気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

ハーメルン

バスタード・ソードマン5

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「ん? なぁモングレルさん、これ……何を運んでるんだ? 袋?」

「なんだよわからないのか? ああ、初めて見るのか、こういうのは」

(略)

「ギルドマンの戦死者だ。俺たちハルぺリアから徴兵された、シルバー以上の連中……国を守るために死んでいった、勇者たちだよ」

 

敵国とのハーフであるため、厳しい目で見られることもあるモングレル。

それでもハルぺリア人としての愛国心はあって。生まれ故郷を踏みにじられるのは我慢ならないと思っていた。

そして戦争時、ギルドマンは徴兵され……シルバーランク以上は前線での戦闘要員、ブロンズ以下は後方での補給などを担当することになるそうで。これこそが、モングレルがベテランブロンズであり続けている原因なんですよねぇ……。

 

今回はついに戦争が起きることとなったわけですが。

滅ぼされたモングレルの故郷、シュトルーベは敵国サングレールからすると最も侵攻しやすい場所だったため、年一でモングレルが破壊活動を行っていてもそこからの攻めを諦めて切れてないとか。それを考えると『亡霊』の功績はかなり大きいな……。

後方で補給のサポートやってたのに、補給線を破壊しに来た敵国の兵士と戦う羽目になってるあたりついてない。ギフト持ちの相手が早々に撤退を選んでくれたのは、ラッキーでしたが。

 

想定よりも早く今回の戦争は終わりましたが……それでも国同士がぶつかっていれば、死者は当然出てくるわけで……。

アルテミスや若木の杖の、モングレルの友人たちは無事でしたが。バカ騒ぎしてる男仲間の多い大地の盾や、収穫の剣からは死者は負傷による引退者がでてるそうで。空しいねぇ……。

モングレルの、戦争は虚しいしクソだけど、だからこそそこで頑張って戦った人へは敬意を払うべき、という考えは結構好きですね



バスタード・ソードマン4

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「力を隠すことは間違っていないから。人に知られたら良くない力も、世の中にはある」

(略)

「でも、覚えておいて。私たち“アルテミス”はそんな力の持ち主であっても受け入れる。はぐれ者同士で身を寄せ合えば、少しは安全でしょう?」

 

魔物がいて、ろくに道路整備も行われていない文明の中で旅行するのはとかく面倒だ、とモングレルは言っておりますが。

“アルテミス”の遠征に同行する形で、ザヒア湖へ足を延ばすことになって。普段と違う環境での釣りを楽しみにしてるのが実に彼らしい。

 

巻末に収録されている書き下ろし番外編1「モモとモングレルとモノづくり」で出会いが描かれていましたが、近ごろレゴールに戻ってきた若木の杖の団長サリーの娘モモはモノづくりの趣味が合ったそうで。

モモの試作した、足ヒレ的な水中移動用の装備のテストも頼まれていたりするし。護衛依頼を受けつつ行う、骨休めも兼ねた遠征に同行する形なので、仕事はちゃんとしてるんですけど、趣味にも全力なのが一貫してますよね。

楽しみつつも、ライナが念願の2つ目のスキル得られてましたし、良い遠征だったのでは。

 

合間にあったエピソードで言うと、新人ギルドマンたちが、補助武器としての投擲武器についての話。剣士だけとかになるとサポート用にあると便利なのは間違いない。

……けれど、この世界ではうっかりそれに頼り過ぎて投擲関連のスキルを習得してしまう可能性もあって危ないとか。こういう地味な設定開示、好きなんですよね。

……楽しいばかりであればよかったんですが、どうにも戦争になりそうな気配が漂ってきてるのが不穏。

 


バスタード・ソードマン3

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「……まぁなんだ。孫の顔は見せてやれるかアレだが、長生きはするぜ、俺はよ」

 

