気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

ハーメルン

風魔術だけでも異世界は楽しいです

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「わかってるよ、プリンセスがやってることはプリンセスの我儘なんだって」

「えう……」

「だから、私も我儘でやってることだしね、否定はできないんだ」

 

前世は男性ながら、魔法のある世界にフーシャという女の子として転生した主人公。

とある行商キャラバンの下で生まれ、そこにいた魔法使いに魔術の教えを受けていた……しかし、魔術を修めた卒業の証である杖を師匠からもらう前に、キャラバンが野盗に襲われて壊滅。

フーシャは辛くも生き延びたけれど、その人以外を師匠と仰ぐ気にもなれず、一部には「杖なし」と呼ばれる魔術師となったとか。……もっとも、冒険者として名を馳せて「白迅」という二つ名を貰っているから身分証明に不足はない模様。

 

前世男らしく、男冒険者と馬鹿話で盛り上がることもあれば。女として今世20年生きて来た中で、女性陣との交流にも慣れていて。どっちとも良い感じの距離感で付き合ってるっぽいのが良いですね。

……フーシャを可愛がっている女性陣が零してましたけど「自由な猫っぽい」気まぐれさが可愛がられてるポイントなんでしょうねぇ。

ファッションとかには疎かったり。前世男故の無防備さがあったり。

新人冒険者への指導なんかも行っていることもあったりして……青少年の憧れバキュームとかいう、不本意な呼ばれ方をすることもあるとかなんとか。

 

生まれた行商人グループが殺された過去もあり、魔物もいたりして。この世界、危険と隣り合わせではあるんですよね。

二つ名持ちとして認めらえる最低限の実力を見せつつ、本気は隠しているフーシャですが……その力を駆使して、悪党退治なんかもしてるのは、エゴではあるけど彼女の優しさでもあるとは思います。

 

そんな彼女の我儘を認めつつ、助力もしてくれる友人がいるのは何より。

巻末の書下ろしエピソードは「猫可愛がりフーシャ」。野良猫と交流して、少しずつ仲良くなって。その光景を見た町の人々に受け入れられた結果……猫グッズが広まったとかいう微笑ましさが良かった。

転生程度で胸の穴は埋まらない

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「まあ、そうは言っても、普通は実家の貴族家や信仰上の理由でなかなか好きには生きられないんだけど。でも、異世界人の君はそれがない。……もしかしたら君はこの世界で最も自由なアデプトなのかもしれないね」

 

両親双方が浮気をして家庭が崩壊。それぞれから要らない子として扱われることになった主人公のコノエ。

死んでしまっては体面が悪いからか、家政婦を雇ってコノエの世話をさせる程度のことはしていたみたいですが……新しい家族の下に父も母も行ってしまって、1人だけ元の家に残されて叱責以外の会話をしない家政婦に食事を与えられてきた。

同級生は両親の居ない彼をあざ笑ったし、教師も厄介者扱いをした。コノエは他者との交流が苦手なまま育ち二十代の若さで病に倒れ、そのまま死んだ。

 

そんな彼は、転生して異世界で目覚めることに。

邪神が超巨大なダンジョンを作って魔物や病が蔓延しやすい環境を作ってしまった世界。異世界の人々もダンジョン攻略のために奮闘しているみたいですが……人々が暮らす惑星の表面積よりも数倍はあるだろう広大さで、攻略は難航。

転移魔術もあるけど使い手は貴重だから、異世界から魂を呼び寄せて車でも飛行機でも量産可能な技術を教えてもらおうと試みているとか。

ただ、異世界から魂を引っ張って来るのに目的とするものをピンポイントで引っ張れる精度はなく、それなりの数の「無関係な人」も巻き込まれることになるとか。

そうやって引っ張ってこられた転生者たちには、異世界の神様が加護を授けてくれることになっていた。

 

他の転生者たちが交流しつつ加護を定めていく中、迷っていたコノエはある教官に目を付けられて、極めればアデプトと言う生命の限界まで到達できる生命魔法の加護を進められて。

