「だって、存在証明の失敗は不在証明にならないんでしょ」
(略)
「そうだよ。ほんの一ミリグラムの望みは、絶望の千倍つらい」
BOOK☆WALKERでわりと前にやってたセールに合わせて購入。
昔図書館で借りて読んだんですが、手元に確保しそびれていたので。
……まぁ、セールとっくに終わってるんですけどね! どうせなら期間中に感想書きなさいよ(自戒)。
大西洋赤道直下に浮かぶ、名前もない小さな島。
そこには教会があり、神父とわずかばかりの住人が暮らしていた。
その教会では、あらゆる愛がゆるされ、近親だろうと不倫だろうと結婚式を挙げる事ができる。
ただし本当に愛し合い、教会の扉を開くことができるのならば。
愛を証明するために、島を訪れた人の話です。
メインとなるのは4人で、胸中の思いはそれぞれに異なるようですけど。
「すべての愛が許される」島にわざわざ来るという事は、「許されない愛」を育んでいるという事で、どうしたってドロドロしているというか。
重たく暗い情念のようなものが織り交ぜられている感じ。
「いいですか、小説家はほんとうに大事なことは書かない」
「書かないのは、それがなにより大事だと、知っているからですね」
迷いの中で自分自答して、無駄に彩った言葉を使うキャラが多いです。作中でも、「言葉遊びの巧い神父だった」なんて評を下してる場面ありましたし。
個人的にはその言葉遊びが気に入ってるんですけどねー。いい機会だからと購入して、再読するくらいには。