気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

カクヨム

ワキヤくんの主役理論2

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「(前略)そういうイベントが、俺はなるべく人生に多く起きて欲しいんですよ。仮に悪い目を引くとしても、とりあえずサイコロは振っておく主義なんです」

 

すれ違った主役理論者と脇役哲学者は、夜の公園で青春して以前よりも仲良くなった。

まぁその代償として「恥ずか死にたい」と悶える羽目になっていましたが、それが君の選んだ結果だよ……

電話にて登場して来る我喜屋の旧友の言う通り、我喜屋、面倒くさくて恥ずかしい奴ですよねぇ。見ていて楽しいのはありますけど。

 

1巻接続章において、そんな二人のやりとりを目撃していた、友人のさなか。

実は彼女は、我喜屋がこの地に引っ越してくる前に、その姿を。行動を目撃したことがあって……

迷子の少女を助けようとした我喜屋が偉い。けど自分も分からないんじゃ効果半減だよ……その時に言っていたサイコロの話は興味深くて良かった。

TRPG経験あるので、うんうん判定できるならやりたくなるよね、みたいな気分になったというか。

 

今回は、表紙にもいるさなかがメインの話でしたねー。

我喜屋が新規開拓したおでん屋の店主、赤垣此香の事情なんかも絡んで、さなかが彼女の青春をする話、というか。

我喜屋に影響されて、彼女自身が主役になろうと走りだす、きっかけとなるエピソードだったように思います。

 

それ以外にも、叶の弟である望くんがアパートにやってきて、疑似的な同棲状態になっていることがバレたり。我喜屋が彼から、姉は優良物件ですよと唐突な売り込みを受けたりとイベントは発生していて。

我喜屋から連絡をとり、2回目に会う時にたまたまさなかと出くわして、そのまま恋人関係だと嘘をついたりもしてましたが。自分から提案しておいて悶えるんじゃないよさなか……かわいいな……

                                                             

我喜屋は夜の公園好きすぎないか問題。

1巻では叶の脇役哲学を尊重し、側にいて欲しい(意訳)と言って。

2巻ではさなかの背中を押して、一緒に行こう(意訳)と手を取る。

対比が効いてていいと思いますけど、向いてる方向が微妙に違うので、いつか道を違えることになりそうな。

望くんが仄めかして来た、叶の事情と言い厄介そうなネタの気配が濃厚だからなぁ。これで3巻が出てないのは悲しすぎる。とりあえずカクヨム行こうかな……

ワキヤくんの主役理論

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――人は簡単に変わる。ただ、変わるに足るきっかけのほうが起こらないだけだ。

 

高校デビューって、ありますよね。

進学を切っ掛けに今までとは違う自分になろうとする。

この作品は、それをどこまでも真剣に実践したとある二人の物語。

片や友人と「主役理論」を組み立てて、物語の主役たろうとする少年、我喜屋未那。

片や一人で「脇役哲学」を作り上げて、物語の脇役で良いと主張する少女、友利叶。

本来であれば、真逆な二人の青春は重ならず、互いに干渉することも無く学校生活を送っていたはずだった。

 

しかし。高校デビューって結局は、環境が変わったタイミングで、自分も変わるわけじゃないですか。

この二人は自らの主張に妥協をしないので、進学だけではなく、それをきっかけに一人暮らしを始める事で、環境の変化を劇的にしていて……

実家からの支援があるとはいえ、高校生の身で借りられるアパートで、進学にも適している物件を探せば、重なるのも無理はない。

 

我喜屋は102号室、叶は103号室とアパートの隣人になっており……バイト先まで一緒。

さらには、不慮の事故と言うか。相手の主張を認められずに壁を蹴ったら崩壊し、部屋が繋がるハプニングまで発生し……

誤魔化そうとしたものの友人にもバレ、彼女らは黙っていてくれる事になったものの。二人の詰めが甘かったせいで、付き合ってるのではないかと噂が流れる羽目になったり。

途中で我喜屋は「バカ+アホ+間抜け+ドジ」で満貫とか言ってましたが。

なんというか、ここまでトラブル重ねられてると役満と称してもいいんじゃないかな、みたいな気分にはなる。

 

