気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

カクヨム

異世界転生スラム街からの成り上がり~採取や猟をしてご飯食べてスローライフするんだ~1

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「私、今、すごく、幸せなんだと思う」

ぽつりとラニアが言う。

「俺もそうだね。たぶん」

「わわわっ、私も」

 

主人公のエドは、故郷のエルダニア都市がスタンピードによって滅ぼされ……そこから流れ着いた人々で構成された、近隣にあるトライエ都市の城壁外に創られたスラム街で暮らしている6歳の少年。

父は亡くなり、母は姿を消した。そんなある日、頭を打った彼は前世の記憶を取り戻し……さらには『鑑定』魔法も扱えるようになって。

 

トライエ都市からの食糧の配給は続いているものの、長く続いたことで今はイルク豆一種類に統一されているとか。トライエ都市内部でも食糧不足が深刻になってるって話ですし、まぁそりゃ急に養う民が増えればそれはそうか……。

 

両親が居ないエドは、仲良くしているミーニャという少女や彼女の両親たちの助けを得つつ暮らしていたようですが、先述の通りスラム街は支援も限られ、貧乏が貧乏を読む悪循環に入っている状況で。

スラム街の住人は、野草の知識も薄く……かつてキノコに手を出した人物が命を落とした例もあって、食べられるのに手を出されていないものが身近に多く存在していた。

 

そんな中でエドは「鑑定」魔法で食用かどうかを区別できるし、前世の知識も活用して色々と工夫していくことになるわけです。

彼に懐いている少女も2人ほどいて、仲良く行動しているのは微笑ましかったですね。

前世知識と鑑定魔法で底上げしているとはいえ、子供数人の行動で改善できる環境で大人はもう少し何かできなかったのかなぁ……という気持ちも若干沸きますが。

貧乏ではありつつも、子供の稼ぎ巻き上げようとかしないし、逆にエドが何気なく上げたものが高すぎるのではないかと親が飛んできたりしてるし、街を捨てざるを得なかったスラム街の住人達ですが、善性を捨ててはないので、貧しいのは貧しいけど荒んだ雰囲気がないのは不思議な感じでしたね。

地獄の沙汰も黄金次第~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~3

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「そうね。そもそも、私は魔女と自称もしていないし、フロンティア人とも言ってない。あなた達が勝手に言い出したことよ」

(略)

「勝手に決めつけて、恐怖しないでもらえる? 善良な一冒険者よ」

 

黄金の魔女エレノアと、一般冒険者沖田としての二面生活を続けている主人公。

ナナカが攫われて、アメリカの工作員ハリーとクレアの協力を得て救出に成功してからも、変わらず活動を続けていたわけですが。

攫われたときにナナカが魔女の弟子を自称して巻き込まれたから、いっそ弟子として認めることで今度自分がトラブルにあった時は巻き込む覚悟の沖田くんは本当にもう……。

 

剣術スキルレベル6とかいう、初心者中心とはいえ受付嬢やってるカエデちゃんが知らないくらいの領域に足を踏み込んでいる一方で、錬金術スキルの方もレベルが上がって作れるもの増えて行ってるんだから、成長が著しいというか。

遅くから冒険者になっただけあって、成長の余地がありすぎる。

クレア……ひいてはアメリカとの交渉中であるレベル2回復ポーション。議員の暴走でその契約が御破算になった日本も当然挽回を狙っているわけですが。

 

本部長子飼いの冒険者である三枝ヨシノが、沖田くんに近づいてくることになって。

高ランク冒険者であるヨシノのパーティメンバーであるBランク冒険者のリンでも、剣だけの勝負なら無理、と判断するくらい沖田の剣の腕が確からしいですねぇ。

実際には魔法を使えたり、高額で頼れる装備を持ってたりするから、いざ戦ったらまた違う結果になりそうですけど。……なんかゲーム的に言うとバフ駆けるポーション作れるようになってるし、なんだかんだエレノアが勝ちそうな感じはある。

ヨシノが「沖田=エレノア説」を疑って、調べて、家にまで踏み込んできた時、それまで交流して一緒に冒険する間柄になったことから生じる油断があったとはいえ、ヨシノあっさり薬盛られてましたしね……。

少しずつ黄金の魔女の正体に気付く人が増えていますが、おおむねエレノアの齎す利益で口を噤んでるの、なるほど『地獄の沙汰も黄金次第』というタイトル通りだなぁ……って読み味ですね。

