気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

ハルミチヒロ

初恋

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「…うん また来る…」

 

ハルミチヒロ先生の楽園コミックス、第4弾。

うっかり買いそびれていたことに、第5弾を購入した時に気が付いたので買ってきました。8篇のエピソードが収録。

 

巻頭の『終天』。法事に参加するために、田舎の親族を訪ねた主人公。

いとこの少女と、小学生以来となる約5年ぶりの再会を果たしていましたが……。彼は、彼女に対して負い目というか、

虹歩ちゃんが最初に登場する「ただいまー」って帰ってきたシーンのコマの絵が可愛くてなんか好き。

 

『彼岸』は、母の死んだ元カレと同い年の14歳になったからか、その幽霊が見えるようになった少女の話。成仏してるのもあってか盆の時期だけ見に来ていたみたいですが。

反抗期も相まって態度悪くなってるのはまぁあるあるでしょうけど。かつての想い人に盆の時期に毎度戻ってきて眺めて、自分と同い年の娘に説教する幽霊は怖すぎでは……?

『ふうりんかざん』は病弱な男と、大きくて強い彼女の話。2Pしかない短い話だったけど、本当に強い彼女で良かった。

 

その後に載っている『アンバランス』では今度、体格の良い男が登場するエピソードになっていて笑っちゃった。厳しいと噂されるけど、世話焼きな一面もある女性にフォローしてもらった恩があって、異動先に希望を出して良い関係築いてるの良かった。

missing』は祖母の家に連れていかれかくれんぼするという名目で、母に捨てられてしまった過去を持つ女性の話。山登り好きな彼氏に連れ歩かれていたある日……自分と同じように捨てられたかもしれない少女と出会って。ちょっと弱気になってましたけど、彼氏は良い人でホッとした。

 

『蓮の花after』は名前呼びを試みる少女たちの話で微笑ましかった。

表題作の『初恋』は、好きな人のタオルのにおいをかいでいる変態的構図を、その「好きな人の妹」に目撃された上証拠写真まで抑えられた主人公。そこから始まる2人の、歪んでしまった恋の話。うーん、歪だ……。

『埋み火』は、無職になって実家に帰ってきた青年が、「陶芸の勉強がしたいから家を出る」と言って、かつて道を別った元恋人と再会する話。自分と別れてまで選んだ道が道楽であってたまるか、と今でも巨大感情持ってる男はめんどうくさいけど、彼女も彼女で肝が据わってて良かったかな。

カノン

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「瀬奈さんのこと教えてくれるの?」

「別になんにも おもしろいことないけど…」

「…はは いいですそんなの!」

 

ドロドロしているというか、湿度の高いキャラが多い印象のある作者さんの新作。7本の短編が収録された短編集ですね。

最初の収録作が『人魚』。付き合っていた相手が詐欺師で、気晴らしに来た先で置き引きにあって黄昏ていた女性が、変人の金持ち「王子」に拾われて。

王子の道楽で作られた、気に入った女性に人魚コスプレさせてプールに置いたりするような別荘で過ごすことになるわけですが。先輩「人魚」にコツを教えてもらいつつ過ごす中で心境に変化が生じて……。王子が最後まで嫌な金持ちキャラで笑った。

 

他には短めの『埋み火after』と『蓮の花after』も収録。埋み火最終ページの女性表情が柔らかくて好き。

……でもこれ読んで気付いたんですが、私ハルミチヒロさんの前作『初恋』買いそびれてますね?! 埋み火知らない!! 買わなくては。

 

『夢の女』ホラーじみた夢を見続けていた男が、それを書き記していたデータをうっかり職場の女性に見せてしまって。そこから交流が始まるというお話。

良く見せようという欲が出たからか、少しずつ夢を見なくなっていったって言うのとか、最終ページの独白とかが良い味だしてた。

one’s place』は、シングルマザーの母と暮らす少女・美夜が主人公。母は恋愛好きでフラフラしていて、美夜は母の親友である女性・暦ちゃんと過ごす時間が多かった。そんな中で暦が取っていた母との手紙なんかを見てしまって、悩みを得ることになったわけですが。それぞれが良しとしているけれど、外から見ると思うところあるのもむべなるかな。

 

表題作の『カノン』は事故で負傷し、記憶喪失状態になった男性が記憶にない妻と一緒に家に戻って、知らないことを色々教わっていく話。最初は事故った男性がかなり若く……どころか幼く描かれていて、それなのに妻が居て子供もいるっていうので驚きますが、話を追うと事故の影響ってのが良くわかるんですよね……。

 

