気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

オーバーラップ文庫

フェアリーメイド1 傷だらけの妖精職人と壊れかけの人工妖精

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「ねぇマスター。あなたの望みは、なんですか?」
「俺の……望みは……」
 

11回オーバーラップ文庫大賞金賞受賞作品。

人々の生活を助けるために生み出された疑似生命、フェアリーメイド。

かつて栄えて、しかし人間に滅ぼされた妖精たちがエネルギーとなることで生まれた「マナの大流」。そこからマナを一つだけ取り出して器に込めることで稼働する機械だったが、経年劣化などから稀に暴走して、人を害することもあった。

さらに近年では寿命を迎えていないのに暴走する、特殊な事例も勃発していて……。

 

主人公のリュウジは、天才と謳われる父親シシヤマ・テツジから基礎を教わり、父と同じ最高峰の職人である「三天人」の称号を持つバーンズに指導を受けてフェアリーメイドを作る職人を目指していた。

しかし初めてフェアリーメイドを生み出した後、ある悲惨な事件が起きて……彼は、フェアリーメイドを破壊することを生業とする「壊し屋」として活動することに。

その傍らに彼の幼少期を知り、もうじき寿命を迎えることになるフェアリーメイド・ティルトアを伴って。

 

主な活動を壊し屋にしたとは言え、妖精職人として学んだ経験も活かしつつ、無茶を言う依頼人に応えようとしてるのは、彼も真面目と言うか。善良な性根を捨てきれてないなぁ……と青さを感じましたね。

若いのに色々背負いこみすぎてるから、擦れすぎるよりは全然良いですけど。

 

道を違えたことや、両親を亡くした後保護を断ってから師であるバーンズ相手には若干気まずい部分もあるみたいでしたけど。

十三人いる彼の弟子が立て続けに失踪する事件が起きて、無事が確認できるのが不肖の弟子であるリュウジとなれば無下にも出来ず。

「アリシア・シンドローム」について調べ、いくつかの事例に遭遇したことで、リュウジは真相に少しずつ近づいており……バーンズからの呼び出しに応えたことで、彼は真実を知ることになるわけです。

消された歴史、「アリシア・シンドローム」がなぜ起きるのか。そうした問題について深く知った彼が選んだ行動は……まぁ、彼らしいものではありましたね。過去を一つ越えた上で、次なる目標として誰もなしたことがないものを掲げた彼の旅路が幸い多い事を願うばかりです。

昔の男友達と同居をはじめたら、実は美少女だった~距離感があの頃のままで近すぎる~

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「けーちゃんの応援があれば、あたしは最強」

 

公園でよく遊んでいた幼馴染のまーちゃんとけーちゃん。

しかし「また明日」と約束していつも通り帰っていったまーちゃんは、それ以降公園にやってくることがなかった。

公園で一人待っていたけーちゃんこと主人公の霧島圭介は、母に手を引かれ帰宅。

その後しばらくして母も亡くなってしまい、父と2人暮らしになり……いつしかまーちゃんの事を思い出すことも減っていき、彼は高校生になっていた。

 

まーちゃんの件だけではなく、中学時代にもいろいろあって……トラウマになった、というほどでもないですけど、教室では寝たふりをして敢えてクラスカースト形成に乗り遅れてみたりして、気ままなぼっちライフを送っていた模様。

そんなある日、父が再婚するという話を聞いて。

その相手が「まーちゃんのお母さん」だという驚きと、再婚相手が引っ越してくるのが明日だって言う衝撃と……男友達だと思っていたまーちゃんが実は女子で、美少女に成長していた驚愕を一気に味わうことになるわけです。

 

まーちゃんこと真咲は、幼少期のまま朗らかに育っていて。その容姿を活かして、モデル活動をしたこともあったとか。

学校側の配慮で同じクラスになって、既に両親も籍を入れていて同じ苗字になった2人。さらには先生が「義理の兄妹になったんだから手伝ってやれ」なんて暴露までしてくれて。

