「――ただ強いだけの奴だったら、俺は『英雄』とは呼ばれてねぇよ」
以前話題にでた、千年以上生き続けてる東方大陸の国主の獣人少女が、まさかまさかの来訪というのが口絵に描かれてびっくり。
婚約者を守ろうとエルリアは腕組んでるし、レイドも珍しく冷や汗かいてる感じで面白かった。
序章が中々に不穏だったと言いますか。平和と安寧のためにエルリアが作った魔法という技術。けれど、それによって争いは激化し……何度も何度も、悪用するものを殺してきたという過去。
それを数百年以上繰り返してきた、だとか。彼女に会いに来た『英雄』が、「今までの記憶」どうこうの会話していたりだとか。
エルリアが賢者ではなく『魔王』と呼ばれていたり、英雄が転生を繰り返しているとか。気になる情報の宝庫過ぎたな……。『魔王』エルリア、絶望しすぎていて今のレイドとイチャイチャしてる彼女みてると別人のようでしたねぇ。
ウォルス、転生を繰り返した『英雄』達の願いを『魔王』エルリアに届け、幸福な未来を描こうとした人物だったんですねぇ……
そんな彼から、本来辿るはずだった歴史と、改変された歴史についての話を聞いて、アルテインの遺志を継ぐ連中は許すべからずという方針を共有できたのは良かったですね。
独自の方法で新しい『英雄』生み出しているのといい、面倒そうな相手ではありますけど。
レイドが『英雄』と呼ばれていたのも納得の知識と分析力で、侵略者たるアルテイン側の行動を予測できるのは強いですよねぇ。頼もしい。
敵が動くだろうし、それは襲撃ではなく戦争と呼べるレベルのものだろう、って予測してましたし。純粋な強さ以外でも、対処できる部分あるの良いなぁ。
相手側にも事情があり、それを汲もうとする度量を持っているレイドとエルリアは本当に格好良かったです。
いまを生きるレイドとエルリアが紡いできた縁を頼りに、戦争にまでなりかけた状況を上手く解決する方法まで見出していたわけですからね。やることのスケールがデカいわ。