気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

カクヨム

川上稔短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで5本入り1

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カクヨム連載の『川上稔がフリースタイルで何かやってます。』に掲載されていた短編の書籍化。

『フリスタ』は独特の運用してて、不定期に短編の出し入れがあるんですよねぇ。1巻収録で『フリスタ』に残ってるのは「恋知る人々」のみです。気になったら、まずこちらを試してみると良いかと。

4話以外は女性視点の短編で、どれもパワーワードというタイトルに偽りはないのでオススメ。

なお、このシリーズは「BornDigital」とある通り、電子専売となっているので要注意。

 

 

01:恋知る人々

ああそうか。皆、だから、そうだったのだ。いつもとか、昔からそうだったからじゃない。恋をして、ハジケたのだ。

 

人の心が読める少女の話。

昔からそういう物として受け入れていて、誰もが出来るものと思って日々を過ごしていた。

違和感を感じる事もあったが、自分の中で確定したのが中学二年の時ってのは、大分強い。

かつて「無口だねぇ」と評価されたのを、他とは違う個性と受け入れてキャラ付していたとは言いますが、多分それ抜きにしても「無口」だったろ、という感じがある。

 

でもまー、ありますよね。結局のところ、他人がどういう世界を見てるかなんてわからないわけですから。

小学校の頃どんどん目つきが悪くなった子が居て、何ごとかと思えば単純に目が悪くなったので細目になってただけとか言う話を聞いたことがある。

「なんでもっと早く言わなかったの」「みんなこんな感じだと思ってた」と宣ったとかなんとか。あ、私じゃないです。念のため。

 

人の考えが分かる事を活かして、適切な距離を保てるようになって。

そうしたら長老呼びされて、色々と相談を持ち込まれるようになったりもしていましたが。

恋愛相談とかもこなしてはきたけれど、いざ自分が恋をした時に戸惑っている姿は微笑ましくて良いですねー。

 

02:素数の距離÷2

いいじゃないですか。

頑張っている人がいて、私は知っているんですから。

 

告白の木。その木の下で告白すると、それが叶うという伝説。

まー、作中のキャラに「一方的な効果の呪い系アーティファクト」とか言われてますけど。

同じような伝説がある木が市内に三本もあれば、なんやかんや言われても仕方ないか……

テレビの取材が来たりして、外に進学すると話題に上がったりするそうで、町おこしにはつながってるんじゃないですかね、えぇ。

 

街の告白押しに辟易してるキャラが曰くを調べて、やっぱり呪いのアーティファクトじゃないですか! になっていたのには正直笑った。

一度恋で失敗して凹んでしまって。自分にとっては縁遠いものだと思うようになった。

……少しずつ復調はしていたみたいですけど。

 

その切っ掛けは例えば、期待されて入部したのに故障してしまった後輩の噂を聞いて、自分の不幸は小さいものだと思えるようになったことだったり。

受験期に心が乾燥し、気分転換として告白の木まで散歩するという習慣をつけた事だったりことなんですが。

高校に進学したと思ったら、転機が訪れるの三年になってからなんですから、時間の使い方が贅沢と言うか。いい性格してる友人からの通話が笑えて好き。

 

03:地獄の片隅で笑う

私は、笑う人が好きだ。

 

個人的にはコレが一番笑えて好きでしたねー。

「やせいの開かずの踏切があらわれた!」と言った後に「野性じゃねえよ、公的だよ」って地の文でツッコミ入れてるのが卑怯だと思いました。

 

出版社らや映像関係のプロダクションやら。

クリエイティブなアレコレがまとまった向こう側と、喫茶店や食事処の多いこちら側。

作家がこちらで「書いて」、向こうで「形にする」サイクルが出来上がった地域。

踏切が出来て利便性が上がった一方、不慮の事態で捕まると多大な時間ロスを食らう。

 

それ故に、地獄広場。時間厳守な案件とかがあると、うっかりで死ねる場所。

悲鳴の連鎖が発生する事もあるとか。なんとおっかない場所であろうか……。ちなみに、長時間しまってるから熱中症の温床でもあって、それ関連でも地獄らしいですけど。二重に死ねる。

