気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

パルプヒロシ

辺境の魔法薬師~自由気ままな異世界ものづくり日記~2

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「大変ありがたいお言葉ですが、ユリウスは我がハイネ辺境伯領で育てることに決まっております。これは我が母、マーガレットからの遺言です。ハイネ辺境伯家でユリウスを立派な魔法薬師にしてほしい、と……」

 

祖父母が毒に倒れたという知らせを受けて、急ぎ王都に駆けつけたユリウスたち。

ユリウスは、叶うならば救いたいと祖母の研究室にまで入り、そこの素材を使って万能薬まで用意していましたが……時すでに遅し。

正確には、ユリウスたちに知らせが届いた時にはもう亡くなっていたそうです。

高名な魔法薬師であった祖母の命を奪ったのは、彼女の薬という守りが亡くなった状態で王族を狙うつもりではないか、と懸念したユリウスはそれを以前領地で縁のできた王女クロエに託すことに。

 

……実際、それが活きる場面が来てしまったので、そこはファインプレーでした。

そういうのを託せる信頼があるのと、交友が続いているのはまぁ良いですけど。

クロエ、王族用の隠し通路を仲が良いとはいえ、婚約者でもない相手に教えたり、城の隠し通路を探したりするのはどうかと思うよ。

監視役がいるのを知った上で、妹と王女に頼まれたからとはいえ、流されて他にも隠し通路があるのではないか、と探してしまうユリウスにも問題がある。隠し通路の気付いたとしても誤魔化して「いやぁ見つかりませんでしたね」と誤魔化す努力をしなさいよ……。

 

秘密通路の中に嫌な予感がしないとしても、王族……というか王城の秘密を暴いた形になって、関係悪化する可能性も大いにあるんじゃないのか……? と一部展開には首をかしげることしきりではありました。

隠し通路の先で伝承に謳われる聖竜の卵とか見つけちゃってるし。魔力を与える親のような役割をユリウスが担うことになっているし。「選ばれし者しかふ化させられない」という伝承がちゃんと残っていて、ユリウスに託してくれたのは良かったですけど……歯車一つズレてたらヤバかったよなぁ、という気がしてる。



辺境の魔法薬師~自由気ままな異世界ものづくり日記~

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「他の魔法薬師が作った回復薬はもっとひどいそうですよ。上級回復薬に関していえば、服用してもよくて半数が生き残れるかどうか。その点、前辺境伯夫人のマーガレット様が作った上級回復薬なら、死ぬほどの苦しみを味わいますが、死ぬことはありません」

(略)

「おい、だれか止めろ!」

 

VRゲームで魔法薬を作る生産職として遊ぶことに没頭していた主人公。

その生産への意欲を異世界の女神に買われ、ゲーム時代の知識と技術を持ったまま彼女の世界に招かれることに。

転生ものではあるんですけど、「ゲーム時代のアイテムは異世界でも再現可能」、「異世界で死んだら、向こうでの記憶を失って元通りの生活に戻る」といった前提条件が提示されたこともあって、主人公は割と軽く転生を了承。

 

そしてスペンサー王国の北を守るハイネ辺境伯家の三男ユリウスとして生まれた彼は、7歳になったころから魔法薬の再現を目指そうとするわけです。

幸いにも祖母が高名な魔法薬師であったわけですが……その生産風景は、ゲーム時代の知識があるユリウスからすると、えぐみが出るし回復の効果も薄れていくようなもので。

この世界では回復薬は飲むのを多くの人が嫌がるくらい苦くてえぐく、何だったら飲んでもそこから生き残れるかは運否天賦みたいな部分があるとかで。

 

基本最悪だけど、そのなかでも生存確率が高いから高名とされているあたり、女神様が異世界から応援を要請したくなる気持ちも分かる。

ユリウスも初手は祖母に「魔法薬の改善はできないのですか」と提案していましたけど……過去になにがしかの事件があったのか、祖母は「家を潰したくないのなら、新しい魔法薬を作ってはいけない」と意見を封殺する判断を下して。

絶対に魔法薬を作るな、と約束までさせてきましたが……女神様との約束や、ゲーム自体の知識・技術のあるユリウスは止まるつもりは無くて。

 

こっそりと薬草を採取したり、スキルを駆使して初級の魔法薬を再現。

一番使用する頻度の高い辺境伯家の騎士団で、実験を行うことに。これまでの薬のひどさに辟易していた彼等は、ユリウスの協力者となって口をつぐんでくれたり、素材採取を手伝ってくれたりすることになります。

……まぁさすがにトップのライオネルはユリウスの父、辺境伯への報告をしないわけにもいかなかったみたいですけど。祖母と違って父は、何かあった時にユリウスを庇うためにも事情は説明しなさいと言ってくれるのは良かったですね。

 

魔法薬を作るのが一番楽しいみたいですけど、兄バカでもあるユリウスは妹の要望を兼ねあるためにプラネタリウム的な魔道具を作ったり、ぬいぐるみを作ってみたりと魔法薬以外にも生産活動に勤しんでいくわけです。どんどん風呂敷広げていくなぁ……という気はしましたが。



