気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

★4.5

りゅうおうのおしごと!10

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「い………………いつ、から……? いつから……そんなことを考えて……?」

「最初に将棋を指した、その瞬間から」

 

始業式を迎え、担任が変わったというあい。

それまでの先生は将棋に理解があったが、若い女性の先生ということで、あいが内弟子として八一と同居しているのを問題視。

まぁ、打倒ですよね……とはいえ、始業式のその日から、事前連絡なしの家庭訪問には首を傾げてしまいますが。

JS研のメンバーの訪問と、小学生向けの大会の話が出て、そこで戦果があれば考えるということに。

 

とはいえ一番才能のあるあいは既に女流なので、アマチュア大会には出られないとのこと。

彼女自身も女流としての対局があって、JS研のメンバーと道を分かつような態度を見せてました。

指導の一環として小学校のスペースを借りたりして、八一のプロらしい一面も見れました。

 

しかし、本当に震えたのは、彼が隠していたあいの指導方針で。

将棋に全てを捧げた棋士の顔。観戦に来ていた先生が「わからなくなりました」と言うのも無理はない。

そして、大会が始まって。未熟だろうと、JS研のメンバーはそれぞれに最善を尽くして戦った。その姿はとても眩しく……

 

最後の、三段リーグで連敗を喫し、八一の下へ駆け込んできた姉弟子の深い絶望とのギャップが凄まじいことになってました。

桂香が八一と交わした約束の事と、これまでに描かれた姉弟子の追い込まれっぷりを見ると予想出来た展開ではありますが、予想以上に暗くて驚きました……


インフィニット・デンドログラム11 栄光の選別者

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「君にとって、彼との約束はあれこれ考えてやめてしまうようなものか!!」

 

アニメ化も決定し、好調の作品。

今回は、かつてアルター王国で起こった災害。

SUBM【三極竜 グローリア】編が描かれました。

WEB版では、過去編やユーゴ編などレイが絡まないエピソードも結構あるんですが、その中でも屈指のお気に入りです。

 

レイ以外のマスターも、それぞれに積み上げて来たものがあるのだ、と。

クラン第2位のバビロニア戦闘団。自分たちがホームにしている街へ災害が迫り、戦い抜いた彼らの姿が、鮮やかでした。

彼らが残した情報が、後の挑戦者たちの勝利につながったというのもにくい演出ですよね。

……そこに至るまでに、数多屍を積み上げて、惨状を生み出している辺り容赦ないですけど。

 

管理AI達の行動を想えば、絶対にこの世界ただのゲームじゃないわけですが。

……ゲームとして考えれば、1度しか登場しないレアエネミー相手にやすやすと共闘出来ないというのも分かるんですよねぇ。

AIにもそれぞれモットーがあって、フィガロをチェシャが焚き付ける場面とか熱くて好きです。

三本の首を持つ強大な竜を相手取って、フィガロが、月夜が、シュウが。それぞれ死力を尽くして戦う展開は必見です。

あの戦いぶり見ると超級凄いというか、大賢者の葛藤も少しは分からなくもないけど……フラグマンはフラグマンで事故案件だからなぁ……




つるぎのかなた2

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『分かった』

今、決意と共に改めて、その言葉を噛み締める。

『俺が、お前たちの大将だ』

 

団体戦。敗退すれば3年生は引退となる大会。

悠は、剣鬼として仲間を鍛える道を選んで。その標的となっている「常勝」秋水も、その重さを背負い練習に手を抜くことはなく。

先輩方の縁というか意地のために、大会前に秋水相手に出稽古をすることに。

 

大会が近いという事もあって、手札を伏せようとしたり暴こうとしたり。お互いに画策してましたが。

瀧本にしてやられてた悠は、剣道強いけど、まだこの辺りは苦手みたいですねぇ。

でも、悠はそれを必死にやったんですよね。苦手だろうと、泥臭かろうと、嫌われる事になったとしても。

 