真咲は素のままクラスに受け入れられていったわけですけど、ぼっちを気取って距離を取っていた圭介はその輪に直接入ることはできず。……出来たとしても当人の性格的にやらなかったでしょうけどね。

 

真咲は陽キャのノリも楽しめるタイプだけど、圭介とも絡みたくて。敢えて距離を取る圭介のスタンスは尊重しつつも、「家族なんだから完全無視もおかしいでしょ」と建前も設けて積極的に交流するという真咲が強い。

家も一緒だから仲良くゲームしたり、風呂上りの姿を見せたりとか……圭介だからこそ許してる、家族以上の距離感での交流は微笑ましい。

圭介が陰キャ認識なのは変わらないけど、それでも真咲を大事にしているってことで理解者が増えたりしていったのも良かったですね。

圭介の中学時代の因縁も解決できてましたし。真咲が人気過ぎて、ストーカー発生したりとかのトラブルもありましたが、乗り越えて幸せそうなのは何よりでした。

俺は学園頭脳バトルの演出家!Vol.1 ~遅れてやってきた最強転校生は、美少女メイドを引き連れて学園を無双するそうです~

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「あんた……なんでこの状況で笑ってるの?」

「そりゃあ、最高に面白い状況だからに決まってるだろ」

 

11回オーバーラップ文庫大賞、銀賞受賞作。

主人公の田中叶太は自称モブの化身。自分が目立つのではなく、誰かを目立たせる……そんな「演出」に熱意を注ぐ少年。

 

小学校時代にクラスで演劇をやって、ヒロイン役の子が台詞を忘れて事故りそうだった時に、アドリブで主人公を送り出し、破綻する展開を更なるアドリブを加えてハチャメチャながらまとめて乗り切った。

そんな経験から「演出」に興味を持ち、推しの監督の「目立たない方が良い」という金言を胸に、裏方になろうと努力を続けていくことになるわけです。

転校した際なんかも、ゲームがあることでクラスメイトを家に招き、誰にも気づかせない接待プレイをして上手い事交友の輪を広げていくことになったりもしたんですが。

 

ある日、父が借金をこさえてしまったと言い出して。

全寮制で学費は無料、さらに上手くやれば借金もチャラに出来る可能性がある、とか言う怪しい話を持ってくるわけです。

一般には知られていない、ゲームによる決闘ですべてが決まる帝王学園。そんな場所に踏み込んだ叶太は、自分と同じタイミングでやってきた「謎めいた、実力者の転校生・霧谷透」を主人公キャラと見なして、彼を最高に輝かせようと計画を練るわけですが。

 

そんな透の幼馴染である学園最強のお嬢様西園寺だったり。透のメイドとして侍るソフィーだったり。ゲームによる決闘ですべてが決まる学園、に通うだけあって個性が強いキャラが多いんですよねぇ。

今までいた学校では「演出」の為に下調べとかを入念に行って、誰にも気づかれることなく演技を続けられていたようですが。

 

帝王学園に転校してきたばかりでは叶太の持っている情報は少なくて。個性的な生徒が多い学校なこともあって、モブに徹したい彼の思惑とは異なり、どんどんと注目を集めて行ってしまうことになるわけです。

99連勝していた西園寺に勝利して、100連勝阻止した上でゲームの勝者として得た権利で彼女をメイドにして侍らせたり。透の秘密について知ってしまったり。

そして開催された大会で透を相手に決勝戦を戦う羽目になっていくわけですが……過去の失敗を思い出しつつも、それを上手く乗り越えて最後には笑顔を浮かべられるようになったのは良かったですね。

 


魔王と勇者の戦いの裏で6~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

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「先祖が優秀な功績を挙げた、以前の当主は領を上手に統治した。だから子孫も国と民に有益であろう、という期待を込めて徴税をはじめとした権利を与えられておる。国と民から信用と信頼を前借し生活の糧を得る、それが貴族という立場の本質邪」

(略)

