気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

しば犬部隊

凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ4

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「人生はクソだ。何1つ思い通りになりゃしねえ……だが、それでも俺は、俺達は、戦うことを選んだ、そう、選んだんだ! 諦めるでもなく、受け入れるでもなく、戦うことを!」

 

致命傷を負ってしまった味山只人。

しかし耳の部位保持者であったことが幸いして、復活することに成功。部位保持者になること自体は災いみたいなものですから、不幸中の幸いというべきかどうか。

……まぁでも実際、あそこで味山が復活して、暴れまわってなかったら彼の友人たちやバベル島そのものが悲惨な結末を迎えることになったでしょうし、幸運を拾ってはいるのか。

ただし、その幸いはハッピーエンドを約束してくれるものではなくて。

 

ひとまず致命傷はふさがって、それ以降も制限なく使えていましたが、使うたびに「耳」に近づいてしまうという呪いのような制約もあって。

味山はまぁ、「怪物のような力であろうと、指定探索者だってある意味怪物ぞろいだし、俺は人間だ」とその力を受け入れて謳歌していましたが。

 

脳みそが派遣してきた肉人形や坂田による襲撃、耳が齎す「TIPS」や……恐らくは2週目特典として与えられたであろう、バッドエンドの分岐の数々。

それによって、復活した直後に足を止めることになってしまったわけです。

TIPSが提案するAルート、Bルート。どちらを選んでも被害甚大、大切な誰かが死ぬ。

いつか選んだような第三の選択肢は、味山只人には与えられない。

 

「耳」はさらに踏み込んで凡人探索者である彼の抱えている欠陥をあげつらっていくわけですけども。本当の意味で変わらない部分があるとしても、悲しいのもまた真実だから。

進んで喪う選択はしない。

……だからこそ。別の道を模索する。味山只人に与えられないのであれば……部位保持者としてより踏み込んで、彼は「プランC」を掴みとったわけです。

 

耳の化身と同じような変身を遂げてなお、人の意志を残した特殊なスタイルになってバベル島と西に東に大暴れ。

起きるはずだった悲劇のいくつかを踏み越えて、生き残るために多くを救っていった彼は、作中では「酔っていた」みたいな扱いをされていますが、かなり熱い演説をしてくれるわけです。

いやはや、これまでもその片鱗を見て来たつもりではありましたが、なるほど綺崎凛やアレタはこれに焼かれてしまったわけか。そりゃかなわんわ。

いや、実に主人公していたと思いますよ。挿絵が「耳」に汚染されてましたけど。濃すぎ。

指定探索者ですら心折れそうになる戦場で、彼女達を助け、「説得判定」へのチャレンジをした結果、なんか口説き落としたみたいな形になってるし。そのうち刺されるぞ。……刺されてたわ。坂田にだけど。

 

あと本編にそこまで関係ないトークですけど、朝顔・夕顔姉妹と思われる挿絵があったんですけど、めっちゃ可愛くなかったですか。キャラ造形めっちゃ好み。

……その挿絵が挟まっていた雨桐さんの過去エピソードはアレでしたけど。抱え込んでんな、闇を。王さん、めっちゃいいキャラしてて格好良かったですけども。

現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!3

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「冒険には辿り着くべき景色が必要です お嬢様…蒐集の竜よ」

「貴女様の辿り着きたい景色は?」

 

異世界において竜とは隔絶した存在として、畏怖される存在である。

生命の到達点でもある竜のツガイとして選ばれることは、大変な栄誉であり全てを約束されたも同然だった。

「この世界のヒトの魂に刻まられた絶対的な概念」が龍という神聖で絶対的な存在に関する事象のようですが……ナルヒトは、ダンジョンの現れた現代地球を生きた異世界人だからなぁ……。

 

そういったこの世界の常識に縛られない存在でもある、というのが一つ。

……さらにいうなれば、ナルヒトは与えられるだけのぬるま湯を良しとするような怠惰な性格ではなかった、というのも一つ。

蒐集竜は、知らずのうちにナルヒトの地雷を踏んで、だから彼は反発した。

絶対強者である竜とその傍に侍る爺さんを相手取っても、言葉を止めることはしなかった。自身が死に近づく可能性があるとしても、縛られることを良しとせず……自分の心情をぶちまけた。

その言葉は、内心を読める蒐集竜に考えていることと口にしていることが一緒だと認められるほどで。それが分かってしまうから、自分が好ましく思った相手に「嫌い」と言われたことにあれだけのショックを受けたんでしょうねぇ……。

