気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

★4.5

春夏秋冬代行者 秋の舞 上

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「俺も貴女が平穏に暮らせないことが辛くて許せません」

 

大和では春の代行者が季節顕現の旅を続けている時期。

秋の代行者・撫子は、『春の舞』・『夏の舞』の騒動を経て刷新された侍女と護衛を伴って、花見をすることになって。夏の陣営から護衛犬が派遣されていたりして、楽しそうな日々を送れているのは良かったですね。

……ただし、そんな中で護衛官の竜胆は忙しそうにしていた。それは外交部から持ち込まれたとある厄介ごとが原因で。

 

海外にある「橋国」の代行者から交流したいという要請があり、それが秋の陣営に持ち込まれていた。

雛菊が8年行方不明になっていた時期の様に、トラブルが起きた時に応援を頼める「互助制度」というのがかつてはあったようですが。異国に赴いた代行者が危害を加えられる事例があったために、大和ではその制度を放棄していた。

そもそも海外は大和よりも賊の活動が活発であることなどから、互助制度復活を狙う動きがあってそれに利用されかねないから、と竜胆たちはそれを受け入れないつもりだった。

 

しかし橋国も引かず……。春夏冬の陣営にも声掛けをしてきたし、最悪の場合は向こうがこちらにやってくるという提案までされて。

危険な地域に赴いて守るために尽力するか。過激な賊を招き入れる可能性を考慮してでも、迎え入れるべきなのか。最初に打診された秋が断ったことで、他の季節に迷惑をかけてしまった可能性。

そういういろんな思惑を考えた結果、再打診された秋陣営はそれを受けることを決めたわけですが。

 

いざ動く時に、夏の双子神の片翼である瑠璃と雷鳥、冬主従も出てきてくれたのはありがたかったですね。

季節の祖として、狼星は最終的に冬がその交流を受けるつもりだったみたいですけど。ただ、初手で提案を受けても軽んじられるから突っぱねたとか。そういった交渉のやりとりと、それぞれの季節を思いやった結果として、秋が受けてしまったのは悲しいすれ違いでしたね……。

 

春の誘拐事件を経て竜胆が彼女への愛を自覚するようになって、より大事にするようになっていたわけですが。

これまでの両親との距離感とかで示唆されていたものの、撫子が幼少期に置かれていた状況から、「良い子」であろうとし過ぎる彼女の在り方とで、秋主従の中でも微妙にすれ違いが起きていたのは、心配材料ではありましたね……。なんせ『秋の舞』の主役なわけですし。

橋国側のトンデモ要求をはねのけたり、今の竜胆は必死に主を守ろうとしていますが、最初期はそこまで必死ではなかった。そのことを知っている父との会話を撫子に聞かれたのも痛かったというべきか。

 

橋国での出来事がメインではあるけれど大和残留組である春主従とかの視点もしっかり描いていてくれたのは嬉しかったですねー。

瑠璃と狼星が初対面の時のいざこざを引きずってここまで来てましたが。季節の祖としての冬には、必要な態度というものがあるというのを、瑠璃が一緒に外交の場に出ることで感じて、少し態度が軟化したのも良かったですが。

……そうやって大和側が協力していてもなお、異国の地というのはなかなか動きにくいですよねぇ……。最後が不穏すぎる。

凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ1

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「――これは、予感よ、ソフィ。彼はそのうちすごい探索者になる。誰もが凡人ってさげすむ彼はそのうちきっと、星すらも超える探索者に。痛快でしょ?」

 

ダンジョン「バベルの大穴」が現れた現代世界。

そこで探索者として活動している味山只人は、指定探索者の中でも52番目の星と呼ばれる女性アレタの補佐役についているものの、当人には才能の輝きがない……タイトルにある「凡人探索者」であった。

 

最も、彼は少し前の探索で「耳の怪物」と戦って生き残った折に、特異な力を得たことで国の組織から注目を集める対象になっていた。

アレタの補佐であり、彼女から期待されている上に彼女自身も惹かれてる気配がなければ、即座に実験対象にされていた可能性がある危険な立ち位置でもありましたが。

でも味山が特異体質を得たの、「全世界同時に起きた記憶障害」の時期みたいで、それって1か月前なんですよね。味山、それ以前から探索者していたみたいですし……。

なんならその力を得たタイミングであろう「耳の怪物」との戦闘中ですら、アレタに対して「これは俺の探索だ」と言ってしまえる、尖ったメンタルを保持してる人物だったわけですが。

