気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

にもし

特級ギルドへようこそ!~看板娘の愛されエルフはみんなの心を和ませる~3

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「メグ、そなたはこれから長い時を生きる。……まだ幼い身であるしな。今、仲の良い者たちはそなたを置いて先に逝く。だが悲観ばかりするでない」

(略)

「そなたは人を惹きつける。長い生の中、また新たな縁を結び、輪となって広がってゆく。安心するのだ、そなたの家族は我らだけではない。まだ見ぬ、まだ生まれてもおらぬ家族が、そなたを待っている筈だ」

 

ダンジョンで発見されたメグは、ハイエルフの母と魔王の父のもとに生まれた子供であった。

父とは無事に出会うことが叶いましたが、母の情報を求めるならば秘されたハイエルフの里に踏み込むほかない状況で……。

さらにはメグの幻影を攫ったり、彼女に執着していた別の特級ギルド・ネーモ。

ここは人材派遣という名で後ろ暗いことをしてるという噂が多く……さらに今回の騒動で、ハイエルフの長がそのトップに座ってることまで発覚。

 

そこでオルトゥスは頭領の指示のもと、ネーモについて調査するチーム、ハイエルフの里を攻略するチーム、ネーモ側の攻撃を防ぐギルド待機チームの3つに分かれることになって。

ハイエルフの里には特殊な結界があり、関係者でもないと踏み込むのが難しい状況であり……探索チームにメグも名乗りを上げて踏み込むのが面白い。

 

隠れ住んでるハイエルフは排他的と言われており、最悪全面戦争かと思ってたところ、いざ踏み込んでみたら話が通じる相手もいたのはホッとしましたが。

その反面、ハイエルフの常識に縛られず動いている族長が敵に回っているのが面倒でもあったんですけどね。

危うい状況もありましたけど、協力し合って無事に乗り越えられたのは良し。めでたしめでたしで終わるかと思いきや、なんか不穏な終わりをしたのは気になりますが。

ひとまず3巻まで読めば、メグがダンジョンにいた理由とか最初に提示された疑問の回答は得られるので、読むときはここまでまとめて読むのがオススメですね。

特級ギルドへようこそ!~看板娘の愛されエルフはみんなの心を和ませる~2

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「私は、出来ることが少ないでしゅ。でも、何もわからないまま、知らない間に終わってたっていうのは嫌だなぁって。それに、ちゃんとお礼がいえましぇんから!」

 

前回の引きで、下っ端にメグが攫われるという事態が起きてしまったわけですが。

『オルトゥス』が特級ギルドというのは伊達ではない、というか。あの瞬間に幻影を作ってメグを保護、敵に幻を攫わせてその後を追跡するっていうコンビネーションを即座に披露してるんだから、各々のスペックが高い。

 

一方でメグも庇護されてばかりなのを良しとせず、精霊との契約を結んで自分に出来ることを増やそうとしてるのは偉い。

メグが契約した声の精霊、当人はかなり自信ない子でしたけど。実際に契約してみると、大分有能なのは嬉しい誤算。メグは「あなたなら私の力になってくれる」と信じて契約を結んだので、彼女からすると期待通りの成果ではありますか。

 

最初に見つけて保護してくれたギルが、いつまでも身元不明のままだと危ないからと書類上の保護者になってくれて。彼をパパと呼ぶことになってましたが。

オルトゥスの縁によって、メグの本当の父親も思ってたよりは早く対面を果たせたのが良かったですね。

実はハイエルフの血を引いている希少な存在であるメグをめぐっては、いろんな思惑がめぐっているようですが……こちらの陣営も厚くて、調査班はしっかり真相を見出してるし、頼れるのがいい感じ。

特級ギルドへようこそ!~看板娘の愛されエルフはみんなの心を和ませる~

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「子どもというのは本当に、それはもう本当に機長なんですよ。私たちのような種族や亜人は基本的には身体が丈夫なのですが、それでも病気や事故でその命を失うことは少なくありません。それに、幼少期いかに愛情を注がれたか、幸せだと思えたかによって、その後の長い人生が変わるのですよ。私たちにとって、子どもとは宝です。周囲の大人が力を合わせ、何に変えても守らねばならないと誰もが思っているのです」