 

はじめての感情に戸惑ってる蒐集竜ことアリス、可愛いですよねぇ。

後表紙にも登場しているメイド長」のファラン、料理を褒められてウキウキしてるのも可愛かった。「お目が高いです 友人さま」のコマで素早くナルヒトに近づいてからのキラキラしてると評された次のページの表情とか良かった。

あと電子版でもカバー裏見られて嬉しかったんですが、ベルナルさんを評したアリスの言葉にすっごいびっくりしたんですが!? WEB版未だに読めてないんですが、そっちでは出てた情報だったりするのだろうか。読みにいかなきゃ……(積読の山を見ながら)。



凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ3

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「……味山さま、なぜアレタ・アシュフィールドや、貴崎凛。綺羅星のように輝く彼女達が貴方に執着し、時に魔道のか、お分かりですか?」

(略)

「貴方が、他人を必要としない人間だからです」

 

プロローグが、探索者組合がダンジョンでの配信を解禁したことを受けて、アルファチームも配信を行うことにして。

怪物種の中では珍しい食事を怪物種のみに絞っている蛇・マザーグースを、別の怪物種オウサマガエルから守る、という一風変わった任務で。

 

味山がカメラ役なこともあって、アレタが普段と違う表情を見せることにコメントで愉快な反応がついていたのは笑えた。怪物種に飲み込まれて腹の中で暴れて脱出できる探索者がどれくらいいるというのか。

後のシーンでとある人物が、遺物を使って味山の情報を抜き出そうとしてましたが、そこでも「凡人」認定されていましたが。凡人とは……?

技能認定が能力の上限が定まっている、と記されていてそういう分け方であれば確かに彼は「超人」ならざる「凡人」なんでしょうけど。

 

雨霧さんの分析のように、味山の非凡なところな単純なスペックに現れない精神性だとかに現れていますよね……。

神秘を食べる度に夢の世界で元となった神秘の残滓と会話したりすることになってますが。初対面なら初対面なりの挨拶がある、と仕切り直し入れたりしてるの彼なりの哲学何でしょうけど、切り替えがハッキリしすぎてていっそ怖い。

 

味山、男連中とバカ騒ぎしたり綺麗な女性に鼻の下伸ばしたり、割と年頃の男っぽい顔もありますけど。戦闘時とか覚悟決まった時の彼は、また違う顔みせてくれるんですよねぇ。そういう所が良いと思っていますが、とは言え最後の挿絵はちょっと予想外の顔すぎるんだよなぁ。

耳の部位保持者である彼に目を付けた別の部位保持者が動き始めて。途中、衝撃的なページが挟まって、非日常へと踏み出すことになりましたが……それにしたって、大騒ぎ過ぎてこの後の展開が読めません。4巻の発売も決定したようですし、続きを楽しみにしてます。


現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!2

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「ここが夢か現実か…現実だとしたら

 今度は死なねぇ 生き残ってやる」

 

610話を収録した第2巻。

自分のフィールドに引き込んで竜を圧倒したように演出した主人公ナルヒトでしたけが。仕込みに時間かかったり反動もあるピーキーさで、実際には結構ギリギリだったそうです。

ラザールが逃げられて、巻き添えを気にする必要も無かったというのがありがたいですねぇ。そして自分も逃げようとしたところ、竜の持っていたアイテムは彼には効果が無くて。

 

後に判明したところで言うと、ナルヒトが異世界人であるために機能しなかったようですが。このあたり、異世界で立ち位置確立して冒険開始した後とかに面倒なことになりそうな気配はするなぁ。便利な帰還アイテム使えないとか手間が一つ増えるわけですし。

コミカライズではウェンフィルバーナの描写が増えてて楽しかったですね「キミの…未来の宿敵?」のコマとかかなり顔が良い……ってなりましたし。

 

トオヤマナルヒトと邂逅し夢破れた経験のあるウェンフィルバーナ。彼の記憶を消して吹き飛ばした後、余裕そうだったのにその後に「トラウマだから」と崩れるシーンとかギャップがあって良かったし。

ナルヒト遠ざけた時に「手ごたえがなさすぎた」とか感づいているのも怖いんだよなぁ。スペック高すぎ。なんでこれよりもスペックが高かった時期の彼女に勝てたんですかね、「推定:並行世界の未来のトオヤマナルヒト」という存在……。

 

