「笑顔にした人が一人だけになったら アイドルやっちゃだめでしょ」
「育て方 間違ったかな」
雪子先生による百合短編集。
『Cry for the Moon』、『Pink for Tear』。
人気アイドルのリーダー月と、そんな彼女に憧れてグループ入りした少女・涙花。
中学生でアイドルになり、憧れている月のことを姉と呼んで慕っていた涙花は……4年後、グループで上位の人気を得ていたタイミングで、突然のアイドル引退。
月もなにも効いておらず……直後の人気投票では、優勝候補だった涙花がいなくなったことで月が1位に。
自分に何も言わずに引退したことには月も思う所はあれど、なんだかんだ交流が続いているのは良いですね。それどころか、涙花もアイドルは引退したけど月と一緒にモデルやったりだとかはしてるみたいですし。オマケ的に書かれていた、同居してるっぽいのを隠さず配信に乗せたりしてるの、涙花の引退したことをきっかけに月の方も大分自由になったのでは……? という距離感の交流が結構好きです。
『あの子と仲良くなる方法』。
モデルをやっている女子大生さよりん。しかし一緒に仕事をしているギャルなゆまちの方が人気なことが、内心で面白くなく……それでも、ちゃんと猫被れるあたりは大人ですね。
ちょっとトラブったときにゆまちの今まで見たことない顔をみて、少し絆されているあたりはちょろかったですけど。
『アイドルやめたらしたいこと』。
アイドルネタですが、月たちとは違うアイドルの話ですね。
現役の美穂乃と、引退したけど交流が続いていて……なんならホテルを共にする仲である蒼、って感じなので関係性は似てましたけど。こっちはこっちで距離がとても近くて可愛かったですね。
アンソロジーに寄稿したもので、不完全燃焼感があったから元のプロットを再構成したのが月たちのエピソードになるようです。どっちも好き。
あとは女子高の王子様の話とか、吸血鬼たちの通う学校に事情を知らずに通うことになってしまった人間の少女とそのことにただ一人気付いた吸血鬼の話とか。
あとは作者さんの完結したシリーズ『ふたりべや』の短編を何本か収録してましたね。社会人2年目くらいの硝子と芹が変わらず、二人らしい距離感で話しているのがなんか好きです。