気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

★4.5

七つの魔剣が支配する14

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「構えなさい皆さん。――戦争ですよォ!」

 

剣花団のメンバーが誰一人欠けることなく、五年生に進学したオリバー達。

激動の時代を生きる5年生たちの研鑽著しく、かつてのゴッドフレイ世代のようだと感じる人もいる状況。そんな先輩たちの影響を受けて、4年生たちもまた素質を伸ばしてきているみたいです。

統括になったティムがオリバー達に見送られ、自分が人間であることを知った上で卒業したみたいですし。次の統括が誰になったのか、と思いましたが。

 

三年連続の教師失踪と、ロッド=ファーカーの介入や異端狩りとの確執で揺れている中で、ゴッドフレイからティムに統括が継がれたことで多少は校内が落ち着いていたものの、油断できない情勢なのは変わらず。

誰が統括になるかと悩ましい状況の中で、ミリガンが「留年生が統括になるのを禁じるルールはない」と主張して。周囲の思惑もあってそれが通り、まさかの八年生統括が誕生し、周囲に恥をさらしネタにされつつも、受け入れられてるの良かったですね。

 

異界の大接近が予知され、エスメラルダ校長を筆頭に戦力がキンバリーを離れることになって。大賢者ロッド=ファーカーの暗躍を怪しむ人もいましたが、尻尾を出す事はなく運命の日を迎えることに。

ファーカーは魅了の力で予知を行う人員を取り込み、偽装することに成功。派遣された

ダミー・エンリコの行動で時間を稼ぐことには成功していましたが、無血占拠を成し遂げようとしていただけあって、仕込みが充実してておっかなかったですねぇ。

ファーカーの弟子が異端2人を伴っているとはいえ、バネッサ先生に「勝率10割」と吹いてるくらいですし。メタいこと言うとオリバーの復讐相手の一人なので、なんだかんだバネッサが生き残りそうですけど、多少は怪我させてくれると次の標的にしやすく……なるか? 逆に「手負いの獣の方が恐ろしいの知らねぇのか!」と暴虐を振るいそうな予感しかないですけど。

 

ファーカー、ここに至って明確に裏切りましたけど、それでも指導には手を抜いていなかったみたいなのが、彼を考える時にノイズなんですよねぇ。

オリバーが願って指導してもらった、異端相手の戦闘方法とか有用で、乗り込んできた相手を撃破することに成功してましたし。

方針がとがっている特殊な場所とは言え、あくまで学校でしかないキンバリーを狙うのはなんでだ、とガイは疑問に思っていましたが。オリバーには心当たりがありそうでしたし。

一部の物しか知らない「世界の秘密」。まぁ母の関係で知ってるんでしょうけども、何隠してるんでしょうねぇ、キンバリー。

 

異端の幹部が乗り込んでくる中で、オリバー達が成果を上げているのを見ると成長を感じて良いですね。

……なんか、予想以上のところまでカティが踏み込んでいってるのが、恐ろしくもありますけど。彼女が思考がまとまったと言った上で「次はわたしの番かもな」とか言ってるの、怖すぎ。

怖いと言えば、ピートが重要な決断を託される状況に置かれてましたが……ダミーでもエンリコはエンリコだなぁ、というか。魔導に染まりすぎてる……。

さて、ピートはどんな決断を下すのか。後半戦、期待して待ちたいところです。

サイレント・ウィッチⅨ 沈黙の魔女の隠しごと

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「……あれは、恐ろしい魔女だな」

「恐ろしいだなんて、いやねぇ。沈黙の価値を知っている才女、って言っておあげなさいよぉ~」

 

これまで隠していた「沈黙の魔女」という自分の正体について、学園で出来た友人知人に打ち明けたモニカ。

誰もが混乱する中で、事情を知っていたヒューバードが攻撃を仕掛け、それを無詠唱魔法で無効化することで真実を証明して……。

その秘密に薄々感付いていたシリルが真っ先に膝をついて、魔法伯である彼女への礼を示したの、彼らしくて良いですよね。……正しいけど、これまでと違う彼の態度に泣きだしてしまったモニカが、可哀想だったけど可愛い。

