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「恨んではいないですよ? 本当に、嘘ではないです」
(略)
「――ただ、好奇心がそそられます」
(略)
「私を見捨てた国が私に救いを求めるため、どんな狂態を晒すのでしょう?」
グラストール王国の当代の王のかつての婚約者であったが、20年前に婚約破棄の上で追放されることになったスピーシィ。
本土から離れた追放島ゼライドという場所に追いやられたものの、スピーシィはその島を制圧して自分が過ごしやすいように改造して、追放されたわりには割と自由気ままに生きていたようです。
そんなある日、彼女の下に「王都に戻って欲しい」という願いを伝えに来たのが暗部の類に所属するだろう少年クロ。
あからさまな冤罪で追放した令嬢に20年も経ってから戻って来いという指示を伝えに言った上、抵抗されるなら力づくで連れてこいと命じられたクロ少年はお疲れ様です。
まぁスピーシィも大人しくついていくような性格じゃなくて、クロを返り討ちにするんですけど。その上で、「彼の主の命令だから」ではなく興味本位とか好奇心の類で王都に赴くことになったわけです。
わざわざスピーシィを呼び寄せることになったのは、近ごろ王都付近で蔓延している『停滞の病』の解決を命じるため。
……という名目で、またしてもスピーシィに悪しき魔女としてのレッテルを張って処罰するためだったっぽいですけど。
スピーシィ、20年たっても現役な護符の雛型作ったり魔術関連の才能は飛びぬけているんですよねぇ。王都の魔術師たちが解明できなかった謎、割と早い段階で解き明かしていましたし。
……ただ幼少期のスピーシィは、魔術に傾倒しすぎている部分があって。
そんな彼女が既定路線で王妃になっては本格的に国が亡ぶ、と彼女を蹴落とすことにしたのが現王妃のプリシアだって言うんだから凄まじい行動力。
幼少期のスピーシィを取り巻く状況はかなり特殊だったため、王子とスピーシィの実家が手を出しにくい状況があった。それだけではなく、グラストール王国は長く続いてきたせいで色んな柵が出来てしまって、誰も彼もが足踏みしてしまっていた。
そんな雁字搦めな状況をバッサリ断ち切って、改善に踏み出したのは尊いですよ。
……問題なのはその苛烈な炎の如き覚悟を見たことで、スピーシィが感化されてプリシアにちょっかい出しまくることになったことですが。おいたわしやプリシラ妃……。
プリシア妃、婚約破棄して地位を得てからもそれにふさわしい振る舞いを続けようとする軸が彼女の中にあって、なかなかに好感持てるキャラでしたね。
スピーシィも良い性格してて、見てて面白いキャラではありますけど。
プリシアの影響を受けてかちょっとマシになった部分は有れど、自身の心に素直すぎる振る舞いをする暴走特急なのに変わりはないので、こう……ちょっと遠くで見守って居たいかなぁ……みたいな。
振り回された方々はお疲れ様です。でも、頼られるだけの事はあるというか問題解決までのルート爆速で駆けて行ったのはお見事でした。