気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

ガガガ文庫

夏へのトンネルさよならの出口

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「だったらさ、川崎も自分のルールを作ってみたらいいんだよ。別になんでもいいから。自分で決めたことを、最後まで貫く。そうすれば、最初は生きづらさを感じるかもしれないけど、理想の自分に近づけるんじゃないかな」

 

相変わらずガガガは尖ったもの出してきますね。

一級品の青春小説で面白いんですけど、ラノベらしからぬ雰囲気もある。

これが選考に出て来てW受賞するあたり面白いレーベルですねー。

出版業界厳しいですけど、続く限りは方針貫いていってほしいところです。

 

ウラシマトンネル。

そこに入ると欲しいものがなんでも手に入るが、その代わりに年を取ってしまうという歳伝説。

噂でしかありえないようなソレを、高校生の塔野カオルは見つけてしまった。

 

このトンネルを使えば、五年前に死んだ妹を取り戻せるかも。

その思いが沸き上がってきたら、止まることは出来なかった。

検証作業中に転校生の花城あんずに見つかり、2人でトンネルを使おうと色々と調べていって。

何かを得る為に何を犠牲に出来るか。取捨選択する話というと身も蓋もないですけど。

過去に縛られていた彼らは、何らの形で「禊ぎ」が必要だったんでしょう。

前に進むために、踏み出すまでの決断が、丁寧に描かれた良作。



クラスメイトが使い魔になりまして

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「そうか。覚悟が決まってるならいい。ただ、失敗して死んでも恨むなよ」

「恨まない。その時はあなたも死ぬんだから」

 

初となるガガガ賞と審査員特別賞のW受賞を果たした作品。

魔術が存在する世界で、それを学ぶ学院もあって。

進級試験の際にトラブルが発生し、クラスメイトを使い魔としてしまった主人公。

 

名家の学年主席の少女と、落ちこぼれ魔術師というデコボココンビ。

同い年の異性を使い魔として、同棲までする事になって。周囲からの好奇の目を数多く向けられることに。

少女が名門出身というのもあって、かなり主人公側の負担がデカい感じ。

うん、美少女侍らせてもさっぱり羨ましくない。下手に注目集めすぎて命の危機までありますからね……強く生きろ想太。

 

まぁ、彼自身かなりメンタルタフというか。

死にそうになった局面で、立て板に水の反論が出来るあたりは凄い。

いや逃げて助けを呼ぼうとして補足されて、「うるせぇばぁぁあか!!」と叫ぶ辺り自棄になってるとも言いますが。元々卑屈で、口が悪いからその辺りは仕方ないかな……

 

落ちこぼれというのも間違いではなくて、魔力量とか色々と欠陥を抱えているみたいですけど。

周囲の反応からすると、まず間違いないだろう過去についても想像できますが。

千影の態度はえーっと……放っておけなかったのは分かるけど、言い方がね、うん。彼女もスペック高いのに微妙に自分を御しきれてないですよね……

ただ、目的ははっきりしていて、そこに至る努力を惜しむ気はない、という所は好印象ですね。道行きは遠そうですが、頑張ってほしいものです。

イラストも可愛くていい感じですねー。
女子力ゼロで明け透けな物言いをする近衛も、引っ込み思案ながら友達を大事にしてくれる旭もいいキャラしてるので、どんどん巻き込んでいこうぜ……



ジャナ研の憂鬱な事件簿5

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傷つくことを覚悟で自由に生きようとするひとを、親であるという理由だけで止めることができると、なぜ思ったのか。

 

「ロシアン・ウイスキー・ホーリーナイト」、「消えた恋人」、「ジャナ研の憂鬱な事件簿」の三話とエピローグが掲載された完結巻。

真冬とスタンスの差ですれ違い……卒業も迫ろうとしている時期。

謎を解く中でできた知り合いにも、「仲直りしたのか」とか聞かれてましたしねぇ。

割とどっちも我が強い部分あるよな……

 

啓介が一人で、謎を解くことになった冒頭の「ロシアン・ウイスキー・ホーリーナイト」。

ユリの知り合いの提示した状況、それに対する回答を探す中で真冬から受けた影響に、変化した自分に気がついて。

気付きを得てから、次に会った時にちゃんと弁明できる辺り素直でよろしい。

「消えた恋人」は、また世知辛いネタ盛り込んできたなぁ、という感じでしたが。

荒事に発展せず、静かに解決したのは何よりです。

 

