「ウチのご祭神って、こんなに……?」
『む、軽いとか思ったか? いかんぞ。お主は此方の巫女じゃ。しっかり敬うのじゃ!』
「うん、しっかり敬ってきましたよ? ――少なくともこれまでは」
実家の神社で巫女として働いていた女子高生の、御守涼香。
かつて異世界でも祀られていた神獣だという実家のご祭神が、異世界での信仰が薄れてしまったから彼女を巫女として異世界に送り込むことにしたとか。
信仰をあつめるために、『奇跡』を起こせるようなポイントシステムだとか、狐耳と尻尾を与えられて困惑することになるわけです。
涼香をもとの世界に戻すだけの力は残っていないけど、彼女に3つの権能を与えるだけの力はあった。一つが、神の言葉を聞ける『神託』。一つが、祈りに力を持たせる『祈祷』。そして信仰ポイントを使って引き起こす『奇跡』。
特に強力な『奇跡』を使うには信仰を集めたり、使命や功績を達成することでポイントを集めることが必要なので、ゲーム的に考えるとコストを涼香に集めさせることでバランスとってるのかなぁ……みたいなことを考えました。
最初の覚醒した場所が森の中、危険な獣も居そうで……さらに行き倒れた少女まで見つけてしまって。『奇跡』でなんとか助けられて、彼女からこの世界の情報を聞くことが出来たのは良かったですね。
かつてこの世界では“闇”が猛威を振るっており、神獣たちが力を合わせてそれを打破したが、その戦いの反動で力を失ってしまった。そのために、今では唯一神カドゥを崇める教会しか今は宗教的な崇拝対象としては残っていないとか。
助けた少女ソティエールがその教会で働いていたみたいですけど。下っ端に賃金もろくに与えずこき使って薬草を集めて、その割に治療の際に患者からも高い対価を貰うと、なかなかに腐敗していて。
教会に不信感を持ったソティエールが、涼香に同行してくれることになったのはありがたかったですね。どうしたって異世界の常識には疎いわけですし、相談できる相手を早い段階で確保できたのはラッキー。
教義の設定とか、教会が手を出していない開拓村に行こうとか、頼れるアドバイスくれましたし。ケモ耳巫女な涼香の可愛さにやられてる部分もありましたけど。
開拓村へ赴いた時、ちょっとしたトラブルもありつつ無事に信仰を集められる拠点を得られて、異世界で暮らしていけるようになってたのは何よりでした。概ねほのぼのしてるので気楽に読めて良かったです。