お互いの主張を理解出来るけど、真逆であるために認めることは出来ない。

それ故に、どうしても交流せざるを得ないとなれば。争いは避けられないのだ……とか言いましたけど、二人とも外面は良いし、主張を理解出来てる部分もあるので、傍から見てると仲良くも見えますけどね。……ガンガン言い合いしてるので、仲悪くも見えるのが困りものですが。

 

1巻は面倒臭いところのある二人が、交流してすれ違い、少しだけ歩み寄るお話でありました。

初版3年前なので入手難度は高そうですが、今は電子書籍とかあるので……作者さんの新作『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。』と合わせてオススメです。

リビルドワールドⅢ下 賞金首討伐の誘い

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「分かったよ! 覚悟を決めるのは俺の担当だからなぁ!」

 

ヨノズカ駅遺跡の騒動から、なんとか生還したアキラ。

本格的な探索はせず、遺物売買などの事後処理をすることになっていましたが。

売り先のカツラギがヨノズカ駅遺跡に挑むハンター相手に、荒野価格で色々売りに行ってたもんだから、遺物を持って往復する羽目になってましたが。

その結果、遺跡から出てきた変異種との遭遇に、アキラを護衛として雇えたのだからカツラギとしては不幸中の幸い……なのかな? なし崩しでタダで護衛させようとしたカツラギの思惑を、アキラがちゃんと潰してるのも成長が感じられて良い。

 

遺跡から出てきた変異種が、かなり強大になっていてハンターオフィスから「賞金首」として通達が来て。

自分の運の悪さを自覚しているアキラが、荒野へ積極的に出かけなくなったのは、正直笑った。実際これまでの彼の実績を想えば、うっかりで出くわしてもおかしくないからな……。

高額の賞金目当てで挑んだハンターもいたようですが、返り討ちにあってどんどん賞金額が上がっていって。

 

ドランカムを筆頭にハンター徒党も討伐に向けて動きはじめて……アキラも、以前の縁からシカラベに誘われて賞金首の一体に挑む事に。

ハンターだかといって、ただ危険な敵を倒したり、貴重な遺物を集めるだけではなくて。徒党が大きくなるほどに、内部の問題って言うのも出てくるようで。

ハンターオフィスを通さない非正規の依頼、という形ではありましたけど。

 

しかしまぁ、話を聞くにドランカムも大変だな、と言うか。

これまで何度もアキラと出くわしているカツヤ一党も中々ではありましたが、新登場のトガミやリリーみたいなのを見ると、シカラベ達古参の応援をしたくなってくるな……

増長しているのが良くわかる。ヤラタサソリの時に噛みついてきたレイナみたいなのばっかりか。

 

ドランカムの若手勢力も、外部の応援を雇いながら賞金首の一角に挑むことになっていて。

カツヤに指揮を学ばせるために、別の討伐を見学させたり色々と手は打っていたようですし、カツヤ自身も慎重に判断してたと思いますが、暴走する子が出るんだからもう……

外部の応援から文句が出てましたが、アレは仕方ないと思ってしまった。

まぁ、ドランカム若手勢力の一番の問題は、カツヤに対するもう一人のアルファの侵食が大きいというか。

影響がどんどん広がって行ってる所ですよねぇ。アレを見てると本当に、遺跡の亡霊が怖くなってくる。

 

アキラが雇われた以上は、しっかり働くという考えてかなり奮戦していたのは楽しかったです。アルファのサポート付とは言え、あそこまで動けてランク21ってのは、周囲の反応見るに相当詐欺なんだろうな……

シカラベに誘われた一件の後も、別の徒党の賞金首討伐のサポートとしてバックアップに従事して。さらには後日、エレナ達に声をかけられたとはいえカツヤの指揮する作戦にも参加する事になって。

 

結果として、4体現れた賞金首の内3体の討伐に参加してるんですよね、アキラ。キバヤシが目にかけるのも良くわかる。まぁ、サポートに徹したマイマイは直接賞金首とぶつかってはいませんけど。

終盤の101話~102話でもトラブルに見舞われていましたし、本当にキバヤシを飽きさせないな……

 

巻末の閑話「運の問題」は、また装備を更新する事になったアキラが、普段より軽装でシェリルの徒党に顔を出しに行ったら襲われる話。

軽装とはいえ、しっかり武装していたので返り討ちにしていましたが。色々とスラムでも蠢いているというか、暗躍してる人が多いな、という感じ。次回に向けた伏線エピソードなんですよね。