レゴール、そこそこの規模があって発展していて、治安の悪いこの世界で考えれば暮らしやすい部類の町だとモングレルは評していましたね。

時に問題ある衛兵に絡まれることもあるそうですけど、基本的に治安維持をちゃんとしてくれてるし。都会の喧騒に疲れたら、モングレルは森でキャンプして息抜きしたりしてますしね。

 

……そうやって、日々過ごしたいように過ごしてる自由人ですけど、不便な開拓村での暮らしも悪くなかったというモングレルの哀愁よ。

彼が夏場の習慣としている7日の野営。いつもの趣味と周囲には思われているみたいですけど、その実地図上はサングレール聖王国の領地になっているシュトルーベ開拓村跡まで行ってるって言うんだから、律儀というか……真面目というか。

 

モングレル、ランプアップすると義務も増えて、ハーフだからと使いつぶされたくない、と自衛も兼ねてベテランブロンズであり続けているんですが。

彼を慕っている後輩のライナが、シルバーに昇格する一歩手前のところまできて。パーティーの団長から、上のランクの仕事に挑むならスキルをもう一つ習得するのが絶対条件と言われることになって。

 

口にこそ出さないけど、ライナがモングレルも一緒に挙げて欲しいと思ってるのが可愛い。

なお、そのモングレルは本当に昇格するつもりがなくて。ギルドの副長も、制度上違反でもないからそのままにしているけど、実力を認める声はある、と言ってますしね。

昇格イヤイヤ期とか言ってくる副長、面白いな……。面白副長の持って来た「悪い話」にのって、モングレルが達成感を得るまでの流れは笑った。

 

書き下ろし番外編で「シュトルーベに溜め池を作ろう!」という、モングレル幼少期のエピソードが収録。まだ夢を抱いていた少年のモングレルを見た後の、電子書籍書下ろし短編が「シュトルーベで草むしりをしよう!」なの温度差で風邪ひきそう。



バスタード・ソードマン2

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「……レゴールが平和で何よりだよ」

「左様でございますな」

 

六歳の頃に買ったバスタードソードを、二十九歳になった今も持ち続けてるモングレル、物持ちが良い……。彼がこの世界で初めて手に入れた武器であり、家族の関わっている数少ない思い出の品でもあるからっていうのがプロローグでサラッと描かれているのが好きですね。

 

モングレル、ハーフだったり転生者としての知識があったりすることで、力量はあるのに昇進しない「ベテランブロンズ」として、一定の信頼を得ているわけですけど。

もっと上のランクでもいけるという実力への評価もありつつ、真似しちゃいけない悪い例でもあるんですよね……。

基本ソロで活動していて盾も持たず、半端な長さのバスタードソード一本で戦っている変人扱いもされているの、反論の余地はない。いや、モングレル自身は反論して「俺だってちゃんと盾持ってるぜ!」と言って案の定変な盾持ってくるの、趣味に生きすぎている。

 

レゴール周辺の魔物、シルバークラスからすると歯ごたえが無いみたいですが。

ケイオス卿絡みの発明があるため勢いがある町として認識はされていて……。モングレルとも知己であり、王都に拠点を移したパーティー「若木の杖」がもっとレゴールが伸びるだろうと拠点を戻す判断をしたりもして。

いざとなったら王都に戻ってもやっていけるから、という保険がありつつこの都市移動が大変そうな世界でなんども拠点移すのは、団長のサリーも言ってるとおりちょっとした博打ではありそう。

ケイオス卿=モングレルを知っていると、モングレルが腰を据えているし開発続けていくだろうから、サリーの判断間違ってないと言えそうですが。

……いやでも、サリーが戻ってきてから市場に出た開発品アダルトグッズなんだよな。

ケイオス卿としての発表ではなく、モングレル個人として卸してるから「スケベ伝道師」という新たなクリエイターとして捜索される羽目になってるのを知ったら、ちょっと判断間違ってたというかも。

モングレルですら予想以上に早く売れてしまって、万が一繋がりが発覚するとケイオス卿のブランドに傷がつくからと製作辞めるほどでしたからね……。

転生程度で胸の穴は埋まらない3

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『――コノエ。一つ、約束をしない?』

『もし、あなたが、いつか本当に手に入れることが出来たなら……そのときは、それを私に教えて欲しい――私も、それが欲しい』

 

