「私は君の傍にいる。エリーゼ。君がどんな決断を下してもだ……ただ、私にはある望がある。どうかそれだけは叶えて欲しい。エリーゼ、私には幸福が分からないんだ」
私は、それでも、きみには笑っていてほしい。君にだけは、幸福でいてほしい。
いついかなる時でも、ありとあらゆる幸せを、私は君に味わってほしいんだ。
「そのためなら、私は何でもしよう。君がどこにいようと、私は君のために生きるから」
物語の終幕。
後書きでぶっちゃけられていましたが、打ち切りコースだそうで。
どうして打ち切りになるかなぁ……と残念に思います。
内容もイラストも悪くはないと思うんですけど。
個人的にもかなり好みな作品だったのですが。
やはり主流に乗ってなかったというのが致命的なのかなー。
こういうお伽噺じみた幻想的な雰囲気がある話って結構好きなんですけど。
まぁ、復讐譚なんで、お伽噺と呼ぶにはちょっと流血沙汰が多すぎますか。
エリーゼもグランも多少の怪我は何とかなるし、目的からいっても捨て身な時あるし。
閑話休題。
アリシアがもたらした情報によって訪れた街には、怪しげな噂が広まっていて。
今回は、噂として広まっていた吸血鬼騒動と少女義賊の話でした。
死体と不穏な空気と、義賊として活動する少女たち。
アリシアのほかにもユージーンの側近が出てきて状況を引っ掻き回したりしてましたが。
エリーゼが抱く復讐の炎が、エリーゼ自身を傷つけている時に、グランが不器用ながらに言葉をかけている場面がよかったかなぁ。
剣と銃で殺せない敵などいくらでもいる。
奪うものはいつか奪われる。
それでも足を止めない彼らの果てとは。
一体この二人の旅路がどういう結末を迎えるのか、見届けかった想いは尽きませんが。
謎が残りながらも、読了後、モヤモヤするのが少ない。
最後の方にいいシーンが挟まっていたからですかねぇ。
伏線張るだけ張ってここで終わりかよ! って投げ捨てたくなるような終わりではなかったのは好印象。
グランではないですが、この復讐の旅路の中で彼らに幾許かでも幸福があらんことを祈ります。
それは、二人が分かたれない限りは続くものだとは、思いますが。