巻末の次回予告でも「WEB連載版より全面改稿」となってる4巻が今から楽しみです。

 

 

川上稔短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで5本入り2

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電子専売、川上稔先生の短編集第2弾。

今回もタイトル通り「パワーワードのラブコメ」が5本収録されてます。

収録作品の中だと『鍵の行き先』が一番好きですかねー。

『再会の夜』だけ描き下ろしで、他はカクヨム(『川上稔がフリースタイルで何かやってます』)に一度は載ったことがあるハズ。

出し入れが行われる事もあって、把握できてないんですよねぇ。

 

01:幸せの基準

コイツこういうヤツだった!

父が亡くなり、母と姉妹で三人暮らしになって。

仕事一直線となった母の代わりに、食事の準備をすることになった姉の話。

「母さん」「娘」呼びで個性が光るからマーすごいというか。

少しずつ腕を磨いていって。母の弁当なんかも作ってはいたが、高校進学を期に自分の分も作ることに。更に、妹の方でも学校でトラブルが発生して、給食取りやめで手間が三倍になってたのはお疲れ様ですとしか言うほかない。

 

冷食とかも解禁して、それっぽくまとめてそれなりに楽しんで食べていたけれど……クラスに、つまらなそうに弁当を食べている男子がいるのに気が付いて。

「そういうもの」として処理してましたが、ふとしたきっかけで会話して、それから踏み込んでみるのが、アクティブで凄い。

あれよあれよと、弁当交換したりしてましたが、寡黙君のワンテンポずれてる感じがしっかり描かれていたので、「こういうヤツだった!」ってツッコミに、そうだねって同意出来たのは笑えた。

 

02:星祭りの夜

皆、都合のいいことと、逃げ場になることを言ってほしいんだなあ、と。

 

単立の、変わった風習のある神社の娘。

いや風習が変わってるというか、神主の家系が変わってると言うべきなのかな……

オリジナル柄のタロット作って販売したり、占い出来るようにしたりした祖母が特にキャラ濃かった疑惑はありますが。

 

どちらかと言うとフィジカル系の神を奉っているが、恋愛系という事になっている神社の娘ということで、占いを頼まれたりするそうで。

何度も行う中で、小細工が出来る程度に腕を上げている辺り、手先は器用そうですね……

そんな彼女が見た「気付いてない彼」の事。  

色々と相談を持ち掛けられる側だから見える事とかもあって……でも、そんな彼女の方が最後気付かないとう見せ方がが上手いなぁと思いました。

 

03:鍵の行き先

自分の理想ってのが、自分じゃないのはチョイとキツい。

 

背が低い事を悩んでいる男子視点。

それをネタにしてからかわれることもあったため、心に鍵をかけた。

そして体格が影響しない趣味として、本を読むようになって。

自転車に乗って古書店巡りをしたり、版違いの文章違いを楽しんでいたりと、かなり性に合ってたんだろうなという感じはします。

自分とは違うタイプの読書家だ。私はわりと新しいのを多く読みたいので、あまり古典触れられてないですしね……元ネタ・原典に当たりたい気持ちはあるが、時間が足りない……

 

閑話休題。

2年に入ってからでも部活に入っておくと、内心とか色々関係するぞ、みたいな話を聞いて。

改めて調べてみたところ、文芸部の存在に気が付いて。たまたま窓の外から見た時に、古い装幀の文庫本を目撃したのもあって、部室に足を運ぶことに。

地の文で「背が低いのはこのための伏線か……! 伏線じゃねえよ」とセルフツッコミ入ってた場面では笑った。

 

名義だけの生徒が多いなかで、部室に足を運ぶ数少ない部員となって。

部長―彼とは真逆の背が高い女子―との交流がスタートしてくわけですが。この二人のやり取りが、微笑ましくて良い。

 

04:自由の置き場

「――このままがいい。続けたい。もっと良く出来るなら、そうしたい」

 

『フリスタ』の方に掲載された後書きによれば「頭の良い二人を出そう、と馬鹿な頭で考えたとき~」みたいな身もふたもないような表現をされていましたが。

高校から大学まで一貫性の学校で、一年の時に真面目にやった結果としてトップを取った少女。

 