弥生ちゃんは秘密を隠せない

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「変わることは何も悪いことじゃないのよ。弥生の気持ちは弥生だけのものだし、あなたの人生はあなたが決めることだもの」

 

主人公の深瀬皐月は、左手で触れた相手の思考を読み取れるサイコメトリー能力を持っている以外は、普通の男子高校生。

そんな彼はある時、美人ではあるものの「近寄るな」というオーラをまとい孤立している美少女、木下弥生さんに左手で触れてしまって……。

彼女から「格好いい」と思われているのを聞いてしまい、それ以来気になっていた。

 

そして2年に進級した際のクラス替えで、いよいよ同じクラスになって。

接点が増えたことで、少しずつ2人の距離が縮まっていくことになるラブコメですね。

皐月はピアノの演奏が好きで、けれどかつて失敗したことがトラウマで弾けなくなっていた。

弥生が彼を気に掛けるようになった切っ掛けがそのピアノで、だからこそ皐月を再起させることができた。

 

……と、主人公のピアノという特技だけでもまとまった気はしますが。

皐月の持っているサイコメトリー能力と、弥生が他の人と距離を取ろうとしていた理由というのが、1巻時点だと蛇足というか冗長感はありましたね。

最後の引きを見ると、続刊でそのあたりを活かしてくるのかもしれませんが……微妙に乗り切れなかった部分はあるな。

草魔法師クロエの二度目の人生 自由になって子ドラゴンとレベルMAX薬師ライフ

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「これからどんな道を選ぼうが、わしはクロエの祖父で死ぬまで味方だ。おまえのためならいくらでも援助しよう。皆もよいな?」

「「「はっ!」」」

「だから……肩の力を抜いて、よく考えよ」

 

モルガン侯爵家の令嬢、クロエ。

しかし彼女は〈火魔法〉の家系に生まれながら、資質が〈草魔法〉だったために家族から迫害されてしまう。

唯一の味方となってくれた教授に傾倒していくのですが……彼は他国のスパイという疑惑があり、その下で毒草を育てていた彼女も牢屋送りになってしまった。

……そんな危険なことに手をだしてしまうほど、追い詰められていたってことですが。

 

牢で一人壊れて死んだ彼女は、しかし気が付いたら五歳の時まで巻き戻っていた。

記憶も1週目で鍛え上げた魔法の技量もそのままに。ある程度成長した精神が中にはいったことで、クロエは早い段階で両親に見切りをつけて。

ほとんど居ないものとして扱われる彼女を気にかけてくれるメイドのマリアや、草魔法適正のあった庭師の一家など、わずかに出来た味方と共に自分の技量を磨いていくことになります。

1週目のクロエは正式な師匠を持てなかったこともあり、彼女の知識結構偏ってるみたいですしね……。

 

実家をでて薬師として働けるように知識と技量を磨く傍らで、できる範囲の手を打っているのも偉い。

そうやって自分なりに成長しているクロエは、家族からすると面倒極まりなかったようで……彼女の記憶よりも早く、厄介払いされそうになってしまいましたが。

クロエの出していた手紙が無事に実を結んで、助けが来てくれたのは良かった。

母方の実家、ローゼンバルク辺境伯家の祖父がクロエと養子縁組して実家との縁を切ってくれたり、守ってくれることになって。

 

でも1週目の出来事がトラウマになっていて「いつかは一人で生きていかないといけなくなる」みたいな諦観を持っているのが、心配ではありますが。

辺境伯家の面々は快くクロエを迎え入れてくれて、大切にしてくれているので少しずつ彼女の心が癒されていけばよいと思います。

肉体年齢はともかく精神的には成長した状態で普段はしっかりしてるキャラが「~ちゃま」呼びしてるのが、個人的には苦手な表現なんだなぁと気づきを得ました。中身と幼い喋りのちぐはぐさがぞわぞわするというか。内容は普通に面白かったですけど。


やがてはるか空をつなぐ

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「だから、ね、青桐くん。夜明け前にウチの高校まで一緒に来てください」

 

表紙絵に惹かれて購入。

ロケットを飛ばす活動をしている物理部に関係する5人の男女の青春モノ。

視点が切り替わって、それぞれの思いが描写されていた所をみると、結局は一人でロケットを飛ばし続けていた青桐が中心にいるんだよなぁ。

本人は、そんなつもりはないようですけど、あちこちに影響を与えている。

 

割と作中の雰囲気も好みではありましたが……

ロケットマン、サムライなどと青桐をからかうクラスメイトの描写はどこまで必要だったかなーとか。

ちょっと引っかかる部分もあって、惜しいとは思いました。

 

ファミ通たまにこういうの刊行して来るから油断ならないというか。

高校生の鬱屈とした部分もあり、ままならぬ青春を描いた作品としてまとまっていて、結構好みでした。



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