、生きて欲しい」と願いを託されて。さらには星の彼方……宇宙からやってきた生命体と遭遇して。

ヤァータと名付けられたその生命体は、主人公を主としてカラス型の使い魔に化けて傍にいることに。

 

奉仕対象をひとまず主人公に絞っている間は、この世界を観察する期間と定めているので大人しいヤァータですが、その制限がなくなれば「世界を滅ぼす」と言っていて。

ヤァータ的には奉仕するための善意みたいですけど、それを受け入れられる土壌がないんですよね……。

「個」が確立していて、それが相互理解を阻んでいるからその障壁を取っ払いますとか、人類全員素材にして融合させますみたいなこと言ってるので(強制かつ強力なテレパシーで隠し事できなくするとかの方向かもしれませんけど)、そのレベルまで到達することなさそうですけども……。

 

主人公は数日かけてエネルギーをチャージして、それを用いた狙撃で敵を仕留める「狙撃魔術師」と呼ばれる職業についていて。結構な実績を積んでいるものの、「国を挙げて、凶悪な竜を討伐した」といったプロパガンダに利用されるため、彼自身の功績として公に認められることはない。

狙撃に専念できるための囮を国を挙げて行っていることがほとんどだという事もあって、彼はそれを受け入れています。

それにわかる人はわかってくれてますしね。……腕を認めた押しかけ弟子まで出てきたりもしてるんですけども。

 

恋人の死や、異界生命体に憑りつかれていること、狙撃魔術師としての待機時間が多いこと。いろんな理由が重なって一人でいることが多かった主人公ですが。

押しかけ弟子ことリラの影響が大きいですけど、彼女を正式に弟子と認めることになったことから少しずつ世界が広がっていくのが面白いですね。

人類から強大な敵が竜や悪魔、精霊と数多く取り揃えられているんですよねぇ。かつては貴族が命を賭ける生贄じみた術を使って強敵を打破していたのを想えば、狙撃魔術師と言いう新たな形式(数日かけてチャージする必要があったり、最善とはいいがたいけど)を生み出して対処できるようにはなってるので、時間かければまたできる事増えそうではありますけど。

竜種とかの強大さ見ると、それだけの時間が人類にあるのかは悩ましいですが。今まで生き延びてるから、なんだかんだしぶとく生き延びるかもな。



全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティーが病んだ。2

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「名誉がほしくて、命を懸けたわけじゃないからな」

(略)

「みんなが生きて、ここにいてくれる……それだけで、俺にとっては充分すぎる『褒章』だ」

 

1巻読んだ後、続きが気になってWEB版読みに行ったんですよね。

だから、カラー口絵で聖女三人のカラーイラスト見られたのが嬉しかったですね。

星眼の聖女ユーリリアス、眼帯してるのにかわいいし。この作品の挿絵だとキャラの眼が特徴的になっていますけど、そこが隠されているからか神の方にキラキラの効果は行ってるの良いな……。

ウォルカはアンジェが聖女であると知らないから、四人そろって並んでいる構図は読者にしか分からないものですけど、とても良いですよね。

福禍の聖女アルカシエルの聖女パワーで浮いてる謎物体も、イラストになるとそりゃ眼を引くよな……って納得がありましたし。

 

プロローグが、ならず者に利用されることになった少女ルエリィ視点。

仲間と和気あいあいと冒険者を楽しみ、中級と見なされるCランクに至ったものの……対モンスターはなんとかできても、対人の部分で警戒が甘く付け込まれてしまい、利用される状況に陥ってしまった。

……こんな悪意に満ちたイベントが、この作品の世界では珍しくないんだろうなぁ。ウォルカがダークファンタジー世界の創造主であるクリエイター(神様)に恨み言を吐くのもまぁ無理はない。

 

ただ、転生者で原作知識のあるってことを知らない他の面々からすると、普通に「神を恨んでる」認識になって歪んでいるのがまぁ……はい。

ウォルカが命を懸けたことで、執着強まってるパーティーメンバーとか、聖女の前でポロっと零しちゃうから、病みが深まっていくのでウォルカは毎回胃を痛めてますが、全て君の行いが跳ね返ってきてる結果なんだよ……がんばれ……。

 

ウォルカ、そうやってクリエイターへの恨み節を零すことはあれど、それはそれとしてファンタジー世界で「抜刀術」を極めるために厳しい修行に打ち込んだり。慈悲を与えようとならず者はまた別のところで同じことをするから、ならず者相手に情けは無用。それが次に奪われる誰かの命を守ることに繋がる、という祖父の教えを守って切り捨てる覚悟を決めているので、なんだかんだこの世界に彼なりに適応してはいるんですよねぇ。

その上で、原作では破滅するハズだったパーティーメンバーと一緒に生存するルートに入れたので、ある意味では万々歳。

死線を超えてより一段高みに行った剣術を極めるのに、義足だと不便だなぁ……みたいなシーンがあったり、胃を痛めまくってはいるけれど、ウォルカ的には現状にある程度満足してる、というのが特殊ですよね。

 

ダンジョン踏破事故が起きた原因であるパーティーに対して、思う所はあるかと聖女ディアに問われたときに「審問が正しく行われるならそれで」と言えてしまうのは、彼の強さではありますけどね。

……別の場面でロッシュから言われてましたが、「身を挺して行動できることは美しいが、欠点でもある」って言うのがまさしくそうなんですよねぇ。

パーティーメンバーの闇が深まっている中で、彼が今後どう生きていくのかは気になるところ。WRBも更新ペースゆったりなので、続きを気長に待ちましょう。

もなかとわたあめ

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「趣味だけど?」

「わ~やっぱそうなんだ!!

