気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

ガルドコミックス

望まぬ不死の冒険者1

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「このリナ・ルパージュ 騎士の家の娘として恩には報います

 待っててください… レントさん」

 

神銀級になりたいと思いつつも、長年銅級下位でくすぶっていた冒険者レント・ファイナ。

彼はある日ダンジョンに見慣れぬ通路を見つけ……本来なら引くべきところを踏み込んでしまって、そこで上位の魔物である龍に遭遇し命を落とした。

龍が噛みつきに近づいてくるシーンは迫力あって良かったですねぇ……。

 

龍に襲われて死んだはずのレントは、なぜか魔物スケルトンとして復活。

存在進化して人に近い姿になることを目指して魔物を討伐したりする中で、進化を果たして。絵が付くことでスケルトンの動きにくさとかがより分かりやすくなってる気がしたのは良かったですねぇ。

そしてグールに進化して、拙いながらもしゃべるようになったところで新人冒険者リナのピンチを助けて。意思疎通が図れるタイミングだったのはラッキーでしたねぇ。

 

そしてリナの助けを借りつつ街へと帰還し、長い付き合いの学者ロレーヌのところへ向かい、情報交換をすることに。

正体を隠しつつ装備の更新を図ったりしてましたが、鍛冶屋の人々とかレントが何かトラブルに見舞われて正体を隠していることを察しつつも、彼の意図を汲んで黙っていてくれるのも良かったですね。彼のこれまでの培ってきた成果が見える。

あとは描きおろし漫画で「学者 ロレーヌ・ヴィヴィエ」が収録されていましたが。14歳のロレーヌ、生意気そうだけど可愛いな……。今の彼女はかなり大人びた雰囲気になってましたが、アレで24なのか。びっくり。

現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!3

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「冒険には辿り着くべき景色が必要です お嬢様…蒐集の竜よ」

「貴女様の辿り着きたい景色は?」

 

異世界において竜とは隔絶した存在として、畏怖される存在である。

生命の到達点でもある竜のツガイとして選ばれることは、大変な栄誉であり全てを約束されたも同然だった。

「この世界のヒトの魂に刻まられた絶対的な概念」が龍という神聖で絶対的な存在に関する事象のようですが……ナルヒトは、ダンジョンの現れた現代地球を生きた異世界人だからなぁ……。

 

そういったこの世界の常識に縛られない存在でもある、というのが一つ。

……さらにいうなれば、ナルヒトは与えられるだけのぬるま湯を良しとするような怠惰な性格ではなかった、というのも一つ。

蒐集竜は、知らずのうちにナルヒトの地雷を踏んで、だから彼は反発した。

絶対強者である竜とその傍に侍る爺さんを相手取っても、言葉を止めることはしなかった。自身が死に近づく可能性があるとしても、縛られることを良しとせず……自分の心情をぶちまけた。

その言葉は、内心を読める蒐集竜に考えていることと口にしていることが一緒だと認められるほどで。それが分かってしまうから、自分が好ましく思った相手に「嫌い」と言われたことにあれだけのショックを受けたんでしょうねぇ……。

 

はじめての感情に戸惑ってる蒐集竜ことアリス、可愛いですよねぇ。

後表紙にも登場しているメイド長」のファラン、料理を褒められてウキウキしてるのも可愛かった。「お目が高いです 友人さま」のコマで素早くナルヒトに近づいてからのキラキラしてると評された次のページの表情とか良かった。

あと電子版でもカバー裏見られて嬉しかったんですが、ベルナルさんを評したアリスの言葉にすっごいびっくりしたんですが!? WEB版未だに読めてないんですが、そっちでは出てた情報だったりするのだろうか。読みにいかなきゃ……(積読の山を見ながら)。



新しいゲーム始めました。@COMIC1

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「って我どこかに連れてかれてる!?」

「このまま持ち帰ろうと思って」

「役目があるといっておろう!」

 

コミカライズ作品。

高度なAINPCに搭載した自由度の高いVRMMOゲームを舞台にした作品。そのゲームの名は『異世界』とシンプルなものでしたが、作り込みはかなりのもので。

隠し要素として「世界の謎」というものがあって、必要な条件を満たすと特殊な報酬を貰えるが、事前に答えを知ってしまうと報酬を貰える資格を失う、みたいな制限が掛けられていたりして。

そういう検知技術がしれっと導入されているあたり、いろんな技術が発展していてそれを押しまず注ぎ込んでるなぁって言うのが分かる。

 