仕事人間が退職した後に空いた時間持て余すからか、呆けがちってのは聞く話ですし。

巻末の『約束』が今回の話だと結構好きでしたかねー。同僚の女性と酔っぱらった状態で「家に呼ぶ」という約束を交わして。翌日それを実行することになって……。

松永さん、酒癖悪い男はやめときなー? って思う気持ちはあるけど、そういう凸凹が上手くハマるのも面白いからな……。


柔肌

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「そんなことしなくても一緒にはいられるんだよ」

 

いやぁ、重いというか暗いというか。

まとわりつくような恋の、圧力を感じる話が多かった。

ガールズラブ多めの短編集。

 

例えば「柔肌」。

母子家庭で育った少女。母の新しい恋人は、娘にも近づいて……

母は、娘を信じなかった。従姉を頼って逃げた少女が見つけた居場所の話。

「たのしいからだ」。

男遊び女遊びが激しいグループに属する少女が、そのグループから距離を取りたがっている男子に興味を持って。

舞浜君、かなりズケズケ言うなぁ。それでも近づくサラミが強い。まぁ、誠実にフラれるんですけど。

 

他にも数編収録。夜をとめないでの2人が好きなので、アフター収録されてたのは嬉しかった。

柔肌
ハルミチヒロ
白泉社
2019-07-31


あにいもうと

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この恋のゴールはどこにあるんだろう

それがどこでも怖くないし

いま 他の恋ならいらない

 

妹から兄への気持ち。

少女から少女への気持ち。

男女間でのエピソードなどなど。

さまざまな恋…というか愛について描かれております。

 

2Pだけでしたが「夜をとめないで」のアフターが入っていて嬉しかったですねぇ。

幸薄いのは変わらないようですが……変な形になっていたとはいえプロポーズしてもらってましたし。

 

収録作だと「間違ってる恋」の二人の歪さが好きかなぁ。

笑顔ではなく、怒ってる顔、悲しそうな顔が好きだと言う少女。

束縛したい、とか他の人には渡したくないという欲求がある。「大好きなんだよ。だけど、かわいそうなあなたが好きなんだ」と心中で呟いてますが。

相手の男子も悲しそうな顔が好きだとか零してますし、割れ鍋に綴じ蓋な感じでお似合いなんじゃないかな……

 

あとは表題作の「あにいもうと」。

本編よりアフターの方が微笑ましくて好きですね。

兄の事が大切で……でも他の人と結婚して、子どもまで出来て。

学生のうちに「おばさん」になってしまった少女。「おばさん」と呼ばれたくないから子供を教育しに行く、という辺りが微笑ましい。

 

あにいもうと
ハルミチヒロ
白泉社
2016-12-22


夜をとめないで

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私はただ 傷付けて 傷付けて
同じ想いをしてわかってほしかっただけ
あの日の私は あんたと同じに 傷つく心があったんだよって

楽園に掲載されていた短編6本と、巻末にちょろっとおまけまんががついてます。
表題作の「夜を止めないで」と「シャンプーリンスコンディショナー」が好きですね。

「夜を止めないで」。
出張でいった先の支社で評判がよいから、とそのまま転勤先になると告げられたサラリーマン。
本社でずっと頑張ってきたのに。そんな重要なことを電話でいうか、と落ち込んでいるところ、変な女に声をかけられて。
女一人旅で怪しさがあったからか、旅館に泊めてもらえない。お金なら払うから、一緒にいい宿泊まりませんか、と変な誘いを受けて。
割とやけくそだから、誘いに乗っちゃうあたりが何とも。同病相憐れむとはまた違いますが。
落ち込んでいたから。お互いの傷を慰め合って。

「仮初の花」。
整形美人になった女性の話。かつてブスと罵られた過去から見た目重視に思考がいって。
性格の悪さをアピールするときもあって、周囲の評判悪かったりするようですが。
過去が過去だから、恨まれるのも嫌われるのも慣れている、と割り切っていて。
かなりまた歪になっていて辛い。幸せになれればいいのに。かなり危うい。

「はかなごと」。
百合。とはいっても、はっきり付き合っている訳じゃなくて。
ここの二人もだいぶ歪んでいるなぁ。
どうせいつか男の事を好きになるんじゃないか、と不安な思いを抱いて揺れる話。

「たゆた」。
死んでしまった青年の話。
彼女にさよならを言おうと枕元に立ってみたら、彼女にはなぜか彼の姿が見えてしまって。
そこから離れられずに、ずるずると、彼女と日々を過ごしている幽霊の話。
まぁ、ああいう結末になるのは見えてましたが、なんとなくもの悲しい。

「シャンプーリンスコンディショナー」。
彼女の浮気現場に遭遇してしまって。彼女の使っていたシャンプーの香りがトラウマになった佐々木。
ふてくされて酔っぱらっていた飲み会で、同じシャンプーを使っている名取と出会って。
「若くて元気で前向きで…だから この年でひどく傷付くと 治りが遅いんだって事がわからないんだろう」。



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ちゃか

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