気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

るろお

放課後アポカリプス

ico_grade6_3h
「私達はもうとっくに取り返しがつかないところまで来てるのかもしれない。抜け出す方法とか終わらせる方法とか、そんなものそもそも存在しないのかもしれない」
死ぬまでゲームをやらされるのかもしれない。考えないようにしていた可能性だ。
「それでも、なにもしないわけにはいかない。少なくとも敵を倒し続けていれば生き残れるわけだし、ね」


割と嫌いじゃないです。るろおさんの絵かわいいし。
毎週水曜日、唐突に始まるゲーム。
それは、天使と戦う危険なサバイバルゲームで。
普通に学校に通っている主人公たちは、どうしてそんなゲームに巻き込まれているのかも分からずに、生き残るために戦ったり、情報共有したりしていくわけです。

ただ、一丸になれているわけでもなくて。
学校内でも、差別のようなものもある状況で。
何とも、歪な環境に置かれていると思ったものです。
ゲーム内ではクラス委員長がコマンダーとして、それ以外の生徒であるソルジャーに指示を出したり、コマンダーが敵にとどめを刺すことで得られるポイントで武装強化したりしてます。
じゃあ、現実においてコマンダーは優遇されているかというとそうでもなくて。

誰もやりたがらなかったクラス委員の仕事を、押し付けられた人も入っている状態。
更には、コマンダーは現実でもゲームのことを覚えているものの、ソルジャーである一般生徒たちは、普段はその記憶を失っている。
だから、現実においてコマンダーがいじめの対象となっていて、ゲームになってからやり返される、と団結力の欠片もない。

最後にどんでん返しがあるのは中々よかった。
けど、ゲームがああいった目的であるのなら、もうちょっと優しくてもよかったんじゃ、と思うんですが。
作りこまれているゲームではあるのだから、そこで起きている問題は結局人と人のものだってことでしょうか。

他の杉井作品に出てくるようなキャラクター像でしたが、世界観が大分違うので、多少は新鮮だったかも。
ただ、いい加減違う性格のキャラとかも見たいから、その辺には期待したいんですがねー。
主人公の抱えている謎っていうのは増していくばかりだったので、続きで解決されることを祈りますが。


機巧少女は傷つかない14

ico_grade6_4
魔術の世界は実力の世界。才あるものがもてはやされ、力なきものは無視される。
だからこそ。
「弱者が見捨てられてはいけないんだ……それは、強者が報われるのと同じくらい重要な……もうひとつの〈世界の真理〉なんだ。私は……せっかくつけてもらった腕を捨ててでも、アンリエットを護りたい……!」

夜会終了まであと二日。
薔薇たちの暗躍もあり、大分通常とは違う様相を呈してきている最終幕ですが。
雷真は、仲間たちの為、夜会へのちょっかいを排除するため、銀薔薇に続いて、他の薔薇も倒してしまおうとアリスの力を借りてまで画策しています。
で、実際に日輪を厄介な祖母の元から一度連れ去ることには成功するわけですが。
魔女の呪縛は強かったといいますか。彼女はいったい祖母から何を打ち明けられたのか気になりますね。
失敗して怪我をおった雷真が活躍するのは次回以降にお預け、な感じ。

だからこそ、今回の表紙はシャルだったのかなぁ(日輪もいますが)。
本当に、この巻の主人公はシャルと、ブリュー家の人々だった。
ぼっちだった暴竜が、妹を助けるために行動を起こそうとしたとき。
それに手を貸してくれた人々の数。アンリが築いた縁もありましたが、決してこの学院で過ごしていた時間が無駄ではなかったんだと思える良い展開でした。

というか、エドガーさん強すぎませんか。一対一で薔薇圧倒してますよ。
武の極みといえば、雲雀さんが思い浮かびますが……彼は彼で何を考えているのかわかりませんね。
雷真の様子見をしたうえで刀を渡したりと認めてくれているのかと思えば、仕事だからと立ちふさがったり。
キンバリー先生が、雷真やアンリを気にかけていた理由も描かれてましたね。
この人、本当にいい先生だなぁ、と思います。
マグナスが自分の人形たちに、全てを語る約束を果たす、と言って語りを始めるようですが。
さてはて、彼はいったい何を考えて、何のために行動しているのか。
夜々が問い詰めた時、「おまえの言ったことに嘘はない」とは言っていましたが。
絶対に何かは隠されているはずですし。彼の真意が気になって仕方がない。