そしてついに帰還して蒐集竜と対面することになってしまったわけですけど。

爺やさんことベルナルが立ちふさがっているときの「試して見られたらよろしい」の絶望感、凄いなぁ。扉が遠い。その後に登場する「メインクエスト発生」の画面も、なかなかの迫力でしたが。

逃走を阻止されて連行されて、竜の理に則って結婚を迫られることになっていったわけですが。その局面においても最後に自分の言葉を宣言できるの、あまりにもトオヤマナルヒトすぎるな……。

 

巻末には無題の書下ろし小説が収録。

学生時代のトオヤマナルヒトの友人で会った美少女、海城とホラー展開に巻き込まれることになっていましたが……。なんで現代ダンジョンの外ですらこんなイベントに巻き込まれてるんだ……そしてなんで生き残ってるんだ……。

凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ2

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TIPS€ お前は耳と同じだ。お前の人生にも、お前の命にも、なんの価値もない。お前は空っぽで、乾いていて、他人と本当の意味で心を交わす事もない。お前は1人きりで生きて、1人で死ぬ

 

「やかましい。――それでも続けるのが人生だ」

 

あめりやでの縁もあって、雨霧さんとの付き合い続いているのいいですねー。

……他国の工作員っぽくて情報収集って側面もあるんでしょうけど。彼女、個人的にも気になっているところも多分にありそうですし。アレタも相変わらずバチバチしてるし。

他人事だから微笑ましいなぁって気分になるけど、絶対に近づきたくない。なんなら女将さんの「こいつら趣味悪ゥ」って方が共感できる。

味山さん己を貫き通すタイプで、相手の善悪や力関係とかで態度変えないから、孤高になりがちな強者たちに特効入るんでしょうねぇ。

 

休暇を満喫していた味山はアレタに呼び出され、チームでとある仕事を受けることに。

それは、未登録の遺物所持疑惑のあった上級探索者トオヤマナルヒトの探索任務。

いやぁダンワルからしば犬部隊先生の作品に触れた身なので、ここで繋がりがハッキリ見えるの良いですねー。

ダンワルコミカライズ1巻でも調査報告書あげてる描き下ろしあったしな……。

彼らのアルファチームが本来なら受けるはずだった依頼があって、けれど1巻の騒動があったために仕事を減らした時期があった。トオヤマナルヒトは、それを代わりに振られた人物であり、そこで消息不明となった。

 

それに責任を感じてアレタが一人で依頼を受けようとしていたのは、英雄思考っぽかったけど、チームメンバーが彼女を一人にしない選択をしたの良かったですね。

昨今ダンジョン内で異変が生じがちなことと、場合によってはトオヤマナルヒトの遺物を回収できるかもしれないということで、各国が戦力を派遣する争奪戦のような形式になっていました。

味山のことを良く思っていない軍人だったり他の探索者たちからの横槍が入ってきたりもしてましたが。アルファチームは味山の事を信用していくれていたり、耳の力も駆使して実際に有用な情報提供をして、少しずつ評価を挙げていたのは良かったですね。

 

耳の異能を得た味山は、ヒントを得るその力を駆使して「神秘」を取り込んでいったりしていたわけですが。

水中活動技能を得られるキュウセンボウは1巻で得てましたが。今回の対象となったのが「鬼裂」という存在で……それは現代では名を変えて貴崎となっていた。つまりは、味山が以前所属していたチームであり、今も彼に関心がある後輩の少女の実家だったわけで。

そんな彼女と交流することで、確かな取っ掛かりを得ていましたけど。キュウセンボウほど素直じゃないというか。向こうから逆に試されていたの、怖すぎるな。

「お前が本当に味山只人であるかを試している」って、だって鬼裂側が「味山」という存在を把握して、その物差しを持っていないと測れないじゃん……。

 

4話の終盤に流れていたヤバいニュースだったり。1巻のプロローグみたいに、間に挟まっていた不穏さを感じる、推定:未来の味山の戦闘シーンといい、味山だけでも厄ネタの宝庫っぽいんだよなぁ。どうなっていくんだろう。

彼はあくまで「耳の耳糞を与えられた」……つまりは、耳そのものというか、その一部だけを持っている人間に過ぎないんですよね。

多くの被害を出したという耳の怪物が今回ついに登場したわけですが、いや本当に厄介過ぎましたね。耳の怪物単体でもおっかなくて、指定探索者であろうと犠牲になりえる強さだって言うのに、それを恐れた怪物種が常ならぬ行動をとったせいでより被害が甚大になっていて、白旗上げたくなるくらいでしたね……。

 

