「大切な人を守るのに、復讐のための刃は必要ありませんから」
(略)
「だから、あのときの言葉といっしょにお返しします」
ダーク・ファンタジー、完結巻。
アマデオは本当に、腕が足りなくてでも運だけはあって。
秘されていた事実だけ見れば、主役にもなれそうな要素詰まってるのに…
あくまでも彼は、舞台要素としての一員でしかなかった。
彼は最後、守るためにファルドリアを去り……戦いの結末を、知らないのだ。
遂にベラの秘密を知り、それでも戦う道を選ばず、さりとて忘れるでもない彼の愚直さが好きですよ。
ベラに結構影響与えてるようにも思いますし。しかし、死を偽装して、てっきり里に帰るのかと思いきや任務を果たそうとは。意識が高いというかなんというか。
3巻の時のように、ベラほどの腕があっても捕まることはあるし……同時に、彼女を捕えた相手であろうと一つの油断で躓く辺り、平等だとは感じました。
今回プロローグが「夜の終わり」、第1章が「夜のはじまりは静かに」ということで、プロローグも全部終わった後のエピソードで、読み終わった後見に来るとまた美味しい感じですね。
最初読んだ時は、あれどこか飛ばしてしまったかなと思いましたが。
ベラとアマデオが、それぞれの道を行く結末で。いずれ交わる約束の時を想像すると、どんな結末になるにしろ、ニヤニヤしてしまいそう。
ベラが一貫してアマデオを切り捨てても良いし、情によってわずかに刃が鈍りアマデオが「俺の腕で主任に勝てるはずがない!」って叫んでも良いですし…どう転んでも尊いですよね……
妄想はさておき、ダークな魅力を描き切ってくれた素敵な作品でした。