邪神の脅威に抗い、無辜の民を守る。ただ一つの義務を守れば、何をしても許される。金も名誉も女も、なんでも思いのままにできるという「自由」を与えられる。

コノエは、惚れ薬を与えてでも愛してくれる誰かが居るなら……なんてちょっとした欲から教官の提案に乗り……まぁまぁ地獄を見る羽目になったわけです。

邪神という脅威に晒され、ダンジョン攻略が停滞しているとはいえ、それでもなお滅ばずに最後の一線で踏みとどまっている人々が居る世界の「生命の限界」、到達点であるアデプトの座が軽いはずもなく。

 

コノエ自身の適性も相まって、実に二十五年もの研鑽を積まなければコノエはアデプトにはなれなかった。

そしてアデプトとなって第一歩を踏み出したことで……彼は、邪神と戦い続けている世界の現実を見ることになるわけです。

どれだけ踏みとどまっているとはいえ、犠牲が出ない戦いなんてなく。為政者の目線では大を守るために小を切り捨てる判断は下さねばならない。

どうしようもない判断ではある。それを飲み込める人ばかりではないし……足掻く人もいる。その足掻く様に光を見る人だって、居る。

奴隷ハーレム目的でアデプト修行を始めたとは思えない、とんでもない戦いを1回目から経験することになってましたが。……コノエが、少し我を示せるようになったのは良かったと思います。


後方師匠面したい系転生者1 自覚なき剣聖の勘違い最強譚

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「心で負ければ剣も鈍る。諦めに流されて笑うな、それは不義理だ。最期の瞬間まで背負い、歯を食い縛れ」

 

剣と魔法の世界に転生した主人公。

彼は、物語の主人公のように自分が活躍するのではなく、勇者を後方から見守る老兵になって「俺はお前を誇りに思う」と渋く決めるポジションに憧れていた。

農家の三男坊として生まれたものの、その理想に向けてちょっと夢見がちな部分があったため、現実を叩きこもうと猟師の爺さんに預けられることになって。そこで剣術や罠についての知識を叩きこまれることに。

 

この世界の魔獣はかなり強く、複数の前衛で足止めして魔法使いの攻撃によって仕留めるくらいの事をしないと打倒できない。

主人公の棲んでいる村の近くにある山にも、魔獣が住み着いていたけれどそれだけの戦力を揃えられず猟師の爺さんが罠も駆使して、なんとか追い払っているような状況だったとか。

主人公はそのあたりの常識に疎く……一度は魔獣に無謀に挑むも敗走。そこから鍛えに鍛えて、自分の剣の腕一つで魔獣を狩る力を身に着けることに。

 

初期の頃は「同じところに何度も攻撃することで、打ち破る」って言う力業でやっていましたけど。技術が洗練されるにつれて、極まった技術によって剣が魔力を纏い「枝で薪を斬る」みたいな超絶技巧を披露する領域にまで踏み込んでいるの、トンデモないですよね。

渋い師匠キャラになりたいぜ! って欲求だけでそこまで鍛え上げられるの、素直に尊敬する。

 

この作品は、主人公目線で描かれるかなり軽いテイストの「表」、その章で関係することになる現地キャラ達の視点で主人公の異常性が描かれる「裏」で構成されています。書籍化にあたって更に加筆要素である「補」が加わった一話ごとが三部構成になっているのが楽しいですね。

「表」だと主人公、わりと必死こいて振舞っててテキトーなコト言ってるつもりで、渋いRPには向いてないよ……って感じなんですが。「裏」や「補」で描かれている主人公の姿は、彼の目的とする姿そのものでギャップが面白い。

 