 

味山が得たのは耳の力。「ヒントを聞くことのできる」結構便利な能力ですけど、「それはお前の10倍は強い」とかそれじゃねーんだよ! みたいな情報もチラホラ出てくる、ユーザーフレンドリーではない設計ではありますが。

結局は扱い方次第で、重要なヒントくれることもあるので、そういう意味では味山はかなり上手く「耳」と付き合ってる感じはしましたね。

ちょっと耳が良くて、制限付きながらブーストも出来るけれど、あくまで素のスペックとしては凡人探索者に過ぎない。それでも、やりたいことがハッキリしているタイプというか、追い込まれたときに我を通そうとする在り方は見ていて楽しいので好きです。

あとルーチンなのか、戦闘時に端末に対して「味山只人の戦闘記録~」って定型の宣言をしてから戦いに望むの、地味ながら好きな描写ですね。

 

アレタが味山のこと結構気に入っていて、同じように粉かけようとする女性陣相手に毎回威嚇しに来てるの、飼い主を取られまいと威嚇するペットみたいな味があって可愛いと思います。

そこまでするなら早く付き合えば? とか思いますけど。あと、味山に惹かれてる女性陣誰も彼も個性が強いので、そのうち彼刺されると思います。刺されてもなんだかんだ生き延びそうだけど。

そもそもその威嚇しに来てるペット、国相手に脅しをかけて相手の譲歩を引き出せるくらいの爆弾を抱えた指定探索者という、この世界におけるトップランカー、なんなら怪物寄りの存在なんだけど。

 

この作者さんの作品、ダンワルこと『現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!』から読んでいて、繋がりを感じる部分もありましたね。

ダンジョンと探索者という設定とか、人知竜っていう単語が登場したりだとか。

この作品の気になるポイントとしては、プロローグがめっっちゃ不穏な気配しか感じないところですかねぇ。

現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!1

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「やることがたくさんある。めんどくせえ、だがその全てがたのしみだ。その全てが俺の欲望に繋がる道だ。道中の苦労、困難、試練、それを達成した時の悦び。ああ、そうだ、その全ては俺のもんだ」

夢を叶えるために超えるべき試練、それらすべては挑む者にのみ与えられる報酬でもあるのだ。

 

魔物が蔓延るダンジョン「バベルの大穴」が観測された現代。

そこではダンジョンに挑む探索者という職業が生まれており、主人公の遠山鳴人もまたその一人だった。

上級探索者になりベテランと呼ばれてもおかしくない位置にいたが……仲間を逃がすために残り、致命傷を負ってしまって。

さらには沈殿現象と呼ばれるダンジョンの異常にも巻き込まれ、死ぬことになったわけですが。彼の在り方を超常の存在が面白がって、異世界に放り込むことに。

 

遠山はゲームなどで切り札を出し惜しんだ結果、使わずにクリアしてしまうタイプの人間であり、自らが死に瀕した際にも切り札の使用を躊躇ってしまったこと。

死の間際に、叶えたかった欲望を思い返していたこと。異世界で覚醒した直後は、死の間際に夢を見ているようなものだと割り切っていたこと。

覚醒したタイミングの遠山が、異世界の冒険者たちに奴隷と扱われる境遇だったこと。精神は現代のもので、異種族への偏見がなくリザドニアンから上手い飯をもらったこと。

様々な要因が作用して、遠山は異世界で自由に強欲に戦うことを決めた。

 

一方でそんな遠山に多大な刺激を受けることになるのが、蒐集竜アリスだったわけですが。

異世界においてトップクラスの実力をもつ竜。異種である彼女は、その力ゆえに孤独を感じていた。

ちょっと興味本位で冒険者の狩りにちょっかいを掛けようかと思ったら、それが遠山が蹂躙した冒険者一派の作戦で……混乱に満ちた場所において彼女は、面白い行動をとっていた遠山と、彼と連れ立って逃げたリザドニアン・ラザールに試練を与えることにしたわけですが。

