「帝位を望むからこそ、僕は助けなきゃいけないんだ。助けたいと思う人を助けられる皇帝になりたい。けど、その過程で誰かを見捨てれば僕はきっとそんな皇帝になれない。人は慣れる生き物だから、一度見捨てれば僕はきっと見捨てることに慣れる。だから僕は退かない」
他国から逃れてきた流民。かつて、皇帝はそれらの流民もまた帝国の臣民であるとお触れを出して。
しかし、負担を強いることになるために一部の領においてはその通達が守られなかった。それどころか、リンフィアがアル達を頼ったように、流民を狙った人さらいなんかも組織される始末で。
皇帝が自らの決断を蔑ろにされて怒り、レオナルトに全てを明らかにしろと言うのは、ちょっとほっとしましたね。トップが腐りきってはいないんだなー、って思う。
ただまぁ、年齢と過労によって衰えているというか、「弱気になるのはやめていただきたい」なんてアルノルトに発破をかけられる状況もありましたし、軸がぶれかけているっていうのはあるんだろうな。
帝位を争うからこそ、強い皇帝が誕生するという理論は分からないではないですけど。
ザンドラと第五妃にまつわる不審な噂とかもあるようですし……あの性格を見ると、普通にありえそうというか……「邪魔な奴を排除してやる」とか言ってるし、実行犯でしょうアレ。
武に偏重して、自分の意にそぐわない部下を排除するゴードンとか、皇帝になるには器とか色々足りてないと思うので、レオナルト達には本当に頑張ってほしいですね。
ザンドラの支持基盤である南部に赴いたレオナルトは、そこで隠されていた闇と向き合うことになって。
冒険者として依頼を受けてシルバーも駆けつけてましたが。兄の手助けに頼りすぎず、自らの気概を示してみせたのは格好良かったです。彼には彼なりの理想があって、皇帝にならんとしてるんだなぁというのが見えましたし。
レオが南部に向かっている間、アルノルトは帝位争いへの不干渉を誓った姉の結婚話についての相談を皇帝からされて。
なんだかんだ悪くない方向に転がってましたし、そこでの接点が南部のレオを助ける結果に繋がったんだから、お見事。
フィーネの存在感も増してきていて、どんどん面白くなってきてるなと思いました。