テルネリカ、コノエに対して結構積極的になってきたというか。やりたい事をしっかりアピールしてくるの良いですよね。

寝たフリでもいいからしてみませんか? というのを、やってみましょう! と実践して凄く楽しそうにやってましたし。コノエがその寸劇を恥ずかしがってたのも、成長を感じる。

後に教官から、世界を浸食するほど強い意志を持つ固有魔法に目覚めるような女の子は、重い女が多いから気を付けな、と色々と欠けていてハーレム志望でアデプトに入門したコノエに注意してくれてましたが。……えーっと、あのぉ……読者目線でも既に手遅れなんじゃないかなぁ、って。いいぞもっとやれ(小声)。

 

続けざまに災厄級の魔物と対峙する羽目になったコノエでしたが……そんな彼に、訓練生時代に交流のあったアデプトの少女、竜人のフォニアが訪ねてきて。

百年前、天蓋竜に滅ぼされたアーキノルカという国の生き残った王族。

学舎で同期ではあったけれど、フォニアは十年でアデプト認定されて出て行った才能がある人物で。二十五年かかったコノエとは、訓練でも組むことはほとんどなかったそうですが。

 

そんな彼女がコノエを訪ねて来た目的は二つ。一つは、フリーのアデプトという貴重な枠であるコノエの勧誘。これはまぁ、失敗するんですけど。

もう一つは、アデプトになった人全員に挑戦してもらっているという、アーキノルカで封印している魔王の討伐が叶うかどうか、という挑戦をしてもらうため。

国としての形を失うほどの被害を出してなお、魔王の封印は世界の為に守り抜いたって言うんだから、先人たちは凄まじいですねぇ……。

 

なにか討伐のヒントが得られれば良い、と探索に特化した固有魔法を持ち火力という意味では一歩劣るメルミナも挑戦しているものになるとか。

そうやって挑戦した結果、答えを導き出せるコノエを招くことに成功したわけですから、お見事だったといいますか。コノエ一人で解決できたわけではなく、これまでの積み重ねが結実した末に未来を掴むことが出来たのが、とても喜ばしい。

転生程度で胸の穴は埋まらない2

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「――実は、私、すっごく強いのよ」

「…………ああ、知っているよ」

 

前回の争乱を乗り越えた末に、エルフの少女テルネリカを傍に置くことになったコノエ。

人類の守護者であるアデプトであるコノエは、人が近づいたら目覚める体質になっていたが……彼をいつも起こしに来るテルネリカが、いつかそうしても良いと思ったら、寝たフリしてくれても良いですよ、って言ってるの良いな……。

 

邪神関連の脅威がある関係で、どうしたって人の命が安くなっている異世界。

貧富の差だって当然あって、スラムも生まれる。神様や国も、出来る範囲で支援はしているみたいですけど、全てを救えるはずも無くて。

テルネリカの故郷だってより大きなものを守るために、切り捨てられようとしていたわけですしね……。

そんな世界で、側にいるテルネリカを守るために金を稼ぐことは必要だよな、とコノエは思ったわけです。治安のよい場所に住むためにも、護身用の魔道具だって良いものには金がかかるわけですし。

 

フリーのアデプトであり、異世界人なため常識に疎いことを自覚したコノエは仕事を紹介してもらえないかと、教官を訪ねたわけです。

そこで直近の大規模反乱でアデプトとして不甲斐ない部分を見せた、として同期の少女メルミナが再教育されているところに遭遇したり。

教官から、メルミナと一緒に仕事を任されることになったり……恒例行事として民に受け止められている、教官のお見合いについて聞かされることになったりするんですが。

 

神様からも教官やメルミナに気を配って欲しい、というようなお願いをされていて。

コノエはメルミナから汚染地での仕事に誘われて、参加することに。メルミナはコノエに対して思うところがあり……彼の近くにテルネリカという少女がいることにも心を刺激されることになってたりしたんですが。

