気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

ドラゴンノベルス

死ぬに死ねない中年狙撃魔術師

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「どんな魂胆があって、そんなに誠実なんだ」

「誠実で、何の問題があるだろうか。無駄な嘘や欺瞞は対立を深めるだけであろう?」

「道理だ。それだけに、気に入らない」

 

「狙撃」というあだ名で呼ばれる、魔術師の男が主人公。

恋人と共に旅をしていたが、その中で強大な敵と戦う羽目になり……恋人に庇われて、彼だけが助かってしまって。

自分もそのまま死んでしまいたかったが、恋人は死に際に「ぼくの分まで、生きて欲しい」と願いを託されて。さらには星の彼方……宇宙からやってきた生命体と遭遇して。

ヤァータと名付けられたその生命体は、主人公を主としてカラス型の使い魔に化けて傍にいることに。

 

奉仕対象をひとまず主人公に絞っている間は、この世界を観察する期間と定めているので大人しいヤァータですが、その制限がなくなれば「世界を滅ぼす」と言っていて。

ヤァータ的には奉仕するための善意みたいですけど、それを受け入れられる土壌がないんですよね……。

「個」が確立していて、それが相互理解を阻んでいるからその障壁を取っ払いますとか、人類全員素材にして融合させますみたいなこと言ってるので(強制かつ強力なテレパシーで隠し事できなくするとかの方向かもしれませんけど)、そのレベルまで到達することなさそうですけども……。

 

主人公は数日かけてエネルギーをチャージして、それを用いた狙撃で敵を仕留める「狙撃魔術師」と呼ばれる職業についていて。結構な実績を積んでいるものの、「国を挙げて、凶悪な竜を討伐した」といったプロパガンダに利用されるため、彼自身の功績として公に認められることはない。

狙撃に専念できるための囮を国を挙げて行っていることがほとんどだという事もあって、彼はそれを受け入れています。

それにわかる人はわかってくれてますしね。……腕を認めた押しかけ弟子まで出てきたりもしてるんですけども。

 

恋人の死や、異界生命体に憑りつかれていること、狙撃魔術師としての待機時間が多いこと。いろんな理由が重なって一人でいることが多かった主人公ですが。

押しかけ弟子ことリラの影響が大きいですけど、彼女を正式に弟子と認めることになったことから少しずつ世界が広がっていくのが面白いですね。

人類から強大な敵が竜や悪魔、精霊と数多く取り揃えられているんですよねぇ。かつては貴族が命を賭ける生贄じみた術を使って強敵を打破していたのを想えば、狙撃魔術師と言いう新たな形式(数日かけてチャージする必要があったり、最善とはいいがたいけど)を生み出して対処できるようにはなってるので、時間かければまたできる事増えそうではありますけど。

竜種とかの強大さ見ると、それだけの時間が人類にあるのかは悩ましいですが。今まで生き延びてるから、なんだかんだしぶとく生き延びるかもな。



異世界転移、地雷付き。10

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「ナオ、気が利かないのは良くないわよ? ……誰彼構わず利きすぎるのも困るけど」

「経験不足ですまん」

 

他の貴族の結婚祝いの席に、名代として派遣されるネーナス子爵令嬢のイリアス。

その護衛として雇われることになったナオ達はピニングの街に到着して。納品依頼を片付けたり、顔合わせを済ませたり。

事情があるとは理解しつつも感情面で納得できない兵士たちの訓練に混ざって、その実力を示したりと色々やっています。

イリアスが九歳ということもあって、同年代のメアリーやミーティアの獣人姉妹と仲良くしてたのは微笑ましくて良かったですね。

 

道中で襲撃を受けたりするトラブルもありましたが、撃退には成功。

しかし今のナオ達でも攻めきれず、撤退を許してしまったのは厄介というかなんというか。実力者多いですねぇ、この世界も。

そして祝いの為に訪れたクレヴィリーという都市は、貧富の格差がハッキリわかる都市でもあって。現代の感覚があるナオ達からすると、悩ましい部分ではあったみたいですねぇ。

ちょっと神殿に心ばかりの寄付でもしようかとか言ってましたし。孤児院併設してなかったりするし、都市の事情もあるからやめておいた方がよいとイリアスに止められてましたけど。