あと、色々ぼかしてるのに一か所ハッキリ名前出てるのは笑った。使ったことないのにイメージが……

 

こちら側で仕事をしていたとある作家が見続けた、青年の話。背中押してくれた店長はグッジョブですが、業務上知り得た事口外していいの……? とちょっと心配にはなった。いや店長好きですけど。

 

04:嘘で叶える約束

「何、泣いてんだよ」

 

唯一の男性視点の短編。

学校の桜の木の下には、死体が埋まっているとか言う噂があって……その実態は男の幽霊が巣食っているだけなんですが。

幽霊ゆえに、誰にも見えず聞こえず触れられず。

割と自由気ままに幽霊ライフを満喫していたある日、彼の事を見られる転入生がやってきて。

 

彼女とだけは会話が出来るし、彼女にだけは触れられる。「設定的にかなり矛盾発生する現象だと思うなあ」とか言われてましたが。

時に転入生ちゃんを泣かせながらも検証と交流が続いていきますが。

どうして彼女にだけ見えるのか。もちろん理由があって……

馬鹿正直に幽霊やってた愚直さも、桜の下にいた幽霊を連れ出した転入生の行動も、どちらも良い按配で。

 

05:未来の正直

自分を変えたものに対する想いを、好きと呼ぶのだ。

 

文科系の部活が弱く、色々と合わさった結果、美術部に漫画書く人が集まった高校。

進学し、しばらくたってからそれを知って、遅れて入部した少女の話。

幼少期アニメに惚れ込んで絵を描き始め、アニメのコミカライズを見て漫画に流れ、自分でも創作をするようになった。

 

描くことは続けていたけれど、それまでは誰に見せるでもなく……

同じような趣味を抱く集団の中で、初めて「外」の意見に触れて、少しずつ変化してく話。

「自分が分かってるから」でつい省略してしまいがちなことって、ありますよね……TRPGでシナリオ組む時とか、GMが背景知ったうえで怪しいキャラ配置しても、PLには伝わらなくてすれ違う、とかありますし。情報共有大事。まぁTRPGならPLの発想とかで思いもよらぬ展開からゴールとかで逆に面白くなったりもしますが。

 

閑話休題。

パワーワードラブコメ内の作品は、主人公視点で地の文で内心が語られています。。
この短編で言うと、想いを自覚したときの「簡単なことが、解っていなかったのだと思う」の下りが好きですねー。

異修羅Ⅲ 絶息無声禍

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「くだらなくなんてない」

「……そうかよ」

「…………ハルゲントとの勝負なんだ……」

 

ついに、六合上覧が開始する第三巻。

関東に用語解説とか、黄都二十九官の名前一覧とか乗っていて楽しかった。

こういう設定部分が見れるのは個人的に好きなんですよね。

まぁ、私の嗜好を抜きにしても、修羅を擁立している面々の情報が整理されてるのは良いことだと思います。いくつか空席あるんですねー。

                                                                                                      

サイアノプみたいに、離れた地域で産声を上げた修羅なんかも居ますけど。

黄都からも警戒されている、最大の傭兵ギルドが作った国家、オカフ自由都市。

本物の魔王。そして魔王軍が居た場所に続く、最後の地。

前半は、この二か所の描写が多かったですねぇ。特に最後の地周りでは、過去編として本物の魔王に挑んだ「最初の一行」の描写もあり、本物の魔王の名前なんかも明らかになっていて情報量が多い。

 

名を広く知られた修羅達であろうとも震える、本物の魔王の在り方はただただ恐ろしかった。己の在り方を貫く、修羅達の様子を3巻まで読んでいたからこそ、怖さが増すんですよね……。

魔王の正体が明らかになっても。本当に、だれがこんな魔王を倒せたんだ、という謎が出てくる。物語の構成が巧みで、読んでいて引き込まれる。

 

今回当登場した修羅だと、黒き音色のカヅキが好きですねー。

「英雄として、世界への責任を果たさないとね」という客人の少女。

オカフ自由都市に対抗するため、黄都が派遣した銃使い。実際に腕利きを何人も仕留めてて、活躍っぷりが見事。彼女の名を冠した章の、終盤で出てくる修羅紹介文の演出含めて好き。

 