 

彼女もまた固有魔法に目覚めたアデプトとして、譲れない信念を持っていて

固有魔法の会得には、世界を塗り替えるほどの渇望が必須で……だからこそ、アデプト同士でも相性が悪いというのは普通に起こりうるそうです。

メルミナの渇望は範囲が広くて、なかなか人と組まないって話でしたが。コノエには結構気を許していて。……けれど、そんな彼女はなぜかここ10年ほどはほとんどコノと会っていなかった。

メルミナの渇望や、彼女の過去。会いに来なかった理由。そういった内面を深掘りする事件に遭遇することになっていくわけですが。

訓練生時代は後ろから一番・二番を争っていたコノエとメルミナでも、あれだけの力を発揮できるの、凄いですよねぇ……。

全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティーが病んだ。3

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「たぶん、あんたならわかるんだろ……この世界に、困ったときに助けてくれる神様なんていない。自分で足を動かすしかないんだ。そうしなきゃなにも守れない」

(略)

「――口だけじゃないのを見せてやる。来い」

 

聖女ユーリリアスとアルカシエルがカラー口絵に登場していて、見目麗しくて良いですねぇ。

……他のカラーイラスト、ウォルカ絡みで泣いてるパーティーメンバー3人と、世話になっている受付嬢とかで相変わらず暗いというか重いからな……。いやまぁ、聖女様方の絵になっているシーンも審問の場だから決して煌びやかなシーンでもないですけど……。

 

ウォルカ達が巻き込まれた、踏破承認事故。

ゴウゼルに関しては真のボスが倒されて、ウォルカが片目と片足なくす怪我をしましたが生還して、ひとまずは決着したわけですけど。一度事故が起きた以上「他のダンジョンの承認は大丈夫なのか」という疑問は当然出てきて……その対処のために職員の方々は奔走していたとか。

 

ゴウゼルの承認依頼を出した、ウォルカ達とも交流のある職員の少女シャノンは「自分が問題のあるパーティーに承認依頼を出したから、自分のせいだ」と悩み続けることになっていたし。

承認事故を起こした末に、聖都を出奔したパーティーの一員ながら、新人ばかり優先する男たちとの関係が悪化し、一時的に離脱して王都に言っていた女性フリクセルも、自分たちのパーティーに火種がくすぶっているのを知りながら解決を先送りにしていたことで、目をかけていた後輩が負傷した結果に心を締め付けられる想いを味わう羽目になったわけです。

 

……いやぁ、ウォルカ君罪な男だなぁ。パーティーメンバー以外にもあちこちに彼によって心を焼かれた人が居て、方向性は違うけど重い感情を秘めて、今回の事故で爆発して病む傾向にあるから……。

かつて友人がウォルカの様に足を失い、それでも戦おうとして……失意の中死んでいった過去を持つ冒険者ラムゼイ。まぁ、そういった失意の過去があって同情の余地はありつつ、今のラムゼイは酒に溺れる厄介者に堕ちていたみたいですけど。

思う所ありまくるラムゼイもまた、ウォルカに焼かれているクチだからな……。

 

普通なら剣士としては戦えない怪我をしたウォルカ。抜刀術というこの世界にない技に傾倒している、剣術馬鹿がそんな怪我してどうするんだ、と腐しつつ「その道は険しいぞ」と教えてくれようとしたの、ウォルカも言ってましたがひねくれてるというか面倒なタイプですなぁ……。

片目のウォルカに砂投げつけたり、義足狙ったりと分かりやすい弱点ついてくるような真似もしてたし。その戦いの中でウォルカは、グリムリーパーを斬った時の感覚を思い出して成長してるのがとんでもないですねぇ……。感化される人が増えたのも分かる。



風魔術だけでも異世界は楽しいです

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「わかってるよ、プリンセスがやってることはプリンセスの我儘なんだって」