実際、食事は美味しかったり相応に発展はしてるっぽいから、「領主が悪い」と断じられないあたりがせちがらいところ。

 

現地までの護衛を無事に終わらせたところ、見目麗しいエルフであるナオとハルカに披露宴にも同席してほしいという話が出て。

あくまでイリアスについている冒険者という立ち位置で、面倒ごとを避けるためにパートナーがいるって示すための飾り布を付けたりもしてたんですが。

……バカ貴族に絡まれる羽目になったのは、もはや御約束か。真面目で位の高い貴族もちゃんといて、フォローに入ってくれたのはありがたかったですけども。

あと、そうやってパートナー扱いをしたりしたことで、これまでじれったい状態で進んでいなかった2人の関係が進展したのはめでたいことですね。

やっと恋人になったくらいの感じで、表紙ではなんか2人が結婚した風になってますけども。あとがきでも「表紙詐欺」と言われていたのには笑った。

ハルカとの関係もハッキリしたことで、ユキとかもこれまで以上にグイグイ来るのだろうか。……一線超えて出来ちゃった場合、戦力不足になるから計画的にね! と「利」の方で攻めて来てたから、様子見しそうな気もする。

異世界転移、地雷付き。9

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「いいじゃん、ファンタジーバンザイで」

(略)

「……そうですね、考えるだけ無駄ですね」

「そうそう。見たままをそのまま受け入れれば良いんだよ、別世界なんだから」

 

メアリとミーティアを保護しつつ、訓練も兼ねて避暑のダンジョンへの挑戦を続けているナオ達。

11層には「空」が広がっていたりもして。ダンジョン内部には時折現実世界が再現されてるそうです。ただ、無限に広がっているわけではなくて、ある程度の距離を進むと透明な壁に阻まれる場所ではあるとか。

その後も順調に攻略を進めて15層とかにも到達してますが、空間的にはやっぱり異質な場所ですよね、ダンジョン。

ナオ達も多少は気にしてましたけど、答えを出せるものでもないから「ファンタジーってすごい」って飲み込んでましたけど。このあたり割り切りも出来るあたりは現実的ですよねぇ……。

 

避暑のダンジョン、階層が進んでいくごとに採取できるものも増えて行って。

フルーツが取れたかと思えばナッツも取れる。深い階層で牛の魔物も出てきて、肉も美味しいし、生け捕りしないといけないのが大変だけど牛乳も取れるようになったりと。

ナオ達の食生活の基盤、大分向上しているなぁとしみじみと思います。

手に入れた食材を加工できる調理技術だったり、マジックバック持ってたり。深い階層に入るのは大変だけど、ナオの疲労を代償に転移魔法で移動時間を短縮することが出来たりする彼等だからこそって部分はありますが。

 

そうやって実力を磨いて、実績を積んでいった彼等だからこそ、貴族からの依頼が舞い込んでくることに。

いつもお世話になっているディオラの縁戚伝いに持ち込まれた話で、ディオラもまた「腕利きの冒険者を格安で雇いたい」と無茶ぶりされた側ではあるんですが。

お相手はネーナス子爵。先日のケルグ争乱の後始末で忙しく人員が必要だし、そもそも腕利きも少ない。

そんな中でも貴族としての体裁はしっかりするため、他の貴族の婚姻に名代を派遣することはしないといけないので、その護衛を頼みたいという依頼で。

 

とは言え安く雇いたいのは相手の事情。ナオ達もランク五になってるので、報酬はしっかり払わないといけないということで……ディオラが交渉して、ナオ達以外に潜ってる人のいない避暑のダンジョンの権利を譲るという形ではどうか、と話を纏めて来てくれたのは有能でしたね。頼れる~。……だから無茶ぶりされちゃうんだろうなぁ……。



図書迷宮と心の魔導書

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「ちなみに司書って、魔導書に関する疑問に何でも答えられたりするの?」

(略)

「しない。必要な情報は既に与えられた。神はそんなに甘くない――というか、呆れている」

 

カクヨムネクストからの書籍化作品。

魔物という脅威が存在し、それに対抗するために人々に魔法が与えられた世界。

成人の際に儀式を行い魔導書を授かり、図書迷宮と呼ばれるダンジョンに挑みそこに設置された祭壇で儀式を行うことで、扱える魔法を増やすことのできる仕組みが作られていた。