そして最後の事件となる「ジャナ研の憂鬱な事件簿」。

追い出し祭。そこで啓介はまた謎に出くわしてましたが。

よく覚えてるな。自分が高校生の時に、小学校時代の後輩が訪ねてきたとして、絶対わからないって自信しかないですけど。人の顔覚えるの苦手で……

まぁ、今も付き合いがある良太郎と仲良くなるきっかけになった少女だと思えば、記憶に残っててもおかしくないのか。ちょうど作中で話題に出てましたしね。

 

ある少女の、決断と将来の話。そして同時に家族のお話でもありましたが。

謎としては正直わかりやすかった、というか。

動機が悪意ではない、と啓介は想像していましたが。あの手の「悪気がなかった」は下手に悪意があるよりも悪質でしょう。

啓介が気付いたから良かったものの……と謎を解いて良かった、と思えるエピソードが最後に来てほっとしましたねぇ。

ジャナ研の後輩も見つかったようですし、区切りとして綺麗にまとまった完結巻だったと思います。



ジャナ研の憂鬱な事件簿4

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 人はキマイラだ。身体は一つでありながら、決して両立しない二つの意思を抱え込むことがある。どちらが真実、というわけでもないのだ。愛しながら憎むし、沈黙しながら叫ぶ。

 

いやぁ、容赦ないわ……

って言うのが正直な感想。相変わらず苦い展開が多いと言いますか、傷口に塩を塗るような容赦のなさがあると言いますか。

1話「金魚はどこだ?」、第2話「スウィート・マイ・ホーム」、第3話「ジュリエットの亡霊」の3話を収録。

 

第一話は、ジャナ研の隣に部室がある写真部で起きた騒動を解決する話。

良太郎と同じ部活の由香子は、強い。「その時が来たら、誰だって、戦うべきよ」と言って。

それを実践し続けているんだから、強いというほかない。

自分で選んだことならば、諦めるな、と。それを強いるだけではなく、ちゃんと出来る限り協力するというあたりも、流石と言うほかない。

 

1話は、謎解きがうまくハマった感じではありましたが。

……2話、3話はまた謎が解かれても救いがないというか。

真実を公言するのを啓介が躊躇する気持ちも分かってしまうなぁ。

真冬がかつての出来事から、いなくなるまえの対話を望む気持ちも分からないではないですけれど。

 

2話の件に関しては、啓介の肩を持ってしまうなぁ。                   

家族だからと言って、無条件に愛情が湧いてくるわけでもなし。かつてはあったとしても、時の流れの中で、諦めてしまうことだってあるでしょう。

そして下手に手をだせば、状況を更に悪化させる可能性が高いでしょうし。とはいえ、他人の秘密を知って、それを抱えているというのもまた、重荷にはなりそうですが。

 

考えの差異から、啓介と真冬が疎遠になったところで、3話。

ユリの状況もまた厳しいなぁ。努力が実を結び、夢がかなう。それは絶対の事ではないけれど。これまで積んできたものを他者に台無しにされるのは、辛い。

啓介がどんどんと追い込まれている、と言いますか。真冬との関係に答えが出るのかとか思っていたら、それどころじゃなくなった感。



ジャナ研の憂鬱な事件簿3

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「俺が本当に怖かったのは――俺です」

 

第一話「自画像・メロス」、第二話「鬼の貌」、第三話「怖いもの」を収録。

啓介は不器用極まりないというか。

もうちょっと要領よく生きられるんじゃないかと思いますが。

 

友人・知人から真冬との関係を勘ぐられて、「釣り合わない」と卑下する姿はあまり見ていて楽しいものじゃないですねぇ。

ま、それを周囲の連中が指摘してくれたのは何より。……正確には、そこでちゃんと指摘してくれる人が居るのが、何より彼の糧になるでしょう。

 

第一話は、真冬の遠い親戚が残した絵の話。

処分してくれ、と言われたその絵に込められていた願いとは。

第二話は、啓介の地元の祭りで起きた、逃げ続ける少女の話。

なぜ、彼女は逃げたのか。現代にもいる、鬼の姿とは。

第三話、啓介が思い出した、幼少期の怖いもの。

忘れていた事と、何故それを恐れていたのか。

 

相変わらずどのエピソードにも苦い物がありますが。

何かからの逃避、について描かれているようにも感じました。別に逃げることは悪いことじゃないんですよね。二話の少女も、逃げ続けたからこそ、謎が解かれたわけですし。

ただ、いつまでも逃げ続けられるわけでもなく。何かしらの変化は必要になってきそうです。

真冬との関係を進展させるのか、どうなのか。その決断が迫られようとしているのでは。

装甲のジェーンドゥ! 

