「いいか、これは兄貴分からのアドバイスだ。なんでもかんでも見返りとか対価を求めるのはいいことじゃねえ。確かにそういうことを耳心地のいい言葉で振りかざす奴もいるが、損得を抜きにした人間付き合いができた方が人生は絶対豊かになる。俺に恩を感じてくれてんなら、そうだな、他の誰かに返してやれ」
ロニーの魔法研究は成果を出したものの……それで自分が扱えるようになった魔法の協力さに、彼は恐怖を感じて。
力に溺れるような愚かさを示さなかった部分は安堵できますけど。悩みを得つつも、少しロニーが前向きになったところで、父の策略が発動。
父は、無能として知れ渡った彼を始末しようと殺し屋を雇って。
もともと身体能力も低く剣も振るえないことで評価が下がり、魔法が使えなかったことで欠陥品扱いを受けたロニーですから、緊急時への心構えがなってなくても仕方ないか。
いきなりナイフで刺されて混乱して、それでも足掻いたのは偉かったですけどね。
辛くも撃退し屋敷に戻ったロニーを出迎えたのは、虜囚になる運命だった、と。
他人に変装できる魔法使いがロニーに扮し、屋敷の使用人を襲っており……冤罪でロニーは捕まることに。
いやはや、命を狙うばかりではなくロニーの評判まで貶めようとか、念入り過ぎて怖いよ。
その裏側にはより上位の貴族の思惑が絡んでいたようですしね……あまりにもロニーが救われない。
事実に気付き其の上で、弟のために父を殺さない選択ができたのはすごいと言えますが。
……追い込まれた中で一人で考えた最善が、本当に最善とは限らないというか。弟のヨハンが純粋に兄を慕っていたのに、何も教えてもらえなかったと結構沈んでるっぽかったのが惜しいというか。
タイトルに「無双」って入ってますけど、いうほど無双はしてないんですよねこの作品。むしろ泥臭く研究して一歩ずつ進んでいく話なので、全てロニーに解決してもらうってのも難しいところではありますけどね……。
家を出たロニーがダミアンを頼って、王都で生活の基盤を整えることができて。
そこで研究に打ち込みつつ、子供たち相手の講師を務めたりと良い環境で過ごすことができてる分、ヨハンのおかれた環境の厳しさがどうしても気になってしまうのは確かです。
水魔法からの氷魔法、そして今回は光魔法の基礎を掴もうとしている彼の歩みがどこまで行けるのか見守っていきたいですねー。