独りで魔物を狩れる実力を得てからは、弟子を拾い鍛え……その弟子がある程度育ったらまた別の場所にいく、と言うサイクルで動いてる主人公。

そんな彼を師と慕う弟子たちは、師匠に倣ってある程度拠点としてた地域の魔獣討伐を行って状況が落ち着いたのを見てから、師の背中を追いかけることに。

たまたま拾った弟子たちが、主人公の剣を会得できる根性のある子ばかりだったのは、運命を信じたくなりますねぇ。



死ぬに死ねない中年狙撃魔術師

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「どんな魂胆があって、そんなに誠実なんだ」

「誠実で、何の問題があるだろうか。無駄な嘘や欺瞞は対立を深めるだけであろう?」

「道理だ。それだけに、気に入らない」

 

「狙撃」というあだ名で呼ばれる、魔術師の男が主人公。

恋人と共に旅をしていたが、その中で強大な敵と戦う羽目になり……恋人に庇われて、彼だけが助かってしまって。

自分もそのまま死んでしまいたかったが、恋人は死に際に「ぼくの分まで、生きて欲しい」と願いを託されて。さらには星の彼方……宇宙からやってきた生命体と遭遇して。

ヤァータと名付けられたその生命体は、主人公を主としてカラス型の使い魔に化けて傍にいることに。

 

奉仕対象をひとまず主人公に絞っている間は、この世界を観察する期間と定めているので大人しいヤァータですが、その制限がなくなれば「世界を滅ぼす」と言っていて。

ヤァータ的には奉仕するための善意みたいですけど、それを受け入れられる土壌がないんですよね……。

「個」が確立していて、それが相互理解を阻んでいるからその障壁を取っ払いますとか、人類全員素材にして融合させますみたいなこと言ってるので(強制かつ強力なテレパシーで隠し事できなくするとかの方向かもしれませんけど)、そのレベルまで到達することなさそうですけども……。

 

主人公は数日かけてエネルギーをチャージして、それを用いた狙撃で敵を仕留める「狙撃魔術師」と呼ばれる職業についていて。結構な実績を積んでいるものの、「国を挙げて、凶悪な竜を討伐した」といったプロパガンダに利用されるため、彼自身の功績として公に認められることはない。

狙撃に専念できるための囮を国を挙げて行っていることがほとんどだという事もあって、彼はそれを受け入れています。

それにわかる人はわかってくれてますしね。……腕を認めた押しかけ弟子まで出てきたりもしてるんですけども。

 

恋人の死や、異界生命体に憑りつかれていること、狙撃魔術師としての待機時間が多いこと。いろんな理由が重なって一人でいることが多かった主人公ですが。

押しかけ弟子ことリラの影響が大きいですけど、彼女を正式に弟子と認めることになったことから少しずつ世界が広がっていくのが面白いですね。

人類から強大な敵が竜や悪魔、精霊と数多く取り揃えられているんですよねぇ。かつては貴族が命を賭ける生贄じみた術を使って強敵を打破していたのを想えば、狙撃魔術師と言いう新たな形式(数日かけてチャージする必要があったり、最善とはいいがたいけど)を生み出して対処できるようにはなってるので、時間かければまたできる事増えそうではありますけど。

竜種とかの強大さ見ると、それだけの時間が人類にあるのかは悩ましいですが。今まで生き延びてるから、なんだかんだしぶとく生き延びるかもな。



全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティーが病んだ。2

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「名誉がほしくて、命を懸けたわけじゃないからな」

(略)

「みんなが生きて、ここにいてくれる……それだけで、俺にとっては充分すぎる『褒章』だ」

 

1巻読んだ後、続きが気になってWEB版読みに行ったんですよね。

だから、カラー口絵で聖女三人のカラーイラスト見られたのが嬉しかったですね。

星眼の聖女ユーリリアス、眼帯してるのにかわいいし。この作品の挿絵だとキャラの眼が特徴的になっていますけど、そこが隠されているからか神の方にキラキラの効果は行ってるの良いな……。

ウォルカはアンジェが聖女であると知らないから、四人そろって並んでいる構図は読者にしか分からないものですけど、とても良いですよね。

福禍の聖女アルカシエルの聖女パワーで浮いてる謎物体も、イラストになるとそりゃ眼を引くよな……って納得がありましたし。

 