「えう……」

「だから、私も我儘でやってることだしね、否定はできないんだ」

 

前世は男性ながら、魔法のある世界にフーシャという女の子として転生した主人公。

とある行商キャラバンの下で生まれ、そこにいた魔法使いに魔術の教えを受けていた……しかし、魔術を修めた卒業の証である杖を師匠からもらう前に、キャラバンが野盗に襲われて壊滅。

フーシャは辛くも生き延びたけれど、その人以外を師匠と仰ぐ気にもなれず、一部には「杖なし」と呼ばれる魔術師となったとか。……もっとも、冒険者として名を馳せて「白迅」という二つ名を貰っているから身分証明に不足はない模様。

 

前世男らしく、男冒険者と馬鹿話で盛り上がることもあれば。女として今世20年生きて来た中で、女性陣との交流にも慣れていて。どっちとも良い感じの距離感で付き合ってるっぽいのが良いですね。

……フーシャを可愛がっている女性陣が零してましたけど「自由な猫っぽい」気まぐれさが可愛がられてるポイントなんでしょうねぇ。

ファッションとかには疎かったり。前世男故の無防備さがあったり。

新人冒険者への指導なんかも行っていることもあったりして……青少年の憧れバキュームとかいう、不本意な呼ばれ方をすることもあるとかなんとか。

 

生まれた行商人グループが殺された過去もあり、魔物もいたりして。この世界、危険と隣り合わせではあるんですよね。

二つ名持ちとして認めらえる最低限の実力を見せつつ、本気は隠しているフーシャですが……その力を駆使して、悪党退治なんかもしてるのは、エゴではあるけど彼女の優しさでもあるとは思います。

 

そんな彼女の我儘を認めつつ、助力もしてくれる友人がいるのは何より。

巻末の書下ろしエピソードは「猫可愛がりフーシャ」。野良猫と交流して、少しずつ仲良くなって。その光景を見た町の人々に受け入れられた結果……猫グッズが広まったとかいう微笑ましさが良かった。

転生程度で胸の穴は埋まらない

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「まあ、そうは言っても、普通は実家の貴族家や信仰上の理由でなかなか好きには生きられないんだけど。でも、異世界人の君はそれがない。……もしかしたら君はこの世界で最も自由なアデプトなのかもしれないね」

 

両親双方が浮気をして家庭が崩壊。それぞれから要らない子として扱われることになった主人公のコノエ。

死んでしまっては体面が悪いからか、家政婦を雇ってコノエの世話をさせる程度のことはしていたみたいですが……新しい家族の下に父も母も行ってしまって、1人だけ元の家に残されて叱責以外の会話をしない家政婦に食事を与えられてきた。

同級生は両親の居ない彼をあざ笑ったし、教師も厄介者扱いをした。コノエは他者との交流が苦手なまま育ち二十代の若さで病に倒れ、そのまま死んだ。

 

そんな彼は、転生して異世界で目覚めることに。

邪神が超巨大なダンジョンを作って魔物や病が蔓延しやすい環境を作ってしまった世界。異世界の人々もダンジョン攻略のために奮闘しているみたいですが……人々が暮らす惑星の表面積よりも数倍はあるだろう広大さで、攻略は難航。

転移魔術もあるけど使い手は貴重だから、異世界から魂を呼び寄せて車でも飛行機でも量産可能な技術を教えてもらおうと試みているとか。

ただ、異世界から魂を引っ張って来るのに目的とするものをピンポイントで引っ張れる精度はなく、それなりの数の「無関係な人」も巻き込まれることになるとか。

そうやって引っ張ってこられた転生者たちには、異世界の神様が加護を授けてくれることになっていた。

 

他の転生者たちが交流しつつ加護を定めていく中、迷っていたコノエはある教官に目を付けられて、極めればアデプトと言う生命の限界まで到達できる生命魔法の加護を進められて。