異世界刀匠の魔剣製作ぐらし2

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「君には敵も居れば味方もいる。それだけは忘れないで欲しいね」

 

鬼哭刀を携えて武具自慢の集まりに参加した伯爵、マクシミリアン。

そこでベオウルフ・エルデンバーガー侯爵から、とある話を聞かされることに。南の国境で十年ほど小競り合いが続いていた異教徒の国と和平交渉が進んでいること。その際に贈り物をしあう文化があるとかで、交渉材料の一つとして鬼哭刀を使うことになるかもしれない、ということ。

 

ちゃんとマクシミリアン相手の見返りも用意しているあたり、侯爵もしっかり政治やってるなって感じでしたが。付与術については詳しくなく、蛮族と侮っている相手にしてやられて、難易度の高い「光属性の付与を五文字で」という無理難題に肯いてしまうことに。

ゲルハルトが叫んでいたのもむべなるかな……。

刀鍛冶ルッツと、装飾担当のパトリックが最高の物を拵えてなお、ゲルハルトは成功するイメージを持てなかった。

そんな時彼の弟子であるジョセフが「付与に耐えうる宝石に心当たりがある」と言い出して……相手が交渉の席に持ってくる「覇王の瞳」と謳われるダイヤを付与に使って、相手に贈ろうとか言うトンデモ提案をすることになっていたの、ちょっと笑っちゃった。

まず伯爵に説明し、連れ立って侯爵の説得にいき、三人で国王を説得しに行って誰もが怪訝そうで心配してくるのも分かる。

 

会談の現場で見事付与を成功させたのはお見事でしたが……あまりに見事過ぎたことで逆に隣国が乱れることになろうとはね……。

和平交渉で五年の停戦を約定したから王国側からできる事はほとんどない騒動は、正直まだ尾を引きそうな気配がありますけど。

一旦は交渉がまとまったのも確かで。その交渉材料として寄与した刀の製作者であるルッツは未だに誰の庇護下にもない流民の扱いであった。

そのため、ゲルハルトを通じて伯爵のお抱え職人になるという話が出て……ギルドに所属していないけれど、お抱えになった以上は付き合いもあるということで刀作成の場面を親方衆に見せていたのは、クラウディアの提案でしたがなかなか良かったのでは。



異世界刀匠の魔剣製作ぐらし

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「申し訳ありませんが研ぎの仕事がまだまだ残っています。場所をお教えしますので後日、俺の工房に来ていただけませんか」

「金貨数百枚単位の仕事だとしても、優先できませぬか」

「金額で優先順位を変えるような事をしていたら信用を失います。木こりからも、貴方からも」

「わしからも、か」

 

主人公のルッツは、城壁の外で暮らす訳アリの鍛冶師。

厳密には訳ありだったのはルッツの父ルーファスで、彼もまた鍛冶師であったがトラブルに見舞われ流浪の民となり、その果てに結婚相手を見つけてルッツが生まれ……ルッツは父から鍛冶の技を叩きこまれたそうです。

ただまぁ、ルッツも鍛冶ギルドには参加していない、領主が管理していない城壁の外で凶器となりうる刀を作っている、不審人物扱いされても文句は言えない立場ではあったようですが。

 

馴染みの商人クラウディアから斧とかを頼まれて作っていたみたいですが。

ある日、父の教えを糧に、まるで魅了の魔術でもかかっているかのように人を引き付ける刀を作り上げることに成功。

傑作ではあったものの、先述の通り立場のある身ではなかったために、売る宛もなく倉庫の肥やしになりそうでしたが。

クラウディアが冤罪で囚われたと聞いて、その代価として刀を手放すことに。

知人を助けるためだとかいろんな事情があった上での行動で……なんだかんだその後クラウディアと懇ろな関係になっているので、得るモノが大きかったんじゃないでしょうかね。

 

クラウディア冤罪で捕まえたみたいに、取り締まり担当している騎士団の下っ端はゴロツキみたいな連中が多いみたいで、そこはなんだかなぁ……って感じではありましたけど。

その刀が巡り巡って領主の信頼厚い職人、付与術士のゲルハルトの手に渡ったことでルッツ達の運命は変化していくことになるわけです。

 