これまで裏で動いていた灰色髪の少年なんかも出て来てましたが。

自らは戦闘力がないものの、誰もが無視できない状況を整えるのが上手い、彼なりの戦い方があるのは結構好みですねー。修羅にも多様性の時代……

 

アルスを擁立したヒドウのポリシーも分かるし、名誉に執着するハルゲントのこだわりも嫌いじゃないんだよなぁ。

冬のルクノカという伝説を引っ張り出してきて、アルスと戦う舞台を整えて。それでも、彼は。ただアルスの輝きを信じ続けていた。


アルスはアルスで、冬のルクノカを通じてハルゲントの存在を見ていますし、なんなんだこの二人は……いや、好きですけどね、こういう関係。

ハルゲントは全くもって不器用で、時代遅れの官僚とされているのも無理はない感じですが。最後のあの慟哭は、中々刺さる。嫌いな人はヒドウみたいにとことん嫌いそうですが。
これだけ迫力ある戦いやって、まだ第二試合までしか終わってないとかどうなってるんでしょうね……

リビルドワールドⅢ上 埋もれた遺跡

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「そうだよなー。そういうことが出来るやつは凄いけど、限界ってのはあるよなー」

 

7月末までやってた読み放題で既刊を読んで、続きが気になったので購入。

KADOKAWAの掌の上で踊らされている……既刊も懐と相談しつつ揃えていきたいですねー。

2下まで読んだところで、以降のWEBは読破してきたんですが。かなり改稿入ってて、別物になってましたね……取り急ぎ続きから読んだけど、1上~2下までの部分も結構変わってたのだろうか。

 

8000万オーラムを注ぎ込んだ新装備がついに届いて。

シズカさんからありがたく受け取ってましたが……かなりギリギリまで攻めて良い装備を揃えてくれたようで。

ちゃんと利益とってくださいと思う部分もありますが、その良い装備のお蔭でアキラが助かってるからなぁ……

 

強化服だけじゃなくて車までつけてくれたのはありがたい。

そして、自前の車を得たことでアキラは、かつて得たリオンズテイル社の情報を元に遺跡を捜索に出て。実際に大当たりの遺跡を見つけてました。

そこで得た遺物をカツラギに売りに行ったりしてましたが……アキラ、優秀なアルファのサポートがあれど、基本ソロでの活動だからハンターの常識とかにも疎いんだよなぁ。

商人の打算があるとはいえ、色々説明してもらえてよかった。

 

アキラもカツラギが何かの計算してるのには気付いて、シェリルが世話になってるからある程度は多めに見る、と言ってる辺りは成長を感じられた。

サラやエレナと一緒に遺跡探索に行くことになって、そこでも色々教わってましたしね。

カツヤとの距離感は相変わらずではありますが、少数でも理解者が居てくれるのは大きいよなぁ。

 

協力者枠だとシェリルも居て、かなり良い仕事してくれてはいるんですが。

アキラの判断基準が読めず、困惑してることもありますからね……理解者の道は遠い……

シェリルの服を買うシーンに加筆が入ってたり、アキラから頼まれて向かう遺跡がヒガラカ住宅遺跡じゃなくて、ヨノズカ駅遺跡に変わったりしてましたね。

カツヤとのやり取りで「秘密って良いですよね」と言ってる部分とか、かなり強かさが磨かれてるのは良い按配。

遺跡の所在がバレるまでの流れや、他のハンターとのトラブルの経緯も、より分かりやすくなっていたように思います。

 

しかしまぁ、ヨノズカ駅遺跡の騒動がかなりボリュームアップしてましたね。

ヴィオラの介入がハッキリと描かれて、おっかない情報屋って印象が更新されたわ……

条件がいくつも重なった結果、予想以上の惨事になってて、こう思わず天を仰ぎたくなりました。

数の暴力に押されたとは言え、ハンターが結構亡くなる騒動だったのに、死地に飛び込んでなお生還したアキラとカツヤの若手組も実力上げてるなぁ。亡霊の手助けがあるとはいえ、途中で死んでてもおかしくないと思うんだが。

だからこそ、試行の対象として相応しいのかもしれませんね……亡霊2体の会話が、相変わらず不穏でゾクゾクする。

リビルドワールドⅡ下 死後報復依頼プログラム

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「俺のどこがそんなに気にいたんだ?」

(略)

