(略)
「使命を果たせない俺に、一体なんの価値があるというのか」
生物に寄生し異能を発現させる道の生物・操蟲。
人類は既存の武器では対応できないその脅威を迎え撃つために、魔導人形『子供たち』を開発。
毒には毒。制御下に置いた操蟲の力を駆使して、操蟲を撃破するために生み出されたホムンクルスたち。
その活躍によって操蟲は撃滅されたと判断され……『子供たち』は封印されてしまうことに。狡兎死して走狗煮らるの典型だなぁ……と思いますが。
主人公となるエルガは、子供たちの一人。他の子供たちは国への忠誠心などの、人間らしさがあったみたいですけど、エルガは「作られた兵器」としての在り方に従順な合理的な判断をするタイプだった。
だから不要な兵器が封印されるのは当然だと処置を受け入れていたし、封印が解かれてしまったときには「魔術師を見つけてもう一度封印してもらわなければ」とか考えるわけです。
しかし、外の世界に出てみればエルガの予想よりも長い年月が過ぎており、彼の知る暦とは違う暦が作られていたりするし、魔術は忘れられていた。
さらには殲滅したはずの操蟲を宿した宿主が貴族や騎士となって、横暴に振舞っている世界に変貌してしまっていて……。
最初に訪問した街で出会った少女リーニアから現代の情報を聞きつつ、兵器として宿主殲滅を実行していく話です。
かつて絶滅寸前まで追いやった『子供たち』としてのエルガの戦力は頼りになりますが、色々と不足してる部分もあって不安になりますねぇ。
エルガが領主を倒したのち、貴族の横暴に抗っていた解放軍が一帯を実効支配していたわけですが。領主の娘は宿主となっていなかったからか見逃してますし。
解放軍のトップが領主としての才能あるかと言ったら微妙そうだしなぁ……エルガ1人で対処できる範囲には限界があるのに、操蟲は国の中枢に巣食ってそうですし。
割と早い段階で対応できる限界を迎えそうな予感すらするけど、むしろその時にどうするかでリーニア達みたいな現代を生きる人々の価値が定まりそう。
特にリーニアがなぁ。かつての王家の血を引いているっぽいですけど、甘やかされた育ったせいか、注意されていたのにミスして仲間捕まるきっかけつくったりしてるし。
警戒心が薄くて好き勝手振舞ってるように見えるのは若干減点かなぁ……。エルガがシステマチックすぎるから、感情的なヒロインを傍に置くという意味ではバランス取れてますし、今後に期待。