集中しすぎて千紘とかにはちょいと仕返しされたりもしてましたが。

その努力の成果が見られる、団体戦。熱気がこちらにも伝わってくるような、迫力がありました。

帯にもあらすじにも書いてあるので触れますが。秋水と藤宮との戦いの果て、涙が流れることとなるんですが…

あの場面は、圧巻だった。そうだよな…勝負すればどちらかは負けるわけで。あの涙は、悔しくてそれでも、目を離せない美しさのようなものすらあった。

快晴も悠も、勝ち続けた末に化け物のように言われていましたが。

まだ高校生なわけで。彼らの人間らしさが描かれて、胸にこみ上げてくるものがありました。

 

いやまぁ、人間味があろうがどっちも剣道星人なの変わりませんけどね!

むしろ、悠が剣道復帰したことで、瞳は上段解禁するし、乾兄妹は互いに悠贔屓でテンション上げていくし。剣道星人レベル、急上昇しているのでは???

大会前に藤宮の男子組が焼肉食いに行ってる場面は笑えました。「この罪は重い」からの流れが特に。「こんなの、あまりにひでぇっス……」って八代の台詞がツボだった…。



七つの魔剣が支配するⅢ

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「――間に合った……」

 

オフィーリアが魔に呑まれ、ピートを含む学生が攫われた。

わざわざ手間をかけて「攫った」以上、何か目的があったためで即座に殺されてはいないだろうが……実験などの生け贄になっていない保証もない。

オリバー達は無事に帰還し、数日を過ごしていましたが。その間に行われた先輩たちの探索でも良い報告は上がらず。

 

教師陣も頼れない。「いざとなれば教師が助けてくれる」と生徒に思わせないための処置で、教員が動くのは生徒に対処しきれないと判断した8日目以降の事だそうで。

ミシェーラの父親は『守る力がないなら。ここでは、友を得た瞬間に失っているようなものなんだ』と語ったそうで。

毎度こちらの想像を超えてくるおっかなさですねキンバリー。この作品について語る時毎回のように言ってるんですが、やっぱり卒業時生存率八割って、嘘では……?

 

攫われた友の為に、迷宮に挑むことを決めたオリバー達。

しかしそれはほとんど自殺行為のようなもので。一年生で第二層に踏み込むことも稀なのに、オフィーリアの研究室は、最低でも三層。それも四層近くでは、なんて予想まで出てくるんだからなおさら。

そこに来て意外な顔が手助けしてくれて。キンバリーらしく、下心含みではありましたが、オリバー達にメリットのある提案でもあって。

後輩の成長を見守る先輩の視点も入って、中々新鮮でした。

 

……そうやって、オフィーリアを見守っていた人々も居たんだ、と。

彼女の過去が描かれていたのが胸に痛い。

かつてあったゴッドフレイの対策には、思わず笑ってしまったし、それを二か月続けた精神に驚嘆した。あとちょっと引いた。

けど、そんな彼だからこそ、五年生で統括なんてやってるんだろうなぁ。彼の信念はこのキンバリーにおいて異質で、眩しいもので。

 

あるいはオフィーリアが「サルヴァドーリ」でなかったら。そんなIFを少し、夢見ました。

サルヴァドーリという家の辿り着いた果てが彼女なんだと思うと、こんな騒動を引き起こした相手ではあれど、切なく感じる。

色々と気になる情報も出て来たりしましたが……オフィーリアが起こした事件に置いて、オリバー達は友を攫われた当事者でしたが。

オフィーリア自身の問題においては部外者だった。あの結末は、そういう事でしょう。

 

キンバリーの、魔道の恐ろしさ。先輩たちの積み重ねて来た時間。

そうした物を見せつけられたエピソードでした。

これにて、オリバー達の一年は終わり、短い休息の後2年生になるそうで。

しかしまぁ、オフィーリアにすら穏やかな時間があったことを描かれると、剣花団の行く末が本当怖い。いつかの破たんが約束されているようで。

……あとがきの「こうした結末も、キンバリーではさして珍しい話ではないのです」という一文が、3巻を読んだあとだと印象的ですね……


虫籠のカガステル7

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「どこでどう生きたっていいさ 眼と耳塞いで選んだ人生じゃないならな」