 そっかー! カッコイイね!!」

 

ウルトラジャンプに掲載された読み切り……を、SNSで公開されていた時に見て好きになったんですよねー。

読み切りに加えて旧Twitterで公開していたラフだったり、ファンボックス公開エピソードに描き下ろしを加えた同人誌。

 

高校二年生男子の最中樹(もなか たつき)くん。

彼にはとある趣味があった。それは着物を着て喫茶店などで穏やかなひと時を過ごす事。

ただ着物を着ているだけではなく……いわゆる女装をしているんですよね。

短編の合間にちょっとしたコラム的に書かれていましたけど、別に性自認が女性ってわけではなく、「女性の格好がしたい」だけ。隠したいわけでも、黙って女性のグループに潜り込みたいとかそういうわけでもない。

あくまで趣味なんですよね。でも、自分用の着物を買って、祖母の使っていた小物を借りてコーディネートしたり、趣味だからこそしっかり準備してるのは好感が持てる。

 

幼少期から女性用の服装に興味があって。ただ、周囲の理解が得られないことにもすぐ気づいたので、週末にこっそり和装で出かけるのを楽しんでいた。

そんなある日、喫茶店から出たところで同じクラスの女子グループとすれ違ってしまって。内心ドキドキしながらも、素知らぬ顔でやり過ごした……つもりだった。

しかし翌日、そのグループに居たギャル・綿雲飴里が「昨日の和装の人、最中でしょ」と話しかけてきて。

メイクに本気だという彼女は、最中の変装を見破っていて。それを公言するでもなく、趣味で好きな格好をしている彼を「変だ」と切り捨てることもなく。

カッコイイと言って、「好きに純粋なの、良いね」と認めてくれるの良いですねぇ。

飴里、他の人の良いところ認めるのは得意みたいですけど、自分の中で「コレ」という軸がないことに悩んでいる部分もあるとかで……そんな彼女の、初めての和装を最中が選んで着て、「めっちゃ元気出た」と言ってるのがいいんですよね。

最中や飴里がお互いに刺さる言葉を自然に出しているのが尊いんですよ。

 

……ここまで読み切りパートの話しかしてないんですけど、やっぱり好きだなぁと思いました。

女装している彼を「最中」と呼ぶとバレてしまうだろうから、とあずきってあだ名をつけて。それから飴里の心に「あずき」のスペースが出来ているのが良いんですよね。

他の女友達と出かけているときにネイルでダスティローズという色が、あずき色っぽいなぁ……って手に取ったりしてますし。

最中も飴里という友達が出来たことで少し世界が広がっていましたし。

 

飴里、自分でも調べて和装を着られるようになって。当人曰く「ありあわせ」でもカワイイ格好になっているのは、それまでの積み重ねというかセンスの賜物だなぁ……という感じ。

飴里は最中の「和装&女装」を受けれいてくれたけど、分かってくれる人ばかりではない。だから、飴里の他の女友達とは会わない。「言わなければよいんじゃ?」って言う飴里に「友人として会うなら、男って言わないのは対等じゃない」って言う最中君、自分なりの芯がハッキリしてて良いですね。


メロンブックス通販にあった同人誌は在庫なくなってましたが、読み切りパートは先生のpixivに掲載があったので、参考程度に。
(2025/5/1追記)明日5/2に電子版が発売するみたいですー。オススメなのでどうぞー。




俺は学園頭脳バトルの演出家!Vol.1 ~遅れてやってきた最強転校生は、美少女メイドを引き連れて学園を無双するそうです~

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「あんた……なんでこの状況で笑ってるの?」

「そりゃあ、最高に面白い状況だからに決まってるだろ」

 

11回オーバーラップ文庫大賞、銀賞受賞作。

主人公の田中叶太は自称モブの化身。自分が目立つのではなく、誰かを目立たせる……そんな「演出」に熱意を注ぐ少年。

 

小学校時代にクラスで演劇をやって、ヒロイン役の子が台詞を忘れて事故りそうだった時に、アドリブで主人公を送り出し、破綻する展開を更なるアドリブを加えてハチャメチャながらまとめて乗り切った。