 

ラザールの決断も、遠山の決断も好きだし。その行動の結果、遠山がアリスに興味を抱かれることになって。

竜が殺されることは、すなわち竜の番が決まるということでもあって。異世界側の人物たちは戦々恐々する羽目になって……。遠山も逃げようとはしたものの、一度は捕まって。相手の強さを踏まえた態度を取っていたけれど、最後の譲れない一線を侵されそうになった時には、対抗も辞さない覚悟があるの好きですね。

自分の中にハッキリとした軸があって、自分の行いによって起きるデメリットにもある程度自覚的で(異世界の常識に疎くて騒動引き起こしもするけど)、戦い抜く姿勢を示す遠山は結構好きな主人公ですね。

超常の存在に与えられた矢印の導きに頼るときもあるけれど、自分の方針にそぐわない時は、「従うかよ」って抗ってくれるのも個人的にはポイント高い。

 

遠山を異世界に送り込んだ超常の存在、大分きな臭いというか。推定:彼女は、ダンジョンの事を「私の箱庭」と呼んでいるし。「貴方」と呼ぶ人物に執着しているっぽくて、遠山に『貴方』になりうる可能性とやらを見出してるし、いろんなナニカが干渉しているのを把握しているっぽいし。

遠山は異世界に放り込まれそこで様々なイベントに遭遇することになりますが、どこまでが掌の上なのかは気になるところ。

 

ダンジョン内部で発生したサブクエスト「あるいは懐かしき再会」で出会った人物も、遠山を知っているような素振りをしていたりしたし。

彼を興味深く見ている人々の台詞、読み返すといろんな含意があるんだろうなぁというの、創り込まれた世界観の気配を感じるので、書籍版読了後にはWEB版も見に行きたいですね。

わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)5

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「れなちゃんって…… ……誰にでも優しいよね~」

「それ紫陽花さんが言う!?」

 

真唯に誘われてファッションショーの見学に行ったり、意図せず彼女の母と遭遇したりしてるの面白かったですね。

高名な人物がれな子より背が低いの、なんか良いなぁ。……「それで抱かれたの? それとも抱いたの?」とか唐突に聞いてきたりする、面白ウーマンではありましたね。

 

そこから帰宅したときに、妹の友人ズとバッタリ遭遇して、真唯ママパワーで株上がってたの笑えた。

動物っぽい髪飾りつけてる黒髪の子がデザイン的には好みでした。

ファッションオタクっぽくて、好きなジャンルについて語るときテンション変わってるの可愛いですよね。

 

コミカライズも、紫陽花さんとの交流を深めていくことになる原作3巻へと突入したわけですが。推しの紫陽花さん描写が増えてとてもニコニコしてました。

れな子と遊ぶの楽しみにして、ちょっと気合れちゃうところとか、ゲーム上手いれな子と弟たちが遊びたがって「もー!」ってなっちゃうところとか、あまりにも可愛いポイントが多すぎる。

原作と同じで、合間に視点が変わる「瀬名紫陽花さんのお話」が入ってるのもこだわりを感じて好き。

 

あとは40話扉絵で猫を見つけて、れな子の袖を引いてる紫陽花さんとかも良かった。41話の糸電話持ってるのも好き。ラーメン食べる時、髪型変えてるのもいいですよね……。

諸々あって家出を決めた紫陽花さんは「自分の知ってるところにしか行けない」というものであれど、行動指針は有った。ただ、押しかけ同行者のれな子はテンションバグってたのは本当にもう……「楽しいに決まってるじゃないか……」じゃないんだよ。

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件2

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「真昼」
「名前くらい誰だって呼んでくれるだろ」

「……それもそうですね」
「……周くん」


BOOKWALKERで電子版を購入してるんですが、カバー裏に書かれているイラストが収録されてるのは嬉しいですね。

真昼が可愛い……。あと、電子版でカバー裏の収録あるタイトルはちらほらあるんですけど、袖――カバー折り返しの著者コメントとかまで収録してるのは珍しい気がします。

構成担当の優木すずさんのコメントがとても笑えました。

 