内申点とか計算すると、23年は馬鹿でも上に行けることになって……これから自分がすることに意味はあるのか、と疑問を抱いて。

なので、1年の時に稼いだ点を減らさないように、最低限のラインは守りつつも自由を謳歌しようとした。

そんな彼女が、隣の席の男子と交流する話。それぞれの授業の受け方が、真逆で中々愉快でしたねー。

でも、描写少ない中で「濃かった」のはやっぱりあたしの弟君なのでは……

 

05:再会の夜

私が知らないものこそが、やがて私を自由にしてくれる。

 

書き下ろしエピソード。

湖を中心にした観光で栄えている地域。それなりに人口はあるけれど、都会ではない。

なので「都会」的な、開かれたエリアに行こうと思ったら、朝から家出て乗り換え三回で昼半ば、みたいな手間が居る。

 

遠出することを「文明摂取して来る」といったり、いざ足を運べば自分を「未開地のゴリラ」とか言ったりする、語彙のセンスが光る女子視点。

……地元の短大の隠語がアレで広まっている辺り、ある意味で地域色なのかなぁとか少し思いましたね。

 

受験を控えていて。進路に悩んで。

それもあって度々「文明摂取」に赴く中、駅で同じ学校の男子生徒を見かけて。

先を見据えて準備している彼と、まだ何かを探している最中の私の話。

微妙に噛み合ってないようで、でもちゃんと影響を与えてるのが、良い距離感だなぁと思いました。

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川上稔短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで5本入り1

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カクヨム連載の『川上稔がフリースタイルで何かやってます。』に掲載されていた短編の書籍化。

『フリスタ』は独特の運用してて、不定期に短編の出し入れがあるんですよねぇ。1巻収録で『フリスタ』に残ってるのは「恋知る人々」のみです。気になったら、まずこちらを試してみると良いかと。

4話以外は女性視点の短編で、どれもパワーワードというタイトルに偽りはないのでオススメ。

なお、このシリーズは「BornDigital」とある通り、電子専売となっているので要注意。

 

 

01:恋知る人々

ああそうか。皆、だから、そうだったのだ。いつもとか、昔からそうだったからじゃない。恋をして、ハジケたのだ。

 

人の心が読める少女の話。

昔からそういう物として受け入れていて、誰もが出来るものと思って日々を過ごしていた。

違和感を感じる事もあったが、自分の中で確定したのが中学二年の時ってのは、大分強い。

かつて「無口だねぇ」と評価されたのを、他とは違う個性と受け入れてキャラ付していたとは言いますが、多分それ抜きにしても「無口」だったろ、という感じがある。

 

でもまー、ありますよね。結局のところ、他人がどういう世界を見てるかなんてわからないわけですから。

小学校の頃どんどん目つきが悪くなった子が居て、何ごとかと思えば単純に目が悪くなったので細目になってただけとか言う話を聞いたことがある。

「なんでもっと早く言わなかったの」「みんなこんな感じだと思ってた」と宣ったとかなんとか。あ、私じゃないです。念のため。

 

人の考えが分かる事を活かして、適切な距離を保てるようになって。

そうしたら長老呼びされて、色々と相談を持ち込まれるようになったりもしていましたが。

恋愛相談とかもこなしてはきたけれど、いざ自分が恋をした時に戸惑っている姿は微笑ましくて良いですねー。

 

02:素数の距離÷2

いいじゃないですか。

頑張っている人がいて、私は知っているんですから。

 

告白の木。その木の下で告白すると、それが叶うという伝説。

まー、作中のキャラに「一方的な効果の呪い系アーティファクト」とか言われてますけど。

同じような伝説がある木が市内に三本もあれば、なんやかんや言われても仕方ないか……

テレビの取材が来たりして、外に進学すると話題に上がったりするそうで、町おこしにはつながってるんじゃないですかね、えぇ。

 

街の告白押しに辟易してるキャラが曰くを調べて、やっぱり呪いのアーティファクトじゃないですか! になっていたのには正直笑った。

一度恋で失敗して凹んでしまって。自分にとっては縁遠いものだと思うようになった。

……少しずつ復調はしていたみたいですけど。

 

その切っ掛けは例えば、期待されて入部したのに故障してしまった後輩の噂を聞いて、自分の不幸は小さいものだと思えるようになったことだったり。

受験期に心が乾燥し、気分転換として告白の木まで散歩するという習慣をつけた事だったりことなんですが。

高校に進学したと思ったら、転機が訪れるの三年になってからなんですから、時間の使い方が贅沢と言うか。いい性格してる友人からの通話が笑えて好き。

 