付与術士という字面から分かる通り、ゲルハルトは物体に文字を刻み特殊な効果を齎す術を扱う職人であったわけですが。単体でも人を魅了し、刃傷沙汰にもなり得る武器に「魅了」の術を刻むあたりぶっ飛んでるんですよね……。

そんなゲルハルトに目を掛けられることになったルッツも、どうしようもなく職人肌で。交渉を担当してくれるクラウディアが傍にいてくれるの、実利的な側面から見てもかなりありがたい。

 

ゲルハルトとの縁が出来たことで、領主に献上する刀を作ることになったりもしてましたが。

ルッツ、刀造りは得意でもネーミングセンスに欠けていたりするみたいですから、そのあたりもクラウディアがサポートしてくれてたのは良かったね……。

鬼哭刀と名付けられた刀を伯爵が気に入ってくれたのも何よりでした。ゲルハルトと付き合いの長い、停滞し続けていた鍛冶士ボルビスと知識を伝え合う機会にも恵まれて……ボルビスの作った刀をゲルハルトが振るうシーンが印象的で良かったです。

図書迷宮と心の魔導書

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「ちなみに司書って、魔導書に関する疑問に何でも答えられたりするの?」

(略)

「しない。必要な情報は既に与えられた。神はそんなに甘くない――というか、呆れている」

 

カクヨムネクストからの書籍化作品。

魔物という脅威が存在し、それに対抗するために人々に魔法が与えられた世界。

成人の際に儀式を行い魔導書を授かり、図書迷宮と呼ばれるダンジョンに挑みそこに設置された祭壇で儀式を行うことで、扱える魔法を増やすことのできる仕組みが作られていた。

……しかし、人類は愚かだった。魔物と戦うために授けられた魔法の力で、人同士で争う事すらした。

知識と実力がある人ほど魔物の戦いの前線に行くし、人同士の争いまであったことで知識の断絶が起きているというのだから、なんというか呆れるしかありませんな。

 

主人公のルミエーラは、前世の記憶を持った少女。

森に捨てられていた彼女はシンクハルト辺境伯家に拾われ、その家の娘として家族からも領民からも愛されて育っていた。

辺境伯家は魔物と戦うという役割をしっかりと果たしている真面目な貴族家みたいですが……中央と呼ばれる地域の王族や、神殿とかは知識の断絶を起こした末に肥え太っている輩も出ているみたいで危うさが伺える。

 

ルミが成人の際に儀式を行ったところ、彼女に与えられたのはこれまでの評価基準では測れない特殊な魔導書だった。

普通は最初から使える魔法がいくつか記されていて、図書迷宮で使えるものを増やしていくみたいですが。ルミが得たものは全てが白紙で……さすがの彼女もショックを受けていました。

 

しかし試してみたところ、図書迷宮の先に進む扉を開ける程度には格が高く、儀式を行うことで使える魔法を増やすことも出来た。

さらに少しずつ前を向けるようになったルミの前に、「司書」を名乗る、変わった少女まで現れて。

ミカゲと名付けられた司書の少女はルミと一蓮托生、あまり遠くまで離れることも出来ない存在だそうで。人よりも神に近い彼女は、今失われた知識を持っていて……「過去の人に既に教えたこと」として、教えてくれないことも多いのですが、それでも貴重な知識を持っているのは確かで。

司書を携えた者に与えられた権利として、バカやった奴らから魔法を奪える『督促』とか。魔導書の『強化』を行えることとかは、かなり重要な情報ですよね。

 

ルミはそれまでの常識からすると、常識外の存在であり。中央の貴族は貶めようとつまらん噂を流したりもしていたわけですが……それに負けず奮起してできる事をやっているのが良いですねぇ。

 

それを想うと、バカ貴族の息子が魔法を授けてくれる図書迷宮の祭壇をぶち壊したりした末、玉虫色の決着になったのはなんとも。まぁ政治的なバランスとか、本格的に貴族と貴族の争いになったら面倒だという部分もあるってのはうなずける話ですが。

それはそれとして中央の王子とかバカすぎて、早い段階で教育しとかない近い将来足をすくわれそうだから、初手苛烈に行っても良かったんじゃないかなぁ……みたいな気持ちにもなる。

神殿の腐敗も軽く触れられるだけでしたが、今後絶対かかわりは増えそうですし、ルミ達には頑張ってほしいものです。
膿を出して、少しずつ味方を増やしていかないと、かつて前線に立ち倒れて行った先達たちの二の舞になってしまいそうですからね……。