「それを理解しておる者は前借りした分、自らを鍛え次世代を育てる義務を負う。家が続くのは優れた次世代を育てた結果であって、目的ではない。逆に国と民からの信用と信頼を軽視した者には相応の結果しか残らぬものじゃ」

 

マゼル達の協力も得て、魔将ゲザリウスを討伐したヴェルナー。

王都への帰還に際しては総指揮官であるシュラム侯爵がメイン、討伐MVPのマゼル達、その後ろに続く形でヴェルナーは王都の凱旋に際したパレードに並んだようですが。

彼自身も思っていますが、以前は警備する側に立っていたヴェルナーが、後ろの方とは言え凱旋の列に並んでいるのは感慨深い。

 

ヴェルナー的にはゲザリウスはゲームに居なかった敵であり、警戒対象ではあったものの……彼の心配はあくまでこの先に起こるだろう「王都襲撃」に重点が置かれていて。

だからこそゲザリウス問題は速攻で片付けたかった。ただ、王都の上層部的には猶予はあると考えていた。

そのあたりの齟齬もありつつ、迅速に解決したヴェルナーへの評価は上層部では高いようですねぇ。

ウーヴェ翁に事情を打ち明けたことで「予言書」といった形で簡単に情報共有できたので、意識のズレも多少は改善すると良いですけど……実際に記憶のあるヴェルナーとで温度差はどうしても生じるでしょうねぇ。

 

色々と手を打って、そのために借金も重ねていることで、若くして実績を積んでいるヴェルナーを叩く人は「借金貴族」みたいに言ってきてるわけですが。

王太子や将爵、商人のビアステッドだったり、彼の事を認めてくれる人が多いのありがたい。

 

魔将を討伐したことで亡国となったトライオットの貴族が国土復興に前向きになっていたりしてるみたいですが……いつかは必要なコトでしょうけど今じゃないんだよなぁ。

そのあたりを上層部が弁えてて、ヴェルナーを軍から話して王都で文官としての仕事をしてもらうことになって。

リリーの記憶力とかを頼りに、サポートしてもらっているの良いですねぇ。

 

……これまでの積み重ねがあって、リリーの方から少し踏み込んでいくのも、ヴェルナーがこれまで以上に覚悟を決めているのも良いですねぇ。カラー口絵のところにもありますがあそこの「……お慕いしております」のシーンとか、好きなんですよね。

そうやって大切な人という実感を強めたこともあって、領地の発展につながる未来への積み重ねをしていこうとした息子の変化を、ヴェルナーの父が感じているシーンとかも含めて味わい深い。

 

王室の特別書庫の調査を許されたヴェルナー、リリーの同伴も認められて彼女の空間認識能力の高さから別の問題に気付いたりもしていましたが。

マゼルを一時的にでも自分の国に引き留めようと他国が動いたり、神殿内の馬鹿の思惑が噛み合った結果、マゼルが訴えられてしまうような事態になったり。

リリーが兄の代理として裁判に臨み、さらにその代理人として指名されたヴェルナーが決闘に臨むことになったりと、文官仕事始めたはずなのに荒事に巻き込まれていたりもして、ヴェルナーの安寧は遠い。……いやまぁ、王都襲撃が控えている以上、彼の安寧ってマジにしばらく来ないことが約束されてるんですが。

 

なんなら、決闘騒動もバカが多すぎたせいで王太子の予想したタイミングよりも早く起きたけど、似たようなことはするつもりだったみたいですし。

年齢的にはまだ学生であるはずのヴェルナーが、既に実績詰んで、上層部にも認められている状況なので、仮に魔王討伐が成ったとしてもヴェルナーはなんだかんだ政争に巻き込まれて安寧とは遠い日々を過ごしそうではありますけど。

凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ4

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「人生はクソだ。何1つ思い通りになりゃしねえ……だが、それでも俺は、俺達は、戦うことを選んだ、そう、選んだんだ! 諦めるでもなく、受け入れるでもなく、戦うことを!」

 