03:地獄の片隅で笑う

私は、笑う人が好きだ。

 

個人的にはコレが一番笑えて好きでしたねー。

「やせいの開かずの踏切があらわれた!」と言った後に「野性じゃねえよ、公的だよ」って地の文でツッコミ入れてるのが卑怯だと思いました。

 

出版社らや映像関係のプロダクションやら。

クリエイティブなアレコレがまとまった向こう側と、喫茶店や食事処の多いこちら側。

作家がこちらで「書いて」、向こうで「形にする」サイクルが出来上がった地域。

踏切が出来て利便性が上がった一方、不慮の事態で捕まると多大な時間ロスを食らう。

 

それ故に、地獄広場。時間厳守な案件とかがあると、うっかりで死ねる場所。

悲鳴の連鎖が発生する事もあるとか。なんとおっかない場所であろうか……。ちなみに、長時間しまってるから熱中症の温床でもあって、それ関連でも地獄らしいですけど。二重に死ねる。

あと、色々ぼかしてるのに一か所ハッキリ名前出てるのは笑った。使ったことないのにイメージが……

 

こちら側で仕事をしていたとある作家が見続けた、青年の話。背中押してくれた店長はグッジョブですが、業務上知り得た事口外していいの……? とちょっと心配にはなった。いや店長好きですけど。

 

04:嘘で叶える約束

「何、泣いてんだよ」

 

唯一の男性視点の短編。

学校の桜の木の下には、死体が埋まっているとか言う噂があって……その実態は男の幽霊が巣食っているだけなんですが。

幽霊ゆえに、誰にも見えず聞こえず触れられず。

割と自由気ままに幽霊ライフを満喫していたある日、彼の事を見られる転入生がやってきて。

 

彼女とだけは会話が出来るし、彼女にだけは触れられる。「設定的にかなり矛盾発生する現象だと思うなあ」とか言われてましたが。

時に転入生ちゃんを泣かせながらも検証と交流が続いていきますが。

どうして彼女にだけ見えるのか。もちろん理由があって……

馬鹿正直に幽霊やってた愚直さも、桜の下にいた幽霊を連れ出した転入生の行動も、どちらも良い按配で。

 

05:未来の正直

自分を変えたものに対する想いを、好きと呼ぶのだ。

 

文科系の部活が弱く、色々と合わさった結果、美術部に漫画書く人が集まった高校。

進学し、しばらくたってからそれを知って、遅れて入部した少女の話。

幼少期アニメに惚れ込んで絵を描き始め、アニメのコミカライズを見て漫画に流れ、自分でも創作をするようになった。

 

描くことは続けていたけれど、それまでは誰に見せるでもなく……

同じような趣味を抱く集団の中で、初めて「外」の意見に触れて、少しずつ変化してく話。

「自分が分かってるから」でつい省略してしまいがちなことって、ありますよね……TRPGでシナリオ組む時とか、GMが背景知ったうえで怪しいキャラ配置しても、PLには伝わらなくてすれ違う、とかありますし。情報共有大事。まぁTRPGならPLの発想とかで思いもよらぬ展開からゴールとかで逆に面白くなったりもしますが。

 

閑話休題。

パワーワードラブコメ内の作品は、主人公視点で地の文で内心が語られています。。
この短編で言うと、想いを自覚したときの「簡単なことが、解っていなかったのだと思う」の下りが好きですねー。

異修羅Ⅲ 絶息無声禍

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「くだらなくなんてない」

「……そうかよ」

「…………ハルゲントとの勝負なんだ……」

 

ついに、六合上覧が開始する第三巻。

関東に用語解説とか、黄都二十九官の名前一覧とか乗っていて楽しかった。

こういう設定部分が見れるのは個人的に好きなんですよね。

まぁ、私の嗜好を抜きにしても、修羅を擁立している面々の情報が整理されてるのは良いことだと思います。いくつか空席あるんですねー。

                                                                                                      

