「突っ込むのが仕事……か。もしかしたら、私達って、あまり仲良くならないほうがいいのかな……」
(略)
「銀が竜巻の中に飛び込んだとき、心配で……心配で……動き鈍くなっちゃったから」
(略)
「だからもっと仲良くなろうよ、須美。アタシ須美から仲良くならない方がいいって言われたときグサッときちゃった。そっちの方が敵の攻撃よりこたえたって」
「第一話 わしおすみ」から「第八話 ともだち」まで。
昨秋にアニメ化していた結城優奈は勇者であるの過去編、その小説版です。
いやぁ、前半と後半の温度差が激しいなぁ。
最初の方は、神樹様に選ばれた勇者という事に誇らしさがあって、必死に戦い、友情をはぐくんでいた。
結末を知っている分、前半の暖かさは読んでいて辛かったなぁ。
四話での着せ替え人形にされている銀の場面とか。
楽しそうで、幸せそうな日常が確かにそこにあったのだけれど。
中学にもとどかない少女たちに背負わせるのにはあまりにも重い役目だと思うんですがね。
それでも、自分たちにしかできないことだと奮起していた中で、喪失があって。
失ってからも日々は続いていくのだから、より一層気合を入れていますが。
侵略者に何を言っても無駄でしょうが、もうちょっと空気を読んでもいいんじゃないかなぁ。
お約束を守っているという時点では、ある意味空気を読んでいるといえるかもしれませんけども。
アニメ版でのシステム。精霊という存在は中々厄介だなぁ、と正直思ったものですが。
けれど、精霊が存在しなかった初期においては、守れなかったものがある。
そう思うと大赦も、神樹様も決して何もしていないってわけではないんですよね。
ハッキリと名前付きでは出てきませんが、あちら側でも手を打ってはいる。
それでもじわじわと苦しくなっているのが現状のようで。
楽しそうに過ごしていた三人が離れていってしまった結末が、寂しい。