機巧少女は傷つかない14 Facing "Violet Silver" (MF文庫J)
海冬 レイジ
KADOKAWA/メディアファクトリー
2014-10-23

ジーンメタリカ 機巧少女は傷つかないRe:Acta 1~2

ico_grade6_2h
「・・・いい 私は従う」
「だって私はヤマトの「あいぼう」だから」


機巧少女は傷つかないのスピンオフ作品。
機巧魔術の発展によって犯罪を犯すような輩も魔術を使うように。
それらの犯罪を取り締まるための組織『機巧改』。
そこに入隊した、ヤマトは、機巧改への復讐という目的を持っていて。

設定は結構作られているんだと思いますが……
原作にしても、複雑に思惑とかいろいろ絡んでますし。
その説明が足りない状態でどんどん進んでいっている感じ。
ハッキリ言って物足りない。面白そうな臭いはするんですけどねー。どうしてこうなった。
2巻で完結。……って物足りないにもほどがある感じで。
売れなかったのか。残念でした。

あちこち気になるネタはあるんですよね。
いざなぎ流を使うキャラクターとか。主人公が使っている花柳斎人形についてもそうですし。
伏線とかいろいろばら撒くだけで終わった感じ。

最後のおまけについてもよくわからないし。
手紙を送ってきたヤマトの父親。
確実に「彼」なんでしょうけど……そこに至るまでにいったい何があったのか。
ヤマトにしても、最終的にはそこに落ち着くにしても……
目的が復讐から変わるまでが早すぎて何とも言えない感じがまた。
巻きで進行してしまったのが惜しくて仕方ない。

ジーンメタリカ-機巧少女は傷つかない Re:Acta- 1
釜田みさと
メディアファクトリー
2013-09-27






アリストクライシⅢ With you

ico_grade6_3h
「私は君の傍にいる。エリーゼ。君がどんな決断を下してもだ……ただ、私にはある望がある。どうかそれだけは叶えて欲しい。エリーゼ、私には幸福が分からないんだ」
私は、それでも、きみには笑っていてほしい。君にだけは、幸福でいてほしい。
いついかなる時でも、ありとあらゆる幸せを、私は君に味わってほしいんだ。
「そのためなら、私は何でもしよう。君がどこにいようと、私は君のために生きるから」


物語の終幕。
後書きでぶっちゃけられていましたが、打ち切りコースだそうで。
どうして打ち切りになるかなぁ……と残念に思います。
内容もイラストも悪くはないと思うんですけど。
個人的にもかなり好みな作品だったのですが。
やはり主流に乗ってなかったというのが致命的なのかなー。

こういうお伽噺じみた幻想的な雰囲気がある話って結構好きなんですけど。
まぁ、復讐譚なんで、お伽噺と呼ぶにはちょっと流血沙汰が多すぎますか。
エリーゼもグランも多少の怪我は何とかなるし、目的からいっても捨て身な時あるし。

閑話休題。
アリシアがもたらした情報によって訪れた街には、怪しげな噂が広まっていて。
今回は、噂として広まっていた吸血鬼騒動と少女義賊の話でした。
死体と不穏な空気と、義賊として活動する少女たち。
アリシアのほかにもユージーンの側近が出てきて状況を引っ掻き回したりしてましたが。
エリーゼが抱く復讐の炎が、エリーゼ自身を傷つけている時に、グランが不器用ながらに言葉をかけている場面がよかったかなぁ。

剣と銃で殺せない敵などいくらでもいる。
奪うものはいつか奪われる。
それでも足を止めない彼らの果てとは。
一体この二人の旅路がどういう結末を迎えるのか、見届けかった想いは尽きませんが。
謎が残りながらも、読了後、モヤモヤするのが少ない。
最後の方にいいシーンが挟まっていたからですかねぇ。
伏線張るだけ張ってここで終わりかよ! って投げ捨てたくなるような終わりではなかったのは好印象。
グランではないですが、この復讐の旅路の中で彼らに幾許かでも幸福があらんことを祈ります。
それは、二人が分かたれない限りは続くものだとは、思いますが。