「どこがって? その生き様だよ! 無理無茶無謀! 駆け抜けて生き、駆け抜けて死ぬ! 実に良い! 実に俺好みだ!」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。           

キャンペーン追加タイトルで、対象期間は7月末日まで。

 

キバヤシがめっちゃ出来る男っぽくてびっくり。いや、実際アキラの弾薬費関係のアレコレとか通して、そこそこ権限もってるっぽいですけど。シンプルにカッコイイ。

このスタイルで、ハンターの無理無茶無謀を後押ししてるのかと思うと、中々に愉快な人なんだな……外見渋いのに。

 

地下街に巣食ったヤラタサソリの駆除依頼。

おおむね順調に推移していましたが。地下はまだまだ手付かずの領域で、遺産なんかも見つかる状態。

……それを狙って、忍び込んでる連中まで居て。その一員をバッチリ目撃してしまい、戦闘にまで発展する辺りアキラの悪運も極まれり、って感じ。

 

単純に戦うだけでも厄介な相手ですが、そこからどんどん状況が悪化していく様は芸術的ですらある。

よくもまぁ、あそこまで状況を混沌に出来るな。今度こそ終わったかと思えば、次の騒動に繋がるんだから凄まじい。

アルファのサポートで辛くも乗り切ってる場面が多々ありましたが、本来なら死んでる状況を何度も超えるせいで、都市のエージェントと誤認されてるのは、正直笑えた。

 

今回も生還したものの、装備一式を失って。

派手に稼いで同じくらい派手に散財して、ハンタードリームではあるのか? 命からがら戦って装備破損してるわけで、毎回ギャンブルしてるようなものだから、スリリングですな……

続きが気になって、なろうの方でWEB版最新話まで読んでしまった。2巻終わりあたりから読んだんですが、スリした女子への扱いが少し変わってましたかね?

今後に影響を及ぼす様な要素なので、続きが楽しみです。続きも出てるし、懐と相談しつつ買っていきたいな……


リビルドワールドⅡ上 旧領域接続者

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「賭ける機会があることを喜ぶべきなのか。その機会さえ無ければしなずに済んだと嘆くべきなのか。あの子供はそのどちらなのか。分からんな」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。           

キャンペーン追加タイトルで、対象期間は7月末日まで。

 

装備を新調したアキラ。

車のレンタルに関係する条件を緩和させるため、ハンターランクを上げるべく巡回任務などをこなしていきます。

勿論並行して、アルファ指導の下で各種訓練も受けてましたが。

 

遺物がほとんど取りつくされて廃れた遺跡で、情報取集機器を扱う訓練なんかもしてました。

……そこで、以前の巡回任務の時に他のハンターと揉めた、同年代のハンター集団とすれ違うんだから、どんな運だよ……

徒党の援助があって向こうの方がランクが上とはいえ、若手と言う意味では同じだから、通う遺跡が被るのはまぁ仕方ないですけど。

 

その若手ハンターのリーダー格であるカツヤが、アキラと同じくクズスハラ遺跡で亡霊見てるのが明らかになった時はびっくりしましたね。

アルファとは干渉の仕方が違うようですけど、無言で、知られずに笑っているとなおのこと不気味ですな……

 

ハンターランクを上げる任務の中で、通常弾が効かない敵に囲まれる状況になったりもしてましたが、装備とアルファのサポートで切り抜けて。

……下手に活躍しすぎたせいで、大量発生してるそのモンスター相手の作戦に参加してほしいと指名依頼が飛んでくる羽目になったわけですが。

都市から直接の指名で、そう簡単には断れるものでもなく。装備で切り抜けただけだから、バックアップがないと無理とか条件を色々と付けて、断ってもらおうとするも失敗。

 

ツいてませんな、本当に。実績を積み上げ続けてるわけで、そういう意味では運があるのかもしれませんが。

シオリとしていた、想定と覚悟の問答は好きだなぁ。どっちも譲れず、何かずれていたらそのまま激突していた危うい感じが良い。

 