最初に出来た友人であるラナが、そんなモニカの涙を拭いてくれて、隠しごとをされていたことは思うことはあるが、隠した理由だってわかるし……起こっているとしても、今も友人だと宣言してくれたのは良かった。

 

……気付いていなかった人々は、まぁそれはそれは大きな衝撃を受けていましたが。

生徒会長が偽物だった、という事実を伝えた上で「それでも彼を助けたいから協力してほしい」とモニカが提案するの、彼女の成長を感じて良かったですねぇ。

危険な作戦であることも考慮の上で、それぞれに考えはあれど協力してくれたも良き。

かつての友人バーニーのアンバード伯爵領が魔導具作りの職人が多い土地で、秘密裏にとある魔導具を作りたかったモニカが彼を頼ったのも、良かった。

 

モニカは、「生徒会長は本物の王子であり、呪術師によってそう言わされていた」という筋書きで事を治めようとして。

その案に賛同してくれないだろう、結界の魔術師ルイスの足止めは必須だった。

結界を張った直後にモニカが援護するシーンが追加されていたり、茨の魔女や深淵の呪術師のフォローまであって、加筆要素が熱かったですねぇ。

……それだけ工夫してもなお、正面から打破してきた武闘派魔術師なルイスが恐ろしすぎましたけど。

 

内心オドオドしまくっているけど、ブリジットからの指導を受けた上で、強い女の演技を貫き通したのはお見事。

クロックフォード公爵、色々と暗躍して敵対者の排除とかも容赦なくしていた人物ではあれど、外交などで実績を積み上げても居て。だからこそ、王すら無視できない派閥を形成できていたわけです。

父に冤罪を着せた仇でもある人物。しかし彼を追い込みすぎると、モニカの目的である生徒会長の救出に関して邪魔される可能性もある。だから手打ちというか、ほどほどの決着を迎える必要があった。

 

……いやまぁ、父の名誉回復を図るためなら、生徒会長を見捨てる選択をして、公爵の暗躍を暴けば、国力の低下を招くけど出来なくはなかったですけど……。それでも、今生きている人の為に、モニカが選択をしたのが重い。

暗躍を続けるクロックフォード公爵が強大な敵として描かれる中で、国王陛下は病気療養の関係もあって影が薄かったですけど。彼もまたチェスのプレイヤーのように盤面をしっかり見ていたのは、流石の王族というか。矜持を感じて好きです。

アイザック、救われた際に感情を揺さぶられて、自分のやりたい事を模索するようになって。モニカに押しかけ弟子入りまでしているのはこう……思う所なくはないですけど。

モニカがそもそも彼を救う選択をしたしなぁ、とか。実際、モニカの生活能力壊滅的だから助かるは助かるんだよなぁ……という気持ち。

モニカの初恋が実って欲しい派ではありますが、どうなりますかね。特典SSなどをまとめた短編集や、WEBの外伝をもとにした続編なんかも刊行予定とのことで楽しみに続きを待ちたいですね。WEB外伝、そもそも結構な量あるのに、なんか10巻は完全書下ろしらしいので、まだまだサイレント・ウィッチを楽しめそうです。

彼女は窓からやってくる。 異世界の終わりは、初恋の続き。

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「友達になろうぜ、咲耶。俺は、『文月』でも『魔女』でもない、ただの咲耶とそうなりたい」

 

主人公の陽南飛鳥は、異世界に「勇者」として召喚され、「魔王を倒してくれ」と依頼された。

その隣人である少女・文月咲耶は逆に魔王に呼び出され、「勇者を倒してくれ」と依頼されて「魔女」となった。

敵対陣営だった二人は、戦いの中で再会しなんだかんだあった末、なんとか現代地球に帰ってくることに成功したわけですが。その時には既に二年の時間が経過していた。

地球に帰還しても異世界での技能は仕えたので、魔女の魔法でそのあたりの認識はある程度誤魔化してもらったみたいですけども。

 

年齢経過による成長まで誤魔化せるわけでもなく。……要するに高校を留年している事実までは確定していて。

異世界の常識に影響を受けたこともあって、特に飛鳥の方は学校でも浮いている状態だった。……まぁ彼はクラスに馴染む以前に、金銭的な事情にも恵まれておらず、生活もなかなか厳しい水準になったりしてて、ベースが過酷なんですが……。