これまでの交流から周がある程度信用を勝ち取れたのか、食費折半でなら出来立ての手料理を食べさせてくれることになって。

ありがたい提案にまず「それでいいのか?」的に真昼の意見を聞いてくれるのは偉い。

周の部屋でエプロンつけて料理してる真昼の様子がとてもかわいくて良かった。

ゴム加えて髪整えてる絵は小説1巻の挿絵にもありましたけど、漫画だとより鮮明に描かれるわけで。調理器具泣いてるコマとか、潔い周に嘆息するところとか、周が奥さんもった気分って照れてるところとか。

全体的に微笑ましい空気を感じ取れて可愛い。無言ジト目で「変なこと考えてません」ってなってるところとかもよかった。

 

おいしそうにご飯を食べてる周が良いし、彼の言葉を聞いて笑う真昼が可愛い。

巻末の書下ろしSSが「二人の関係性」で真昼から見た周の印象についての補完ができるので、それも併せてみるとニコニコできますね。

「頑張らないといけませんので」の時とか、時折真昼が影を見せる時もあるのですけど。

周がそれに気付きつつ無理に踏み込まないのも良い。

 

そうやって気遣いができるからこそ、周の近くにいるときに真昼は自然な笑みを零してくれるんだろうなぁって思えるのが良い。

ひょんなことから預かることになった合鍵を、初回とか特に大事そうに抱えたり。返す時ちゃんとハンカチで包んでいたり。いざ使用するときに躊躇いを経てから「えいっ」ってやる真昼が可愛くて、良いコミカライズを堪能させてもらいました。


アラサーがVTuberになった話。

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「あんだーらいふのファン舐めんなよ? こんだけ燃えてる私にだってファンいるんだからさ」

 

ハーメルン、小説家になろう、カクヨムでマルチ投稿されてる作品。

ブラック企業で働いていたら過労で倒れ、このままの生活を続けていたら危ないと医者に言われ退職した主人公。

貯金はあるのでしばらくは生活できるけど、これからどうしたものかとなっていた彼に妹が「VTuberになってみたら」と言ってきて。

試しに応募してみたら採用されて、トントン拍子でデビューすることになります。

 

しかし、ほとんどが女性の事務所からのデビューだったために、良い印象を持たれていなかったところに、同期デビューの男VTuberが「前世」問題で炎上しデビュー翌日にクビ。

行き場のなくなった怒りが同期というだけで主人公に向けられることになります。

それ以降も、直後にデビューすることになった後輩女性VTuberSNSで反応しただけで小火騒ぎ起こされたり、当人に非のないところで炎上しまくってるのはお辛い。

 

とは言え主人公はあくまでVのガワの着てるし、ブラック企業勤めの社畜だった経験もあってかそんなに気にしてないんですよね。

アンチに張り付かれて低評価爆撃くらっても、そのこと自体はダメージになってないし。

企業所属VTuberとして結果が出せておらず、配信でも面白さを発揮できずに虚無長時間配信とかになりがちだとか、そういう方面の心配はしてるんですけど。

 

彼の視点だとそこまで重くなさそうでしたが、妹目線だと放っておけない状態だったってのも描かれてますし、彼の心境描写どこまで信じたものやら。

あとがきに曰く『主人公が救われる話』らしいですし。救われないといけない何かを抱えてるってことじゃないですか……。1巻で漏れ聞こえてる範囲でも、結構爆弾抱えてそうではありましたけどね。

それでも自分のことで手一杯なのではなく、周囲の人を気に掛けることができる主人公が本当にいい人だったので、いつか救われるまで見届けたいって思いましたね。

 

主に主人公の視点で進行しつつ、彼の妹だったり、事務所の後輩たちだったりの視点が入って、心情を補足していく形式。

各章の終わりに掲示板回があるんじゃないかってくらい多いのも特徴ですね。掲示板回、好きなので結構うれしかったです。まぁ炎上しがちなのでアンチもいるんですが、ファンもいるし、なんなら妹ちゃんも出てくるし。

いくつかのスレでは「今日の妹ちゃん」のコメントまでついてるのが面白かった。

 

ただ最初のほうはレイアウトにちょっと慣れなかったですね……横書きの文章みると視線が左上に行っちゃうんですけど、横書き2列構成の右側の列先に読まないといけないのでついつい行きすぎちゃうことがあった。

でも掲示板回が多い分、横書き1列とかにするとどうしたってページ数嵩むので、納めるために考えられたレイアウトだとも思うので、これはこれで良いと思います。

途中から慣れてきたし。でも、真ん中に縦線でも入ってたら違ったかも……? そんな変わらないか?