サイアノプみたいに、離れた地域で産声を上げた修羅なんかも居ますけど。

黄都からも警戒されている、最大の傭兵ギルドが作った国家、オカフ自由都市。

本物の魔王。そして魔王軍が居た場所に続く、最後の地。

前半は、この二か所の描写が多かったですねぇ。特に最後の地周りでは、過去編として本物の魔王に挑んだ「最初の一行」の描写もあり、本物の魔王の名前なんかも明らかになっていて情報量が多い。

 

名を広く知られた修羅達であろうとも震える、本物の魔王の在り方はただただ恐ろしかった。己の在り方を貫く、修羅達の様子を3巻まで読んでいたからこそ、怖さが増すんですよね……。

魔王の正体が明らかになっても。本当に、だれがこんな魔王を倒せたんだ、という謎が出てくる。物語の構成が巧みで、読んでいて引き込まれる。

 

今回当登場した修羅だと、黒き音色のカヅキが好きですねー。

「英雄として、世界への責任を果たさないとね」という客人の少女。

オカフ自由都市に対抗するため、黄都が派遣した銃使い。実際に腕利きを何人も仕留めてて、活躍っぷりが見事。彼女の名を冠した章の、終盤で出てくる修羅紹介文の演出含めて好き。

 

これまで裏で動いていた灰色髪の少年なんかも出て来てましたが。

自らは戦闘力がないものの、誰もが無視できない状況を整えるのが上手い、彼なりの戦い方があるのは結構好みですねー。修羅にも多様性の時代……

 

アルスを擁立したヒドウのポリシーも分かるし、名誉に執着するハルゲントのこだわりも嫌いじゃないんだよなぁ。

冬のルクノカという伝説を引っ張り出してきて、アルスと戦う舞台を整えて。それでも、彼は。ただアルスの輝きを信じ続けていた。


アルスはアルスで、冬のルクノカを通じてハルゲントの存在を見ていますし、なんなんだこの二人は……いや、好きですけどね、こういう関係。

ハルゲントは全くもって不器用で、時代遅れの官僚とされているのも無理はない感じですが。最後のあの慟哭は、中々刺さる。嫌いな人はヒドウみたいにとことん嫌いそうですが。
これだけ迫力ある戦いやって、まだ第二試合までしか終わってないとかどうなってるんでしょうね……

リビルドワールドⅢ上 埋もれた遺跡

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「そうだよなー。そういうことが出来るやつは凄いけど、限界ってのはあるよなー」

 

7月末までやってた読み放題で既刊を読んで、続きが気になったので購入。

KADOKAWAの掌の上で踊らされている……既刊も懐と相談しつつ揃えていきたいですねー。

2下まで読んだところで、以降のWEBは読破してきたんですが。かなり改稿入ってて、別物になってましたね……取り急ぎ続きから読んだけど、1上~2下までの部分も結構変わってたのだろうか。

 

8000万オーラムを注ぎ込んだ新装備がついに届いて。

シズカさんからありがたく受け取ってましたが……かなりギリギリまで攻めて良い装備を揃えてくれたようで。

ちゃんと利益とってくださいと思う部分もありますが、その良い装備のお蔭でアキラが助かってるからなぁ……

 

強化服だけじゃなくて車までつけてくれたのはありがたい。

そして、自前の車を得たことでアキラは、かつて得たリオンズテイル社の情報を元に遺跡を捜索に出て。実際に大当たりの遺跡を見つけてました。

そこで得た遺物をカツラギに売りに行ったりしてましたが……アキラ、優秀なアルファのサポートがあれど、基本ソロでの活動だからハンターの常識とかにも疎いんだよなぁ。

商人の打算があるとはいえ、色々説明してもらえてよかった。

 

アキラもカツラギが何かの計算してるのには気付いて、シェリルが世話になってるからある程度は多めに見る、と言ってる辺りは成長を感じられた。

サラやエレナと一緒に遺跡探索に行くことになって、そこでも色々教わってましたしね。

カツヤとの距離感は相変わらずではありますが、少数でも理解者が居てくれるのは大きいよなぁ。

 

協力者枠だとシェリルも居て、かなり良い仕事してくれてはいるんですが。

アキラの判断基準が読めず、困惑してることもありますからね……理解者の道は遠い……

シェリルの服を買うシーンに加筆が入ってたり、アキラから頼まれて向かう遺跡がヒガラカ住宅遺跡じゃなくて、ヨノズカ駅遺跡に変わったりしてましたね。

カツヤとのやり取りで「秘密って良いですよね」と言ってる部分とか、かなり強かさが磨かれてるのは良い按配。

遺跡の所在がバレるまでの流れや、他のハンターとのトラブルの経緯も、より分かりやすくなっていたように思います。

 

