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「しかし奴らは我が領民に手を出した! それは絶対に! 絶対に許しはしない!」

 

ダンジョンを攻略しアルッポを去ったルークは、国境を越えて鉱業が盛んな国ザンツへと足を延ばして。

しかし時期が悪く、季節は冬。

これまではアルッポのダンジョンまで足を延ばせば、そこは切り離された環境であるため、冒険者にとって冬場の良い稼ぎ場所になっていたようですけど。

そこが攻略されたことで計画が破綻した若手冒険者なんかも散見されて。ルークにとっても想定外の状況ではありましたが。

 

……冬で往来にも制限が出るし、食材にだって制限が出てくるから、冬支度って言うのは本当に大切なものだそうですが。ルークは本当にそのあたりさっぱりで。

情報収集をした結果、王都に足を延ばすことを決めたわけですが。

そこで以前アルノルンで冒険者登録した時に話したニックと再会。登録を止められそうだった時に、受付のエリンを説得した人と言われてそう言えばいたなぁと思うなどしましたが。

彼の紹介で宿を見つけることが出来たりして、手探りで旅をしまくっているし、婚約破棄された少女の前で「あの騒動の!」的なコトを口走ったり失言もそこそこあるわりには、何だかんだ強かに生き延びてますよねぇ、ルーク。

 

ザンツは国や教会の上層部が腐敗していて。

真っ当な人も当然多くいるんですが……それでも権力者ほど腐敗が進んでいて、暗躍してる輩も居て。

そんな中でルークは多少怪しい人物を目撃したり、巻き込まれた孤児の子を助けたり。婚約破棄された令嬢に回復魔法を教える役を任されたりと、騒動の端っこの問題に関わっていくわけですが。

……最終的には、彼の与り知らぬところですべての問題が解決していたのは、ちょっと笑った。一応ルークが目撃した情報で、真面な司祭が動いてくれていたり、彼が魔法を教えた令嬢が「聖女」と神聖化され、この地に残っていた聖女伝承もあって民心を引き付けたことなんかもあって、ルークのしたことは結果として良い未来を導いてるんですがね……。