致命傷を負ってしまった味山只人。

しかし耳の部位保持者であったことが幸いして、復活することに成功。部位保持者になること自体は災いみたいなものですから、不幸中の幸いというべきかどうか。

……まぁでも実際、あそこで味山が復活して、暴れまわってなかったら彼の友人たちやバベル島そのものが悲惨な結末を迎えることになったでしょうし、幸運を拾ってはいるのか。

ただし、その幸いはハッピーエンドを約束してくれるものではなくて。

 

ひとまず致命傷はふさがって、それ以降も制限なく使えていましたが、使うたびに「耳」に近づいてしまうという呪いのような制約もあって。

味山はまぁ、「怪物のような力であろうと、指定探索者だってある意味怪物ぞろいだし、俺は人間だ」とその力を受け入れて謳歌していましたが。

 

脳みそが派遣してきた肉人形や坂田による襲撃、耳が齎す「TIPS」や……恐らくは2週目特典として与えられたであろう、バッドエンドの分岐の数々。

それによって、復活した直後に足を止めることになってしまったわけです。

TIPSが提案するAルート、Bルート。どちらを選んでも被害甚大、大切な誰かが死ぬ。

いつか選んだような第三の選択肢は、味山只人には与えられない。

 

「耳」はさらに踏み込んで凡人探索者である彼の抱えている欠陥をあげつらっていくわけですけども。本当の意味で変わらない部分があるとしても、悲しいのもまた真実だから。

進んで喪う選択はしない。

……だからこそ。別の道を模索する。味山只人に与えられないのであれば……部位保持者としてより踏み込んで、彼は「プランC」を掴みとったわけです。

 

耳の化身と同じような変身を遂げてなお、人の意志を残した特殊なスタイルになってバベル島と西に東に大暴れ。

起きるはずだった悲劇のいくつかを踏み越えて、生き残るために多くを救っていった彼は、作中では「酔っていた」みたいな扱いをされていますが、かなり熱い演説をしてくれるわけです。

いやはや、これまでもその片鱗を見て来たつもりではありましたが、なるほど綺崎凛やアレタはこれに焼かれてしまったわけか。そりゃかなわんわ。

いや、実に主人公していたと思いますよ。挿絵が「耳」に汚染されてましたけど。濃すぎ。

指定探索者ですら心折れそうになる戦場で、彼女達を助け、「説得判定」へのチャレンジをした結果、なんか口説き落としたみたいな形になってるし。そのうち刺されるぞ。……刺されてたわ。坂田にだけど。

 

あと本編にそこまで関係ないトークですけど、朝顔・夕顔姉妹と思われる挿絵があったんですけど、めっちゃ可愛くなかったですか。キャラ造形めっちゃ好み。

……その挿絵が挟まっていた雨桐さんの過去エピソードはアレでしたけど。抱え込んでんな、闇を。王さん、めっちゃいいキャラしてて格好良かったですけども。

魔王と勇者の戦いの裏で5~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

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「卿らはここで勝ち残れ! そして愛する家族の元に戻って誇るといい! 戦場は違っても、我らは勇者殿と共に魔軍と戦ったのだ、と! 勝利は我らの側にある!」

 

アンハイムに代官として赴任することになったヴェルナー。

伯爵家子息であり子爵位を持つ彼の事を、王太子含め上層部は評価していて。同じ方向を向けるのなら同僚として扱うし、敵対することになるのならば別の派閥とかみ合わせて疲弊させるなり、一部では共同できずとも協力できる部分を見つけて利用するとか、「どう使うか」と判断されているの、かなり高評価ですよねぇ。

 

ヴェルナー、終盤に魔軍と戦う時に「秘匿するべき」とされる技術を戦場に持ち込んだり、以前に披露した知識の出どころを追及されたり、と原作知識ある者として色々やっていますけども。

そんな彼の提案は突飛に見える部分もあるだろうに、利用できるものは国の利益につなげていく王太子たちの有能さが随所で見られるので、そんな彼らに認められているヴェルナーの株も上がっていくの良い感じです。

 