 

そんな飛鳥の隣人でもある咲耶は、魔女としての様式美にこだわってなぜか窓からやってくることがあって。

深夜におろしたての服着てめかしこんで訪問してるの、可愛いですよね。タグきり忘れている抜けている部分もあるのも、微笑ましいし。

飛鳥のいう所の「異世界ボケ」に悩まされている二人は、元々クラスメイトで委員会が一緒だったりして顔と名前は知っている間柄だし多少の付き合いはあったようですが、「相手を良く知っている」と言えるほど親しくしているわけでもなかった。

 

そんな2人が改めて友人関係になって、不器用なりに交流していってるのは良かったですね。咲耶も一応お嬢様ってこともあって、他人と距離を置きがちだったみたいですし、相手が飛鳥であることもあってわりかしポンコツになってる時もあるんですけど。

異世界で大変な思いをした2人が、現代で平和な日常を送ってくれれば……良かったんですけどね。

「魔女」が地球で魔法を使えたように。「勇者」も聖剣を携えたままだったりと、それぞれが隠していたこと、秘めていた想いがあって。近づいたからこそ見えてしまった「隠し事」が明らかになって、派手にぶつかる羽目になったりもしてましたが。

そうやって一度ぶつかったことで、より親しくなれたのは良かったですねぇ。これからにはまだまだ課題が多そうというか、困難が待ち受けてそうですけど。2人で乗り越えてほしいものです。



転生王女と天才令嬢の魔法革命 王宮秘話

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「貴方のお陰で、夢に手が届きました」

「ハルフィス……」

「私は貴方から教えてもらった希望と一緒に、胸を張って、いっぱい幸せになります」

 

ドラゴンマガジンに掲載された短編5編と、書き下ろし2編を加えたSS7編を収録した短編集。

20203月収録の話なんかもあって、「離宮に来たばかりのまだ距離感を図っている頃のアニスとユフィ」の姿が見られたり、ユフィが王女になってからのイチャイチャ風景が見られたりと、エピソードごとにテイストが違って楽しかったですね。

 

本編だとユフィとアニスのメイン2人や、側にいる人々との関わりだったり、女王となったユフィや王族としてアニスが国の難事に対峙することになる展開が多いわけですが。

そんな中で掘り下げが薄かった、アニスとアニスの母シルフィーヌとの交流が描かれている第2話「子と母と」が良かったですね。

アニスも魔法の才能が無いことで傷ついたけれど、母であるシルフィーヌもまた傷ついていた。同じくらい不器用で、似たもの同士でもある2人の距離が少し近づいたのはホッとしました。

 

3話「愛という難問の答え合わせ」は、子爵家令嬢であるレイニが実家との関係をどうするのか、という話になっていたり。5話「記憶の景色は、時計の針を進めない」は同じように実家と距離を取っているティルティの事情を深掘りする話だったり。

家族というものについて語るエピソードが多かった印象ですね。6話の「ハルフィスの結婚」も、貴族の家の話でしたし。

ハルフィスの婚約者であるマリオンは次男であり、家を継ぐはずではなかった。けれど、次期当主予定であった兄の婚約者の家が、女王の怒りを買い……婚約者を救うためにマリオンの兄が婿入りするという話も出てきたりして。

マリオンがアンティ伯爵家を継ぐ可能性が出て来た中で、理想的な王であるユフィが精霊契約者なのも相まって、神に近く感じられ近くに居られない、と感じる人もいるとも語られていました。

 

畏怖の念を抱き、失言をする前に距離を取る判断が出来るあたりマリオン兄は理性的ですよね……。この国の貴族、ユフィの怒りを買ったりする馬鹿も多い中で、しっかり差異を感じてるのは聡明ですよ。自分の器の限界、と彼は言っていましたけど。

全員が精霊契約者みたいな超人になった国とか、それはそれでヤバいので、ああいう判断できる人が居るのは良いことだと思います。

その上で、この国を改革していくユフィやアニスに近しいハルフィスやマリオンを残していくんだから、しっかり仕事はしてるともいえる。

 

4話「愛への報復」は、年上なのにいつも攻められてばかりのアニスがユフィに反撃しようと、レイニを巻き込んで一日メイドとしてユフィに仕えようとする話。……まぁ当然のように反撃くらって、いつも通りの流れになってましたが。アニスらしくて微笑ましかったですね。