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「お嬢様はせっかく有力情報を手に入れながら、使い方を誤りました……」

 

ある災厄によって、精密機器や通信機能が使えなくなった近未来。

それでも色々工夫して開発してるだから、大したものだ、と言いますか。

人体の微弱電流で稼働するアーマード・スーツを作って、地下で興行してるのはどうかと思いますけど。

 

いや、表沙汰に出来ないから地下興業なんですけどね。

表向きは電子機器が使えなくなったこともあり、障害を持った人のサポート器具とか、建設・災害現場での使用なんかもされているようですが。

レーダーとかも死んだ世界なので、人力で稼働する兵器として、アーマードスーツは優秀で。軍事利用としての需要が高い。

 

地下興業に参加していた女子高生、結々子は色々と不穏な動きに巻き込まれていくわけですが。

自前のタフさで乗りきったり、後見人の先生に助けられたりと、超えていきました。一人で戦い続けるのではなく、ちゃんと助けてくれる人が居たのは良かったかなぁ。

キャラとしては、結々子にちょっかいをかけてるお嬢様が好きです。手の出し方を間違えて、最終的に不可の評価を下されているあたりは、つい笑ってしまった。

 


漂海のレクキール

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「幸運も不運も無駄にするな。同じ運には違いない。不運の中にも活路はある」

 

聖王家が治める陸地リエスを除き、ほとんどすべてが水没してしまった世界。

リエスを負われた人々は船団国家を形成して、海上での暮らしを続けていた。

まぁ、その船団国家からもはじき出された「不法船」で過ごしている連中も少なからずいるみたいですけど。

 

不法船同士のつながりもあって、交易をしたりする集会も行われているとか。

人間どんな状況でも適応して生き延びられるもんだなぁと、変な関心してしまった。

ある時行われた不法船集会で、船乗りカーシュはリエスで起きた政変から逃げ延びていた姫と出会い。

そして彼女からある海図を示され、この場所まで連れて行ってほしい、と頼まれた。

気まぐれで変り者なカーシュでなければ受けなかっただろう依頼ですけど。

 

彼女の依頼をカーシュが受けたからこそ、多くの事が動き始めた。

姫の持っている情報に注目した船団国家でも目ざといのが動いたりとかしていましたし。

トビアスが中々いい性格をしていて好きなキャラですねぇ。

唯一の陸地に住んでいたため、船に不慣れだったサリューが船に馴染んて行く過程とかも、平和で良かったですねぇ。

最後、引っ掻き回す輩が来ても諦めずに活路を探し続けたカーシュ達の粘りっぷりは見事でした。


ジャナ研の憂鬱な事件簿2

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「真実なんて、綺麗なもんじゃない。知らなくてすむなら、そっちの方が良くないか?」

 

今回はまた一段と重いネタ仕込んできたなぁ、と言いますか。

タイトルにある「憂鬱な事件簿」の看板に偽りありません、と押し出してきた感じがします。

耳ない法一の夜、手紙、キュマイラの短い夢の三篇が収録されていますが。

どれもこれも何とも後味が苦い感じですねぇ。

 

啓介の友人、良太郎の演奏を見に行った際にトラブルの気配があって。

部内でいざこざがあって三年が全員部を辞めて。良太郎が次の部長となったので、ライブを成功させたいという話。

その為に新しいボーカリストを登用したものの、彼女に付きまとうストーカーが居て、引き下がりそうにない……

という事で警備をするも、すり抜けられてしまって。その裏を探ったりしてます。

 

手紙は、宮内ユリが持ってきた、姉の持っていた不審な手紙の真意を読み解くもの。

何人かの意見を聞き、啓介也に答えを導き出していますが……明確な証拠があるわけでもないですが、中々重い結論で。

正直私なんかは、こんな秘密を知ってしまって、口を噤み続けている自信はないですけどねぇ。

問いただしたくなるでしょうし……そもそも自身が犯したわけでもない行いの秘密なんか抱え込みたくない。

そう思うと、黙っている決断を下せた彼女たちはかなりタフですねぇ……

 