まぁ若者が認められていくのが面白くない派閥は、ヴェルナーが諸々備えるために奔走している一面を見て、金遣いの荒さから彼を追及する選択を取ったりもして。

……そういう足の引っ張り合いをする人材への、王太子陣営の評価がしっかり下がっていくのも、信頼できますよね。

王太子に話を通してから来ている、というのもあって。ヴェルナーは自身の悪評が出回りそうな行動でもどんどん取っていって。

代官の裁量の範疇ではあるけれど、賊の討伐をするし、それに通じていたらギルド幹部の血縁だろうと処罰していく。それを面白くない人物を洗い出そうとしていたりしますし、かつての敵でも利用できるなら利用したり、と。搦め手も使えるのはヴェルナーの良いところですよね。

……情報を確実に伝えるために、暗号を仕込むために敢えて汚した手紙を送ったりなんかもしてましたけども。本当に何でもやるやつがあるか。リリーが、要所で意見聞かれてましたが、流石マゼルの妹というか。彼女もかなりスペック高いですよね……。何度か挿絵もらってて嬉しかったです。

そうやって準備を整えて、彼が派遣される原因となった魔将ゲザリウスへの対策をしっかりと成し遂げたのはお見事でした、というか。

鼓舞の為に勇者の名前を使ったのが、結果的に本当になっていたりもして。口絵にもなっていましたが、マゼルとヴェルナーが一緒の戦場に立っているシーンはかなり熱かったです。

勇者一行と再会した際に、ウーヴェから結構気になる話をされたりもしてましたので、今後の展開が楽しみですねぇ。

クラスで一番かわいい女子はウチの完璧メイドさん

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「だけど、僕と違ってこの人は気持ちを伝えようとしてくれた……」

(略)

「だから、僕もその気持ちに、ちゃんと応えようと思ったんだ」

 

名門早乙女家に生まれた少年・悠。

しかし彼は、名門故に柵が多く自由がない実家での生活が嫌でしかたがなかった。

だから高校は家に関係のない普通の学校に通いたい、とか言い始めて……彼付きのメイドである愛坂はいかな手練手管を使ったのか彼の意見を実現させて。

 

完璧メイドである彼女は、一般の学校でも普通にクラスに溶け込んで人気者になっていましたが。

家から出たいが主目的であった悠くんの方は、愛坂以外との交流がほとんど広がっていないような状態で……。

後に、早乙女の家から離れた叔父の娘……つまりは従姉である麻衣まで転校してきたりしてましたが。彼女もその快活さから、直ぐに交友関係を広げていってたのを見るに、悠くんはもうちょっと頑張ろう、と思わなくはない。

 

まぁ、彼の関心は結局のところ一人に注がれていた、とも言えますが。

実は完璧メイドの愛坂は、悠のかつての婚約者で。

彼女の実家が没落したことで婚約は破談になったものの、婚約者時代に交わした約束を守ろうと悠が祖父に口利きを頼んだところ、彼女がメイドに着けられる運びとなったようで。

自由がなかった自分が、愛坂の自由を奪ってしまったと考えてますます動けなくなってたっぽいですねぇ。

間に愛坂視点も挿入されていて、実際のところはすれ違っている部分があるというか。お互い自罰的な部分があって、踏み込めずにいたみたいですけど。

今回周囲の環境が変わったことで、彼らの関係もまた変化していったのは良かったですね。


異世界魔法は遅れてる!10

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「誰も彼も、十字架を背負っているものだ。水明くんだってそうだよ。風光くんという十字架を背負っているから、だからああして、夢へ夢へと向かって進んでいけるんだ。だから君も、いつかそうなるっといい。そうすれば、キミも限りない夢(そこのないよくぼう)へと向かって、走り続けられる」

 

水明たちが地球へ帰還している間、レイジ達もぼーっとしているばかりではなく。

ハドリアス公爵が普遍の使徒と繋がっていたという事実を、国王に伝えなくてはならないとティータニア王女が言ったため、一時帰国することになって。

剣士としての姿を知っているティータニアから見て、剣に陰りが見えたことはないから裏切ってはいないだろう、ってことでしたけど。暗躍してるのは間違いないのが面倒というか、なぁ……