7話「二対一組への誘い」は書き下ろしエピソード。ユフィが女王になった後、アニスの地位が向上した中で、職人たちから「アニスに相応しいドレスを仕立てたい」と嘆願が出されることになって。気乗りしなかったアニスがそれでもドレスを仕立てる中で、楽しみを見出してたのが良かったですね。

……しれっとユフィの愛の重さも描かれていましたが、まぁそれもまたいつも通りではありますか。

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件9

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「……周くんは私を何度泣かせたいのですか」

「それが嬉し涙なら何度でも」

「……もう」

 

周の誕生日を祝い、部屋に泊まった真昼。

早くに起きて周の寝顔を眺めてる真昼も可愛いし、布団の魔力とそんな彼女が側にいる幸福感から二度寝しそうになってる周は本当にもう……。

お互いにお互いへの好意を隠さず、大切にしあっているの良いですよね。

大分関係がこなれてきたというか、学生カップルというよりは若夫婦みたいな距離感なんだよなぁ。でも幸せそうな2人を見ているの本当に楽しいので、もっとやれと焚き付けたい所存。

 

真昼という大切な人が出来たことで、周の軸が定まって。

彼女を大切にしている態度を見てきたクラスメイト達から、「昨日誕生日だった」という話を聞きつけられてお祝いされてるのを見ると、大分変ったなぁという感慨深さがありました。

時間を費やして2人の関係が深まっているわけですが、学生としてみると受験とか進路とかを本格的に考えないといけない時期でもあって。

樹は相変わらず父と反発しているし、真昼は三者面談があることを両親につたえてすらいなかったし。それを思うと、周の両親は本当に良い人だよなぁ……と思う次第。

 

そんな日々の中で、真昼の誕生日も近づいてきて。

真昼は誕生日を周囲に伝えたがらないことや、そもそも良い思い出がないイベントだったわけですが。

そんな彼女に幸せを与えたい、と「準備して祝わせてくれ」と真正面から伝えるの実に周くん過ぎて笑っちゃうな。

当日は2人だけの時間にしたけれど、準備時代は友人たちやバイト先の人々なんかも協力してくれて。普段の周だったらやらない決断なんかも下して、本当に最高のお祝いにしていたのは良かったですね。

 

ドラマCDとスクールカレンダー付の特装版も同時発売していて、そちらも良かったですねー。スクールカレンダーは眼鏡スタイルを楽しめるという売りのために真昼の顔アップだけでしたが、可愛いですよね本当。



転生王女と天才令嬢の魔法革命8

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「私がユフィに選ばせちゃったんだね」

「えぇ、貴方が選ばせてくれたんです」

「……呪いみたいだ」

「私には祝福でしたよ」

 

魔学都市アニスフィアの建築は順調で……だからこそ、そろそろ王族であるアニスの格に相応しい建物を建築しようか、という話が出てくる程度には余裕が出てきた。

そんな中、今回トラブルが起きたのは王都……ユフィリア側の方で。

王都のある中央とアルガルドの送られた東方地域の関係は、ひとまず落ち着いている。ということで、独自の連帯感でまとまっていてなかなか手を出せずにいた西部の問題に触れることになったのですが。

 

パレッティア王国が抱えている問題として、貴族と平民の間に溝が生じていること。精霊信仰が過ぎた上、一部では腐敗もしている、と。

ユフィとアニスは改革を進めていますが、片や精霊契約者、片やドラゴンの力を宿した少女、ということで永い時を生きることが約束されている存在なんですよね。だからこそ、ある程度のタイミングで身を引くことを検討していた。

それを踏まえた上で、ある程度ユフィもアニスも譲歩してきたというか……我慢をしてきたわけですが。

 

アニスやユフィの周囲に居る人々が、アニスが鬱憤を貯め込みまくっていることや、それを我慢してくれているのは彼女の温情だと理解しているのはせめてもの救いか。ティルティなんかはもっと直接的に「まだアニスがこの国を見限ってないのが凄い」とか言ってましたしね……。それは正直そう思う部分はある。