アリストクライシIII with you (ファミ通文庫)
綾里けいし
KADOKAWA/エンターブレイン
2014-08-30

ムシウタ15 夢謳う虫たち(下)

ico_grade6_3h
「オレだって戦いたくないし、とても疲れた。――それでも今まで自分に起きたことや、他人にしたことを忘れたくない。それを忘れないまま、自分で何をするかを決めたい。そうするのが普通の人間だと思うから」
(略)
「オレは、夢を叶える」
(略)
「そうしてオレは――夢を叶えただけの、ただの人間になるんだ」 


11年に及んだ長いシリーズが、ついに完結。
好きなシリーズだったので、無事に終わってくれたのはうれしいですね。
ただ、最後はかなり駆け足だったといいますか、大味な印象があったのでそこは残念。
せっかく最終決戦だからと一号指定が集まったのに、なんかパッとしなかったかなぁ、という印象が残る。
敵も味方も戦力尽くしての決戦っていうのは嫌いじゃないんですけどね。

一号指定たちの元へとあらわれていた、かっこうの影。
あぁ、そういえばここまで裏側で動きながらも、この最終局面で描かれていなかった奴らがいましたね。
茶深たちの行動によって、反撃の手段が整った。
とはいえ、〝C”の力も圧倒的で、本丸に乗り込むまでにも脱落してく奴等は出てくるんですが。

虫憑きたちの、夢の果て。
脱落したものもいるし、一歩間違えれば成虫化しそうな領域まで踏み込んだ者も多い。
そんな極限の戦闘の中でも、彼らは戦いをやめず、進み続ける。
自分たちの夢の為に。Cは、虫憑きを生むような夢はすなわち「叶わぬ夢」であるといっていました。

未来に向かって歩く虫憑きたちが進む道の先には――さらなる道の続きしか見えない。


叶わぬ夢だろうと、願ってしまった以上、彼らは歩みを止めないのでしょう。
帯の文句も「それは最高で最悪の夢の結末!!」とありますし、今更言うまでもないことかもしれませんが、これは彼らの夢の話だった、と結局そういうことですよね。
歩み続ける彼らの決断が、その折れぬ心が、読んでいて心地よいのは確かでした。

そうした部分が好きだったからこそ、最後駆け足気味だったのが惜しいとも思うんですがね。
あさぎと鯱人の戦いや、大喰いの最期、魅車の結末と、見どころありそうなのに結構あっさりと終わった部分が多くて。
あとは、メイン以外のキャラも増えてきていたのに、その他のキャラクターの「その後」があまり描かれなかったんもちょっと残念だとは思ってます。
ま、いろいろ言いましたが、それでも楽しんで読みましたけどね。


機巧少女は傷つかない13 Facing“Elder Empress” 

ico_grade6_4
「坊や、魔王になりなさい」


13巻まで来てまさかの新ヒロインといいますか。
ここでソーネチカを攻略に行くとか、さすがだ雷真……。

まぁ、学院長や薔薇の思惑も混ざって、夜会はより混沌としてきましたね。
夜会参加者も残り少なくなり、フレイや日輪など主要キャラも脱落し始める。
ただ脱落するんじゃなくて、やるだけのことをやりつくしていく、良い戦いだったと思いますよ。
他のメンバーが薔薇の思惑や、夜々を思いやる気持ちなどで、雷真と戦おうとする心意気がいいですねー。

しかし、薔薇はかなり祟るなぁ。
夜会を舞台に賭けを始めるとかまじ勘弁。
今夜会に残っている面々が好ましく、またそこでの戦いに真摯に向き合っているからこそ、薔薇の陰謀とかは悪役としていい対比になっている気はしますけど。

賭けは、神性機巧と金薔薇の枠を勝者が得るというもの。
黒薔薇は、フレイを助けた代償というか、完全に助かっていないことをタテに姉弟を。
銀薔薇は、おそらくはアンリを枷にシャルロットを。
灰薔薇は、今回敗退しましたが、ソーネチカにちょっかい出してましたし。
黒王子は、まぁ例によって雷真にかけていますしね。
マグナスは学院長枠でマグナスが優勝したら、薔薇たちの負け、という感じ。