主人公のキャラネーム・ホムラは昔からのゲーム友達と一緒にプレイすることにして。

仲間内でワイワイプレイを楽しみつつ、それぞれソロでプレイする時間もとっており……ホムラは一人で動いている時にやたらと世界の謎だったり、隠し要素を拾い上げていって。

運営本部のキャラクター、黒影にABCと書かれている手抜きデザインでしたが、運営側もびっくりするような展開を、早々に引き当てていったの、笑えるんですよね。

彼と契約することになった獣、白のコミカルさもコミカライズでより伝わりやすくなっていて良かった。

境界迷宮と異界の魔術師1

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「邪魔をするなら 排除するだけです」

 

VRゲームにログインした状態で殺されてしまった主人公は、気が付いたらゲームの世界に入り込んでいた。

日本人霧島景久として生きた記憶を持ちつつ、ゲーム世界のテオドール・ガードナーとしての記憶もある彼は、伯爵家の愛人だった母が亡くなってから引き取られた関係で、異母兄にいじめられていた。

しかし、日本人としての記憶を取り戻した彼は、ゲーム時代と同じように魔法を使うことができて……無事に撃退。

 

その力を頼りに、唯一の味方になってくれていたメイド・グレイスを連れて家を出ることを決意。

ゲーム本編からすると7年前の時代に転生したテオドールは、境界都市タームウィルズを訪れることに。ゲームと同じ歴史を辿るならば、政治が乱れ戦乱が起こる可能性が高いため、自分の力を磨く場を求めたみたいですね。

 

迷宮に挑もうとした彼を新人と侮り、襲撃を試みた冒険者との対人戦も問題なく行えていたし。

彼らが切り札として切ってきた、制御できない召喚魔法によって呼び出されたマンティコアですら撃退するし。

亡き母の知人でテオドールを気にしてくれていたロゼッタが同行していましたが「教えることが無い」というのも納得の実力があるんですよねぇ。

それでも妥協することなく、研鑽しようって言うんだから真面目ですよね本当に。

コミック1巻時点で、道中で手助けした貴族令嬢アシュレイと良好な関係を築き、今後に影響するだろうと考えてグレイスとの関係についてもハッキリとさせてるし、自己研鑽もコミュニケーションも疎かにしてないのが良い。

フシノカミ~辺境から始める文明再生記~6

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「…そんなこと言われたら気になってきちゃうよ」

「そうでしょう? だからそんな好奇心だけで旅立つ人は絶対にいますよ」

「知らないことを知るのは楽しいですからね!」

 

アッシュがアーサーから見せてもらったのは、竜が大陸上部の山を蓋していたり、海を封鎖している実にファンタジーな地図だった。

王都はサキュラの南にあるのに、アーサーの地図上ではサキュラの西に描かれていたり、正確な地図というものを知る読者目線だと衝撃を受けてるアッシュの方に賛同してしまうんだよなぁ……。アレはあまりにもあんまりだ……。

 

縮尺も方角も位置も全部メチャクチャで、アッシュ君が憤慨。いつかやることのリストに、地図の作成を書き加えていましたが……。

アッシュの語り口の熱とか、夢の輝きにあてられたアーサーが自発的に地図作成を任せてほしいと名乗り出ることに。

未知についてアッシュが語っているシーンで、未踏の地のカットが載っているの読んでいるだけでもワクワクしちゃいますし、アッシュの目がキラキラしてるのが伝わってくるのでそれを間近でみたらそりゃ惹かれちゃいますよねぇ……。

 

そこから自分の本来の身分も駆使して、「兄」や「従者」の手助けを借りた上でまとめ上げて言ったの良いですよねぇ。

自分の執務で追い込まれていても弟を気遣えるイツキも、従者として成長を促そうとするリインも良い味だしてるんですよねぇ。

なんでこんな良いエピソードが絵伝版での新規なんですか。後に断章としてWEBに追加もされましたけど。絵伝版、こうやってたまに新規エピソードで刺してくるし、そうでなくても再構成にこだわりがあるので読んでて楽しいんですよねぇ。

 

アーサーの頑張りを否定せず、その上で後押しが出来るように測量機器の作成をしていたアッシュ君、「こんなこともあろうかと!」を農民の子がやるんじゃないよ。

常識人のレイナがふらっと立ち眩み起こしていたのも無理はない。まぁ読者的にはアッシュ君が常識はずれなのは今に始まったことじゃないから、まーたやってるよって受け入れられますけど。まだレイナちゃんはその領域にまで到達してないかぁ……。

 