しかしまぁ、ヨノズカ駅遺跡の騒動がかなりボリュームアップしてましたね。

ヴィオラの介入がハッキリと描かれて、おっかない情報屋って印象が更新されたわ……

条件がいくつも重なった結果、予想以上の惨事になってて、こう思わず天を仰ぎたくなりました。

数の暴力に押されたとは言え、ハンターが結構亡くなる騒動だったのに、死地に飛び込んでなお生還したアキラとカツヤの若手組も実力上げてるなぁ。亡霊の手助けがあるとはいえ、途中で死んでてもおかしくないと思うんだが。

だからこそ、試行の対象として相応しいのかもしれませんね……亡霊2体の会話が、相変わらず不穏でゾクゾクする。

リビルドワールドⅡ下 死後報復依頼プログラム

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「俺のどこがそんなに気にいたんだ?」

(略)

「どこがって? その生き様だよ! 無理無茶無謀! 駆け抜けて生き、駆け抜けて死ぬ! 実に良い! 実に俺好みだ!」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。           

キャンペーン追加タイトルで、対象期間は7月末日まで。

 

キバヤシがめっちゃ出来る男っぽくてびっくり。いや、実際アキラの弾薬費関係のアレコレとか通して、そこそこ権限もってるっぽいですけど。シンプルにカッコイイ。

このスタイルで、ハンターの無理無茶無謀を後押ししてるのかと思うと、中々に愉快な人なんだな……外見渋いのに。

 

地下街に巣食ったヤラタサソリの駆除依頼。

おおむね順調に推移していましたが。地下はまだまだ手付かずの領域で、遺産なんかも見つかる状態。

……それを狙って、忍び込んでる連中まで居て。その一員をバッチリ目撃してしまい、戦闘にまで発展する辺りアキラの悪運も極まれり、って感じ。

 

単純に戦うだけでも厄介な相手ですが、そこからどんどん状況が悪化していく様は芸術的ですらある。

よくもまぁ、あそこまで状況を混沌に出来るな。今度こそ終わったかと思えば、次の騒動に繋がるんだから凄まじい。

アルファのサポートで辛くも乗り切ってる場面が多々ありましたが、本来なら死んでる状況を何度も超えるせいで、都市のエージェントと誤認されてるのは、正直笑えた。

 

今回も生還したものの、装備一式を失って。

派手に稼いで同じくらい派手に散財して、ハンタードリームではあるのか? 命からがら戦って装備破損してるわけで、毎回ギャンブルしてるようなものだから、スリリングですな……

続きが気になって、なろうの方でWEB版最新話まで読んでしまった。2巻終わりあたりから読んだんですが、スリした女子への扱いが少し変わってましたかね?

今後に影響を及ぼす様な要素なので、続きが楽しみです。続きも出てるし、懐と相談しつつ買っていきたいな……


リビルドワールドⅡ上 旧領域接続者

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「賭ける機会があることを喜ぶべきなのか。その機会さえ無ければしなずに済んだと嘆くべきなのか。あの子供はそのどちらなのか。分からんな」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。           

キャンペーン追加タイトルで、対象期間は7月末日まで。

 

装備を新調したアキラ。

車のレンタルに関係する条件を緩和させるため、ハンターランクを上げるべく巡回任務などをこなしていきます。

勿論並行して、アルファ指導の下で各種訓練も受けてましたが。

 

遺物がほとんど取りつくされて廃れた遺跡で、情報取集機器を扱う訓練なんかもしてました。

……そこで、以前の巡回任務の時に他のハンターと揉めた、同年代のハンター集団とすれ違うんだから、どんな運だよ……

徒党の援助があって向こうの方がランクが上とはいえ、若手と言う意味では同じだから、通う遺跡が被るのはまぁ仕方ないですけど。

 

その若手ハンターのリーダー格であるカツヤが、アキラと同じくクズスハラ遺跡で亡霊見てるのが明らかになった時はびっくりしましたね。

アルファとは干渉の仕方が違うようですけど、無言で、知られずに笑っているとなおのこと不気味ですな……

 