「…どうせ言い訳じみた覚悟しかできないんだ」

「だったら…声も姿も思い出すときは 首の骨を砕く音と共にでも構わない」

「怯えながら一緒に生きてみたいんだ」

 

商業版カガステル、最終巻。

アドハムも……彼は虫籠を作り、独裁的ではあったかもしれない。

けれど、カガステルという奇病が広まった世界において、未来を見て動いていた。

「理想も野心も…掴めなければただの狂気だ」と自分の行いをしっかり自覚している。

だからこそ、多くの兵隊が彼についてきたんでしょうけど。

 

イリがフランツと通信で会話できたのは良かったなぁ。

「グリフィスが本当の父なら良かった」と叫ぶイリに、「タニアが自分を選んでいなかった可能性」を考えたことがなく……それは嫌かもなぁ、と零したフランツ。

全く勝手だよなぁ。他に色々と見えすぎるせいで、結局自分の大切にしていたものが見えていなかった様だし。

 

一方で、因縁の相手と対峙したキドウ。アハトと三度目の戦い。

バケモノでありたい人間と、人殺しの駆除屋。

この男どもは不器用ですねぇ、ホント。

キドウが剣を離した時のアハトのきょとんとした顔が良いですね。

純粋な人ではなく、かといって虫にも届かず。泣き言を漏らすあたり、年相応の部分が見られて、少しほっとしました。

随分穏やかな表情を浮かべることも出来てましたし、「自分の生きる道を探す」と一人で動き始めた彼も……いつか居場所を得られることでしょう。

 

そして巻末の短編は、グリフィスのエピソード。

A区へ逃げた後、物語が始まるまで。彼がイリの父親として生き、キドウ達へ託したモノ。

もう一つは……彼がみた、夢の話。

こんな世界がありえたのなら。あぁ、それはきっと幸せだったろうなぁ。最後にこの話を差し込んでくるあたりは、卑怯だ。

良いシリーズでした。……後書きとカバー裏が相変わらずで、ここまでくるともう流石としか言えない。



Fate/Apocrypha material

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タイトル通り、アポクリファの資料集です。

近衛さんの美麗なイラストから始まり、サーバントたちのステータス一覧、そして用語集に至るまで。

読んでると楽しいですねぇ、やっぱり。こういう資料とかは大好物です。

Fateシリーズというかタイプムーン世界は広大なので、全く追いきれてないんですけど、手を広げてみたくなります。

全然時間足りないんですけどね!

 

ジャンヌのイラストで令呪デザインのあるページの流れとかは笑う。

表情見本の流れを変えるだけで良かったんじゃないだろうか…。

そして主人公格を除いたトップバッターがまさかのゴルド+セクシー画像ありでさらに笑う。

そして東出さんと近衛さんのコメントついてますが、ダーニックが純粋に魔術師としても高ランクで「雇われた赤のマスターが総出で掛かって倒せるか割と五分」ってあたりには驚いた。

 

用語辞典もあちこち楽しく読んだんですが。

赤のバーサーカー。暴れるだけ暴れて消えていった彼と相性がいい赤髪の彼についての記述はちょっとニヤッとしました。

無駄にイラストまでついてましたし。所々で触れられている「コンプリートマテリアル」にも手を出したくなりますなぁ。あることは知っていたんですが、沼だと知っていたので手を出さずにいたんですが。うーん、悩む。




やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。9

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「だが、考えるべきはそこじゃない。この場合、なぜ傷つけたくないかこそを考えるべきなんだ。そして、その答えはすぐに出る。――大切なものだから、傷つけたくない」
(略)
「けれど、どうでもいい相手なら傷つけたことにすら気づかない。必要なのは自覚だ。大切に思うからこそ、傷つけてしまったと感じるんだ」
(略)
「誰かを大切に思うということは、その人を傷つける覚悟をすることだよ」


