「いってらっしゃい。みんなの幸せのために。私達の、働く魔王様」
長らく続いたシリーズの完結巻。
もう1~2冊くらい続くかなーと思っていたので、ちょっと意外ではありましたが。400P超で1冊に纏めあげたって感じですね。中々に分厚い。
神討ちの戦いに向けて準備は順調に進んでいて……敵がどんな手を打ってくるかは分からない。
ならば、戦いに臨むにあたって心残りは残せない、と。ちーちゃんのお父さんに事情を打ち明けたり、かつて犯した罪について謝罪に行ったりしている様子が、笑う場面じゃないんですけど笑えた。どこまでも真面目だなぁ、ホント。
神討ちの戦いに向けた前巻から続く時間軸の話と、全てが終わった未来の話を交互に描写していくのは、最終巻だからこそ出来る遊びだなぁというか。
未来において、あっちこっち予想できなかった方向に事態が進んでいて、驚きましたね。一番はサリエルですけど。まさかすぎる……
まぁでも、早々に愛を見つけていたからこそ、割り切りも凄かったというか。「佐々木千穂の心の百と、貴様の心の百は違う」みたいに中々いい事言ってましたよね。
未来のエピソードが挟まることで、討伐準備の段階では作中のキャラ達も不安を感じていましたが、まぁ上手い事決着したんだろうなぁと思えて、スルスル読めました。
神討ちの戦いがさっぱり始まらないので、本当に終わるのか……? みたいな気分にはなりましたけど。思ったよりもあっさり決着した風味。
物語のように勇者が魔王を倒して終わるわけではなく。終わってからも色々とすることは多くて、未来においても全てが決着してはいない感じでしたが。
事後処理も含めて、彼らの日常となって続いていくんだなぁという終わりは、余韻があって好きですね。
鈴乃やちーちゃんの気持ちに対して、魔王がそれぞれ答えを返していたのも良かったですし。
シリーズ完結、おめでとうございます。