ハンターランクを上げる任務の中で、通常弾が効かない敵に囲まれる状況になったりもしてましたが、装備とアルファのサポートで切り抜けて。

……下手に活躍しすぎたせいで、大量発生してるそのモンスター相手の作戦に参加してほしいと指名依頼が飛んでくる羽目になったわけですが。

都市から直接の指名で、そう簡単には断れるものでもなく。装備で切り抜けただけだから、バックアップがないと無理とか条件を色々と付けて、断ってもらおうとするも失敗。

 

ツいてませんな、本当に。実績を積み上げ続けてるわけで、そういう意味では運があるのかもしれませんが。

シオリとしていた、想定と覚悟の問答は好きだなぁ。どっちも譲れず、何かずれていたらそのまま激突していた危うい感じが良い。

 

しかしまぁ、ドランカムの若手はあんなんばっかりか。シカラベが嫌がるのも無理はない気がしてきたな……

巻末の短編はそのカツヤ達のはじまりを描く『ハンター志望の少年少女』。チーム分けの件とか、ある程度の選別がされていて、非情な線引きを実感した。

まぁ、モンスターが居る世界で、情だけじゃ生きてけないから、ある程度は必要なんでしょうけど。

 

防衛のハズが探索に行く羽目になって、さらに戦果を挙げて、別のチームに配属される。

アリ地獄にハマってるみたいに、ズルズルと不相応な場所に踏み込んでいくアキラから目が離せません。


リビルドワールドⅠ下 無理無茶無謀

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自分の命は自分のもの。無謀にもモンスターの群れに挑んで殺されようとも、自分の意志で自分の命を賭けたのならば、アキラにとって問題などない。


BOOKWALKER読み放題にて読了。           

キャンペーン追加タイトルで、対象期間は7月末日まで。

アキラが夢で見た光景。アルファが無表情で、これまでの試行を振り返ってる姿。

目覚めた時には忘れていましたが……内容がいちいち不穏に過ぎる。

その直後に明らかになる、旧領域接続者と言う情報も、ちょっとヤバそうな臭いしますしね……

以前の協力者たちは、失敗して死ぬか、心折れて挫折するか。完全に敵対した例すらあるみたいで。アキラははたして、どうなりますかね。

 

サラやエレナに助けられて、窮地を脱したアキラ。

無茶が祟って倒れたようですが、命に別状はなし。まぁ、三日ぐらい寝込んでたみたいですけど。

スラム街で結成した徒党に顔を出す約束をすっぽかした形になってしまって。

その後顔を出してはいましたが。同じくらいの子どもに見えて舐められて、一蹴。

順調にハンターになってるな、と言いますか。アキラ、割り切りが良いし行動に迷いがないので、いっそ清々しいですね。

 

他の徒党との揉め事もあって、シェリルが大分ピリピリしてましたね……。

追い込まれに追い込まれた結果として、なんか振り切れてました。別人のようになって、アキラもアルファも、徒党のメンバーすら困惑してましたけど。

びくびくし続けるよりは、建設的でいいんじゃないですかね。少なくとも、変わる前よりは好きだなぁ。

 

そしてアキラは、装備を買い足して。強化服とかにも手をだして、特訓を継続。

ハンターオフィスが恒常的に出してる、都市巡回の依頼を受けたりしてました。

まぁ、子供って事で舐められたり、他のハンターとのトラブルに鉢合わせたりもしたんですが。

それが前座でしかなくて、より大きなトラブルに遭遇するとは。アルファじゃないですけど、アキラの不運をちょっと甘く見てましたね……

装備とアルファのサポートを受けて、生き残るために活躍して。事件後にデータの故障を疑われていたのには正直笑いました。

キバヤシが無理無茶無謀を後押しする癖あるって言うのも、分からなくはないな。自分がそれに巻き込まれるのはゴメンですが。

 

巻末には書き下ろし短編『境界都市の少女達』が収録。

アキラと縁があるハンター、サラとエリナの過去エピソードですね。

いやはや、ハンターになるような人は誰も彼も思い切りが良いというか、行動力が凄いな。

命がかかっていた、と言うのもあるとは思いますけど。それで生き延びてるんだから、賭けに勝ったと言えるか。

でもこの世界、賭けに負けた側の例も、描かれないだけで多いんだろうなぁ……

 

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ちゃか

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