「あんたのせいで、あたしの可愛い部下が何もできずに倒れていった。その憎しみは生涯忘れやしない」
女将軍の瞳には、銃弾にも等しい『力』が籠っていた。
「……だけど、あんたにとって金は銃弾なんだろう。あんたが撃った。あたしが撃ち返した。それが戦争ってもんだ」
原典のレッドドラゴンは大好物だったんですが、アニメが振るわずちょっと残念に思っている作品。小説版です。
婁が女性になったり、忌ブキの力が異なる形になっていたりと差異が色々ありますが。
……たどる道は、こうなるのか、と。
原典とは違って、どんどん名前ありのNPCが命を散らしていく流れには、これが混沌の地ニル・カムイ……! と戦慄したものです。
しかし、形が違えど、歩む道が異なるものであろうとも。
不死商人はぶれないなぁ。もういっそ、彼こそがこの作品の癒しなのだと言ってしまっていいかもしれない。
……物資の値上げを行って、戦線を維持できなくさせて、戦争を中止せざるを得ない状況を作り出し。
多くの支援者がいると同時、星の数ほどの敵がいるはずなのに、なおも存命の恐ろしい商人ではあるんですけどね。よく暗殺されないな、この人。婁さんクラスなら忍び込めると証明されましたが、言葉によってその危機を脱しているわけで。
ハイガに辿り着いた婁と忌ブキが不死商人と出会った場面から。
オガニ火山での戦闘、そして忌ブキの妹が表舞台に上がるまで。
原典と一番差が大きいのは彼女なんじゃないかなぁ。阿ギトも、大分キャラ変わった感じがありますけど。
原典の忌ブキは、確かに殺すことを躊躇い、会話を望む性格でしたが。それでも、赤の竜を巡る波にもまれ、自らの意志でもって王として立つことを選んでいました。
けれど、ケイオスドラゴンでは。かれは、迷い続けているような印象がありますね。皇統種の位置が異なるというのもあるとは思いますが。
忌ブキの迷いが長いのもあって、ちょっと中弛みしてしまった部分があるように感じて残念に思っています。
まぁ、なんのかんの言いながらも、小説版は完結まで追いかけるとは思いますけどねぇ。