しかしまぁ、ドランカムの若手はあんなんばっかりか。シカラベが嫌がるのも無理はない気がしてきたな……

巻末の短編はそのカツヤ達のはじまりを描く『ハンター志望の少年少女』。チーム分けの件とか、ある程度の選別がされていて、非情な線引きを実感した。

まぁ、モンスターが居る世界で、情だけじゃ生きてけないから、ある程度は必要なんでしょうけど。

 

防衛のハズが探索に行く羽目になって、さらに戦果を挙げて、別のチームに配属される。

アリ地獄にハマってるみたいに、ズルズルと不相応な場所に踏み込んでいくアキラから目が離せません。


リビルドワールドⅠ下 無理無茶無謀

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自分の命は自分のもの。無謀にもモンスターの群れに挑んで殺されようとも、自分の意志で自分の命を賭けたのならば、アキラにとって問題などない。


BOOKWALKER読み放題にて読了。           

キャンペーン追加タイトルで、対象期間は7月末日まで。

アキラが夢で見た光景。アルファが無表情で、これまでの試行を振り返ってる姿。

目覚めた時には忘れていましたが……内容がいちいち不穏に過ぎる。

その直後に明らかになる、旧領域接続者と言う情報も、ちょっとヤバそうな臭いしますしね……

以前の協力者たちは、失敗して死ぬか、心折れて挫折するか。完全に敵対した例すらあるみたいで。アキラははたして、どうなりますかね。

 

サラやエレナに助けられて、窮地を脱したアキラ。

無茶が祟って倒れたようですが、命に別状はなし。まぁ、三日ぐらい寝込んでたみたいですけど。

スラム街で結成した徒党に顔を出す約束をすっぽかした形になってしまって。

その後顔を出してはいましたが。同じくらいの子どもに見えて舐められて、一蹴。

順調にハンターになってるな、と言いますか。アキラ、割り切りが良いし行動に迷いがないので、いっそ清々しいですね。

 

他の徒党との揉め事もあって、シェリルが大分ピリピリしてましたね……。

追い込まれに追い込まれた結果として、なんか振り切れてました。別人のようになって、アキラもアルファも、徒党のメンバーすら困惑してましたけど。

びくびくし続けるよりは、建設的でいいんじゃないですかね。少なくとも、変わる前よりは好きだなぁ。

 

そしてアキラは、装備を買い足して。強化服とかにも手をだして、特訓を継続。

ハンターオフィスが恒常的に出してる、都市巡回の依頼を受けたりしてました。

まぁ、子供って事で舐められたり、他のハンターとのトラブルに鉢合わせたりもしたんですが。

それが前座でしかなくて、より大きなトラブルに遭遇するとは。アルファじゃないですけど、アキラの不運をちょっと甘く見てましたね……

装備とアルファのサポートを受けて、生き残るために活躍して。事件後にデータの故障を疑われていたのには正直笑いました。

キバヤシが無理無茶無謀を後押しする癖あるって言うのも、分からなくはないな。自分がそれに巻き込まれるのはゴメンですが。

 

巻末には書き下ろし短編『境界都市の少女達』が収録。

アキラと縁があるハンター、サラとエリナの過去エピソードですね。

いやはや、ハンターになるような人は誰も彼も思い切りが良いというか、行動力が凄いな。

命がかかっていた、と言うのもあるとは思いますけど。それで生き延びてるんだから、賭けに勝ったと言えるか。

でもこの世界、賭けに負けた側の例も、描かれないだけで多いんだろうなぁ……

 

リビルドワールドⅠ上 誘う亡霊

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「嫌だ。命賭けなのはスラム街だって同じだ。俺は這い上がる。絶対にだ」


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WALKER読み放題にて読了。           

キャンペーン追加タイトルで、対象期間は7月末日まで。

発展した文明が滅びさった後の世界。

そこでは、旧文明の遺跡から様々な遺産を回収するハンター達が活動していた。

恩恵を十分に受けられる都市に住まう者、温情で命を繋いでいるスラム街に巣食う者。

立ち位置は色々あるようですけど。主人公のアキラもスラム街の片隅でなんとか命を繋いでる状態だったけれど、ハンターとして活動する事を決めて。

 