光属性美少女の朝日さんがなぜか毎週末俺の部屋に入り浸るようになった件

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「だったら、俺に悪いとか思わないでほしいかな。それで、これからも俺の部屋でゲームしてる時くらいは……しんどいことを一度隅に置いといて、その場で楽しいものを優先したっていいんじゃない?」

(略)

「ううん、私もそう言ってもらえてすごく安心できた……。影山くんってほんとに……その……優しいよね……」

 

朝日光は、学内一番の人気を誇る美少女。

名は体を表すという言葉の通り、明るく可愛い陽キャであって……テニス界期待の選手であり、モデルとしての顔もあるとかなんとか。

一方で主人公の影山黎也くんは、ゲーマーなオタクであまりクラスで交友の少ないタイプのキャラであった。

交わりそうになかった2人でしたが……実は朝日さんも兄の影響でゲームが好きで。彼女の方から、ゲーマーな影山君に話しかけてきて交流が始まることに。

 

ゲーマーな側面のある彼女が、なんで影山君の部屋に入り浸ることになったかと言えば。

彼女はゲーム好きな兄に相乗りしていたというか、兄の持ってるゲーム機を借りて楽しんでいたところ、兄が一人暮らしを始めることになってそれらを全部持って行ってしまったためだとかで。

その兄が影山くんのゲームフレンドだったのは、ちょっと笑ったというか。世間って狭いなぁ……と思うなどしましたが。

 

同じ趣味を持っていて、実際にプレイさせてみればのめり込んでいくゲーマー気質を持っている彼女との時間は影山君的にも楽しいものではありましたが。

……それまで接点のなかった美少女との時間は、意識せざるを得ない時間でもあって。コミュ力の差から影山君の方がギクシャクする場面もまぁまぁありましたけど、なんだかんだ良い子なんですよねぇ。

 

朝日さんの方は、少し前に怪我をしたことでテニス関連で上手くいかないことが増えていて。

ゲームが趣味というのも嘘ではないけれど、影山君に最初に声を掛けたのは気落ちしている時期の気まぐれという側面もあって。ただ、誰でも良かったわけじゃなくて、一応影山君の存在とか、彼が昔文化祭で頑張っていた姿とかを見ていたのとか彼の趣味を知っていたからだったわけですけど。

不器用ながらもパーフェクトコミュニケーション成立させて、朝日さんの想いがハッキリしてしまったので、この後さらに面白くなりそうですね。グイグイ来る光属性少女は好きですか。頑張れ影山くん。

全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。

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「守るために命を張って、無事に守れた。みんながこうして生きtえ、いま俺の目の前員いてくれてる。……なら公開なんてないさ」

 

主人公のウォルカは、異世界転生者。

魔法が存在する世界でなら、創作の世界で描かれているようなトンデモ居合を実現できるのではないか、と幼少期から剣の修行に打ち込みまくっていた、修行バカの青年で。

無茶な魔法の使い方をしてるのを見咎めた魔法使いリゼルアルデが師匠になって、彼の剣術に光を見た少女ユリティアだったり、遥か南方にある戦闘部族出身のアトリとパーティを組んで、探索者としての活動を続けていた。

4人とも実力は確かでAランクにまでなった、将来有望な面々だったみたいですが……。

 

踏破報告が上がったダンジョン「ゴウゼル」へ揃って出向いた際に、奥に潜んでいた真のボスによってパーティは壊滅状態に。

そして、その絶望的な状況に至ってウォルカは自分が転生したのが、彼が前世読んでいたダークファンタジー漫画の世界であり……自分たちは、世界の残酷さを描くために序盤で死ぬモブパーティだったことを思い出すわけです。

 

元々絵柄は好みだったけれど、作者の癖は合わず……それでも絵柄は好きだから、イラスト集を見るような感じで流し見していたのもあって気付くのが遅れたとか。

……全く本筋に関係ないんですけど、「絵柄は好き。ストーリーは苦手」という割り切りして作品と向き合っているの、良い読者だなって思いました。まぁダークファンタジー世界で、悲劇にありふれているのでクソとか外道作者とか評したりはしてますけど。

 

思い出した時点でほぼ詰んでいる。

そんな中でウォルカは「どうせ死ぬのなら、死ぬまで足掻いてから死んでも同じ」と覚悟を決めて、足掻いて足掻いて……自分の剣技を一段も二段も向上させて、勝利を掴み取ったわけです。

