そんなくだらないことのためにお父さんとお母さんは死んだとでも言いたいのか!!
私は『乙女ゲーム』を拒絶する
(私はひとりでも生き抜いてやる)
貴族の母と騎士見習いの父が恋に落ち、駆け落ちした先で生まれた主人公のアーリシア。
そんな彼女は両親を亡くして以降は孤児院で育ち……後に貴族に発見され、学院に通い、王子様などの攻略対象と出会う、という乙女ゲーム世界のヒロインだった。
ある日、孤児時代の主人公の前に乙女ゲーム知識をもった転生者が現れて。その転生者は、自分がヒロインとなって乙女ゲーム世界を楽しむために、「自分の記憶をヒロインに流し込み、彼女を乗っ取る」計画を立てた。
計画の鍵となる魔石に触れ転生者の記憶の一部を得たこと。命の危機にさらされたこと。
極限状況においてアーリシアは、転生者を撃退することに成功。
「乙女ゲーム」という物語のために、自分の父や母は死んだとでも言うのか、という怒りから「乙女ゲーム」を拒絶し、一人で強く生きていくことを決意。
少女の一人旅は危ないからと髪を切り、自分の髪は目立つからと灰を被って色をごまかした。
そうやって森で過ごしていた時に、気のいい冒険者と出会って魔法を教えてもらうことが出来てアーリシアは少しずつ成長していくことになります。
アーリシアは乙女ゲームを否定したけど、転生者の作った魔石は残っていて別の少女がその妄執に憑りつかれていたり、そもそもの「乙女ゲームのイベント」という厄ネタの気配があったりとしますが。
アーリシアは自分の在り方を曲げず、幼いながらに戦っているのが好印象。
描き下ろし漫画「陽だまりの朝に」、書下ろし小説「在りし日の追憶」のどちらも、両親が健在で幸せだったころの記憶が垣間見えて、今一人で戦うことになるアーリシアの事を思うと胸が痛みましたね……。名をアリアと変えて進む彼女の道行に幸あれ。