実際、旧文明の技術は素晴らしく、重傷を負っても助かる回復薬だとか、新大能力を向上させるナノマシンとか、様々な分野が栄えていたようで。

それだけに、なにか一つ大きな発見を出来れば、それからの生活を向上させるのも不可能ではない。

……ま、そんな夢が簡単に叶うならスラム街に人が溢れてないでしょうけど。

 

今は遺跡とされている場所にも人々は暮らしていたし、なんなら工場とかもあったでしょう。

そうした場所の警備用に配置された機構は、活動状態のものもあり……立ち入るものを寄せ付けない障害となっていた。

モンスターと呼称されるそれは、ハンター未満のスラムの子どもは軽く蹴散らすし、なんならハンターであろうと油断すれば命を落とす。いや、金属を経口摂取して、材料に応じて兵器を生成するウェポンドッグとか居ますからね。普通は死ぬ。

 

アキラも、遺跡に踏み込んだ無謀な一人として散るハズだった。

けれど何の因果か、自分にしか見えない裸の美女アルファと遭遇して……

彼女と契約を結んで、最高級のサポートを受けながら、ハンターとして活動していく話です。アルファの性能はかなり飛び抜けているのが感じられますけど、アキラの初期ステータスが低いので、一気にサクセスストーリーとはいかず。

 

地道な特訓をして、それでも死にかけたりしてます。

まぁ、少しずつ成長しているのも分かるので、楽しいんですけど……アルファが、すごい不穏なんですよね、正直。

思考誘導とか、自由意志干渉とか言って許可を求めてる下りが凄い怖い。

あとアルファ抜きにしても、アキラのトラブル遭遇率の高さが笑えるんだよなぁ。

 

アルファと出会った事で運を使い果たしたという話が何度か出ますが、一瞬納得してしまうくらいついてない。

そして、アルファの不穏さを加味すると、本当に幸運だったのか問題も生じるので、深く追求しちゃいけないんだろうな……

そのうちコミカライズも追いかけてみようかな、と思うくらいには魅力的でした。

竜魔神姫ヴァルアリスの敗北2~魔界最強の姫が人類のグルメに負けるはずがない~

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「いい加減に向き合い乗り越えなくては、胸を張って前に進めません。母上と会うのは、そのために必要なことなのです」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。

キャンペーン追加タイトルで、対象期間は7月末日まで。

 

1巻では都内の店舗を中心に食べ歩きしていたヴァルアリスですが、首都ならそりゃ美食が多いだろ、という考えのもと別の地域にも足を運ぶことに。

そしてそこでもまた美食パンチに敗北をするんですが。

今回もしらす丼を釣ろうとしたり車に引かれたり、奇行要素もあり。情報収集に難がありますね……いやまぁ、異文化交流って大変なものですけど、なんか違うような。

 

ヴァルアリス、基本スペックが高い分帳尻併せてしまうからな……

あと、地の文で書かれていましたけど、何だかんだ最後には美味しいものに辿り着いている辺り「食の天運」は確かに持ってそう。

餃子の時とか、店でトラブルが起きても、ピンチヒッターが美味しい料理を提供してくれてましたしね。

 

孤高の姫だった彼女が、サチュラやインフェリスと一緒に食事をすることで、少しずつ変わってきているのもいい感じです。

父親が言う、王の資質についても気が付けるんじゃないだろうか。

そんな彼女が人界で、かつて魔界から姿を消した母の痕跡を見つけて。

自分と向き合うために、心の穴を認めて、先に進むと決めた彼女の在り方は眩しい。

いや、グルメに敗北するばかりかと思っていた所に予想外のドラマが発生してびっくり。懐に余裕出来たら買って応援したいなぁ……

竜魔神姫ヴァルアリスの敗北~魔界最強の姫が人類のグルメに負けるはずがない~

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「……それでも、私は戦う」

(略)

「私が竜魔神姫であるからだ。いずれこの魔界を統べる、王となるべき者……」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。 

キャンペーン追加タイトルで、対象期間は7月末日まで。

 

もう、タイトル・サブタイトルが完璧ですよね。

魔界最強の姫が、人類を滅ぼすべくこの世界に来て、グルメに負ける話です。

滅ぼすって言ってるのに、なんで食事してるのかと言えば、それが必要だから。

とある儀式で人類世界を滅ぼそうと決めたが、その儀式には厳格な決まりがあり、その一つが、「滅亡させる世界の存在した証を保管する」というもの。

 