元より命懸け、死ぬつもりだったウォルカ的には、片目と片足を失って剣士として戦うのには厳しい体になっても、仲間を守り切れただけで満足いく結果ではあったみたいですけど。

 

元より彼に惹かれて集まったパーティで、自分たちが何も出来ない中彼に負担を強いてしまった状況が、彼女達の心を蝕んでいったわけです。

……まぁ、これは病むよ。それだけの輝きをウォルカは見せたし、心焼かれちゃうよ。

現代日本製のものに比べれば不満点があるとはいえ、車いすもあるし。日常生活を送れる程度の義足なら……質はどうあれ存在する。ウォルカが日常生活を送るだけなら何とかなりそうな状況ではありますけど。

 

彼が無茶したら師匠は泣くし。彼が見せた剣技の輝きが失われるのが耐えられないユリティアは、及ばぬ自分を責めるし。アトリは彼に近づく障害全て排除しようとするバーサーカーになっているし。

ウォルカの胃が深刻なダメージ受け続けて、それの方が今の彼を苛んでいるのでは。

……いやまぁ、多少落ち着いてから剣を振るおうとしたとき、自分はこんな状態でも剣を捨てられないことに気付いていたり、ウォルカ自身も普通に業が深いタイプなんですよねぇ。ハッピーエンド主義だという彼の奮闘に期待したいところではありますけど……病み度がかなりヤバい段階まで行ってるように見えるので、難易度高そうです。が、頑張れ……。死神倒した君ならあるいは……!

配信に致命的に向いていない女の子が迷宮で黙々と人助けする配信

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「――大丈夫」

(略)

「来ましたよ。私の、お星さまが」

 

WEB既読。

迷宮と呼ばれる不思議空間が発生した地球。研究資源・情報を秘匿されないようにするため、黎明期に「迷宮を探索するものには、映像記録の公開を義務付ける」という法律が作られて。

そういう理由が形骸化し……昨今のトレンドとして、リアルタイムで映像を繋げる「迷宮配信」が行われるようになってきたそうです。

 

主人公の少女もまた迷宮探索者であり、配信者でもあった。

もっとも彼女は話すのが苦手で……あくまで映像の公開義務を全うするために映像を垂れ流しているタイプだった。探索自体は楽しいから続けているみたいですけどね。

六層までしか人類が到達していない迷宮に、ソロで五層の半ばまで潜れる実力者であること、長く活動を続けていることから、無言で強い魔物を蹴散らすだけの作業配信でも固定のリスナーは多少いる状況だったみたいです。

……まぁあくまで記録用のつもりなのもあって、リスナーは彼女の名前すら知らない状態で物語が始まるわけですが。

 

別のソロ探索者が負傷している場面を発見し、救助に駆けつけて。その助けた相手が、コミュ力抜群の配信者で、主人公にも一躍注目が集まることに。

主人公である彼女……白石楓ちゃんは、そこから医療団体から誘いがあって、基本はソロで探索しつつ依頼が入ったら迷宮内の救助を行う、迷宮救命士としても活動を始めることになるわけです。

 

腕利きで回復魔法も扱えるけど、それ以外はポンコツな部分のある白石さん、可愛いんですよね……。マネージャーさんが彼女を撫でるシーンありますけど、撫でたくなる気持ちも分かる。

活動スタートして早い時期に、迷宮内部で魔力変動を伴う異常事態が発生して。

白石さんが注目を集めるきっかけになった配信者、蒼灯さんと再会したり、彼女が白石さんを信じてくれたりしている姿が見られたのは良かったですね。

スポンサーがついたというか、企業所属する立場でありながら現場での救助に全力でぶつかっちゃう白石さん、仕事で言うと問題児だけど……諦めない彼女だからこそ応援したくなるんですよねぇ。

日常では抜けてる部分も見せてますけど、戦闘シーンでは格好よいギャップが光るんですよね。熱いし、可愛いしで、読んでいて楽しい1冊でした。

図書館の天才少女~本好きの新人官吏は膨大な知識で国を救います~

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「私は自分の能力を使うことで大勢の人が助かるならば、最大限に能力を活用することが責務だと思っています。それに……私なら助けられたのにと、後悔したくないんです」

 