邪神の脅威に抗い、無辜の民を守る。ただ一つの義務を守れば、何をしても許される。金も名誉も女も、なんでも思いのままにできるという「自由」を与えられる。

コノエは、惚れ薬を与えてでも愛してくれる誰かが居るなら……なんてちょっとした欲から教官の提案に乗り……まぁまぁ地獄を見る羽目になったわけです。

邪神という脅威に晒され、ダンジョン攻略が停滞しているとはいえ、それでもなお滅ばずに最後の一線で踏みとどまっている人々が居る世界の「生命の限界」、到達点であるアデプトの座が軽いはずもなく。

 

コノエ自身の適性も相まって、実に二十五年もの研鑽を積まなければコノエはアデプトにはなれなかった。

そしてアデプトとなって第一歩を踏み出したことで……彼は、邪神と戦い続けている世界の現実を見ることになるわけです。

どれだけ踏みとどまっているとはいえ、犠牲が出ない戦いなんてなく。為政者の目線では大を守るために小を切り捨てる判断は下さねばならない。

どうしようもない判断ではある。それを飲み込める人ばかりではないし……足掻く人もいる。その足掻く様に光を見る人だって、居る。

奴隷ハーレム目的でアデプト修行を始めたとは思えない、とんでもない戦いを1回目から経験することになってましたが。……コノエが、少し我を示せるようになったのは良かったと思います。


後方師匠面したい系転生者1 自覚なき剣聖の勘違い最強譚

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「心で負ければ剣も鈍る。諦めに流されて笑うな、それは不義理だ。最期の瞬間まで背負い、歯を食い縛れ」

 

剣と魔法の世界に転生した主人公。

彼は、物語の主人公のように自分が活躍するのではなく、勇者を後方から見守る老兵になって「俺はお前を誇りに思う」と渋く決めるポジションに憧れていた。

農家の三男坊として生まれたものの、その理想に向けてちょっと夢見がちな部分があったため、現実を叩きこもうと猟師の爺さんに預けられることになって。そこで剣術や罠についての知識を叩きこまれることに。

 

この世界の魔獣はかなり強く、複数の前衛で足止めして魔法使いの攻撃によって仕留めるくらいの事をしないと打倒できない。

主人公の棲んでいる村の近くにある山にも、魔獣が住み着いていたけれどそれだけの戦力を揃えられず猟師の爺さんが罠も駆使して、なんとか追い払っているような状況だったとか。

主人公はそのあたりの常識に疎く……一度は魔獣に無謀に挑むも敗走。そこから鍛えに鍛えて、自分の剣の腕一つで魔獣を狩る力を身に着けることに。

 

初期の頃は「同じところに何度も攻撃することで、打ち破る」って言う力業でやっていましたけど。技術が洗練されるにつれて、極まった技術によって剣が魔力を纏い「枝で薪を斬る」みたいな超絶技巧を披露する領域にまで踏み込んでいるの、トンデモないですよね。

渋い師匠キャラになりたいぜ! って欲求だけでそこまで鍛え上げられるの、素直に尊敬する。

 

この作品は、主人公目線で描かれるかなり軽いテイストの「表」、その章で関係することになる現地キャラ達の視点で主人公の異常性が描かれる「裏」で構成されています。書籍化にあたって更に加筆要素である「補」が加わった一話ごとが三部構成になっているのが楽しいですね。

「表」だと主人公、わりと必死こいて振舞っててテキトーなコト言ってるつもりで、渋いRPには向いてないよ……って感じなんですが。「裏」や「補」で描かれている主人公の姿は、彼の目的とする姿そのものでギャップが面白い。

 

独りで魔物を狩れる実力を得てからは、弟子を拾い鍛え……その弟子がある程度育ったらまた別の場所にいく、と言うサイクルで動いてる主人公。

そんな彼を師と慕う弟子たちは、師匠に倣ってある程度拠点としてた地域の魔獣討伐を行って状況が落ち着いたのを見てから、師の背中を追いかけることに。

たまたま拾った弟子たちが、主人公の剣を会得できる根性のある子ばかりだったのは、運命を信じたくなりますねぇ。



プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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