電子で読んでたからってのもあるだろうか。BOOKWALKERの電子版、カバー裏も読めたんですがあちらはメガイラスト仕様で右側から読めたしな……。

 

あと面白いと思ったのは、イラストがV側しかないんですよね。オフコラボやリアルイベントもやってるんですけど、いわゆる「中の人」が描かれてるべきところVの絵で通してる。

そもそも地の文からして「中の人」の名前が基本出てこないので、作品として一貫してる部分ではありますけど。中の人も出すと、キャラの名前っていう情報量が増え続けていくことになるので、こういう形もアリかと思いました。

春夏秋冬代行者 夏の舞 上

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「こんかい、は、雛菊たち、が、夏の、ふたり……たすける、番、と、雛菊、思い、ます」

 

春の事件において、前例のない春夏秋冬の同盟を結び良好な関係を築いた代行者たち。

その結果として、四季庁の内部に入り込んでいた不届き者もいくらか捕縛することが出来たようですけれど。

それはつまり、これまで季節を回すための機構のように使い潰されてきた代行者たちが、今の権力者に噛みついたとも見ることが出来て。

 

良く思わない勢力が工作をして、「夏がなってしまった双子神は凶兆である」という噂を流し、彼女達は窮地に立たされます。

家同士の関係などもあり、婚約破棄までされてしまってかなり心が折れていた。

あの様子を見ると、『老獪亀』と名付けられた保守派の打ってきた一手はあながち間違いでもなかったんですよね。

 

ただし、彼らは「これまでの積み重ね」を重視しすぎて、春の一件が代行者や護衛官に与えた影響を軽く見てしまったんですよね。

別の思惑も相まって瑠璃とあやめと連絡が取れなくなって、春も秋も冬も心配していますし。危険が迫っているかもしれないと助ける為に行動を開始しますし。

戦う覚悟の決まった代行者と、彼らを守る戦力が整っている集団を敵に回したいか問われて「ちょっと戦車とか欲しい」って竜胆が返すシーンが笑えて好きです。

 

葉桜姉妹の共依存な関係、好きでしたけど……家族が神様に選ばれてしまって、何の影響もなかったはずもなく。

色々抱え込んでいたあやめの内心がとても痛い。思わず一度逃げ出そうとしてしまったのも頷けるけど……その結果として、婚約者と出会って良い恋を出来たんだから運命的とか言いたくなりますね。

 

瑠璃も明るい子だけど馬鹿ではなく、彼女は彼女で抱え込みまくっていたよなぁ……と言うのが明らかになって。それでも、行動を起こせる強さがあるのが「夏」って感じだよなぁ、とか。

四季の現人神だけではなく、この世界では朝と夜を齎しているのも射手と呼ばれる神様の代行者で。黄昏の射手が登場して、そちら側の情報とかも出てきたのは設定開示回好きとしては嬉しかった。

 

代行者と護衛官の周囲はとても尊いですけど、その周囲には悪意が蔓延っていて、中々生きにくい世界ですけど、せっかくの縁で四季の同盟を組めたのですから、倦まず進んでほしいですねぇ、ホント。

今回でいうと、味方側ですけど残雪視点がなぁ。あそこで呪われてしまっただろう感が凄くて。血縁ではあれど、問題には関与してなかった人だけど逃げられなくなったんでしょうね……。アレ、何かのきっかけで暴走しかねないので怖くもありますけど。

Unnamed Memory –after the end-1

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「心配しなくても、充分優先してもらってます。だって私と一日中一緒にいてくれますし」

「おれが一緒にいたいからな」

「あと私のために変節しなくていいです。王であったころから、そういう貴方のことが大好きですよ」

 

16巻で完結した『Unnamed Memory』。その本編後の時間軸を描くエピソードですね。

感想記事にはネタバレも含まれますので『Unnamed Memory』を読んでない方はご注意を。

 