ヒントを聞ける味山は、他のメンバーよりも少しだけ適した行動をとりやすい状態になっていましたが。追い詰められた状況下で彼に与えられた2つの選択肢は、仲間の誰を殺して誰を救うのかの選択を強いるものだった。

その上で、別の可能性を模索してより危険な戦いに身を投じた味山、凡人と言いつつ光るものも持っていて、格好いい主人公だと思いましたね。ヤバさもマシマシでしたけど。



凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ1

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「――これは、予感よ、ソフィ。彼はそのうちすごい探索者になる。誰もが凡人ってさげすむ彼はそのうちきっと、星すらも超える探索者に。痛快でしょ?」

 

ダンジョン「バベルの大穴」が現れた現代世界。

そこで探索者として活動している味山只人は、指定探索者の中でも52番目の星と呼ばれる女性アレタの補佐役についているものの、当人には才能の輝きがない……タイトルにある「凡人探索者」であった。

 

最も、彼は少し前の探索で「耳の怪物」と戦って生き残った折に、特異な力を得たことで国の組織から注目を集める対象になっていた。

アレタの補佐であり、彼女から期待されている上に彼女自身も惹かれてる気配がなければ、即座に実験対象にされていた可能性がある危険な立ち位置でもありましたが。

でも味山が特異体質を得たの、「全世界同時に起きた記憶障害」の時期みたいで、それって1か月前なんですよね。味山、それ以前から探索者していたみたいですし……。

なんならその力を得たタイミングであろう「耳の怪物」との戦闘中ですら、アレタに対して「これは俺の探索だ」と言ってしまえる、尖ったメンタルを保持してる人物だったわけですが。

 

味山が得たのは耳の力。「ヒントを聞くことのできる」結構便利な能力ですけど、「それはお前の10倍は強い」とかそれじゃねーんだよ! みたいな情報もチラホラ出てくる、ユーザーフレンドリーではない設計ではありますが。

結局は扱い方次第で、重要なヒントくれることもあるので、そういう意味では味山はかなり上手く「耳」と付き合ってる感じはしましたね。

ちょっと耳が良くて、制限付きながらブーストも出来るけれど、あくまで素のスペックとしては凡人探索者に過ぎない。それでも、やりたいことがハッキリしているタイプというか、追い込まれたときに我を通そうとする在り方は見ていて楽しいので好きです。

あとルーチンなのか、戦闘時に端末に対して「味山只人の戦闘記録~」って定型の宣言をしてから戦いに望むの、地味ながら好きな描写ですね。

 

アレタが味山のこと結構気に入っていて、同じように粉かけようとする女性陣相手に毎回威嚇しに来てるの、飼い主を取られまいと威嚇するペットみたいな味があって可愛いと思います。

そこまでするなら早く付き合えば? とか思いますけど。あと、味山に惹かれてる女性陣誰も彼も個性が強いので、そのうち彼刺されると思います。刺されてもなんだかんだ生き延びそうだけど。

そもそもその威嚇しに来てるペット、国相手に脅しをかけて相手の譲歩を引き出せるくらいの爆弾を抱えた指定探索者という、この世界におけるトップランカー、なんなら怪物寄りの存在なんだけど。

 

この作者さんの作品、ダンワルこと『現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!』から読んでいて、繋がりを感じる部分もありましたね。

ダンジョンと探索者という設定とか、人知竜っていう単語が登場したりだとか。

この作品の気になるポイントとしては、プロローグがめっっちゃ不穏な気配しか感じないところですかねぇ。

現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!1

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「次は間違えねぇ」

 

コミカライズ作品。

SNSでフォロワーが激推ししていて、コミカライズ読んだら面白かったので、原作小説にまで手を出し始めたシリーズ。

 

2028年二ホンに現代ダンジョン「バベルの大穴」が現れ、そこに挑む探索者という職業が生まれた世界。

ベテランと呼ばれておかしくない立ち位置で活躍していた遠山鳴人は、仲間を逃がすために致命傷を負った。

そのままダンジョン内部で沈殿現象と呼ばれる異常現象に飲み込まれ行方不明となった。

 

彼は超常の存在の干渉を受けて、所持していた武器だったりスキルだったりを所持したまま、異世界へ転生というか転移みたいなことをすることになって。

スタート地点が「冒険者の奴隷」で、冒険者たちの扱いとかルビが「カナリア」なあたり、これ炭鉱の金糸雀よろしく危険地帯に放り込んで、安全かどうかチェックする駒扱いでしょ……。

 