プロローグが、ならず者に利用されることになった少女ルエリィ視点。

仲間と和気あいあいと冒険者を楽しみ、中級と見なされるCランクに至ったものの……対モンスターはなんとかできても、対人の部分で警戒が甘く付け込まれてしまい、利用される状況に陥ってしまった。

……こんな悪意に満ちたイベントが、この作品の世界では珍しくないんだろうなぁ。ウォルカがダークファンタジー世界の創造主であるクリエイター(神様)に恨み言を吐くのもまぁ無理はない。

 

ただ、転生者で原作知識のあるってことを知らない他の面々からすると、普通に「神を恨んでる」認識になって歪んでいるのがまぁ……はい。

ウォルカが命を懸けたことで、執着強まってるパーティーメンバーとか、聖女の前でポロっと零しちゃうから、病みが深まっていくのでウォルカは毎回胃を痛めてますが、全て君の行いが跳ね返ってきてる結果なんだよ……がんばれ……。

 

ウォルカ、そうやってクリエイターへの恨み節を零すことはあれど、それはそれとしてファンタジー世界で「抜刀術」を極めるために厳しい修行に打ち込んだり。慈悲を与えようとならず者はまた別のところで同じことをするから、ならず者相手に情けは無用。それが次に奪われる誰かの命を守ることに繋がる、という祖父の教えを守って切り捨てる覚悟を決めているので、なんだかんだこの世界に彼なりに適応してはいるんですよねぇ。

その上で、原作では破滅するハズだったパーティーメンバーと一緒に生存するルートに入れたので、ある意味では万々歳。

死線を超えてより一段高みに行った剣術を極めるのに、義足だと不便だなぁ……みたいなシーンがあったり、胃を痛めまくってはいるけれど、ウォルカ的には現状にある程度満足してる、というのが特殊ですよね。

 

ダンジョン踏破事故が起きた原因であるパーティーに対して、思う所はあるかと聖女ディアに問われたときに「審問が正しく行われるならそれで」と言えてしまうのは、彼の強さではありますけどね。

……別の場面でロッシュから言われてましたが、「身を挺して行動できることは美しいが、欠点でもある」って言うのがまさしくそうなんですよねぇ。

パーティーメンバーの闇が深まっている中で、彼が今後どう生きていくのかは気になるところ。WRBも更新ペースゆったりなので、続きを気長に待ちましょう。

物語に一切関係ないタイプの強キャラに転生しました

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「貴様はこの世界で、何を成すつもりだ?」

(略)

「のんびり幸せに生きていける世界を作るんだよっ」

 

科学技術も発展しつつ魔法も存在するファンタジー世界を舞台にした『ネオンライト』というゲームにハマっていた主人公。

【十三階段】という、ゲームの舞台となっているネオンシティを支配している裏組織が存在して。ゲーム主人公たちはそれに対抗する反抗勢力に所属しているとか。

 

タイトル通りその作品世界に転生した主人公でしたが……彼のポジションは、ゲームに関係しないモブキャラだった。それどころかブラック企業で働く社畜だった。

上司に連絡を取ろうとしたもののどこかで油を売ってて連絡が取れず、個人の判断で仕事の話をまとめて終わらせたら、説教されている場面から転生先……ルクスの物語が始まるの、世知辛すぎる。

 

原作知識はあるけれど、モブキャラである自覚もあるから下手に介入してストーリー改変がされてしまうかもしれない。そして生きていくにはお金が必要で、だから普通には垂らしている。

……と言いつつも、ブラック労働は過酷だから備えるためにこっそり副業とかもしてるわけですが。

裏組織と主人公たちの対立を知っていながら、副業で警備のアルバイトをして「というか警備が必要ってことは、襲撃を警戒しているのでは?」とか言うの、一手も二手も遅い。

 

