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「……きらいなわけないでしょう」


あらすじ・相関図等が見られる作者様のツイートがあるので「こちら」もあわせてどうぞ。
文フリで刊行された同人誌ですが、kindle版もあります。わたしはそっちを買いました。

同じ学校に通う少年少女の群像劇。

春夏秋冬で章が分かれ、それぞれの恋の風景が描かれています。

じれったくて、恋に焦がれている様子が可愛くて、幸いあれかしと祈りたくなる。

どのエピソードも素敵ですが、秋の章が一番好きかなー。

 

「春の章 たんぽぽの笑顔」

そそっかしい所のある少女、立岡桜。

自分でも大雑把、ずぼら、だらしないとかいう形容が似合うなんて思ってますし。

机の上に山積みにした教科書を崩してしまった時、近くにいた堤くんが手伝ってくれて。

その時にみた、彼の笑顔が気になるようになった。

「可愛く笑うんだねー」と友人のユキに話して怪訝そうな顔されてるのには笑った。その後、ばったり遭遇した本人にも言ってのけるあたりは凄い。

可愛く笑ってるのは君の方だ、と言われて照れてる場面とか良かったです。どっちも可愛い。

 

「夏の章 ゆめみるおとめ」

クラスメイトの男子、蓮見くん。

彼に告白されて、自分がそれを喜んで受け入れる夢をみた安槻るみ。

夢の影響で、彼に目が行くようになって……様子がおかしいと、蓮見くん自身に気づかれるし、るみの友人である大鳥空乃は面白くなさそうに彼女を見る。

連日、蓮見くんの夢を見るように。場面は都度違い、デートしたり照れたり、惚気たりするような感じで。

いやいや、自分はこんなキャラじゃないだろうと思いながら、夢は進展し……

キスする段に至り、とりあえず蓮見くんの友人、姫野くんに相談する事に。

なんかかんやあって解決しますが、安槻さんが寛大で良かったねー、蓮見くん。

 

「秋の章 ピアスの夕暮れ」

夏の章でも登場した、大鳥空乃。

彼女が所属する美術部の、先輩視点の話。読み返して気付きましたけど、男子視点メインなのこれだけか。一回目楽しんでスラスラ読んでたのであまり意識してなかった。

空乃は、大切な友人である安槻るみに恋人が出来たことに衝撃を受けていて。

彼女に気にしてほしくてピアスまで開けてみた。けれど、最初に気づいたのは先輩で。思わず八つ当たりをしてました。

「口を開かなければ清楚」な空乃。そんな彼女の素を知っているのは、安槻と先輩くらいで。空乃自身もこの二人に対しては遠慮せず物を言うようですけど。

生意気で、面倒な後輩である彼女の事を気がついたら好きになっていた先輩の行動力が凄い。そこで踏み込めるんだ……

その後、空乃がそれまでただの先輩だったのに、名前をつけて呼ぶ場面とか、あぁ、もう好き……お幸せに……

 

「冬の章 白雪姫の探し物」

春の章で登場したユキ、正しくは白雪。お相手は夏の章で出てきた姫野くん。

春の主役だった立岡桜が「恋人ごっこして、好きになった方が負け」というゲームを提案してきて。漫画に影響されてたようですけど。

「最初から負けてるからゲームが成立しない」とユキは桜に返してましたが、大丈夫だと太鼓判を押されて。

放課後に遭遇したときに、そのゲームの話になって。姫野くんが、それに乗っかって来て、なし崩しにゲームがスタート。

他の章では概ね「付き合うまで」が描かれていますが、この章は「恋人ごっこ」から始まるので糖度高めな感じ。……他の章が甘くないわけじゃないですけどね!

作者様の作品絡みのツイートが素敵だったので追記。
もし季節それぞれの子が好きなところを言わないと出られない部屋に入ったらというツリーが「こちら」。
後日談というか裏話は「こちら」。
特に裏話の方では春組の告白がどちらからだったか、とか色々語られていて、素敵なので読了したらぜひ。先輩がチョコ好きだと思ってるからそれを選ぶ空乃とか、そこまでチョコ好きでもないけど分けてくれる空乃が好きだから嬉しそうな先輩とか……もう、凄い。好き。