そんな経験から「演出」に興味を持ち、推しの監督の「目立たない方が良い」という金言を胸に、裏方になろうと努力を続けていくことになるわけです。

転校した際なんかも、ゲームがあることでクラスメイトを家に招き、誰にも気づかせない接待プレイをして上手い事交友の輪を広げていくことになったりもしたんですが。

 

ある日、父が借金をこさえてしまったと言い出して。

全寮制で学費は無料、さらに上手くやれば借金もチャラに出来る可能性がある、とか言う怪しい話を持ってくるわけです。

一般には知られていない、ゲームによる決闘ですべてが決まる帝王学園。そんな場所に踏み込んだ叶太は、自分と同じタイミングでやってきた「謎めいた、実力者の転校生・霧谷透」を主人公キャラと見なして、彼を最高に輝かせようと計画を練るわけですが。

 

そんな透の幼馴染である学園最強のお嬢様西園寺だったり。透のメイドとして侍るソフィーだったり。ゲームによる決闘ですべてが決まる学園、に通うだけあって個性が強いキャラが多いんですよねぇ。

今までいた学校では「演出」の為に下調べとかを入念に行って、誰にも気づかれることなく演技を続けられていたようですが。

 

帝王学園に転校してきたばかりでは叶太の持っている情報は少なくて。個性的な生徒が多い学校なこともあって、モブに徹したい彼の思惑とは異なり、どんどんと注目を集めて行ってしまうことになるわけです。

99連勝していた西園寺に勝利して、100連勝阻止した上でゲームの勝者として得た権利で彼女をメイドにして侍らせたり。透の秘密について知ってしまったり。

そして開催された大会で透を相手に決勝戦を戦う羽目になっていくわけですが……過去の失敗を思い出しつつも、それを上手く乗り越えて最後には笑顔を浮かべられるようになったのは良かったですね。

 


極東救世主伝説 九州大規模攻勢編

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「生意気なことを言いますが、ここは戦場なんです。戦闘が終わっていない以上、歪んはしないでください。最上さんがどうお考えかは知りませんが、少なくとも俺はこんなところで死にたくありません」

 

第二次世界大戦末期に、悪魔召喚の儀が行われ……成功してしまった世界。

悪魔同士での争いもあって、それに敗れた一部が人間に情報を提供したこともあって、人類は対抗手段を獲得することが出来てはいるみたいですけど。

人間が悪魔によって力を与えられた魔族と呼ばれる存在や、魔物という悪魔の配下とかも跋扈していて、正直人類側の状況は厳しそうに見えますねぇ。

 

魔物を倒すことで得られる魔晶を分析し、人造魔晶を作ったり。魔物の死体を核にしたロボット、魔装機体を生み出したり。いろいろ工夫はしているみたいですねぇ。

……人造魔晶を子供に与える、救世主計画とか言ういくら取り繕っても人体実験じみたこともしてるし、この世界の危うさも明らかなんですが……。

主人公の川上啓太は、第三次救世主計画の成功例であり、「悪魔が出現しなかった世界」の記憶を持つ転生者。

研究者だった両親が亡くなり、三つ下の妹を守りつつ稼ぐ方法を模索する中で、国防軍を志願し……軍学校に通うことに。

 

啓太、転生者ということもあって下駄はいてるから、スペック低いわけではない秀才くんなんですが。……性格的な問題で、想定が甘いというか。見えていない部分が多すぎるというか。

魔族、より多くの人間を家畜としてとらえるために、一部を敢えて優遇して「こっちに来るとこんな良い生活出来るぜ」と生餌にしたりしてるみたいですが。

それに対して世の中上手い話はないもんだ、と思っていたのに軍学校への推薦には飛びついちゃったりするし。

 

彼が庇護しないといけない、と思っている妹ちゃんの方は両親の秘密に気付いていたり、独自に金策手法を確立した上で、兄が頑張っているのわかっているから沈黙を選んでいたり。……妹ちゃんの方がかなりヤバい気配してるんですけど、まぁかなりのブラコンでもあるっぽいので、啓太が頑張っているうちは結果的に抑えられるから良いか……。

 

軍学校、派閥争いみたいものもあり、名家出身者が多い中で後ろ盾のない彼は浮いていたわけですが。

妹ちゃん的には彼の両親は背信を咎められて暗殺されたっぽいですけど。表向きは、暴走した第三師団が出した被害者家族の一人、という扱いになっているみたいで。

初期に変な絡まれ方せずに済んだのは良かった。……まぁ後ろ盾がないことで、実験機体の操縦者に選ばれるわ、それを自在に動かしたせいで実地研修の建前で特務尉官として任じられて戦地に送られるわで、どんどん注目を集めていくことになったわけですけど。

魔装機体、人型と獣型とでわかれている中で上半身が人型で獣の下半身を持つゲテモノ機体を即座に扱って戦果を挙げたらそりゃそうなるわ……って話でしかないんですが。

彼の迂闊さと強さを見ると、これからも勝手にドツボにハマりつつ、彼自身は何となく生き延びて周囲をハラハラさせそう。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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