実際襲撃起きてましたし。認識できるものなら全て斬れる魔法剣を使い、距離や時間すらも切って戦闘を危なげなく片付けてはいましたが。

その結果、隠されていた秘密……本来なら命を失うはずだった少女タナトスを助けることになって、そこから少女の姉である、主人公に倒されるはずだった章ボスである悪竜リヴィアとも縁が出来ることになって。

 

タナトスは本来なら殺されるはずだったから、自分がここで助けても良いか……と自分を誤魔化そうとしていたの往生際が悪いというか。

ゲームラスボスは、自分の想定したシナリオを壊すゲーム主人公を変数として興味深く観察していたところ、自分も知らない転生者とか言う未知数の存在に計算を狂わされまくってお疲れ様ですというほかない。

ルクス的はまだ言い訳できる範囲と思い込もうとしてますが、主人公が章ボスのリヴィア倒す経験を積めなかったり、対抗勢力も想定が崩されて不満が溜まってたり、シナリオはかなり早い段階で崩壊してる感が強い。

かくして少年は迷宮を駆ける1 強欲の迷宮と借金まみれの新米冒険者

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「……それでも止めないの? 死ぬかもしれないんだよ?」

ナナが問うと、当たり前だ。と、グレンは言い切った。

「これからアイツらは地獄を見るんだ。その入り口で躓いてたらそれまでだ」

グレンの言葉はどこまでも容赦なく冷徹で、そして救いようがないほどに正論だった。

 

WEBでタイトルは見た事ある作品ですね。あらすじが微妙に合わなくて手を出してなかったんですが、フォロワーが熱心に推してて書籍化に際して読んでみることに。

結果、面白かったです。なんでも食わず嫌いはせずちゃんと読んでみるべきですねぇ。感想ブロガー10年目にして改めて思うなどしました。

 

栄華を誇っていた人類は、けれど地中から突如現れた迷宮とそこからあふれ出た魔物によって、支配領土を大きく失った。

安全な土地に棲める人数は限られ……主人公のウルはまさに、都市と都市の間を放浪する【名無し】と呼ばれる、作中でも最底辺の世界で生きる少年だった。

一日一日を生きるのに必死な中でも幼少期に出会った老人が彼に道徳を教えたことで、常識を持って過ごしてきたようですが。

ロクデナシだった父が借金を残して死亡。妹を借金のカタに取られることになってしまい……ウルは、それを阻止するために奮闘することになるわけです。

 

最初は、父が遺した借金分の金貨10枚をどうにかしようと迷宮鉱山に就職して。

そこの上官は魔石の横流しとかやっていたみたいですが、その隠し場所に迷宮が発生。相手の弱みを突いて、その迷宮を攻略することでどうにか妹を取り戻すきっかけにしようとした。

しかし、命の危機を乗り越えた彼を見たのは、不正が発覚した彼が失脚している様子と……さらに上の立場の人間が出てきて、隠し通したかった妹の秘密がバレてしまうことになって。

そのお嬢さん……ディズは「妹を金銭的に取り戻す交渉につくとして、金貨1000枚」という銅貨数枚に苦慮していたウルの生活からは想像できない金額を提示してくることになって。

それでも妹のためになにもしない、なんてことを選べなかったウルは当人の希望とは違って迷宮に挑む冒険者としての道を進んで行くことになるわけです。

 

ウルの冒険者としての資質はあくまで並みでしかなくて。ひょんなことから知り合い、パーティーとして行動することになった少女シズクのように魔法の才能もない。

彼の教官となったグレンは、真っ当に生きる分には良いことである常識的な部分がウルの枷になっていることにも気が付いてましたが。

厳しすぎる篩にかけて誰も残らない。それでも食らいつく相手にはしっかりと教えてくれるグレンと会えたのは、ウルたちにとって良い経験になったのではないでしょうか。

ディズが、ウルの妹アカネの権利についての交渉を継続するために、ウルがその価値に値する存在だと示してくれ、と課題提示したりもしてきてましたし。

全てが順調とは言えず、トラブルの類もまぁまぁあったり常時綱渡りみたいなこともしましたが、それでもなおわたり切ったのはお見事。

まぁハードル一個超えただけでまだまだ先は長いようですけれど、ウルのその難解な挑戦を見届けたい、という気持ちにはなりましたね。良かったです。

バスタード・ソードマン

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「でも、貴方が躊躇なく人間を殺せるような人じゃなくて良かったとも思っているわ」