遠山に良くしてくれるリザドニアンの奴隷もいましたが、冒険者たちが乱暴してきて……。彼はそれを良しとする性格ではなかった。

とりあえず暴力でもってまず一人を打倒し、さらに死の記憶から切り札の出し惜しみをすることもなかった遠山によって、冒険者たちは混乱することになります。

無事に逃げおおせたかと思いきや、サイクロプスと対峙する羽目になるし。かと思えば竜種の塔級冒険者と出会い、お前ら2人で殺し合いして生き残ったほうだけ助けてやるよ、とか言われるし。

 

でもただ言われるがまま行動するような遠山ではないんですよねぇ。

絵柄が付くと矢印の導きことクエストマーカーがコミカルで面白いなぁ。教会の帰還印発動した時に遠山にわしづかみにされて「マ!?」ってなってるマーカーさん、正直おもしろかった。

クエスト進行の表示であるマーカーとかの扱いがしっかりしてて、良いコミカライズだなぁって思いました。

 

巻末書下ろし漫画「ある冒険者の続き」。

冒頭に行方不明になった遠山の捜索依頼を受けた人物の経過報告がちょっと書かれてましたが、「味山只人」って同作者の凡人探索者シリーズの主人公ではー? 繋がりがある描写見ると楽しくなっちゃう民です。

巻末の書き下ろしSSではアリスが幼少期に母と話しているシーンと、現代で高校生だったころの遠山のエピソードが収録されていました。

「鳴人くん」と呼ぶロングヘア少女とか、一人称僕でとある嗜好を持った少女とかとの縁があったらしいですけど、どっちもヤバそうな気配がひしひしとするんだよなぁ。むしろよく上級探索者になるまで生き延びてたな遠山。もっと早い段階で死んでてもおかしくなかったのではー?

現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!2

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「当たり前だろ。お前と一緒だよ、ドラ子。約束や契約は放り出さねえ。ロクなことになんねえからな」

欲望のままに生きることと、ルールを守ることは矛盾しない。遠山の中でそれは全く相反せずにある決まり事だ。

 

蒐集竜アリスとの縁を結びドラ子なんてあだ名で呼ぶ中になった上で、自分らしく行動することを決めた遠山鳴人。

彼は自分と似た夢を持つリザドニアンのラザールとの再会を目指し、スラムへと足を向けましたが……そこで財布を掏られてしまう失態を演じることになって。

 

まぁ、容易く逃がしてやるほど甘くはないわけですけど。スリの少年ルカは逃げた先で、カラスと呼ばれる組織の末端に絡まれて、それを遠山に助けられることになったりして。

そこからスラムの少年少女との縁が出来て、彼らの助けを得たことで遠山はラザールとの再会を果たしたわけです。

ただ、遠山と別れた後の孤児たちがカラスに目を付けられる羽目になって。逃げおおせた一人が遠山に助けを求めてきたりもしました。

 

最初こそ『賢い選択』として、助けない選択をしかけていました。矢印の導きもまた、カラスという組織は強大な組織であり、ラザールと一緒に逃げおおせたいのなら敵に回すべきではないと度々警告を発してきていたわけですが。

見捨てるという選択が出来なかった遠山、結構好きです。その決断によってルートが消失して「もうめちゃくちゃだよ、これ」と自我出してきたりするの正直笑っちゃった。……でも、これ超常の存在関係者の自我なわけで、意識あるのは怖くもある。

 

スラム付近で活動していたカラス一派を皆殺しにしたけれど、子どもたちの内リダが致命傷を負っていて。

どうしようもないか、と思われたところで蒐集竜との一件で姿を見た、聖女が接触してきて。注目の対象である遠山を監視し、あわよくば恩を売ろうと考えていたみたいですが。

聖女の上役である大司教としても予想以上の大事を起こしてきたの、読者目線だと正直笑える。それに振り回される人々からすると、笑いごとじゃないですけど。

 

そうやって仲間を増やしていたわけですが、リダを救うための契約で早急に金を稼ぐ必要が生じて。冒険者になって成り上がるという手法を選んだわけですが。

教会が「発酵」とかの知識を秘匿していたり、正義を執行するために敵対勢力を殺すことにためらいが無い人物が騎士の第一位にいるのとか、爆弾多すぎて怖いなぁ、というかなんというか。

 

遠山も敵対者には容赦しないタイプの人材ではありますけど、そんな彼が登録しようと冒険者ギルドに行った時に、「彼との出会いを覚えていないウェンフィルバーナ」と遭遇して敵対することになったり、うっかり地雷踏んだりしてたのは因果応報感。

