気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

さちはら一紗

彼女は窓からやってくる。 異世界の終わりは、初恋の続き。

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「友達になろうぜ、咲耶。俺は、『文月』でも『魔女』でもない、ただの咲耶とそうなりたい」

 

主人公の陽南飛鳥は、異世界に「勇者」として召喚され、「魔王を倒してくれ」と依頼された。

その隣人である少女・文月咲耶は逆に魔王に呼び出され、「勇者を倒してくれ」と依頼されて「魔女」となった。

敵対陣営だった二人は、戦いの中で再会しなんだかんだあった末、なんとか現代地球に帰ってくることに成功したわけですが。その時には既に二年の時間が経過していた。

地球に帰還しても異世界での技能は仕えたので、魔女の魔法でそのあたりの認識はある程度誤魔化してもらったみたいですけども。

 

年齢経過による成長まで誤魔化せるわけでもなく。……要するに高校を留年している事実までは確定していて。

異世界の常識に影響を受けたこともあって、特に飛鳥の方は学校でも浮いている状態だった。……まぁ彼はクラスに馴染む以前に、金銭的な事情にも恵まれておらず、生活もなかなか厳しい水準になったりしてて、ベースが過酷なんですが……。

 

そんな飛鳥の隣人でもある咲耶は、魔女としての様式美にこだわってなぜか窓からやってくることがあって。

深夜におろしたての服着てめかしこんで訪問してるの、可愛いですよね。タグきり忘れている抜けている部分もあるのも、微笑ましいし。

飛鳥のいう所の「異世界ボケ」に悩まされている二人は、元々クラスメイトで委員会が一緒だったりして顔と名前は知っている間柄だし多少の付き合いはあったようですが、「相手を良く知っている」と言えるほど親しくしているわけでもなかった。

 

そんな2人が改めて友人関係になって、不器用なりに交流していってるのは良かったですね。咲耶も一応お嬢様ってこともあって、他人と距離を置きがちだったみたいですし、相手が飛鳥であることもあってわりかしポンコツになってる時もあるんですけど。

異世界で大変な思いをした2人が、現代で平和な日常を送ってくれれば……良かったんですけどね。

「魔女」が地球で魔法を使えたように。「勇者」も聖剣を携えたままだったりと、それぞれが隠していたこと、秘めていた想いがあって。近づいたからこそ見えてしまった「隠し事」が明らかになって、派手にぶつかる羽目になったりもしてましたが。

そうやって一度ぶつかったことで、より親しくなれたのは良かったですねぇ。これからにはまだまだ課題が多そうというか、困難が待ち受けてそうですけど。2人で乗り越えてほしいものです。



終末はあなたに会いたくない

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「再会を……」

それは、冗談でも、祝えない。

「呪って」

 

数日後に、隕石が降って来て世界が終わる。

そんなニュースを聴いた私は、仕事を放り出して一人、無為に時間を潰していた。

誰に会うでもなく、趣味に費やすでもなく。

ただ一人だけ、思い出した顔はあったが、会いたいとは思わなかった。

けれどチャイムが鳴って、ドアを開けた先にはその後輩が立っていた……

 

世界が滅ぶ、最後の数日を共に過ごす二人の話です。

もう、凄まじかった。情念が濃い、と言いましょうか。

ドロドロとした想いが、読んだこちらにも伝わってくるようで、手が震えて……それが、たまらなく面白かった。

                                                                                                    

お互いが、お互いの特別であるために、彼女たちは名前を呼びません。

「せんぱい」とか「君」で通じてしまう。殊更に、識別記号としての名前を必要としていない。

陳腐にまとめるなら、好きという事。それも、間違いではないですけど、一面でしかないですよね。

彼女たちの想いは、比類ないほどで、だからこそ離れた。だからこそ、会いたくなかった。でもコレ、反語ですよね。裏側には強い肯定が隠れていて、それを隠していた。

 

ここまで強い想いは、ある種の「呪い」ですよ。

だってお互い相手を忘れずにいて、最後の時間を共に過ごすことになって。

縛られている。別れてから時は流れたけれど、根っこが変わっていない。

そんな有様を、突き付けられるようなお話でした。

暗さも重さもあって、毒のような物語。でも、二人がともにいる様が美しく思える。

用法用量を守って、お読みください。もし、世界が終わる前だったなら、ご自由に。刺さる言葉が記されている筈。


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ちゃか

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