平民のマルティナは、本を読むのが好きな少女。

平民街の図書館にある本を全て読み終えてしまった彼女は、王宮図書館の本を読むためだけに官吏登用試験を受けた。

国の方針として二十年ほど前から貴族と平民の垣根をなくそうという宣言がされて、平民でも官吏になる道が開かれていたのは彼女にとって幸いでしたねぇ。

まだ道が開かれてから世代が変わるほどの時間が経ってはないので、貴族至上主義の考えを持った人物とかも居たりするみたいですが。

 

平民でも受け入れてくれる人が多かったのは良かったですね。

そして、マルティナはただ本を読むのが好きというだけではなく……読んだ本全てを記憶できる「完全記憶能力」を持っていた。

オマケにただ読んで覚えているだけじゃなくて、その情報を引っ張ってくる速度も速いので、先人たちに羨ましがられてますけど研究者とか学者になっても名を残せそうなスペックしてるんですよねぇ。

 

協力することも多い騎士団の情報を覚えるのを任されたマルティナは、とある異常に伴った魔物討伐に際して意見具申をして。

それが受け入れられて現場に同行することに。眉唾物と思われていた「瘴気溜まり」というものについての知識を即座に引き出し、研究に踏み出すまでの時間をかなり短縮することに成功。

希少な光属性の魔法を使える人材を集めることで、小さいものなら消滅させられるという結果を出していたのは良かったですが……。その後、光属性を用いる方法では消滅させられない巨大な瘴気溜まりが発生したり、世界各地で同時多発的に瘴気溜まりが発生したりと、事態はどんどん進んで行くわけです。

 

マルティナを筆頭に、人々がまず自分たちで出来る限りのことをして、それでもこのままでは対処しきれないと判断して……聖女召喚の儀式を復活させようと試みることに。

マルティナ達が人事を尽くしているのは、個人的にポイント高い。途中、マルティナの才覚を認めた国が彼女を誘拐しようと試みるトラブルがあったりもしましたが。その騒動からヒントを得て、聖女召喚にまでこぎつけたのはお見事。

招いた聖女の扱いだとか、国家間の交流とか、問題山積ではありますがマルティナ達が力を合わせて乗り越えてくれることを祈りたいものです。

チュートリアルが始まる前に~ボスキャラ達を破滅させないために俺ができる幾つかの事~4

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「アンタのおかげで俺はここまで来れた」

 

黒騎士。それはゲーム時代にも登場した傑物。

7つの天啓を宿し、法外な報酬を求めるが依頼者に勝利を齎すという伝説の傭兵にして……自身の目的のために敵の手を取り、原作主人公たちの敵に回った人物。

凶一郎は自身の目的を果たすために、ダンジョン攻略を目指していますが……原作ではボスキャラになっていた遥やユピテルを味方に迎え入れて、凶一郎自身もアルの猛特訓を受け、ゲーム知識をアルと共有して作戦会議してもなお、勝利確立は3パーセントを切る見込み。

 

しかも、前提として遥の覚醒が必須という細すぎる綱渡りをする必要があり……切実に戦力が必要だった。

オマケにアルの希望するハードルが馬鹿みたいに高く、そんな水準に居る人物として凶一郎が思い出したのが黒騎士だった、と。

五大ギルドのジラードとの付き合いもあるから、アポイント自体は取れる。しかし、機体のルーキーとは言え、彼らには解りやすい実績が少なく、交渉のテーブルについてもらえるかは不明。

そのため、ジラードに唆されたのもあってクラン「神々の黄昏」が主催するバトルロイヤルに参加し、他の参加者を蹂躙。

 

そういった知名度と、凶一郎のゲーム知識すら駆使して黒騎士との交渉に臨むことに。

あとがきでも書かれていましたが、目的のために敵と手を組む事すらした黒騎士はこの交渉第一回であっさりと肯いてくれたのでサクサク仲間になってくれたわけですが……。

書籍版は独自ルートに入ることに。自身の過去に踏み込まれたことを不快に思った黒騎士から、仲間になるための条件を設定され凶一郎は個人で「黒騎士に傷をつける」という難題に挑むことに。

 

凶悪な設定のシミュレーションで、何度も死の恐怖や苦痛を味わいながら、途中折れそうになりながらもくらいついて良く凶一郎の姿に、黒騎士は結構感銘を受けていたみたいですけどね。黒騎士の内面的な描写もあって、結構満足度の高い加筆だったと思います。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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