確かにあったはずのものは失われ、奉仕部の関係は冷め切ってしまった。
全員集まっていても、これまでとは違っていて。
八幡も由比ヶ浜も、表面を撫でるような、取り繕った会話ばかりをしている。
そんなところに、八幡の策略で生徒会長に就任した一色が依頼を持ってきて。

他校との合同イベントについての協力を要請された八幡は、一人でそれを手伝うことに。
小町との交流で鍛えられた対妹スキルが発動したりしてましたが、しかしまぁ、会議は踊り遅々として進まず。
八幡が先送りにしてきていたツケが一気にやってきたような状況に。
小町にも気分転換が必要じゃないかなんて言われてましたね。
戸塚はやたらと八幡と距離が近いですけど「辛くても大変でも、泣き言いわないで一人で頑張ってる。そういうの、かっこいいって思う…」と彼の心境が少し明かされてもいました。

でも、結局葛藤する八幡を焚き付けたのは、例によって平塚先生で。
……この人、本当いい先生だと思うんですが、なんで結婚できないんでしょうかね。
地道に八幡攻略してきそうなんですが。もしもっと早く生まれていたら、なんて仮定を彼が考える程度には。
人の心理を読むのに長けているが、感情は理解していない。
平塚先生は八幡をそう評して、それは、修学旅行のあの時由比ヶ浜に言われたのと同じことで。

ヒントをもらい、八幡は思考を巡らせてました。
本物を欲したはずなのに、それを失ってしまった。間違えてしまった原因は何だったのか。
自分に甘えを許さず、遡って、原因を考えられる彼は、なるほど理性、あるいは自意識の化け物と称されるのも納得できるような。
そうして、間違えたから、問い直して、自分の心と向き合って。

踏み出して、失敗しそうになって、お互いに解りあったわけではなくて。
けれど、間違いではないものを一つ得たから。
一度壊れてしまって、それでも対峙したから。
まだぎこちなさは残っていますが、守ろうとした場所にしっかり中身が入ったようで、安心できました。


問題児たちが異世界から来るそうですよ? 軍神の進路相談です!

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「しかし――どんな英傑であれ、魔王退治とは古来幸運が絡むもの。手にした勝利を疑う必要はないかと思われますよ、十六夜様」


アジ・ダカーハを倒した「ノーネーム」たち。
それから三か月がたち、事後処理なども色々と進んでいるようです。
連盟は無事に締結できたようで、例の金剛鉄の鉱床のある回想で、六本傷が主導となってゲームを開始して。
今回の事件も影響して、ポロロは大きな計画を実行しようと企んでいる様子。

ただ、十六夜は、未だにあの戦争時の口惜しさから脱しきれておらず。
当主であるジンが、ウロボロスの元から戻らなかったため、組織としても停滞していて。
飛鳥も、己の為すべきことを見定め行動することとなり。
春日部は、自分の能力のペナルティについての研究をして、参加者としての実力を伸ばす。
第一部完結ということでのまとめのエピソード。

十六夜や飛鳥の経歴についての考察も進んだり、状況は変化していっている様子。
コウメイとクロアが話していたクロアが話していた「箱庭に戻ってきた本当の方法」だとか、十六夜と約束していた明かすと言っていた事柄とか、その辺があまり出てきてなかったのは残念。
第二部がすぐに控えているから、数年後~とか先に持っていくネタもありましたしね。
しかしまぁ、ジンは自分でウロボロスについていったようですけれども。なにを考えているんですかね。
ペストが登場しなくて、遊興屋がまた暗躍しているようで、何を唆しやがった、と気が気でない。

