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「我らアイゼンフッドの絆は血よりも濃く、鉄よりも固い意志で繋がっている。……それは幾星霜の時を経ようと、遥か先の未来であろうと永遠に朽ちることはない」

(略)

「――それこそが、我らアイゼンフッドの『鉄血の誓い』である」

 

没落した公爵家当主アルテシアに忠誠を誓う青年カルツ。

彼は、他の六公爵家が結託してアルテシアを貶め殺したという事を知り、主の死から十年の時間をかけて調査を進めた上で、そうして得た情報を全て抱えて過去へと戻った。

それはアルテシアから託された「時」の魔術を用いたものであり……彼は主を助けるために、全てを賭すことを決めたわけです。

例え過去に戻る対価が自分の寿命であろうと、躊躇うことはなく。

 

スラムに暮らす孤児であった彼は、前世においてはアルテシアに拾われ彼女の下で教育を受けていたようですけれども。

過去に戻った彼は、敢えて主の下にはつかず独自に行動する事を決定。

本来だったら死ぬはずだった人物を助け、配下に迎え入れたり。歴史の流れに影響を与えそうな部分に干渉したり。

読者目線では色々と手を打っているのがわかるんですけど。転生したカルツは、自分以外を表で動かして基本的に暗躍しているから、目下敵対している派閥にほぼ察知されていないというのが強いですよね。

 

今回、明確にオルナメント公爵家の作戦を潰しに行ったわけですけど。

最後の最後までカルツという存在に気付けなかったわけですし。陥れた後の相手を上手く傀儡に仕込んで、さらに裏に潜むようなことまでしてるのが執念を感じる。

とは言え、そう毎回相手を上手く傀儡にできるわけでもないでしょうし、状況が進むにつれて他の公爵家も警戒を強めそうですから、これからのカルツがどういう手を打っていくのかが楽しみです。