そしてそれは、その世界に住まう生命が作り上げた文化の成果でなくてはならない。

なのでヴァルアリスは食文化にピントを当て、食べ歩きに興じてるんですが……舌が敏感だったばっかりに、美食にノックアウトされるばかり。天丼芸は鉄板。

狙ったように、その道に邁進し続けた店にばかり当たっているのもあって、運がいいのか悪いのか。人類目線だと良いことですけどね。滅びが先送りになるので。

 

本人はいたって真面目なのに、情報収集の魔法に粗があって、奇怪な行動をとってる場面も笑えました。それらを受け入れているお店の人々の心が広い。

……いやまぁ、接客やってると変わったお客様っているので、いちいち反応してられない部分もなくはないですけど。手が増えたりする客は、もうちょっと訝しんでいいと思うよ……

 

あと、ルビが分かりやすくて笑えます。位が高い兵士は「天魔星将(ドエライヒト)」、「神格天魔星将(ゴッツエライヒト)」みたいな感じですし。

主人公のヴァルアリスの称号も、竜魔神姫でトンデモナイゼですし。

他にも、シンデナカッタッスという蘇生魔法、アタランカラナという結界などなど。新規用語をバンバン出しつつ説明をルビで片付けている。

メインはあくまでも『竜魔神姫ヴァルアリスの敗北』だからこそ、この辺のスピード感は好き。

異修羅Ⅱ 殺界微塵嵐

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「キュネー。俺には願いがあったんだ。……馬鹿みたいな願いだ」

(略)

「馬鹿みたいでも、ずっとそうしたかった」

 

1巻同様大量の加筆が入り、WEBとは別物になった第2巻。

WEBに殺界微塵嵐なんて出てきませんからね……どうしてこうなった。

新キャラ新展開を入れて、これ以上ないと思っていた熱量を更に高めていってるので、ご無理のない範囲で続けて欲しいと思っております。

 

本当の魔王による爪痕は未だ濃く、平穏な時代は遠い。

今は黄都が力を持っていますが、それに抵抗する旧王国主義者も居るし、魔王自称者だって残っている。

黄都が進めている、勇者を決めるための戦い。それに参加させる修羅達の選考も順調に進んでいます。

 

今回登場の修羅だと、地平砲メレが好きですねー。巨人の射手。ある村を見守り続けた、偉大な戦士。それでいて普段は冗談を口にして笑う、彼の在り方はとても輝いて見える。

新キャラではやっぱり戒心のクウロが一番好き。優れた五感を持った修羅だったが、その感覚を失いつつあるキャラ。

……正直、2巻の犠牲者枠筆頭だと思っていました。予想以上に格好良かったし、まさかキュネーともども生き残るとは思っていなかった。裏切られた……いや、悲劇的予想は裏切られていいんだよ!

 

新エピソード「殺界微塵嵐」。ある地方で信仰されている、全てを微塵にする砂嵐。

今回の敵は災害という事で、どう描くのかと思っていたら……いや、丘をすり潰すとかどんだけだ……

登場キャラ達が、それぞれの事情でこの嵐に立ち向かう事となったわけですが……。修羅が易々と一丸となって戦えるはずもなく、おぞましきトロアと窮地の箱のメステルエクシルとのバトルがあったり、今回も混戦著しかったですね。

 

そして、ロスクレイとルクノカ、思った以上に関わらなかったな! 

表紙をよく視るとこの二人、中心にある微塵嵐とは別方向見てるので、伏線だった感じもしますが。え、そうだったら凄いなクレタ先生。

ロスクレイの戦法が、本人は思うところありそうですけど、手を抜いてなくて気に入ってます。「絶対なる」という二つ目の名が重い。

今回は後書き1ページという事で、かなりあっさりしてましたが。
オチまで完璧なコントのようで笑った。ネタの引き出しが多いな珪素先生。
次巻予告がなかったのがちょっと残念ではありましたけど。
もしあったら嘘予告世界でかい野菜大会とかになってたんだろうか。


プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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