腐敗の極みみたいな西部の貴族は、ユフィと対面した時にアニスの事を侮るような事を言って。そのことでユフィは怒りに揺れた。普段は食事や睡眠をとって人間らしい生活を装っていたけれど、それすらできなくなる程度には人から離れてしまった。

そんなユフィを見てしまったことで、アニスもキレて西部を更地にしそうな勢いがつきかけたりもしましたが。踏みとどまって、理想の為に切り替えられたのは良かったか。

舐めた西部の貴族に相応の対応もできましたし。アニスもユフィも人を超越した故の危うさもありますが、互いに互いを思い合っているからバランス取れてるのが良いですねぇ。

魔法使いの引っ越し屋 勇者の隠居・龍の旅立ち・魔法図書館の移転、どんな依頼でもお任せください

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「隠居のために、信頼できる引っ越し屋を探していたんだ。すると君の魅せに辿り着いた。……ある噂を聞いてね。王都の郊外にある、魔法使いの引っ越し屋」。そこに行けば、どんな悩みを抱えていても素敵な旅立ちにしてもらえるとか」

(略)

「私のお客さんになった以上、勇者様の旅立ちも素敵なものにしてみせましょう」

 

平民にも関わらず王立魔法学園で名前をとどろかせた天才魔法使いの少女が居た。

様々な栄光と同時にはた迷惑な騒動を起こしたこともあったようですが、卒業後何をしているのかを知るものはほとんどいないとか。

なぜならその少女、ソフィ=イザリアは卒業後、誰にも行き先を告げずにふらっと姿を消し……なぜか魔法を駆使した引っ越し業を営んでいた。

 

と言いつつ王都に店を構えているし、同期で首席を争った少女が度々足を運んでいるから、最終的に国の一部には動向を把握されてそうですけど。

有象無象の注目からは逃れることには成功してるんじゃないですかねぇ。……難しい浮遊魔法を駆使して空から荷物運びしたりしてたので、そう遠くない未来に普通にバレそうな気もしますが。

後に彼女の持ってる称号が影響してそうだなぁ、という納得をしました。バレてるけど、放置されてるのか。

 

そんな彼女のところに持ち込まれるのは普通の配達ばかりではなく……。サブタイトル通り、勇者や龍といったトンデモ依頼人たちからの願いもあって。

魔王を討伐しその後50年も戦い続けている勇者に、「当時に出会っていたら間違いなく仲間にしていた」と言われるあたりソフィの才能はずば抜けてるみたいです。

……そりゃまあ普通は魔法にたけているからと言って、「屋敷丸ごと運ぶオプションもありますよ」って言われる想定はしないのよ。

国王は勇者の引退を認めてくれていたけれど、彼の実績を見て育ってきた宰相や騎士団長とかが反発して引き留め工作があったりもしましたが……それを踏み越えて引っ越しを成功させたのはお見事。

 

その後も、神獣の引っ越しを請け負ったり、特殊な魔法が作用している魔法図書館の引っ越しに関わったり。特殊な事例ばっかり引き受けて、その状況下での苦労も当然ありましたけど、その都度適した対応をしていっているのが、『時代の魔術師』という称号を持っているだけはあるなぁと感心してしまった。

魔法図書館の引っ越しで、失われた魔法の復活まで成し遂げていたのはお見事。核となる物を見つけただけで、完全再現まで出来たわけじゃないから……と発表を控えていたあたり、自分へのハードルが高いなぁ。
どの引っ越しにも物語があって、そんな引っ越し屋をすることになったソフィにもそれを志した過去がある。うん、1冊で良くまとまっている感じがして好きでした。

魔女と傭兵2

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「確かにそいつは憎い。ぶち殺してやりてえ……だがな」

(略)

「……俺にとって死んだ仲間の仇討ちより、生きた仲間を守る方がずっと大事なんだよ」

 

異大陸に渡り、冒険者活動を楽しく行っている魔女シアーシャと、変わらず傭兵としての在り方を貫いているジグ。

シアーシャの依頼に護衛として同行したり、宿も一緒だったりと変わらず不思議な協力関係を続けている2人ではありますが。

実力が確かなこともあり、今後の事も考えてシアーシャは臨時で他のパーティーに加えてもらって集団行動を行うことに。

 