 

アラサーOLだった主人公、長谷川環。

彼女は気が付いたら異世界にいて、エルフの幼女の姿になってしまっていた。

しかも目覚めた場所はダンジョンの中という、危険な状況ではありましたが。

そのダンジョンで起きた異変を調査しに来た特級ギルド『オルトゥス』の斥候役ギルに発見されて、すぐに保護されたのは幸いでしたね。

 

保護者もいない状態なのもあって、そのまま『オルトゥス』で養われることになって。

精神は環として成熟した部分があれど、肉体はメグというエルフの幼女のものなのもあってか、親しい相手が依頼で遠くに行ってしまうと思わず泣いてしまったり、舌足らずな言い回しになってしまったり、体力がないから疲れると寝ちゃったりと大分肉体の影響を受けてもいます。

 

エルフの子供というのはとても貴重なのもあるし、メグがとても愛らしい子供であることも合わさって『オルトゥス』のメンバーにとても良くしてもらって過ごすことになります。

ちなみに庇護するだけではなく、メグの身元についての調査もしてくれているんですが……ダンジョンで発見されたことと言い、訳ありっぽくて。

それを示すかのように最後、なんか下っ端臭のする奴がちょっかいかけてきた場面で終わってますし、どうなりますかね。

魔導書工房の特注品~落ちこぼれ貴族の魔導書を作ろう~

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「ティスカ姉……本当? 迷惑かけてない?」

「迷惑なんて、全然ないね! むしろ、エルネのおかげで日々が充実してるね!!」

 

高等魔法学院で学んでいたティスカは、魔法に優れた才能を持つ少女だった。

実家に眠っていた治癒魔法の魔導書の解析を進めていたところ、親しくしている少女エルネが負傷し……不完全な治癒魔法を発動。

無事にエルネは救えたものの彼女は後遺症で魔法が使えなくなってしまったし、ティスカも事故から2か月寝込んで単位不足で留年し、決まっていた就職も流れてしまった。

表紙の通り片方の目の色と、髪がひと房白く色が抜けてしまったのもティスカの後遺症のようですが……元が明るいピンクなのでひと房白いのはパッとわからんな……。

 

翌年無事に卒業したティアセは、かつての家業であった「ペリアプト魔導書工房」を復活させることに。

今の主流である画一化された魔導書ではなく、オーダーメイドタイプの魔導書を作るスタイル。魔導書に使う素材の影響も大きいし、刻む呪文の設計にもセンスが必要だしで、廃れたのも無理はない気がしてきますが。

魔導書工房を廃業した後に始めたパン屋では、その時に得た知識を基にしたパン作成用のスペルが今も使われて好評を博しているんだから、使い方次第な気もしますけど。

だからこそ、ティアセも工房を復活させるって決断できたんでしょうしね。

……魔法研究大好きな魔法バカだから、っていう一面がないとは言いませんが。

 

友人のエルネの協力を得て経営してる工房に、学生時代の同期でありティアセをライバル視もしている魔法系貴族家の令嬢リセが入りびたるようになって。

3人娘が姦しく工房経営していく話ですね。最初はパン屋の評判の方が強くて、なかなか依頼が持ち込まれず、ティアセも新作パン用の呪文作ったりしてましたけど。

傭兵活動中の人物や、旧知の農家から依頼が持ち込まれて、ティアセ製の魔導書が人目に付くようになったので、今後に期待が出来そうではあります。

 

魔法でパンを焼いてるパン工房ペリアプトは、日に何度も焼き立てパンを提供できる人気店らしいですし、農家のザインが頼んだ耕耘と殺虫の魔導書はマジに家宝になるんじゃないかな……。

パン工房は魔法が使えないと後継者になれない問題を抱えたりしてるわけですけど、何代も続いてるわけですし。ザインは目につくぶん盗難の警戒をしなきゃならないのが大変そう。

