気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

いちかわはる

女王陛下に婿入りしたカラス

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「いいえ、あなたには何かを動かす力がある。父は確かに、力業で道を切り開いて来ました。でも道を行くのに必要なのは力だけではありません。砂漠を超えるのには水を得る術が居る、雪山を超えるには火を起こす術が要る。今まで彼女が行けなかった道も、あなたとなら超えられる。あなたになら、それができる」

 

ファンタジア文庫第36回銀賞受賞作品。

国や領地をも「家」と見なして管理経営する『家政学』専攻の学生ウィル。

エースターの学園に通う彼は卒業論文で隣国オノグルを略奪・戦争国家として批判して。

数年前にエースターはオノグルに王都を包囲されて……多額の賠償金を引き渡すことになって。国土を奪われたわけではないにせよ、多くの命が失われて両国の間には遺恨が残り続けている状況で……。

 

ウィルの論文がオノグルの女王の目に入ったという事が発覚したからか、「卒業金」という制度が敷かれて平民のウィルが卒業できないようにされて。

教授に訴えかけていたところに、女王イロナが登場。ウィルの卒業金を負担する代わりに、「婿になれ」と突然言い放って。

オノグルは戦争には強いけれど経済的には弱い国で。ウィルの論文はその弱点を的確に指摘していた。弱点を知る者ならば、改善点も見つけられるのではないかという期待で迎えられることになったわけです。

 

イロナは侵略国家であり続ける事を良く思ってなくて、変えようとしてるのは好感が持てますね。

ただまぁ、戦争でオノグル側にも犠牲が多く出ている中で、敵国から来た優男。オノグルは騎馬民族国家だけど、エースター出身のウィルは馬にも乗れないし、オノグルの一般常識的に加点も少ないってのが厄介なんですよねぇ。

ウィルがやってきた直後、城の使用人がボイコットを始めたりしましたし。

 

主の意向に使用人が背いた、という事実を盾に解雇しようとして。

危機感を使用人に抱かせたり、自分の境遇や女王の思惑の一端を語ることで、反感を持ってる相手でも自分たちの婚約式に協力させることに成功したのはお見事。

オノグル側も犠牲が出てきてエースター出身のウィルを責め立ててましたけど……それで言えばウィルだって、戦う力の無かった父がオノグルの襲撃で亡くなり、名ばかり共同墓地である穴に死体は放り込まれて、墓参りも叶わないって背景を抱えているわけですし。

憎んでしまうのは仕方ないけれど、どこかで連鎖は断たないといけない。そのために奔走できるウィルは、良いやつですねぇ……。

 

自国の中から経済的な武器になりうるものを探す傍ら、受け入れられるように馬に乗る練習をしたり、一歩一歩進んでいた中で……他国から経済的な攻撃を受けて。かなり危うい状況に追い込まれつつも足掻いて、希望を掴んだのはお見事。

現代魔法をぶち壊す、あたしだけの魔法――異世界帰りの勇者姫と神降ろしの白乙女――

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「ん。……まあ、だから。あたしもこの際、あんたに気になってたことを言うとね」

(略)

「ひとりで強くても、いいことなんて無かったわ」

 

異世界に召喚され、死んでも蘇る特殊な身体で、人をオモチャのように扱う魔族と戦わされた少女・琴野アズサ。

その戦いの日々から解放され、元の世界に戻ってくることが出来たわけです。一応、召喚されてから地球では一日しか経ってない時間軸に戻してくれたのはありがたいですけど。そもそも異世界召喚が身寄りのない人物を対象に行っていたこと。文明世界に帰ってきた恩恵を最大限享受しようと、推し活に速攻で金を使ってしまったことでアズサはこれからの生活をどうしようか悩んでいて。

 

悩んでいる彼女に、小学校時代の友人である不死川陽菜が「魔導訓練校に一緒に通いませんか」と誘いにやってきて。

異世界から帰ってきても習得した魔法の技術をアズサはそのまま扱うコトが出来た。そして、その力は強大で……学校側も放っておくことはできないとのことで。

魔法を扱える人って言うのは幼少期から才能を発揮していることがほとんどで、名家と呼ばれる家がほとんど。そんな中で、そうした家に連なるわけでもなく、突如編入してきたアズサは異物で……。

基本的に陽菜と、事情を知っている校長先生との交流ばかりの学校生活を過ごしていました。

 

しかし……この世界にも魔法があり、アズサが異世界で勇者として戦ってきた魔族も存在して。魔族の悪辣さを良く知っているアズサは、その存在を察知したら戦わずにはいられなかった。

そうして力を見せたことで、名家の誇りを持つ少年吉祥院征人に絡まれたりもしてましたが。戦闘技術、という意味ではアズサは頭一つも二つも抜けていて。

決闘中に助言をする余裕もあるくらいでしたが……そんな彼女も、「一人で強くてもいいことなんてなかった」と零すくらいの経験をしていて。

征人が、まだ未熟ながらも負けていられないと足掻いて、彼女の力になろうと変わっていったのは良かったですねぇ。成長を感じる。

 