同じく電撃の新文芸から刊行された『Babel』は、『Unnamed Memory』から300年後の物語となっていましたが、ate1巻はUM6巻~Babel1巻の間の時間軸を描いています。

作者様サイトなどWEB版を知ってる人向けに言うと、「双頭の蛇」などが収録されています。

 

以下詳細感想。

 

いやもう、カラー口絵からして破壊力高いですよね。オスカーが繰り返しティナーシャを着せ替え人形にしている気持ちも良くわかるというか。麗しい……。

エルテリアを砕いたことで、人の理から外れた逸脱者となった2人。冒頭は禁呪を抑えた関係で不安定になったティナーシャが、自分たちの立場について自覚する話だったんですが。そのメッセンジャーがルクレツィアと言うのがにくい。

 

今回も断片的に描かれてますが、最古の魔女である彼女は色々と秘密を抱えているんですよねぇ。

UMateはあくまでオスカーとティナーシャをメインで描く予定なのか、2人の子供たちも登場はしますがWEBからすると割愛された部分とかもありますし。ルクレツィアの情報も、コレだけだと完全には分からないんですよね……。未書籍化の『Rotted-s』とか読むと面白いですよ。

子供達のエピソードも、カクヨム公式連載の方の『Unnamed Memory』のページ(https://kakuyomu.jp/works/1177354054892436933)で発売記念SS『新しく始める前に』が掲載されたりもしてて、描写が増えてる部分もあります。

作者様サイト「noseen flower」内には、ほかにも子供達のエピソードはあるんですが……書籍化による加筆で分かりやすくなってる部分も多いので、今すぐ手を出すべき! とオススメして良い物かは悩ましい部分もありますね……。

 

狂い刃のエピソードとか、nsf内のSSでちょっとだけ触れられてたんですよね。でも、あれがどうやって生まれたのかとか、どんな仕組みで動いているかとかは書籍で詳細が語られた形になってますし。

 

この世界で生まれた呪具として、外部者の呪具を砕く役割を与えられた2人。

オスカーは王位を息子に譲ったのち、死を偽装してティナーシャとその探索に入るわけですが。

大陸が広いということや、異能が存在するため「不可思議な噂イコール呪具ではない」という状況下では、この2人でもサクサク破壊して回るというわけにもいかず。

 

いざ目の前に転がってくれば大体対処出来てしまうのがこの2人でもありますが……。かつてUM本編において、オスカーがアルカキアの毒を食らったように、2人も完全無欠の存在ってわけではないんですよね。

逸脱した2人は不老であっても不死ではなく、喪失を重ねて永い永い旅を続けていくことになるのです。その始まりを描いているのが、「狂い刃」~「双頭の蛇」なわけで。

 

比翼連理の相手を失い、気落ちしまくっている様子はとても胸が痛くなります。その後、再会が叶った時の、これまでとは違ったアプローチをしている様子とかはとても微笑ましく見えていいんですけどね。

UMは本編後が本番、と言うのはこの逸脱後のエピソードの濃さが大きいので、ate2巻以降続いてほしいものです。

天使たちの課外活動6 テオの秘密のレストラン

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「きみは、自分は料理しかできないという。それでいいんだよ。いつものように料理をしてくれれば、それでいいんだ」

「……どのみち、他にできることは何もねえよ」

 

テオドール・ダナー関連のエピソードが増える度に、故アンヌ女史の株が上がっていく……。テオドールの事を本当に好きだったんだなぁ、という想いも伝わってきますけど。

自分が死んでしまった場合でも、問題なく状況が進むように段取りを整えていたのはお見事でした。近しい人達ほどなにも知らず、死人からメールが来て驚く羽目になっていたのは……彼女なりのジョークだったのだろうか。

 

店舗を建て替えなくていけない時期になっていること。隣のビルのテナント契約が切れるため、念願の「テオドール・ダナー美術館」の建設を始めようと思っていること。

そして店を締めざるをえないのだから、他の場所で腕を振るえるように環境を整えておくこと。根回しが完璧すぎて笑うしかありませんな。

 