……しかし、人類は愚かだった。魔物と戦うために授けられた魔法の力で、人同士で争う事すらした。

知識と実力がある人ほど魔物の戦いの前線に行くし、人同士の争いまであったことで知識の断絶が起きているというのだから、なんというか呆れるしかありませんな。

 

主人公のルミエーラは、前世の記憶を持った少女。

森に捨てられていた彼女はシンクハルト辺境伯家に拾われ、その家の娘として家族からも領民からも愛されて育っていた。

辺境伯家は魔物と戦うという役割をしっかりと果たしている真面目な貴族家みたいですが……中央と呼ばれる地域の王族や、神殿とかは知識の断絶を起こした末に肥え太っている輩も出ているみたいで危うさが伺える。

 

ルミが成人の際に儀式を行ったところ、彼女に与えられたのはこれまでの評価基準では測れない特殊な魔導書だった。

普通は最初から使える魔法がいくつか記されていて、図書迷宮で使えるものを増やしていくみたいですが。ルミが得たものは全てが白紙で……さすがの彼女もショックを受けていました。

 

しかし試してみたところ、図書迷宮の先に進む扉を開ける程度には格が高く、儀式を行うことで使える魔法を増やすことも出来た。

さらに少しずつ前を向けるようになったルミの前に、「司書」を名乗る、変わった少女まで現れて。

ミカゲと名付けられた司書の少女はルミと一蓮托生、あまり遠くまで離れることも出来ない存在だそうで。人よりも神に近い彼女は、今失われた知識を持っていて……「過去の人に既に教えたこと」として、教えてくれないことも多いのですが、それでも貴重な知識を持っているのは確かで。

司書を携えた者に与えられた権利として、バカやった奴らから魔法を奪える『督促』とか。魔導書の『強化』を行えることとかは、かなり重要な情報ですよね。

 

ルミはそれまでの常識からすると、常識外の存在であり。中央の貴族は貶めようとつまらん噂を流したりもしていたわけですが……それに負けず奮起してできる事をやっているのが良いですねぇ。

 

それを想うと、バカ貴族の息子が魔法を授けてくれる図書迷宮の祭壇をぶち壊したりした末、玉虫色の決着になったのはなんとも。まぁ政治的なバランスとか、本格的に貴族と貴族の争いになったら面倒だという部分もあるってのはうなずける話ですが。

それはそれとして中央の王子とかバカすぎて、早い段階で教育しとかない近い将来足をすくわれそうだから、初手苛烈に行っても良かったんじゃないかなぁ……みたいな気持ちにもなる。

神殿の腐敗も軽く触れられるだけでしたが、今後絶対かかわりは増えそうですし、ルミ達には頑張ってほしいものです。
膿を出して、少しずつ味方を増やしていかないと、かつて前線に立ち倒れて行った先達たちの二の舞になってしまいそうですからね……。



極振り拒否して手探りスタート! 特化しないヒーラー、仲間と別れて旅に出る6

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「しかし奴らは我が領民に手を出した! それは絶対に! 絶対に許しはしない!」

 

ダンジョンを攻略しアルッポを去ったルークは、国境を越えて鉱業が盛んな国ザンツへと足を延ばして。

しかし時期が悪く、季節は冬。

これまではアルッポのダンジョンまで足を延ばせば、そこは切り離された環境であるため、冒険者にとって冬場の良い稼ぎ場所になっていたようですけど。

そこが攻略されたことで計画が破綻した若手冒険者なんかも散見されて。ルークにとっても想定外の状況ではありましたが。

 

……冬で往来にも制限が出るし、食材にだって制限が出てくるから、冬支度って言うのは本当に大切なものだそうですが。ルークは本当にそのあたりさっぱりで。

情報収集をした結果、王都に足を延ばすことを決めたわけですが。

そこで以前アルノルンで冒険者登録した時に話したニックと再会。登録を止められそうだった時に、受付のエリンを説得した人と言われてそう言えばいたなぁと思うなどしましたが。

彼の紹介で宿を見つけることが出来たりして、手探りで旅をしまくっているし、婚約破棄された少女の前で「あの騒動の!」的なコトを口走ったり失言もそこそこあるわりには、何だかんだ強かに生き延びてますよねぇ、ルーク。