 

リセ伝いではありますけど、貴族からの依頼まで来たわけですしね。……別の家からの妨害工作まで発生したりもしてましたが。

そこまで気にせず完成にこぎつけていたのはお見事。どちらかというと、エルネが感じていた負い目をティアセにどう伝えるかという部分が一番の山だったんじゃなかろうか。

でも3人が仲良く経営してる風景が楽しそうで、心が弾むのでオッケーです。

さよなら異世界、またきて明日Ⅱ 旅する轍と希望の箱

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「夜、眠る前にはいつもこの箱を眺める。この箱の中身だけが私を支えている。だから君に贈る助言はひとつだけだ。希望を詰める箱を見つけたまえ。それが心の拠り所になる」

 

二人での旅を続けるニトとケースケ。

効率的に探し物をしたいので地図が欲しいというケースケに、地図は貴重品だから簡単に手に入るか分からないというニト。

うーん常識が違う。いいですよね、こういう違いを見せつける会話。こういうの好きです。

なので、今回はケースケが異世界人だと見破る、眼力強い人が多くて楽しかった。しかも見破る方法がそれぞれ違うやり方なのが良いんですよねぇ。

新キャラでも気付かない人も居ましたし、バランスが上手い。

 

旅の道中、聖女様を奉る聖堂がある村に辿り着いた二人。

崩壊しつつある世界で、ひっそりと滅びかけている村。こういう村、普通にあちこちにあるだろうし、旅人を迎えることなく滅びた場所もあるんだろうな……

ケースケが悩みを抱いたのも分かるわぁ。何もかも終わりつつある世界において、なぜ人は生きているのか。

 

多くの知恵者が考察しつつも答えを出す前にしまい、真実は明かされることはなかった。それでも。そんな世界で生きる理由。

モンテさんの答えが曖昧なようで支えになる、まさに希望となる指針の話だったので、ケースケが役に立つ助言だと返していたのが、良かったですね。

 

届け屋を営んでいる獣人の少女、シャロルも中々いいキャラしてました。

というか、彼女の祖先と出会った異世界人の話って、前作のキャラでは……? そんな気はしてましたけど。そうかあの世界、静かに滅びるのか。

別の作家さんが言っていた「滅びない国はないので(滅ぼしました)」的な言説を思い出しましたね……

終わりがあるからこそ、それでも生きるからこそ。優しいし切ないし、悲しくて愛おしい。

相変わらず作中の空気感が好みで楽しい、良い作品でした。



さよなら異世界、またきて明日 旅する絵筆とバックパック30

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「もちろん、正しい質問をするんだ」

 

異世界に召喚された少年ケースケ。

しかし、既にその世界は滅びかけていた。

人が結晶となり消え、砂と散る異変に呑まれた世界で、彼は一人、蒸気自動車で旅をしていた。

その途中で、同じく一人旅をしていたハーフエルフの少女ニトと出会って。

巡り合わせによって、彼女の探し物を手伝う事となり、二人はあらゆる問いに答えをくれるという魔女の伝承がある街を目指す。

 

あぁ、なんて綺麗な物語だったんだろう。

滅び忘れ去られる一歩手前の危うい世界で、それでも生きている人々の姿が。

出会い、語らい、そして別れる。

纏めてしまえばただそれだけなはずなのに、胸に迫るものがある。

 

滅びかけの世界で変わらず仕事をする、修理工のおじさんがいた。

連れ立って旅をする老夫婦がいた。最後に家族に会おうとした人がいた。

あるかも知れない場所を探そうとした少女がいて、人探しと嘯いて放浪していた少年がいた。

退廃した世界で、分かりやすい救いなんてなくて。だからこそ、他愛無い会話が愛おしいのだ。ニトとケースケが、あの駅で出会えて本当に良かった。

旅の中で絆を育み、足を止めた時に相手に言葉をかけてあげられる二人の関係が、とても好き。P275P305の挿絵と、その前後の会話とかいいですよね。



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