気になっていたアレコレ。
サラは鷲龍の角を取り戻したようで、療養しているみたいですが、動けていたので一安心。
マンドラたちが覚悟を決めたことが、混世魔王のゲームに影響を与えて、サンドラも解放されたようですし。
……今回登場していなかったけれど。火竜の先代と交渉したとか言ってましたが、引退した癖に暗躍しやがって……
混世魔王が、初登場時の小物っぷりから信じられないほど、魔王としての格を上げてきていてびっくり。
「魔王は不退転」と啖呵を切ったときから思っていましたが、覚悟を決めてるその姿には、こちらが圧倒されるほどの熱量と迫力があった。

最強の軍神(笑)さんがさすが黒ウサギの系列だ、と納得できる。
締める時は締めてくれてましたけど、こりゃあ七天の覚えもよくないというか「動けばろくなことしない」とか評されるのも納得できますな……
いやぁ、それにしても今回のゲームのオチは耀がかわいそうだった。
ルイオスが負けながらも、男気を見せて、初期のボンボン御曹司から成長していたというのに。
耀は成長していても、オチがアレか。荒々しく伝説を打ち立てて、しょっぱなから負け負けとか……つら。
頑張れ、耀。実力はついているんだから、先は明るい……はず。

十六夜と七日七晩戦えるほどの実力がついているとは少し驚きました。
彼も、消沈していたから「勝てないかも」とか言ってましたが「足元並」とは認めてましたし。
「ジン・ラッセルのノーネーム」として十六夜が作戦を建てた時、「俺並とはいわないが俺の足元並は欲しい」と言っていましたが。それだけ広かった差を、耀と飛鳥が埋めてきた。
今回十六夜は迷ってましたから、それを支えてくれる同士がいることは本当良い事だと思いました。

そして、今回のもう一人の主人公はフェイスレスでしょう。
まさか彼女の仮面の下にある秘密が、あんなものだったとは。
あれほどの実力を身に着けるのに、どれだけの時間を懸けただろうか。
それだけの努力をしてつかみ取ろうとした夢の果て。
アレは、反則だろう。飛鳥の成長があった事もそうですが、決闘の場面は本当に見ごたえがあった。

第二部のプロローグが語られていましたが。
ここで焔たちが出てくるのか。あと、意外な人物が関係してきたというか。
あの二人いったい何をしているのさ……いや、片方は予期せぬ幸運というか奇跡のような出来事、のようですけど。
今から第二部が楽しみ。6月に発売予定だという事で、短期間で出てくれるのはありがたいですねー。


クロックワーク・プラネット3

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代償を支払ってもらう、と彼は言った。
それはつまり、払う必要のないものに代償を求めない、ということだ。
同時にそれは、自分が代償を払うことを躊躇わない、ということでもある。
(略)
ただ己の大事なものを傷つけた存在に対して、その代償を求めただけ。その為に必要なあらゆる代償を覚悟した。
これはただ――それだけの事なのだ。


榎宮祐とその友人、暇奈椿による共著。
……のはずが、今回暇奈さん協著になってるんですが。
まぁ、後書きによれば、作業量半々になるはずが、やり取りしている中で大体榎宮祐さんが書いたからこういう書き方になっているそうですよ。
いや続き読めるなら何でもいいんですけど。てっきり榎宮祐さんの体調の問題で続きでないのかと思っていたら……二人での執筆とかは中々手間なところがありそうですよね。

閑話休題で本編。
前回の最後に起動した、巨大兵器。
時計仕掛けの惑星において禁忌とも言える、かつて人類が活用していた電磁技術を用いた攻撃。
ま、名目上は禁止されていても各国秘密裏に実験したりはしてるみたいですけど。
敵の攻撃によってハルターとかも活動停止してしまう訳なんですが……
自力で脱磁できるとかYシリーズまじチート。まぁ、アンクルはすぐに動けましたが、リューズの方はちょっと無茶してしばらく活動停止してましたけど。