 

ザンツは国や教会の上層部が腐敗していて。

真っ当な人も当然多くいるんですが……それでも権力者ほど腐敗が進んでいて、暗躍してる輩も居て。

そんな中でルークは多少怪しい人物を目撃したり、巻き込まれた孤児の子を助けたり。婚約破棄された令嬢に回復魔法を教える役を任されたりと、騒動の端っこの問題に関わっていくわけですが。

……最終的には、彼の与り知らぬところですべての問題が解決していたのは、ちょっと笑った。一応ルークが目撃した情報で、真面な司祭が動いてくれていたり、彼が魔法を教えた令嬢が「聖女」と神聖化され、この地に残っていた聖女伝承もあって民心を引き付けたことなんかもあって、ルークのしたことは結果として良い未来を導いてるんですがね……。

 


刹那の風景5 68番目の元勇者と晩夏の宴

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『戦いで片腕を落とされて水辺に旅だった友は、『笑え、笑え、リリア。ライナスが勝利を勝ち取る、喜ばしい日だ』といったわ……。たくさんの人の命が零れ落ちていく光景の中で、私は彼のために笑って見送った』

そして王妃様は、首を横に振り笑って続ける。

『そう、泣かないの。喜ばしいことだから、泣かないのよ』

 

セツナとアルトがリペイドで生活を初めて早一ヶ月。

ラギさんとの距離感も近づいていて、良いですねぇ。アルトがラギさんに、師匠にできる事をしたい、と相談を持ち掛けて。想定外の結果になってしまったけど、悪戯を教え込まれたりしてて、セツナ以外の指導……って言うと大げさですけど。

ちょっと違う考えとかにも触れられているのは、アルトの世界が広がって良いと思います。

アルトは何だかんだ楽しく日々を過ごしているみたいですが。

 

リペイドは建国祭が近づき、あちこちがにぎやかになっていって。

国の上層部は、直近の騒動からの祭りの準備とあってかなりピリピリしている模様。王妃様が心配して休養を進めたりをしていたようですけど、実を結ばず。

ジョルジュ卿が求婚の際に用いた薔薇には時の魔法がかかっていた一件が俎上に上がったりもしていましたが。国に仕える騎士でありつつ、セツナへの義理もありその名を告げようとしなかったのは良い男でしたねぇ。

そのあたりを予想したセツナがサイラスにも伝言を残していて、先日の恩人であることが伝わり、その時の態度から敵国に就くことも無いだろうと決着したのは良かったですが。

 

……セツナの介入で、結果としては本来辿っただろう流れよりも良い形で祭りの前を迎えられているわけですが。

それでも王たちは王妃様との会話を後回しにして。最終的に王妃様は時間を作るために、セツナへ依頼することになるわけです。

依頼自体の難易度は高くない。けれど、依頼された通りの事をしても解決するとは限らない。でも、一度依頼は受けると言った以上、できる事はしたい。

そんな悩みを抱えているセツナにとっても、ラギに相談できたのは大きかったでしょう。

 

最終的には、なんとか良い形で落ち着いていたのでほっとしましたが。割と綱渡りではあったかもなぁ、というべきか。王妃様が無茶な依頼を出した裏には、余裕が出来ればちゃんと理解してくれる人達だからという信頼があったからというべきか。

そうやって事態が解決した後、セツナに礼を言うためにサイラスが頼まれて。ちょっとしたパーティーをすることになって、本当に一件落着って感じで良かったですね。

虐げられし令嬢は、世界樹の主になりました~もふもふな精霊たちに気に入られたみたいです~

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「アルム、落ち着いてください。……私は、これで良かったと思います」

 

伯爵家令嬢のフィオーラは母が平民な上に、既に亡くなってしまったことで家での立場がない少女だった。

異母姉のミレアやその母リムエラは当然フィオーラの存在が面白くなくて嫌がらせをしてくるし、当主である父も愛していたフィオーラの母は愛していたから、母が存命の間はそのついででフィオーラにも気を配っていたが、母の没後には興味を失って。

辛うじて婚約者もいて、家から出られる可能性があったけれど……それすらも、締結間近に破談にさせられた。

 

