気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

シライシユウコ

トランスヒューマンガンマ線バースト童話集

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「俺は取返しのつかないことをした。捨ててはいけないものを捨ててしまったんだ。もう一度手に入れようなんて、虫の良い話だった。そのあげくがこれだ」

 

6回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作。

タイトルに童話とある通り、SFと童話を混ぜ合わせた作品が6つほど収録されています。

SFは余り読まないジャンルなんですが、知人から借りたので読了。

普段読んでないのもあって、新鮮で、笑えたのは良かった。闇鍋感ある。

 

精神をアップロードして、肉体から解放された人々が暮らす世界。

必要があればボディをレンタルして、そこに自分の意識をインストールする。

そんな世界で、電子化をしていなかった少女が継母や義姉にいじめられる「地球灰かぶり姫」。

分け合って隠れ住む竹取の翁が、半端ながら知性を得た竹と日々戦いながら、ある日出会った不思議な少女を育てていく「竹取戦記」。

NPCに囲まれた世界でただ一人の女王様として君臨していた少女の末路を描く、「スノーホワイト/ホワイトアウト」。

 

宇宙に進出し、しかし人類が去った後に残された知性もつエビやカニなどの要素を持つ機械たちが、人類の残した遺跡を探索する「〈サルベージャ〉VS甲殻機動隊」。

宇宙の果てに進出した、特殊な集団の残した遺物を回収して回っていたおじいさんとおばあさんが見つけた成果を描く「モンティ・ホールころりん」。

電子化に適応したアリと、それを選ばなかったキリギリスの交流と結末が記される「アリとキリギリス」。

と言った6つのエピソードが収録されています。

 

幸せな結末に辿り着いた、「地球灰かぶり姫」が一番好きかなぁ。初手な分読みやすかったですし。

「竹取戦記」で、求婚者モチーフの5人が、与えられた先進技術を解析しようとして失敗しまくる場面はユーモラスで笑えましたが。

モンティ・ホール問題に対して「最適を知っていて、選ばない」選択をしたおばあさんも結構好き。

大正箱娘 怪人カシオペイヤ

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「明けない夜は、あると思うかい?」

 

副題にある通り、今回は怪人カシオペイヤ絡みの事件が多く収録されております。

後ろ暗い秘密を暴く義賊のような行いをしているかの怪人の目的はなんなのか。

そして、もう一点。近頃町ではやっている、万病に効くとされる「箱薬」なる怪しい薬の存在。

あらすじの「少女・うららと調査に乗り出す」って言うのは割と語弊があるのではないかと思いましたけど。

 

相変わらず紺が、突っ込んでいって、悩んで、うららや周囲の人に助けてもらうというようなお話でありました。

彼女が踏み込まなければ、状況が変わらなかったかもしれない、という面もないとは言いませんが……見ていてハラハラするんですよね、紺。

 

彼女自身、覚悟があるから色々と進めてしまうのは危ういと思います。

いつかしっぺ返しを食らいそうな気もしますけどねぇ。

怪人カシオペイヤの標的に「箱娘」の存在も入っているようですし。そもそも「箱娘」予想以上にヤバそうな機密の塊みたいですし。

怪人が秘密を暴き回れる程度には都の闇は深いようですが……紺がそれに呑まれてしまわないよう祈るのみです。



大正箱娘 見習い記者と謎解き姫

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「――命を絶つのは、なりません。ならないんですよ。若いみそらで、女だからと、死んでしまうことはならないと思うんです」

(略)

「だって、こんなに。残されるものはこんなにも、悲しいのだから……」

 

時は大正。

主人公の英田紺は、新米の新聞記者。

「魑魅魍魎や怪異、そういった話をまことしやかに、あるいはそんなことなどなかったと証明するために」記事を書いている部署に所属していて。

最も上司と紺くらいしかいない零細部署で、新人の紺があちこち派遣されて、調べて……と行動している部署なんですが。

 

ある日、「呪いの箱が倉から見つかったので処分してほしい」という依頼が舞い込んで。

上司から「箱娘」なる、一風変わった存在の話を聞き、会いに行くことに。

箱にまつわる厄介ごとに相談に乗る娘、うらら。

紺は厄介事ばかり持ち込まれる部署で、走り回りながらうららとの交流も増えていき。

 

閉ざされた箱の話……と言う訳ではなく、様々なものに振り回される女性たちを描いたお話でありました。

旧家に嫁いだ女、舞台女優、妹を亡くした姉など。彼女たちにはどこか諦観が付きまとって。

もう取り戻せぬ物に思いを馳せたり、叶わなかった願いを胸に抱いていたり、喪失を嘆いたり。

そんな彼女たちと向き合う紺は、未だ癒えぬ傷を胸の内に負いながら止まらず、進み続けている強い人で。

 

「だってあなた、これだけ傷ついても」

(略)

「救いたいとは言っても、救われないとは、一度も言わないんだもの」

 

と作中で評されていましたが、まさにその通りで。

若く、無謀で無鉄砲で。見ていてハラハラしますけどね……。

紺が交流を続けている箱娘にも、並々ならぬ事情がありそうですが、その辺りの事情に触れる続編が出てほしいものですが……未だ出てない所を見るとどうだろうか。

 
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