「大変ありがたいお言葉ですが、ユリウスは我がハイネ辺境伯領で育てることに決まっております。これは我が母、マーガレットからの遺言です。ハイネ辺境伯家でユリウスを立派な魔法薬師にしてほしい、と……」
祖父母が毒に倒れたという知らせを受けて、急ぎ王都に駆けつけたユリウスたち。
ユリウスは、叶うならば救いたいと祖母の研究室にまで入り、そこの素材を使って万能薬まで用意していましたが……時すでに遅し。
正確には、ユリウスたちに知らせが届いた時にはもう亡くなっていたそうです。
高名な魔法薬師であった祖母の命を奪ったのは、彼女の薬という守りが亡くなった状態で王族を狙うつもりではないか、と懸念したユリウスはそれを以前領地で縁のできた王女クロエに託すことに。
……実際、それが活きる場面が来てしまったので、そこはファインプレーでした。
そういうのを託せる信頼があるのと、交友が続いているのはまぁ良いですけど。
クロエ、王族用の隠し通路を仲が良いとはいえ、婚約者でもない相手に教えたり、城の隠し通路を探したりするのはどうかと思うよ。
監視役がいるのを知った上で、妹と王女に頼まれたからとはいえ、流されて他にも隠し通路があるのではないか、と探してしまうユリウスにも問題がある。隠し通路の気付いたとしても誤魔化して「いやぁ見つかりませんでしたね」と誤魔化す努力をしなさいよ……。
秘密通路の中に嫌な予感がしないとしても、王族……というか王城の秘密を暴いた形になって、関係悪化する可能性も大いにあるんじゃないのか……? と一部展開には首をかしげることしきりではありました。
隠し通路の先で伝承に謳われる聖竜の卵とか見つけちゃってるし。魔力を与える親のような役割をユリウスが担うことになっているし。「選ばれし者しかふ化させられない」という伝承がちゃんと残っていて、ユリウスに託してくれたのは良かったですけど……歯車一つズレてたらヤバかったよなぁ、という気がしてる。