「まあ、ぎゅっとしたい気分で」
扉子ちゃんが、高校生になってる! 子供の成長は早いなぁ……
今回のテーマは横溝正史。金田一の生みの親、とのこですが。
恥ずかしながら余り詳しくはないですねぇ。相変わらずスラスラと出てくる栞子さんの雑学にへ~そうなんだ~って相槌打ちながら読んでた。
相変わらずの雰囲気が楽しくて良き。ビブリア、好きだなぁ。
祖母から連絡を受けて、待ち合わせをすることになった扉子。
その際に「『ビブリア古書堂の事件手帖』を2冊、持ってきてほしい」と指定されて。
ここでいう事件手帖は、作中で大輔がマイブックに記入してるやつですね。
2012年と2021年に起こった、横溝正史の『雪割草』事件。
発表から77年を経て単行本化された、「幻の長編」。実際に2017年に見つかって、2018年に刊行されたみたいです。
ある旧家の婦人から相談を受けて、消えた本を探すことになって。
作中の2012年には、まだ発見もされてない筈の作品が、なぜ盗まれるのか。その辺りもしっかりと情報出してくれてましたね。当時はまだ書店員だったのに、把握してなかったのはちょっとアンテナの感度悪かったかな……
閑話休題。
そもそも誰が、どうして、盗んだのか。
親族内で不仲な人が多く、あの人が盗んだだの、私には動機がないだとやいやい言ってましたが。
少ない情報で答えを見つける辺りは、さすが栞子さん。とは言え、情報が不足していて、2012年の時には詰め切れない部分もあって。
9年越しに、改めて謎と向き合う事となって。いやぁ、人の良くは醜いというか。それでも、「すぐには許せない」と言ってくれる人が居たのは、救い、なのだろうか。
優しいとも甘いとも言えるけど、でもあの台詞はとても印象に残ってる。
第一話が2012年、第三話が2021年の『雪割草』。
第二話は、小学三年生になった扉子が出会った横溝正史の『獄門島』について。
本に特化しまくって友人がほとんど居ない扉子。けど、良い出会いがあったようで何より。
あと全体を通して、大輔の知識が向上してますね。栞子さんの話を真面目に聞き続けたのと、ビブリアで働いて相場の知識が身について来てる感じ。
まだ至らぬ部分もあるようですが……栞子さん達のようにするする出てくる方が凄いというか。彼のその朴訥さが、作品の清涼剤にもなってるので、あのままでいて欲しいな。
シリーズの構想、前日譚や成長した扉子の話など。構想はあるようなんで、続きを待ちたい。