「私も颯真さんに感謝していますよ? 颯真さんのおかげで、私の世界が広がりました。一人では行けなかった場所に行ったり、一人ではできなかったことができるようになりました。本当にありがとうございます。そして、これからもお願いしますね」
お互いの目的のために協力関係を結んでいる、パティシエ志望の颯真と試食係の千佳。
両親がパティシエなことと味覚が鋭いことがあって千佳のアドバイスは的確で。製菓を学びたいけど両親との折り合いで一般の高校に通うことになっていた颯真は、図書館の本とかも使って勉強をしていましたが。
古いレシピだと「当時好まれた味になる」とか「(品種改良などで)今手に入る食材との味に差がある」ために、甘すぎるみたいな指摘をしてもらえるの、かなりありがたいですよね……。
一方で、颯真は「パティシエになる」という大目標だけがハッキリしている状態で、自分の個性が出せていない、というような指摘をプロからはもらったりもしてましたが。
交流のある千佳が、彼女なりにフォローしてくれていたのは彼等の築いてきた関係ならでは、という感じで良かったですね。
千佳が料理に挑戦したいということで、颯真は彼女の手料理をお弁当として食べていたりしましたし、一般には恋人関係の距離感ですることをまだ付き合ってない状態でしてるんですよね……。
颯真をからかうと良い反応をするから、とちょっかいかけてくる千佳ですが……親しくなってきたからか、2巻はより糖度が高くなってきた感があります。
からかうために颯真の頭を自分の胸元に抱え込んだりするし、試食しすぎてちょっと丸くなってしまったと気になる箇所を直接見せようとしてくるし、足を怪我していた時とは言えおんぶとかも普通にされるし、身体的な接触へのハードルが颯真相手だとかなり低いですよね。
これで千佳の心情的には「颯真は好きで、それは友人への好きとは違う。でも両親への好きだって友人の好きとは違うからなぁ……」みたいな状況で、まだ恋心を育んでいる状況で自覚していないって言うんだから末恐ろしい。
ハッキリ恋を自覚した時、もっとアクティブになってしまうのだろうか……。そうなった千佳が彼女の母の姿なのか……。
モブのカップル御用達のカフェ店員だったりからしてみれば、普通に恋人に見える状況みたいですけどね。そりゃそうだよ。イチャイチャしてるもん。今回も甘くて良かったです。