そうするとジグは手が空くわけですが……。以前知人となった冒険者のイサナから子ども誘拐事件の捜査協力を頼まれることになって。

専門分野とは言えないものの傭兵である以上、仕事であるならばと全力を尽くすジグが好きですね。揺らがない軸があるキャラは好きです。

まぁ傭兵として荒事を経験してきたのもあって、ここが異邦だからというのを抜きにしても彼の常識って時々歪なんですけどね……。

 

「人殺しを楽しんでしまう」という性癖を持ったライカを相手にしていた時とか顕著でしたけど。魔女シアーシャを受け入れたように、異質とされる相手にも「そういうものだ」という認識で受け止めているのが強い。

そして、今回シアーシャが単独でいるシーンも描かれていましたが……思った以上にジグ大事にしているというか、彼女の寄る辺になっていてちょっと怖くはなりましたね。

ジグ、傭兵家業を続けている関係もあってどうしても荒事に参加することにはなるし。魔物の異常行動などいろんな異変が起きている中で良く巻き込まれていたりするしで、簡単に生死の境をさまよいそうな気配がありますが……。そうなった時、シアーシャがどうなってしまうのかという不安が。長生きしてくれ……。

 

謎の双刃剣使いが冒険者を斬る、という事件が起きて特徴的な武器菜性もあってジグが疑わる一幕もありましたが。

仕事に関して他言は出来ないというスタンスを崩さず、相手に必要以上の被害を出さずに抑えたジグはお見事でした。

肝心の事件は関わることもなく終わるかと思いきや、護衛対象にちょっかいを出してしまったばっかりに刈られることになっていましたが。まぁ、遅かれ早かれではあったでしょう。

シアーシャがジグに懐いているのが微笑ましいので、2人の関係を今後も見たいものですね。

 

魔女と傭兵1

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「悪いが、お前の事情に興味はない」

(略)

「俺が興味あるのは、お前に、仕事に見合った報酬が払えるかどうかだけだ」

 

魔術を操り、人知を超えた被害を齎す存在、魔女。

かつては魔女の怒りを買ったことで、一夜にして滅びた国すらあったという。

そんな魔女を殺そうと貴族が出兵。過去の討伐隊が誰一人として戻らなかったことから、領主の私兵意外にも民兵や傭兵などを集めに集めて挑んだようです。

メインキャラの一人であり、タイトルの傭兵部分を担うのが『ジグ=クレイン』。彼もまた貴族に雇われて魔女を殺さんと現地に赴いた一人だった。

 

危険な相手だろうと、前金は受け取っているのだからと果敢に攻め込んでいくの良かったですね。体格の良い彼が使っている武器は、それに見合ったサイズと威力で……あとロマンもあって良かったですね。

ジグは歴戦の経験などもあって、標的であった魔女ことシアーシャの命に手がかかるところまでたどり着きましたが。

魔女との激戦の中で雇い主であった領主の息子が死亡。これでは残りの報酬は受け取れないから、と魔女を殺せる距離だったのに「これ以上は仕事じゃないから」と殺さない選択を取って。

……その態度に思う所があったのか契約解消してフリーになったジグを、シアーシャは自分が雇いたいと言い出すことに。

 

魔女の身の上話には興味がないと言いつつ、報酬があるなら仕事は全うする。ジグ、公私の線引きがハッキリしているというか、自分が干渉するラインを見極めているので結構好きなキャラですね。

彼らの住む大陸全土で忌避されていると言っても良い、「魔女」という存在に雇われることも厭ってないですし。雇われた後は、彼女のためになるように動いていますし。

彼がした提案が、この大陸で忌まれているのならば、別の大陸に渡ればよいというもので。技術の発展で、今まで渡れないとされていた異大陸へ渡れると目され、調査船団が出ることを知っていたジグの提案にシアーシャが載ることに。

 

そして実際に、異大陸にはたどり着いていたわけですからお見事です。えぇ。技術発展ってすごいですね!