それでも蒐集竜との縁があったり、自前の口車とかもあって生き延びていましたけど。

いざ仕事をしようとしたら門番の教会関係者ともめたり、遠山たちの利益を横取りしようとした先輩冒険者と敵対したり、教会の騎士第一位とバチバチになったりするの、遠山の引きが強すぎて笑うしかないな。

異世界に遠山を送り込んだ超常の存在が「『難しい』から『すごく難しい』になるくらい」と感傷によって生じた難易度の世界観だなぁ……って感じですが、そんな中でもなんだかんだ命を繋いでるタフさが素晴らしい。



現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!1

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「やることがたくさんある。めんどくせえ、だがその全てがたのしみだ。その全てが俺の欲望に繋がる道だ。道中の苦労、困難、試練、それを達成した時の悦び。ああ、そうだ、その全ては俺のもんだ」

夢を叶えるために超えるべき試練、それらすべては挑む者にのみ与えられる報酬でもあるのだ。

 

魔物が蔓延るダンジョン「バベルの大穴」が観測された現代。

そこではダンジョンに挑む探索者という職業が生まれており、主人公の遠山鳴人もまたその一人だった。

上級探索者になりベテランと呼ばれてもおかしくない位置にいたが……仲間を逃がすために残り、致命傷を負ってしまって。

さらには沈殿現象と呼ばれるダンジョンの異常にも巻き込まれ、死ぬことになったわけですが。彼の在り方を超常の存在が面白がって、異世界に放り込むことに。

 

遠山はゲームなどで切り札を出し惜しんだ結果、使わずにクリアしてしまうタイプの人間であり、自らが死に瀕した際にも切り札の使用を躊躇ってしまったこと。

死の間際に、叶えたかった欲望を思い返していたこと。異世界で覚醒した直後は、死の間際に夢を見ているようなものだと割り切っていたこと。

覚醒したタイミングの遠山が、異世界の冒険者たちに奴隷と扱われる境遇だったこと。精神は現代のもので、異種族への偏見がなくリザドニアンから上手い飯をもらったこと。

様々な要因が作用して、遠山は異世界で自由に強欲に戦うことを決めた。

 

一方でそんな遠山に多大な刺激を受けることになるのが、蒐集竜アリスだったわけですが。

異世界においてトップクラスの実力をもつ竜。異種である彼女は、その力ゆえに孤独を感じていた。

ちょっと興味本位で冒険者の狩りにちょっかいを掛けようかと思ったら、それが遠山が蹂躙した冒険者一派の作戦で……混乱に満ちた場所において彼女は、面白い行動をとっていた遠山と、彼と連れ立って逃げたリザドニアン・ラザールに試練を与えることにしたわけですが。

 

ラザールの決断も、遠山の決断も好きだし。その行動の結果、遠山がアリスに興味を抱かれることになって。

竜が殺されることは、すなわち竜の番が決まるということでもあって。異世界側の人物たちは戦々恐々する羽目になって……。遠山も逃げようとはしたものの、一度は捕まって。相手の強さを踏まえた態度を取っていたけれど、最後の譲れない一線を侵されそうになった時には、対抗も辞さない覚悟があるの好きですね。

自分の中にハッキリとした軸があって、自分の行いによって起きるデメリットにもある程度自覚的で(異世界の常識に疎くて騒動引き起こしもするけど)、戦い抜く姿勢を示す遠山は結構好きな主人公ですね。

超常の存在に与えられた矢印の導きに頼るときもあるけれど、自分の方針にそぐわない時は、「従うかよ」って抗ってくれるのも個人的にはポイント高い。

 

遠山を異世界に送り込んだ超常の存在、大分きな臭いというか。推定:彼女は、ダンジョンの事を「私の箱庭」と呼んでいるし。「貴方」と呼ぶ人物に執着しているっぽくて、遠山に『貴方』になりうる可能性とやらを見出してるし、いろんなナニカが干渉しているのを把握しているっぽいし。

遠山は異世界に放り込まれそこで様々なイベントに遭遇することになりますが、どこまでが掌の上なのかは気になるところ。

 

ダンジョン内部で発生したサブクエスト「あるいは懐かしき再会」で出会った人物も、遠山を知っているような素振りをしていたりしたし。

彼を興味深く見ている人々の台詞、読み返すといろんな含意があるんだろうなぁというの、創り込まれた世界観の気配を感じるので、書籍版読了後にはWEB版も見に行きたいですね。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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