 

レイジがサクラメントを持った影響か、変な囁きを聞くようになったり、制御できてないけれど未来を垣間見たりだとか、変な挙動を見せるようになっているのが心配ですねぇ。

魔族側、勇者に与えられている恩恵を偏重させようと工作していて、その対象がレイジになりそうな気配がありますし、どうなるやら。

 

魔族側も大きな動きを見せていないそうですが、それは水明の考察通り新しく強い魔族を作り為に、弱いコマを削っているから。

その中で、魔軍の将であるムーラが魔王ナクシャトラから命じられた人間の国への侵攻を命じられていたところ、リシャバームが魔王からの許可をもらったと言ってちょっと介入してきたりもして、敵側もピリピリしてる感じがしますねぇ。

そしてレイジ達が国へ帰還していたタイミングで、魔族の襲撃があって……転移によって国境を越えて直接王都を叩きに来る辺りは本気でしたけど、いくつかの思惑がまじりあった結果、完全包囲したりはしない温さも交じっていて。

敵の温さによって、王国側にも気のゆるみが生じかけていましたが。

そのタイミングで水明たちが帰還したのは、引きが強いというか。持ってるよなぁ。

 

初美が帰還した際に開祖から新たな技を授けられていたり、ハイデマリーが実力を見せるシーンがあったりしたのは良かったですね。

ハイデマリーは自分自身が魔術の基盤だから、異世界でも調整してしまえば問題なく魔法が使える、というの考察が正しかったのはありがたかったか。

水明も盟主からアドバイスをもらっていましたけど、また回答を見出せてない状況で。そこで魔軍の将と戦って痛手を負わされたというか、切り札一つ切らされたのは痛いか。

あの世界の魔術師の底知れなさがまた一つ描かれたとも言えますが……ボチボチ水明に異世界でも本気を出してほしさはあるんですけども。こっちはこっちでどうなるやら。



凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ3

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「……味山さま、なぜアレタ・アシュフィールドや、貴崎凛。綺羅星のように輝く彼女達が貴方に執着し、時に魔道のか、お分かりですか?」

(略)

「貴方が、他人を必要としない人間だからです」

 

プロローグが、探索者組合がダンジョンでの配信を解禁したことを受けて、アルファチームも配信を行うことにして。

怪物種の中では珍しい食事を怪物種のみに絞っている蛇・マザーグースを、別の怪物種オウサマガエルから守る、という一風変わった任務で。

 

味山がカメラ役なこともあって、アレタが普段と違う表情を見せることにコメントで愉快な反応がついていたのは笑えた。怪物種に飲み込まれて腹の中で暴れて脱出できる探索者がどれくらいいるというのか。

後のシーンでとある人物が、遺物を使って味山の情報を抜き出そうとしてましたが、そこでも「凡人」認定されていましたが。凡人とは……?

技能認定が能力の上限が定まっている、と記されていてそういう分け方であれば確かに彼は「超人」ならざる「凡人」なんでしょうけど。

 

雨霧さんの分析のように、味山の非凡なところな単純なスペックに現れない精神性だとかに現れていますよね……。

神秘を食べる度に夢の世界で元となった神秘の残滓と会話したりすることになってますが。初対面なら初対面なりの挨拶がある、と仕切り直し入れたりしてるの彼なりの哲学何でしょうけど、切り替えがハッキリしすぎてていっそ怖い。

 

味山、男連中とバカ騒ぎしたり綺麗な女性に鼻の下伸ばしたり、割と年頃の男っぽい顔もありますけど。戦闘時とか覚悟決まった時の彼は、また違う顔みせてくれるんですよねぇ。そういう所が良いと思っていますが、とは言え最後の挿絵はちょっと予想外の顔すぎるんだよなぁ。