……まぁ、異大陸ではジグ達の故郷では魔術が御伽噺の存在となったように、歴史の中で消えていった魔獣と呼ばれる狂暴な獣が生存していて、調査隊ほぼ壊滅したんですが……。

 

情報が何もない中で孤立することになったジグとシアーシャでしたが、2人とも戦闘技能は確かなので、そこまで不安はありませんでしたね。実際、調査隊が壊滅した騒動の時も、無事に生き残っていましたし。

傭兵として多くの出来事を見てきたジグは数百年単位で引きこもっていた魔女に比べれば、対人関係なんかにも気を配れる人材だったのもありがたい。

 

異大陸ならではの事情もあって、異なる文化に戸惑うことも多々あれど、少しずつ人の世界に踏み込んでいけているのは良いですねぇ。

異大陸ではヤバい傭兵が多かったりしてジグが衝撃を受けていたり。魔獣対策がメインの冒険者と呼ばれる職業が広く受け入れられていて、シアーシャがそれに参加することになったり。有能だから色々と注目を集めることになったり。

イベントには事欠かない生活を2人は送っていくことになります。いや、評判いいのは知っていたんですが読むの後回しにしてしまっていたシリーズで……実際面白かったですね。私は好きです。



春夏秋冬代行者 秋の舞 上

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「俺も貴女が平穏に暮らせないことが辛くて許せません」

 

大和では春の代行者が季節顕現の旅を続けている時期。

秋の代行者・撫子は、『春の舞』・『夏の舞』の騒動を経て刷新された侍女と護衛を伴って、花見をすることになって。夏の陣営から護衛犬が派遣されていたりして、楽しそうな日々を送れているのは良かったですね。

……ただし、そんな中で護衛官の竜胆は忙しそうにしていた。それは外交部から持ち込まれたとある厄介ごとが原因で。

 

海外にある「橋国」の代行者から交流したいという要請があり、それが秋の陣営に持ち込まれていた。

雛菊が8年行方不明になっていた時期の様に、トラブルが起きた時に応援を頼める「互助制度」というのがかつてはあったようですが。異国に赴いた代行者が危害を加えられる事例があったために、大和ではその制度を放棄していた。

そもそも海外は大和よりも賊の活動が活発であることなどから、互助制度復活を狙う動きがあってそれに利用されかねないから、と竜胆たちはそれを受け入れないつもりだった。

 

しかし橋国も引かず……。春夏冬の陣営にも声掛けをしてきたし、最悪の場合は向こうがこちらにやってくるという提案までされて。

危険な地域に赴いて守るために尽力するか。過激な賊を招き入れる可能性を考慮してでも、迎え入れるべきなのか。最初に打診された秋が断ったことで、他の季節に迷惑をかけてしまった可能性。

そういういろんな思惑を考えた結果、再打診された秋陣営はそれを受けることを決めたわけですが。

 

いざ動く時に、夏の双子神の片翼である瑠璃と雷鳥、冬主従も出てきてくれたのはありがたかったですね。

季節の祖として、狼星は最終的に冬がその交流を受けるつもりだったみたいですけど。ただ、初手で提案を受けても軽んじられるから突っぱねたとか。そういった交渉のやりとりと、それぞれの季節を思いやった結果として、秋が受けてしまったのは悲しいすれ違いでしたね……。

 

春の誘拐事件を経て竜胆が彼女への愛を自覚するようになって、より大事にするようになっていたわけですが。

これまでの両親との距離感とかで示唆されていたものの、撫子が幼少期に置かれていた状況から、「良い子」であろうとし過ぎる彼女の在り方とで、秋主従の中でも微妙にすれ違いが起きていたのは、心配材料ではありましたね……。なんせ『秋の舞』の主役なわけですし。

橋国側のトンデモ要求をはねのけたり、今の竜胆は必死に主を守ろうとしていますが、最初期はそこまで必死ではなかった。そのことを知っている父との会話を撫子に聞かれたのも痛かったというべきか。

 

橋国での出来事がメインではあるけれど大和残留組である春主従とかの視点もしっかり描いていてくれたのは嬉しかったですねー。

瑠璃と狼星が初対面の時のいざこざを引きずってここまで来てましたが。季節の祖としての冬には、必要な態度というものがあるというのを、瑠璃が一緒に外交の場に出ることで感じて、少し態度が軟化したのも良かったですが。

……そうやって大和側が協力していてもなお、異国の地というのはなかなか動きにくいですよねぇ……。最後が不穏すぎる。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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