あとは、紫薔薇。
……これはもう確実に日輪の祖母さんだろう……
むしろそれ以外の回答があったら心の底から驚けますね。
賭けの枠として残っているのが日輪しかいませんし。
紫薔薇が日本人って情報、黒王子の「貴女が求めている男に俺はコナをかけている」という主旨の発言。
雷真がどこかで聞いたことがある、あしらい方。
なぜかこのタイミングで日輪の前に現れる、祖母。
……本当に、これで日輪の祖母以外だったら、一体だれ何だろうなぁ、という感じで。

コマにしていると思っている連中、一筋縄ではいかないからな、とは言いたいところですけど。
今回の灰薔薇の最後はなんか小物臭くなってましたし、そんな感じで上手いこと飼ってるつもりの犬に手痛くやられてくれればいいんですけど。

夜々にも日数制限があり、そろそろ終わりそうですけど、次は誰が脱落していきますかねぇ。
雪月花の三人と行動を共にするようになってより姦しくなりましたが、楽しめました。

機巧少女は傷つかない13 Facing "Elder Empress" (MF文庫J)
海冬 レイジ
KADOKAWA/メディアファクトリー
2014-02-22

ムシウタ14 夢嘔う虫たち(上)

ico_grade6_3h
「だから、俺は生きる――」
(略)
「生きてるかぎり、俺が生きていることは――罪じゃねぇ」


待ってました、のムシウタの最新刊。
帯によると、5月1日にでる、15巻が完結巻のようですけど、これ、無事に収集つくんですかねぇ。 
一番最初からして、不穏な未来が描かれているんですが。

それぞれの信念とかがある、虫憑きたち。
危険な状況、恐ろしい敵、だからといって協力できるかっていうと、そうでもない。
最も癖の強い、一号指定たちなんて、なおさらですね。

C殲滅作戦は失敗。
3チームがそれぞれ、拠点に帰還するが、Cの攻撃は止まず、危険な状況に。
バラバラに逃げることになり、レイディー・バードはその力をもって、変わらず弱い虫憑き達を守るために奮闘する。
眠り姫、アリスは目覚めず、動きかない。
ふゆほたるは、作戦失敗し、帰還するまでの間に姿を消した。
かっこうも、動きがあると言えばあるけど、ちょっと待ちの時間というか、とっとと起き上がれ、とみている側としては思いますが。戦い続けてきたからなぁ、すり減ってしまったんだろうか。
そして、炎の魔神ハルキヨ。自分の思った通りにしか動かない、彼こそ、一番扱いにくい。

今回は、帯にあるように、レイディー・バードこと利菜とハルキヨの2人の視点が中心ですね。
ただ、なんで挟まっているのか知れない、他の人の視点とかも混ざってて、あからさまに伏線っぽいんだけど、これがどう作用するのかがさっぱりわからない。
土師が復活して、逆転していけるのかなーと思ったら、Cもさる者というか、大分おかしくなってきているなぁ、という感じで、状況が。
初期に退場していたせいで土師のやりかた忘れかけていましたけど、そういえばこの人こういう人でしたねーという感じで。

さて、本編というか、利菜とハルキヨの話。
復活してもなお、「レイディー・バード」として、虫憑きの味方であろうとする利菜。
作戦失敗後に復活したために、余力を残していますが、状況がいいわけじゃないし、生き方変えられるわけじゃないしで、精神的に追いやられていますね。
まぁ、CもCで精神攻撃とかやってきているんで、その辺もありますけど。
最も弱い一号指定、と評されたりもしていましたけど、バカは死んでも治らないっていうのはアレですけど、蘇ってなお掲げようと思った信念なら、貫いてほしいですねー。

一方でハルキヨ。自分の思うようにしか動かない享楽の徒である彼ですが、それなのに、結構虫憑きの秘密にかかわったりしているんですよね。
やっぱり、一号指定にされるだけのことはあるというか、悪運強いっていうか。
ハルキヨがαの過去に触れていくとは思いもよらない展開でした。
ハルキヨ自身の過去についても触れられて、どっちもどっちというか、そりゃあこういう性格・存在にもなり得るのかなぁ、とかなんとなく思ったり。