「……俺の強さとは関係ない部分だが?」

「そうね。けど、私たちが見たかったのは何も、それだけってわけでもなかったから」

「過保護だねぇ」

 

主人公のモングレルは、剣と魔法のファンタジー世界に転生した現代地球で生きた記憶のある青年。

敵対しているハルぺリア王国とサングレール聖王国の国境沿い、一応ハルぺリアに属していた村に生まれたそうですが……国が争っていても、民の間では多少の交流があって。モングレルは父がハルぺリア人、母がサングレール人のハーフであり髪色にその特徴が顕著に表れていた。

 

そのことで幼少期から目をつけられていたし、試しにリバーシを作成してみたら村長の息子に成果を盗られるし。さらにリバーシの一件はしばらくしてから村長の息子が消されて、気付いたら製作者はどこぞの貴族ということになっているし。

そういったトラブルを経験してきたこともあって、モングレルは強力なギフトを持っていて、現代知識を活用して世界に衝撃を与えることだってできたが……それをしない道を選んだ。

 

魔物を狩ったり、各種依頼を達成するギルドマンとしての活動をつづけブロンズ3までランクを上げた。周囲の人は、彼の実力と実績ならそれより上のシルバーランクでもやっていけると、たびたび昇進を勧めてますが面倒事もついてくるからと彼は敢えてその地位にとどまっていた。

適度に貢献度と日銭を稼いで、たまに都市清掃とかの低ランク向けの依頼にも顔を出す。謎の開発者ケイオス卿として悪用されない程度の知識を流して、自分の生活が便利になるようにする。時には自分で変な武器を買ったり、周囲から物好きを思われるような開発をしてみたり、異世界で「ほどほど」の暮らしをするために必要な振る舞いをモングレルは続けていて、いっそ感心する。

 

自分のやりたいことをやりたいようにして、親しい連中と時にバカ話で盛り上がる。現代人としての意識があることで舌が超えてて食事方面で不満があったり、なんでも叶うわけではないにせよ、妥協点を見出して生き抜くのが上手いというか。なんだかんだ生き延びている強かな部分があって結構好きなキャラでしたね、モングレル。

アラサーがVTuberになった話。4

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「私には同期がもういませんが……同僚には恵まれたなって思っています。特にこのメンバーは本当の同期みたいにって言うと失礼かもしれないですけれども――」

「馬鹿野郎。失礼もクソもあるかよ。そこは『俺たちを同期みたいに思ってる』、それで充分だろうが」

 

相変わらずなかなか登録者数は伸びない者の、彼自身はのびのびと活動しているVTuber神坂怜。

同僚には恵まれていて、後輩に御影くんが来たことであんだーらいぶ男子組も4人になり、モンスターを狩るゲームだったりを4人プレーで楽しめるようになったのは良いですね。繋がりが広がっていってる感じが実に良い。

 

同業他社で働くかつての後輩と食事に出かけた際、お土産の為にカップル偽装をしたことで妹ちゃんに問い詰められる一幕が発生したり。

エロゲ案件からのつながりで、ラジオ収録に参加することになって。お互い察しはついていたけれど、声優・葵陽葵とVTuber・神坂怜の中の人が「初対面」をすることになったり。

続編が出ることになったので再び体験版配信案件をすることになったり、というのはちょっと笑える良い繋がりですけど。

 

同期デビューするはずだったが、トラブルで即消えていったハセガワ氏が別の箱の企画でVTuberとして復活しそうな気配があり……さらにはそれを面白がった勢力によって投票工作まで始まる騒動に発展したり。