美術館建設のために、一時的に倉庫の物資を移送する専門の業者と鑑定家たちがやってきてましたが。パラデューと和解していて本当に良かったな……って思いましたね。

彼が居たから説得力も生まれたでしょうし、口下手すぎるテオと読解力に難がある彼の家族だけじゃ捌き切れなかったでしょ……。

 

各ジャンルの鑑定家たちが倉庫に保管された、数多の美術品を見て驚愕している様子も面白かったですねぇ。それだけのものを、テオドールのためだけに揃えたアンヌの手腕も恐ろしい。

二年前に亡くなっていなければ。リストのナンバリングは1万点に迫ってたんじゃなかろうか。

 

テオドール夫婦の事を知っている御仁が、新しくシティでホテルを開業する。従業員の特訓のためにもうけた3か月の期間だけ厨房に立つことになったテオドールでしたが……。

息子夫婦も連れだって向かったものの、口下手すぎる彼は厨房でひと悶着をおこして。

意思疎通がまだ叶う人材としてルゥに助力を願ったのは、身も蓋もないと思ったけど正しい。中学生に声をかけるのは流石に……と常識を持っているのも素晴らしいですよねヨハン夫婦。

 

引き抜かれてきた若手の中でも腕利きとされる二人は、プライドを傷つけられて各々の師匠に泣きついて……その師匠たちがテオドールを尊敬していた為逆に叱られる珍事も発生してたのは笑う。

テオドールが理想の環境を作るために高額な美術品を(パラデューの出資を経て)購入していったのも面白かったですよね。奇しくも、4巻で言っていた「宮殿のような店を作れば、テオが良いという美術品も増えるのでは?」的発言が正しいと証明されたような。

 

その為に「暁の天使」まで引っ張り出して来たのは……笑うどころか肝が冷えましたけど。かつて盗難騒動が起きて、前の館長がそれに関わっていたという問題が解決した後に、「絵を貸して」って逆らえない指示が飛んでくるんだからもう……関係者の皆様の胃が無事であることを祈ります。


魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~4・下

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「世界は思ったよりも、愛に満ちているのかもしれないね」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで131日まで。

口絵のシーンをカラーで見られたのは嬉しいけど、ガッツリネタバレなので悩ましい。いやまぁ流石に上下巻の下巻の口絵を先に見る人はいないだろうからいいか! 

明らかになったもう一人の魔王アヴォスの正体。ただ倒すだけなら可能かもしれないが、それをすると仲間が犠牲になってしまう。

 

しかしアノスはそれくらいで諦める男ではなかった。本人曰く2000年前は諦めてばかりだったからこそ、今度は諦めないという決意が好き。

何をするにしても情報が足りないということで、2000年前に時間旅行するとか言い出す辺り相変わらずのトンデモ振りではありますが。

過去の世界でミーシャに零した「これだけの者を、俺は守れなかったのだ」という悔恨の言葉が痛い。一見傲慢に見える振る舞いもありますが、彼は紛れもなく王であり、その覚悟を持ってるのが明らかになったシーンは良かった。

 

他にもいいシーンがいっぱいあるんですよね。

例えば世界を隔てる壁が出来た後の大精霊レノと魔王の右腕であるシンの心温まる交流ですとか。大戦の終結に関係して潰えることとなった精霊、大戦の樹木ミゲロノフの在り方とか。

未来を大きく変えないように振る舞ったアノス達の残した僅かな爪痕が、未来に紡がれていくのも良かった。勇者カノンが信じた、愚かなだけではない人間の在り方を見せてくれた誇りをもった勇者イガレスも、新規登場ながらいいキャラしてましたよね……。

 

多くの人々が認識を歪められた現代でも、アノス達の事を信じてくれるキャラが居たのも良かったです。

後は台詞アリで動き回った初の神族がノウスガリアだったことで、この世界の神々の株がちょっと下がりがちだったんですが、アノスの障壁魔法に協力した創造神はまともそうで安心した。

勇者カノンもそうですが、暴虐と呼ばれるまで戦い抜いたアノスを認めてくれたのが、本当に嬉しかった。優しい魔王、なんですよね。

3巻のあとがきで「次の章が一番好きと言う方がかなり多くいらっしゃいます」と書かれていたのも納得の伏線回収巻でありました。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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