そうやってアーサーがアッシュ君の影響を受けて成長していってるわけですが。

2人の距離が近づいている中で、マイカちゃんもとある事実に気が付いて。同室のレイナとの会話を経て、イツキのところに乗り込んでいく流れが好きです。

これ編纂版とかで描かれているんですけど、そっちだと帯刀していたらしいので絵伝版のマイカちゃんは行動力は変わらないながらも、ちょっと穏やかですね。

 

巻末書下ろしは『リインの姉代行業務』。リインがアーサーのフォローをするように、イツキから頼まれるシーンのSS。業務に忙しそうにしていて、そっちの手伝いに呼ばれたのかと思いきや、領主ではなく兄としての願いを伝えられて。それを聞いてくれるリインの優しさが良い。

描き下ろし漫画は『悪魔の罠』。軍子会に参加している商会の娘、ケイが大物二人に近づきたいと願う中で、気になって暴走しかけた彼女を止めたアッシュ君。さっすがぁ。



現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!2

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「ここが夢か現実か…現実だとしたら

 今度は死なねぇ 生き残ってやる」

 

610話を収録した第2巻。

自分のフィールドに引き込んで竜を圧倒したように演出した主人公ナルヒトでしたけが。仕込みに時間かかったり反動もあるピーキーさで、実際には結構ギリギリだったそうです。

ラザールが逃げられて、巻き添えを気にする必要も無かったというのがありがたいですねぇ。そして自分も逃げようとしたところ、竜の持っていたアイテムは彼には効果が無くて。

 

後に判明したところで言うと、ナルヒトが異世界人であるために機能しなかったようですが。このあたり、異世界で立ち位置確立して冒険開始した後とかに面倒なことになりそうな気配はするなぁ。便利な帰還アイテム使えないとか手間が一つ増えるわけですし。

コミカライズではウェンフィルバーナの描写が増えてて楽しかったですね「キミの…未来の宿敵?」のコマとかかなり顔が良い……ってなりましたし。

 

トオヤマナルヒトと邂逅し夢破れた経験のあるウェンフィルバーナ。彼の記憶を消して吹き飛ばした後、余裕そうだったのにその後に「トラウマだから」と崩れるシーンとかギャップがあって良かったし。

ナルヒト遠ざけた時に「手ごたえがなさすぎた」とか感づいているのも怖いんだよなぁ。スペック高すぎ。なんでこれよりもスペックが高かった時期の彼女に勝てたんですかね、「推定:並行世界の未来のトオヤマナルヒト」という存在……。

 

そしてついに帰還して蒐集竜と対面することになってしまったわけですけど。

爺やさんことベルナルが立ちふさがっているときの「試して見られたらよろしい」の絶望感、凄いなぁ。扉が遠い。その後に登場する「メインクエスト発生」の画面も、なかなかの迫力でしたが。

逃走を阻止されて連行されて、竜の理に則って結婚を迫られることになっていったわけですが。その局面においても最後に自分の言葉を宣言できるの、あまりにもトオヤマナルヒトすぎるな……。

 

巻末には無題の書下ろし小説が収録。

学生時代のトオヤマナルヒトの友人で会った美少女、海城とホラー展開に巻き込まれることになっていましたが……。なんで現代ダンジョンの外ですらこんなイベントに巻き込まれてるんだ……そしてなんで生き残ってるんだ……。

魔王と勇者の戦いの裏で3~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

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だからマゼルに任せてばっかじゃなくて

俺には俺のできる範囲で当面の目的に「自分が死なない」以外を付け加えたって……

いいよな?

 

1014話と書下ろし小説「王女と侍女の語らい」を収録したコミカライズ第3巻。

王女ラウラに城の奥、ゲームでは「王都壊滅して宮殿が半壊するまで入れない」エリアまで案内されたヴェルナーとマゼル。

そこでは王太子殿下が待っていて……。神託によって「魔王が復活した」という情報が齎されたことを知らされることに。

 

ヴェルナーは、そんな神託が降りていて王太子が亡くなるようなスタンピードが起きたのであれば、ゲーム時代にマゼルが勇者として祭り上げられたのも納得できると考えていて。

彼の理解・整理力が高いので、読者目線でも助かりますねー。王太子殿下が直接平民のマゼルを呼び出すことはできないから、と窓口を頼まれることになった時も直ぐにのみ込んでましたし。

 