妹ちゃんの友人でもあり、VTuber十六夜真として活動している少女の周囲でちょっとごたついてる話があったりするのは、良くない流れではありましたねぇ……。

 

でも、そういったときに頼れる先輩がいるのは本当にありがたい。

真嬢の問題解決について、WEBだと怜がベストだと思った方法が割とサクッと採用されていたと思いますが、書籍化にあたってそこが掘り下げられていましたね。

一度却下されてしまうけれど、柊先輩の行動が一大ムーブメントとなって、最終的に問題解決に寄与してくれる、という。

あとがきにもありましたが、柊先輩が業界トップの男性VTuberであるというのが良く伝わってくるエピソードでした。普段ガチャ爆死してるシスコン面白魔界人なのに、締めるところでは締めてくれる格好良さもあるのは、そりゃファンも増えるわ。

 

怜、妹の雫ちゃんに対して愛が大きすぎるのは……まぁ彼の個性として置くとして。実際、お菓子作りだとかアレコレでスペック高いし、声も良いっていう武器になりそうなものそこそこあるのになんであんなに伸びないんですかねぇ。

……定期的に虚無配信してるのと、飛び火しての炎上で固定アンチがいるからかな……。



アラサーがVTuberになった話。3

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「あなたが『救い』といってくれているように、その言葉が、あなたが、いえ……視聴者の皆さんが私にとっての『救い』なんですよ」

(略)

「無理に変わる必要なんてないですけど、新しく何かを始めると――意外と意識も変わってくるものですよ。私はVTuber始めてからは毎日が凄く楽しいですし、こうして皆さんとやり取り出来てるのが本当に嬉しいです」

 

VTuber神坂怜の配信は、相変わらず。

爆発的に登録者数が伸びるではなく、サジェストに『炎上』と残り続けるなどマイナスイメージも払拭できていないのが常態化してるのは、まぁ良くはないんですが。一度ついたイメージカエルのってなかなか難しいですからねぇ……。

ある意味安定はしてるし、怜自身もVTuberとしてはブレないのでそこは安心してみてられますねぇ。怜の中の人はいろいろと闇深そうなので、活動を通して救われて行って欲しいものですが……。

良い仲間には恵まれているものの、そのあたりはじっくり進行だからなぁ。

 

さて今回は、急遽代役としてFPS大会に参加することになった朝比奈先輩に声を掛けられ、男子VTuber三人チームで挑む事に。

緊急参加なのもあってポイント扱いされたりする状況もありましたが、エンターテイナーとしてやり切ったのはお見事。

……途中、ランドマークとか各チーム情報のせたMAP情報とか作って公開してる当たり、相変わらず凝り性ですねぇ怜。

今回の彼のパワポ芸で面白かったのは、柊先輩と一緒に担当したソシャゲ案件で専用のアカウントもらったから全キャラ使って使用感を反映したダメージ計算機とかまで作り出しているところ。もう君が攻略サイト運営しなよ……。

 

あと大きいのは別のサイトで動画配信者として活動していた人物が、後輩VTuberとして加入――いわゆる『転生』をすることになって。

男女ペアでの開始でしたが、前世のリスナーのこともあってまた怜の登録者数抜かされれちゃった……。でも、裏で怜に相談してくれたり、ちゃんと先輩としてみてくれてるのあったかくて良いですね。

後輩のミスがあった時もフォローに動いてましたし、本当にそういうところだぞ、怜。

 

最後の章が『閑話 とあるリスナーの話』で、怜リスナーのエピソードだったんですが……。掲示板で色付き固定ハンドルになってる人物でびっくり。あれ、「ガチ恋ネキ」だったのか。他はモブスレッドとか、FPSのソロマスターとか、シスターとかで分かりやすかったんですが、なるほどなぁ。

1巻でのリアルイベントで人生相談の様相を呈していた時から思っていましたけど、なんで脱サラのリスナーはこんなに濃いのだろうか……。面白いですけどね。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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