耳の部位保持者である彼に目を付けた別の部位保持者が動き始めて。途中、衝撃的なページが挟まって、非日常へと踏み出すことになりましたが……それにしたって、大騒ぎ過ぎてこの後の展開が読めません。4巻の発売も決定したようですし、続きを楽しみにしてます。


魔王と勇者の戦いの裏で4~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

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「今やっておくと後で楽になるんだよなぁ」

半分は本当。ただ、後で楽になるかどうかは実はわからない。それでもやっておかないと後で手遅れになる可能性が無いとは言えない。

「それにリリーにもずいぶん助けられているから楽になっているんだよ。ありがとう」

 

フィノイ大神殿の戦いを経て異常に気付いたヴェルナーは、それを王国上層部へ報告。

「人に変身できる魔族」が王都に潜り込んでいる可能性を示唆された上層部が、速やかに対処に動いてくれたのはありがたかったですねぇ。

ヴェルナー、若手の注目株で色々と無茶ぶりされることもありますが、治安維持は流石に別領域。王太子の差配によって貴族や衛兵が動いていくことになって。

脳筋世界で武勲を挙げる機会だから、と奮起している人が多かったのはヴェルナーじゃないけど「本当にこの世界はもう……」みたいな気分になりました。

若手で家系的には文官のヴェルナーが名を挙げていることもあって、一部で暴走する相手も出てきたみたいですしね……。

 

でも、それすらも利用して次につなげているあたり、王太子殿下は本当に優秀ですよね。彼がスタンピードで失われるようなことにならなくて本用に良かった。これだけでもヴェルナーの功績は大きいですよ。

とは言え王太子殿下を救うことになったスタンピードの時のヴェルナーはまだ狭い世界で何とか生き延びようとしていたんですよね。ただ、彼の行動によって家族が救われたとお礼を言われたことで、より視界が開けるようになったわけで。

だから、という訳でもないですけど。今回もまたヴェルナーは地味に評価を挙げる行動を積み重ねていくことになったわけです。

 

王都内部の魔族討伐の時も本命の戦力は別だけれど、ツェアフェルト家の関係者を守るのは貴族の務めとして自家の戦力配置とかの指示をしっかりしていたの、好きなポイントですね。

時折ヴェルナー、「まだ学生なんですけど」とこぼすんですが、転生者というプラスがあるとはいえ学生と思えない実績を挙げてきたからなぁ……。

 

貴族らしい駆け引きにはまだまだ疎くて、グリュンティング公爵とか相手には良い感じに動かされちゃう場面もありますが……公爵はまぁ味方だからな。目をかけている若者にちょっと課題を出したりしてくるだけで……。

駆け引きで言うと、ツェアフェルトで預かることになった勇者の家族、特にメイドとして働くことになっていたリリーとの接点が増えて、他の貴族からの介入があった時に珍しく感情を出していたのは彼の性格が伺えてよかったですねぇ。

まぁ父親から怒りは武器にもなるけど扱いには気をつけろ、と指導されちゃう場面もあったわけですが。伯爵家嫡子である以上、必要な指導だけどこれまでの態度からすれば良い変化ともとられているから、ますます期待のハードル上がっていってる感はありますけども。

 

リリー絡みのイベントが増えてきてるんですが、市井の出で宿屋の娘であったことから、市民からも情報を集めているヴェルナーのサポート出来てたのは良かった。

あと、美術的な才能もあって、思った以上に拾い物というとアレですが。なかなか得難い人材をメイドとして確保できたのは、かなりの幸運なのでは。

 

ヴェルナーはゲーム情報を含む前世の知識で対策を練ってきていましたが……彼の記憶にない情報も増えてきて。彼も知らない敵幹部まで現れて、状況がどんどん変わっていく中で、彼が次にどう動くのかが楽しみですねぇ。

書籍加筆キャラのミーネと彼女の実家であるフュルスト伯爵家のエピソードも細々挿入されていましたが……あっちはあっちで厄介ごと抱えることになってそうですしねー。次も楽しみです。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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