王太子殿下が退席した後、ゲーム主人公とヒロインを会話させるチャンス! とばかりにお手洗いに逃げてましたが。

そこでメイドたちからお礼を言われて。自分が助かることを優先しただけで、救われる命が多くなったのは意図しない範囲だったわけで。

だからこそ「もっとできたことがあるんじゃないか」と思ってしまうあたり、ヴェルナーも真面目というかなんというか。

ヴェルナーに見えてなかったマゼルとラウラの会話とか見れたのは嬉しいですねぇ。

 

功績を挙げたことで、色仕掛け攻撃を受けることになったりして。

私生活が慌ただしくなりつつも、マゼルの紹介でゲームにも登場した冒険者ルゲンツと対面したり、様々なことに備えるために商隊派遣計画を立てたり。

精力的に動いているんですよねー。コミカライズ化したことで、原作で挿絵もらっていないキャラのイラストとかを楽しめるのも嬉しいポイント。

依頼の相談をする奥まった扉が防音にするためか、分厚い扉でガタイの良いあんちゃんがドア開けてたシーンはなんかコミカルに映って笑えた。

 

書き下ろし小説「王女と侍女たちの語らい」はタイトル通り。

ヴェルナーやマゼルとの会談を終えた後のラウラが、2人についての話を侍女と話しているシーン。少しの表現の違いから、報告にも変化が出ているのが良いですねー。



現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!1

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「次は間違えねぇ」

 

コミカライズ作品。

SNSでフォロワーが激推ししていて、コミカライズ読んだら面白かったので、原作小説にまで手を出し始めたシリーズ。

 

2028年二ホンに現代ダンジョン「バベルの大穴」が現れ、そこに挑む探索者という職業が生まれた世界。

ベテランと呼ばれておかしくない立ち位置で活躍していた遠山鳴人は、仲間を逃がすために致命傷を負った。

そのままダンジョン内部で沈殿現象と呼ばれる異常現象に飲み込まれ行方不明となった。

 

彼は超常の存在の干渉を受けて、所持していた武器だったりスキルだったりを所持したまま、異世界へ転生というか転移みたいなことをすることになって。

スタート地点が「冒険者の奴隷」で、冒険者たちの扱いとかルビが「カナリア」なあたり、これ炭鉱の金糸雀よろしく危険地帯に放り込んで、安全かどうかチェックする駒扱いでしょ……。

 

遠山に良くしてくれるリザドニアンの奴隷もいましたが、冒険者たちが乱暴してきて……。彼はそれを良しとする性格ではなかった。

とりあえず暴力でもってまず一人を打倒し、さらに死の記憶から切り札の出し惜しみをすることもなかった遠山によって、冒険者たちは混乱することになります。

無事に逃げおおせたかと思いきや、サイクロプスと対峙する羽目になるし。かと思えば竜種の塔級冒険者と出会い、お前ら2人で殺し合いして生き残ったほうだけ助けてやるよ、とか言われるし。

 

でもただ言われるがまま行動するような遠山ではないんですよねぇ。

絵柄が付くと矢印の導きことクエストマーカーがコミカルで面白いなぁ。教会の帰還印発動した時に遠山にわしづかみにされて「マ!?」ってなってるマーカーさん、正直おもしろかった。

クエスト進行の表示であるマーカーとかの扱いがしっかりしてて、良いコミカライズだなぁって思いました。

 

巻末書下ろし漫画「ある冒険者の続き」。

冒頭に行方不明になった遠山の捜索依頼を受けた人物の経過報告がちょっと書かれてましたが、「味山只人」って同作者の凡人探索者シリーズの主人公ではー? 繋がりがある描写見ると楽しくなっちゃう民です。

巻末の書き下ろしSSではアリスが幼少期に母と話しているシーンと、現代で高校生だったころの遠山のエピソードが収録されていました。

「鳴人くん」と呼ぶロングヘア少女とか、一人称僕でとある嗜好を持った少女とかとの縁があったらしいですけど、どっちもヤバそうな気配がひしひしとするんだよなぁ。むしろよく上級探索者になるまで生き延びてたな遠山。もっと早い段階で死んでてもおかしくなかったのではー?