ナオトの本性が出てきた、といいますか。
これまでは、単純に異能とでも言うべき耳を持っているだけの少年で、機構を愛しているっていう面が出ていましたが。
いざ覚悟を決めると彼ほど怖い相手もいないっていうのがよくわかる感じでしたね。
マリーはマリーで天才という評価に恥じない成果を信じられないほどの短時間で上げてましたが。
この二人のタッグは本当に敵なしなんじゃないかって感じがします。
異能による知覚と、調整・整備する技術。
お互いにない物を持っていて、補い合って活動をしていた感じですが。
今回の事件を通して、それぞれの蓋が外されて、こう、恐ろしい存在が二倍になった感じすらするんですがどういうことなの。

兵器を持ち出した敵の思惑通り、政治家とかが面白いぐらい混乱していて、呆れるを通り越して笑うしかなかった。
唐沢さん本当にお疲れ様です。常識人があの中に一人とかかなり大変だったろうに。
実際最後仕事頑張りすぎて痛い目見てますけど。なかなかいいキャラだったのでいつか再登場してほしいなぁ。

序盤は、反撃のための糸口探しってことで若干冗長な感じもしましたが。
いざ行動を起こせば、一チームとしては戦力過剰だからなぁ、コイツラ。
おっかないにもほどがある実行力を以て、途中綱渡りこそあったけれど、目的を達成するんだから流石。
今回の事件は解決したものの、謎は残ったというか最後にあからさまに黒幕自称する怪しい輩からの通信があったりしましたしね。
敵さんの目的はいったい何なのか、気になるところです。


魔女の心臓5

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―・・・雪が降る
全てを白く覆い隠しながら
でも 雪に覆われたその下に 罪はそのまま横たわっている
一度赤く染まった雪は 自分が血に染められたことを忘れない


相変わらずイラストが綺麗で、魅力的です。
巻頭のカラーのイラストとかもやっぱりいいですねー。
この絵が好きです。世界観とかも好きですけどね。
22話~27話まで。
途中に、前中後の三部構成の作品があるので、エピソードとしては4つかな。

戦争に負け今まさに滅びに向かわんとしている国。
実際の戦場は領地から離れていた場所だったのか、城に残った姫は、人々を逃がし、王族の使命として死のうとする。捕虜として辱めは受けない、と。
誇り高く生き、誇り高く死ぬために。高潔な姫とそれに使える騎士の話。
ミカは死なないけれど、剣術はなんちゃってだから、しっかり鍛えた騎士には叶わないそうですよ。
まぁ、剣で敵わなければ別のところで戦う応用力があるからミカ強いですけど。

雪の降る、教会のあるまち。
しかしルミエールも言っているけれど、ミカ教会運ないな。
暗部を抱えた怪しい教会だったようで。
「私は世直しの旅人ではないし 他人の事情を進んで掻き回す嗜好もない」
とはミカの言ですが。
まさにその通りで。ミカが自分自身の目的の為に長き旅路にあるから、死なないからこそ、命やほかの人の決断を尊重する。ミカの姿勢はなかなか潔くて好きです。

道中でであった、軽い男と、山賊の統領を務める娘の話。
奇妙な縁と、奇妙な山賊たちの話。
外道な商売をしないっていう山賊たちの妙なやさしさというか真っ当さが何とも言えないテイスト。
まー、優しいエピソードではあるのか。

一番ファンタジー要素が強い、猫耳をつけた人々のまち。
ルミエールからして竜だし、ケットシーなんかもいるのか。
ケットシーによって開拓された街、という触れ込みでしたが本当は。
この町に迷い込めたのは、ミカの魔女としての縁かルミエールの竜としての縁か。
微妙に気になるところですが。異色な旅人ってことは影響しているんじゃないのかなぁ。

次回予告で「ミカがまだ魔女になる前の話」があると出てるので、話が動いていくんですかね。
楽しみ。

魔女の心臓(5) (ガンガンコミックスONLINE)
matoba
スクウェア・エニックス
2014-08-22

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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