そんなフィオーラは母の形見として、一緒に植えた木を大事にしていたけれど……それが面白くなかったミレアが火をつける暴挙に出て。

しかし、その樹木はこの世界で貴ばれる「世界樹」の種から芽吹いたものであったため、被害はなく……それどころかミレアに、容易に消せぬ呪術的な痕跡を残す仕返しすらも出来た。

そもそもなんで世界樹の種がこんなところにあったかというと、世界樹が千年の寿命を終えようとしているために、次代を担う種を生み出して託された内の一つであった、とかなんとか。

 

次代の世界樹が人の姿をとった、アルムトゥリウスことアルム。

その主であるフィオーラは世界樹の力を引き出すことも出来て、かなり重要な立ち位置になったわけですが。世界樹を崇める教団側にその事を察して協力してくれる善性の人間が居たのは良かったですけど。

……フィオーラを狙う輩に与する輩も交じっていたり、伯爵家の人々がフィオーラの立場が変わってからも考えも行動も改めることはなく、それどころかさらに悪化させていくような流れだったのは、まぁ今更引き返せない現れだったのかもしれないけど辟易とはしたな。

バカが大暴走した結果、ある程度の問題には決着がついたのは良かったですけど。懲りないリムエラの悪意が最後に描かれていたのは気がかりではあります。諦めなよ……。

刹那の風景4 68番目の元勇者と訳ありの依頼

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「『依頼主の要望を優先する』というのは正論だ。だが、それだけでは駄目だ。『冒険者が働くための環境を整える』という視点も、一方で持つようになていかなければならない。それが、上に立つ者の役目だからだ。というのも、下の者がいくら声高に叫んでも、働く環境は変わらないことが多い。だからこそ、意見がとおりやすい立場になった者が環境を改善してやる必要がある」

 

サイラスに託された願いを果たす協力を果たせたセツナ。

薬の製法についてギルドに教えることになっていたが、サイラスを助けるために後回しにしてしまっており、特別事後申請をするかどうするか、という問題があって。

サイラスが送り出された魔法陣だったり、山脈にある洞窟だったり国家機密にふれることになるので、ギルドに全部伝えるのは控えて欲しいというようなお願いも国王からされることになっていましたし。

 

しばしリペイドで活動することになったセツナはアルトと一緒にギルドで仕事を探すことに。

薬の調合についての依頼が貢献として認められて、セツナは一気にランクアップすることになったりもしていましたが。

その中でも、アルトは獣人の老人の話し相手・雑用という依頼を選んだり、セツナはトラブルに見舞われた花屋の手伝いだったりを選ぶあたりが彼ららしいというか。

アルトは依頼主が獣人だったから選んだだけで、色々と抜けもあって。セツナは依頼の裏事情なんかも察しがついたので、アルトに受けさせるかどうかを悩んだりしていましたが。

 

アルトの見つけた依頼を出していたラギ老人は、セツナと師弟関係も含めて受け入れてくれてましたし、依頼を受けていく中で、それぞれにとって良い学びがあって良かったですねぇ。

花屋の手伝いをする中で、リペイドの貴族の風習の一つである「婚約者の女性に12日間続けて贈り物をして、気持ちが変わらないかを確かめる」というものに関わることになったセツナ。貴重な時の魔法すら使った大盤振る舞いでしたけど。

その送り先である女性も含めて喜んでくれたのは良かったですねぇ。時の魔法に関しては、後々面倒そうな火種ではありますが。



刹那の風景3 竜の縁と危亡の国

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「生き様が自由にならないのであれば、死に様ぐらい自由に選べばいいんじゃないでしょうか……。そうは思いませんか?」

 

過去に過ちを犯して封じられていた竜人の娘、トーゥリと出会ったセツナは一目惚れから告白して、仮の誓約を結んで婚約状態となった。

竜人のしきたり的にはまだ結婚成立していないけれど、セツナ視点だと一貫してトゥーリを「妻」と呼んでいるの、思いの強さが出て良いですね。

そうやって大切なモノが増えたセツナが、弟子のアルトとゼグルの森で過ごしていた時に、魔物に食べられそうになっていた男性を発見。

 