魔王と勇者の戦いの裏で2

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「今 余裕がある部隊なんて存在していないだろう

 ならできる者がやるだけだ」

 

騎士団が壊滅し、王太子殿下も死んでしまう。

そんなゲーム序盤に待ち構えている一大イベントの渦中に飛び込む羽目になったヴェルナー。

敵の仕掛けを見破って、最悪の状況を回避することこそ出来たようですが。

王太子に直言をしたことで見込まれて、年齢も経験も上で家格にしてもよくて同格の相手の指揮を執る羽目になって、内心で冷や汗書いてるヴェルナーが好きです。

 

ゲーム知識があることも影響して、前提条件が違うため他の騎士と意思疎通がうまく測れないシーンもありましたが……むしろ王家への忠誠心の表れと受け取られて評価上がってるからヨシ。

マゼルがボスを倒すまでの時間稼ぎをするだけのつもりでしたからね、ヴェルナー。

なんだかんだ与えられた枠内で限界いっぱいまで奮戦してはいましたが。

左翼側、ミーナが受けたヴェルナーからの助言を基に、この世界にはなかった盾を用いた戦型を即座に適応してみせたフュルスト家の騎士も見事ですよねぇ……。コミカライズで絵が付くと壮観でした。

 

そしてコミカライズ独自シーンで、マゼル達の探索サイドの戦闘シーンも盛り込んでくれてたのは個人的に嬉しかったですねぇ。

いや裏でこんなの動いてて、それを打倒したって言うんだからゲーム主人公なだけはありますよねマゼル。

スタンピードに勝利した後気絶してしまったヴェルナーですが、起床した後は事後処理でできることに手を出してる当たり、貴族としてしっかりしてるわぁ……。

 

巻末SSは「王都学園の小騒動」。

ヴェルナーは療養と事後処理もあって、スタンピード後は学園休んでましたが。

体力のあるマゼルは平民だったこともあり、普通に顔を出したみたいです。そして、噂が広まっていたこともあって、色々とお声がけをいただいて困惑することになった……という一幕を描いたSSですね。

ヴェルナー視点だと見えないエピソードなので、こういうの好きです。

フシノカミ~辺境から始める文明再生記~4

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――だからなんとかしなくてはならない

そうだ 抱くべきは絶望ではなく まず決意の火種であるべきだった

 

1518話を収録。

熊がやってきたと知らせがあり、村人は教会へと逃げ込むことに。

アッシュも本来であればマイカと一緒にそこへ行くべきなのですが……アッシュ君の聡明な頭は、現状の問題にすぐに気が付いて。

 

熊に対処できるクライン村長や、狩猟経験のあるバンやジキルが各々の事情で村を離れている。ということは今熊に対抗できる手段を持っているのは、バンから教えを受けている自分だけだ、と。

そこで一度自宅へ戻り、狩猟用の道具を回収してから教会へ向かったわけですが……途中でバッチリ熊と遭遇してしまうあたりが、アッシュ君の引きの強さというべきか。

 

害獣と遭遇しても慌てず、避難場所である教会との距離を測り、対処を選ぶあたり覚悟が決まってて強い。

「ここは私の村だ」と決意表明するシーン、読書会によって本に希望を見出したアッシュが、「ほんの12ページ目に過ぎない夢物語」と語るノスキュラ村での出来事が、本の見開きで表現されているのがとても好きです。

 

まだ成長途中のアッシュは、熊に辛勝するのですが。毒を使って弱らせて、一度死んで前世の知識を持っているがゆえに「死の恐怖に抗える」という自身の強みを押し付けて、討ち取ったのですから流石です。

 

そのうえで負傷して寝込むというのが、この作品の儘ならなさを描いているというか。

ノスキュラ村の一般村人たちが、アッシュの出血を見て狼狽えたり、もう助からないかも……と思ってしまうのが、この世界の文明レベルなんですよね。

マイカもまた、自分の想い人が失われてしまうかもと一度は立ち止まってしまうわけですけど、アッシュの教えを胸に他の人に協力してもらいながら彼を救おうとするのが熱い。

 

アッシュがノスキュラ村に与えた影響は大きいですが、あくまで辺境の寒村に過ぎないこの場所では、彼の目的である「古代文明のような快適な生活の再現」という夢には不足してるものも多くて。

そんな彼に「都市に留学できる機会」なんてものを与えたら、そりゃ飛びつきますよねぇ。

まぁ肝心の領都の外観は彼の期待に届かないものでしたけど。不足してるなら変えていけばいいと奮起してる彼を見てると、やってくれそうな気がしてくる。

 

巻末の書下ろしSSは「シェバの灯」。アッシュを見送った後のシェバの視点で、息子を心配してる母に対して、父ダビドは信頼が厚いというか。

酔っぱらってぶつかって以降のダビドは本当にアッシュを理解してくれるようになりましたよね……。まぁ理屈でいえばダビドの言う通り、アッシュ本人は問題ないですけど。それでも心配になる気持ちまで止まるわけではないですよねぇ……。

描きおろし漫画はこのSSに影響された黒杞先生が、この後のエピソードを描いたものらしくて、こういう試みは面白くて好きです。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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