最後のキュマイラの短い夢は以前から語られていた啓介の中学時代の過ちについて。

啓介がかなり消極的になった理由。真実を暴き立てた事で、酷く傷つけてしまった相手が居たからだ、という事実。

これまた後味が悪い感じですねぇ。責められる理由はあった。だからと言って必要以上に傷つけていいはずがない、という当たり前の事しか言えませんが。

ジャナ研の憂鬱な事件簿

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「真実なんて、分かってみればこんなもんです……綺麗なものじゃない」

 

11回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。

まぁ、賞受賞したからではなく、イラストが白身魚さんだから手に取った感じで……積読の山に埋もれていたんですが。埋まってる間に2巻出ちゃいましたよ……

 

高校のジャーナリズム研究会に所属している工藤。

かなり冷めたタイプ、と言いますか。中学時代に何か失敗したようでトラウマになっているのも影響してか、色々なことから距離を取る消極的なタイプ。

研究会に所属しているのも、学生は部活ないし委員会に所属しなくてはいけない、という校則があったためで。

 

ただの枯れ木というわけではなく、脳の回転は速い方。

だから役回りとしては、日常ミステリの探偵役みたいな感じですね。ラノベですし、謎も余りガチガチに凝ってるわけでもなく読みやすかったです。

こういう消極的なキャラクターを動かすための相方が、モデルの経験もあるという白鳥真冬という工藤の先輩で。

 

その経歴から、学内の有名人だったそうですが、ジャーナリズム研究会に属していた割に、情報に疎い工藤は知らなかった様子で。

大量のノートを女子一人で運んでいる場面に出くわし、ぶつかってしまったために、放っておくこともできず関わることに。

ノート運びを手伝い……それが1冊不足しているという状況が発生し、結果的に工藤はその謎を解いて。

 

そこから真冬に興味を持たれ、ジャーナリズム研究会に共に属する事となって、真冬の持ち込む謎を工藤が解く、といういいコンビになってますけどね。

まぁ、工藤自身はこの状況にかなり戸惑ってはいるようですが。第4話の状況においては、彼の謎解きがなかったらまた厄介な状況になっていたでしょう。

1人救ったからって1人傷つけた事が正当化できるわけではありませんが、少しは救いになればいいんですけど。

トラウマ解消するためには、過去傷つけたって言う相手と和解できれば工藤にとっての最良でしょうが……相手にとっては「都合のいいことを」ってなるでしょうし、さて、解決の目はあるのやら。


物理的に孤立している俺の高校生活

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「同盟者のグレ君に、友達作りに関する三つの言葉を与えるわ」

(略)

「我慢・忍従・妥協よ」

 

日本の人口の5%が異能力を持つ世界。

異能力者用の学校も設立されており、能力持ちは必ず異能力科のある学校に入ることになっているそうですが。

その中でも主人公はかなりレアな異能を発現していて。

「ドレイン」と本人は呼んでいますが……近づいた相手の体力を奪い、自分の肉体を強化するというもので。

 

オンオフ切り替えられば良かったんですが、常時発動型。

しかも接触による発動とかではなく、自身を中心に一メートルの範囲から無差別吸収という厄介さ。

通常15で測定される「どれだけその異能が社会的に役立つか」という貢献レベルで、0という特殊な判断が下されるほど、使いどころに困る能力。

これで異能バトル的な展開があれば、ヒーローにもなれたでしょうけど……異能がある、という一点が特殊なだけの学園ラブコメだからな……

その能力のせいで、彼はクラスの中で孤立していた……物理的に。

 

業平の偉い所は、これでグレたりせずちゃんと学生をやってるところですよね。

不登校になったりしそうなものですが。……と言うか、異能力科を設立するんだったら、そういう集団の中に置くとマズい能力者用の対策があるべきなのでは……

業平の「ドレイン」もそうですが、愛河の「チャーム」も本人たちが善良でも、集団生活送る上では危険極まりないと思うんですがねー。

 

閑話休題。

そんな強力だけど実際に活用しづらい異能を持つ業平が、同じくぼっちな女子生徒、高鷲えんじゅに友達を作る同盟をですが……

コントかな、という感じでから廻っていたりして笑ってしまった。

まぁ、灰色だった青春が色付き始めたってことで、楽しそうだからいいんじゃないですかね……


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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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