アズサが異世界で倒したはずの魔族が、復活した上こちらの世界で暴れようとしていたり。

人の世界に紛れ込んでいたり、とこちら側の世界でも万事平穏とはいかないままでしたが。

校長先生が親身に相談に乗ってくれたり、「異世界の存在や異世界の魔法」という情報が知られたらアズサは実験対象としてとらえられてしまうかも、という懸念から情報の秘匿に協力してくれるのはありがたいですねぇ。

魔族との戦いは過酷だし、アズサの学力は地を這うレベルのようですが、なんだかんだ学園生活も楽しんでるのは何よりです。

魔法使いの引っ越し屋 勇者の隠居・龍の旅立ち・魔法図書館の移転、どんな依頼でもお任せください

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「隠居のために、信頼できる引っ越し屋を探していたんだ。すると君の魅せに辿り着いた。……ある噂を聞いてね。王都の郊外にある、魔法使いの引っ越し屋」。そこに行けば、どんな悩みを抱えていても素敵な旅立ちにしてもらえるとか」

(略)

「私のお客さんになった以上、勇者様の旅立ちも素敵なものにしてみせましょう」

 

平民にも関わらず王立魔法学園で名前をとどろかせた天才魔法使いの少女が居た。

様々な栄光と同時にはた迷惑な騒動を起こしたこともあったようですが、卒業後何をしているのかを知るものはほとんどいないとか。

なぜならその少女、ソフィ=イザリアは卒業後、誰にも行き先を告げずにふらっと姿を消し……なぜか魔法を駆使した引っ越し業を営んでいた。

 

と言いつつ王都に店を構えているし、同期で首席を争った少女が度々足を運んでいるから、最終的に国の一部には動向を把握されてそうですけど。

有象無象の注目からは逃れることには成功してるんじゃないですかねぇ。……難しい浮遊魔法を駆使して空から荷物運びしたりしてたので、そう遠くない未来に普通にバレそうな気もしますが。

後に彼女の持ってる称号が影響してそうだなぁ、という納得をしました。バレてるけど、放置されてるのか。

 

そんな彼女のところに持ち込まれるのは普通の配達ばかりではなく……。サブタイトル通り、勇者や龍といったトンデモ依頼人たちからの願いもあって。

魔王を討伐しその後50年も戦い続けている勇者に、「当時に出会っていたら間違いなく仲間にしていた」と言われるあたりソフィの才能はずば抜けてるみたいです。

……そりゃまあ普通は魔法にたけているからと言って、「屋敷丸ごと運ぶオプションもありますよ」って言われる想定はしないのよ。

国王は勇者の引退を認めてくれていたけれど、彼の実績を見て育ってきた宰相や騎士団長とかが反発して引き留め工作があったりもしましたが……それを踏み越えて引っ越しを成功させたのはお見事。

 

その後も、神獣の引っ越しを請け負ったり、特殊な魔法が作用している魔法図書館の引っ越しに関わったり。特殊な事例ばっかり引き受けて、その状況下での苦労も当然ありましたけど、その都度適した対応をしていっているのが、『時代の魔術師』という称号を持っているだけはあるなぁと感心してしまった。

魔法図書館の引っ越しで、失われた魔法の復活まで成し遂げていたのはお見事。核となる物を見つけただけで、完全再現まで出来たわけじゃないから……と発表を控えていたあたり、自分へのハードルが高いなぁ。
どの引っ越しにも物語があって、そんな引っ越し屋をすることになったソフィにもそれを志した過去がある。うん、1冊で良くまとまっている感じがして好きでした。

美少女とぶらり旅

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「人生、一度っきりだもの。やっぱり、自分のしたいようにするべきだと思って」

 

親とケンカしたことを切っ掛けとして「旅に出よう!」と決意した高校生、高橋翔。

そんな彼が駅のホームに向かったタイミングで、同級生の美少女・七瀬涼帆と出会った。

彼女は傍から見ても危なっかしい様子で、飛び込みそうに見えた。だから引き留めて……自分の旅に誘う事に。

「どうせ死ぬ予定だった」という彼女は、意外にもあっさりとついてきてくれて。

 

旅の過程であちこちを訪れるのを、なんだかんだで楽しんでいたように思います。

涼帆はフィーリングで動いている翔とは真逆のタイプでしたけど、だからこそ悩んでいる彼女にとっては救いになったんじゃないかなぁ。少なくとも同族嫌悪とか起きないし。

 

足を運んだ先で2人は、個性的な人と出会ったりもします。

同性への恋で悩んでいる少女や、ブラック労働にくたびれたOLさん。

その人たちの苦悩へのスタンスも2人は大分違っていて。

まぁ、翔君はアクセル全開過ぎるからもうちょっと落ち着いたら、って思っちゃいますが。こういう事いわれるのが嫌で飛び出した子だから、キャラはぶれてない。

 

でも実際、「好き」だけで進路選択をするのも考えものですからねー。この点は涼帆の「訴えるなら、感情ではなく論理的に」という考えの方を評価したいものですが。

 

その論に頷いてしまうと旅をやめて帰る理由が増えて、涼帆から目を離すことに繋がるのが難しい所。

実際、涼帆は家族に心配されている彼を見て改めて決意をしてしまった部分があるし。それでも諦めずに追いかけた翔君はナイス。道のりはまだ半ばというか、問題ほとんど解決してませんが、挫折せずに行ってほしいものですな。


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