「別に責めちゃいない。己が大人だとも言わんよ。ただああいったものは、子どもの立場からは見えにくいというだけだ。そして疑問を抱かず大人になると分からなくなる。それが濃縮されると、ああなる」
元々救いとは縁遠いこの作品ですが……
今回はまた一段と救いがないというか、救われていい相手がいないとすら思えてしまったと言いますか。
現人が嫌っている「田舎の風習・俗習」。それを煮詰めたかのような事件が今回は起こるわけですが。
狭い村だからお互いの事はよく知っている。だから、よそ者を嫌う。排斥する。
村社会であるが故、それを見てみぬふりをするものが居て……実力者が行っていることを真似する者も居る。
そうして追いやられて、命を絶った者の呪詛が、その村には残って。
相変わらず、恐ろしい文章を書くというか、怖い雰囲気を作るのが上手いなぁ、と。怖いけれど、先が気になってついページをめくってしまう。
夢人が現人に語った「子供からは見えにくい」もの。それは確かにあるのだろうなぁ、と思いました。
間違いに気付けず歪み続けた果て。
夢人は呪い返しの儀式が失敗したときに、「……許さない、というわけだな。良いものを見た。被害者の呪いとはかくあるべきだ」と言っていましたが。
これほど憎しみを募らせた被害者たちの怨念の強さに圧倒される。
前回の事件から現人はオミコサマの卵、文音との接点が出来ていたようです。
日高のお見舞いの帰り道を同じくする感じだとか。最もオミコサマ見習いとして、下手に関わったことに謝罪など出来ない文音は、現人から話を聞くだけというなんとも迂遠な接触をしてるわけですが。
二人連れ立って歩いているところに夢人が現れたりするからなぁ……彼らは彼らで夢人被害者の会でも立ち上げればいいんじゃなかろうか……