死を望むのであれば放っておこうかと思ったようですが、何度か問いかけた結果「まだ死ねない」と口にしたため、助けることに。

今回、巻頭にこの世界のワールドマップが掲載されていました。通常の人には越えられない連峰によって大陸の南北はほとんどさえぎられているみたいですね。

セツナ達が過ごしていたガーディルやクットというのは、大陸の南側。そして今回保護したサイラスは、北側の国リペイドの騎士だった。

彼は冤罪によって罪に問われ、「魔の国」へ送り込まれるハズだったというが……実際はクットに居た。

 

厄介ごとの気配を感じ取ったセツナは彼への対応について少し迷っていましたが、アルトはいつもセツナが「困ってる人がいたら助けてあげようね」と言っていたのを覚えていため、内心嫌な気持ちはあれど、サイラスを助けるための道のりについ言及し始めて。

サイラスとセツナが話し合っていく中で、リペイドの抱えていた問題やサイラスに期待されていたことなんかの答えも見えてきましたが。

リペイドの想定通りにいかない、という情報をセツナは持っていた。その上で、カイル達に与えられた知識の中に、解決策があってそれを開示するかという悩みもまたあった。

結果的にサイラスを助けることになっていきましたが、その道中でまたしても予期しない出会いがあったのには驚きましたね。

 

地理の説明の為にセツナが用意してくれた地図を欲しがったアルトが、それに「その国でもう一度食べたいものを書いて、自分の宝の地図にする!」という姿は微笑ましかったですねぇ。

自由に旅をしたいセツナですが、カイルから与えられた数々の恩恵によって、国の視点では逃したくない人材になっていて、厄介ごとに関わるとそういう柵が迫ってきて面倒だなぁ、と思いますが。

トゥーリの兄と出会ったことで、ますます竜王への不信が募ったりするし。カイルが土地の呪いを残した理由も気になるしで、いつかこの問題には対峙することになるんだろうなぁ。

刹那の風景2 68番目の元勇者と竜の乙女

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「冒険者ギルドの理念は、人々の命を平等に守るため。ギルドの医療院の理念は、人々の命を平等に救うため。……僕は、この二つの理念を気に入ってるんです」

 

クットという国を目指して、それまでいたガーディル国を出立したセツナと弟子のアルト。

獣人によって住みやすい環境ではなかったこともあって、ガーディル国よりの地域ではゆっくりできなかったけれど、少し離れてからはアルトが植物図鑑で気になる実について調べたり、釣りを一緒に楽しむ時間を取るようになって。

 

のんびり楽しい師弟での旅を楽しんでいましたが……釣りの途中に針をひっかけてアルトが悲鳴を上げてしまったのを聞きつけた獣人たちが、誤解からセツナに突っかかってくる展開にもなりましたが。

相手がいきなり手を出してきたのはアレでしたけど、アルトという存在がセツナの重石になって、即座に戦闘とはならなかったのは良かったですねぇ。

こっちの事情知らないとはいえ、アルトに獣人の国サガーナへ行けばよいと提案したりしてくる獣人傭兵のカーラ達の物言いにはイラっとする場面もありましたが。

……まぁカイルから託された知識とかもあって「復讐を誓って動いている、滅びた国出身の獣人ですね」と指摘したりしてるし、セツナも時に火に油注ぎがちなところあるしな……。そこは相手が喧嘩腰だったというのもあるか。

 

ちょっと物騒な出会いがありつつ、お店の練習をしてアルトにお金の使い方を教えたりしていて、セツナがしっかり師匠してて良かったですね。

彼もまたずっと病室暮らしだったので至らぬ部分もまぁありますけど、少しずつ成長していってるのが良い。

新しい街に入ってギルドへ挨拶をしたら、ガーディルのギルドマスターから申し送りが来ていたり、依頼で知り合った黒ランクのアギトからの個人依頼が来ていたりして。セツナの薬によって、助けられる命が増えるかもと交渉が始まったりもしてましたが。

現状見えている範囲だとギルドは理念を守ってる良い組織みたいですし。カイルが所属を勧めたのはこのあたりも影響していたのかな。

 

そして新天地でセツナは運命的な出会いをすることになっていましたが……。

驚きの急展開ではありましたね。彼女は彼女で色々と事情を抱えていて、後に響いてきそうな気配こそありますが。抱え込みがちな部分とか似ているし、お似合い感はある。

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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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