Cの精神攻撃なのか、二人の前には倒れたはずの一号指定「かっこう」が現れる。
精神攻撃ってだけじゃなさそうかなー、なんて個人的には思うんですが、さておき。
利菜と、ハルキヨ、それぞれがかっこうに対して思う所をぶちまけるところはよかったかなー。

「アンタが、そんなことを言うな……! アンタが始めたんでしょうが!」

「そのどれにもケリをつけずにバックレようとしてやがる、てめぇが! 言うんじゃねぇぇえっっ!!」

 敵対し、戦って、一時的にでも戦場を共にするようなことがほとんどない一号指定たち。
それでもなお、戦い続けてきたからこそわかるものとかはいろいろあるんだなぁ、みたいな感じで。 

これ以上ないほどボロボロですけど、 逆転とかできるのかなぁ。
最初に描かれていた場所に繋がっていくのだとしたら、終わりには絶望しかないような気もしますけど。
どうか約束が果たされて欲しいものだと思いますがね。

 

アリストクライシⅡ Dear Queen

ico_grade6_4
「女王を信じる兵が、人ではないのは当然だろう? 抗わない者が、人間なものか」
(略)
「化け物に抗わない者など、ただの駒だ。人は人としての誇りを勝ち取って、初めて人になれる。人の身に甘んじ、何もしない人間を……僕は人だと認めることはできないよ」


復讐の旅を続ける、エリーゼとグラン。
一つの領地を滅ぼした彼女たちが次に目指したのは、100年前に村ごと滅び、しかし今もなお人を呑み込むという噂が残り、立ち入り禁止とされた森だった。
その場にあった領地に踏み込んだ二人は、『穴蔵の悪魔』の領地において、永遠に続く戦争を行わされている『人間』たちの姿だった。

相変わらず、悪意を描くのが上手いといいますか。
致命傷ではない限り傷は癒されて、また次の戦争へと繰り出される。
永遠に続く拷問のような場所ですね。
そんな環境にすら、人間は適応してしまうというか。
実際、『穴蔵の悪魔』には人間で太刀打ちできないんですけど。
心を折られ、奴隷のような境遇に甘んじている存在。
途中から登場してきた、相変わらず正体不明の自称「人間の味方」ケンジーは、彼らを人間に含めるかは微妙、といった旨の発言をします。
ケンジーと、ケンジ-の属する組織にもなにやら思惑があるようですが、いつ明かされますかね。

イラストのように、綺麗な世界ではなく、残酷さをはらんでいるけど、エリーゼたちの道行きは尊いと思いますけどね。
復讐に生きているはずのエリーゼが、今回の『穴蔵の悪魔』、ローレルとローエンに向かって、「嗤うな」と自らの意思を突きつけるシーン。
アリストクライシであるはずなのに、彼女はどこか人間臭いといいますか。
「人間の味方」であるケンジーがいろいろと介入してくるのもそのあたりが原因なんじゃないですかね。

決してハッピーエンドではないんですよね、今回も。
しかし、地獄のような村から、殺伐とした戦いを経て、脱出したとき。
その時見えた空は、本当に美しかったんじゃないでしょうか。
重くて暗い展開を重ねて言って、最後に待っているものすら悲劇的であろうと、この作品は綺麗な世界を描いているといいますね、俺は。
逆説的に美しさを教えてくれる、っていうのはあれですけど。
悲劇があろうと、折れずに、目的を掲げて誇り高く生きる姿は、人を引き付けるってことですかね。

エリーゼとグランの二人のコンビが好きなんですよね。
今回はエリーゼがメインだったので、グランの出番があまりなかったのが残念ですけれど。
ノエルとグランの会話は見てみたかったんですが、本編で描かれなかったのは残念。
ただまぁ、ノエルとの出会いでなにか考えることがあったようで、次はグランメインの話になるんですかねぇ。
楽しみです。

アリストクライシII Dear Queen (ファミ通文庫)
綾里けいし
エンターブレイン
2013-11-30

 
プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
 コメント歓迎。ただし悪質と判断したものは削除する場合があります。

メールアドレス
kimama.tyaka@ジーメール なにかご依頼等、特別連絡したい事柄はこちらにお願いします。
メッセージ
アーカイブ
カテゴリー
記事検索
最新コメント
  • ライブドアブログ