「簡単に命を賭したりしないでください。公爵様がお強いことは分かっています。でも、私と一緒に生きる意味を考えてくださると、そう仰ってくださいましたではありませんか」
魔物を討伐する役目を与えられた名跡、ガルブレイス公爵。
国の為に命を賭すと誓約している身であり、17年前の厄災の年においては先代がその役割を全うしたとかなんとか。
そして当代であるアリスティードもまた、結婚するつもりがなかったそうで……つまるところ、基本的に男所帯だったというか。
いや騎士の家族として女性陣が居ますし、女性騎士も登用しているみたいですが。
公爵夫人を迎えるのは本当に久しぶりの事だそうで。アリスティードの側近であるところのケイオスも「仲睦まじく閣下を支えて欲しいけれど、公爵夫人としての教育……?」と頭を悩ませるほど。
まぁ、だからこそ型にはまらずメルフィエラらしく、交流していくことが出来たともいえるので良し!
メルフィエラの故郷とは違って精霊信仰が浸透しているわけではないガルブレイス。
公爵様たちも困難に際して魔物を食べた経験持ちもあるそうですし、その配下の騎士達も忌避感がなさそう……というか。
メルフィエラの世話役として最初につけられた女性騎士で構成されたブランシュ隊の若手、リリアンが臆せず彼女に「魔物を食べるのは本当か」と聞いて。
それで実践してみたりすることになって、美味しい果実を食べることに成功したりもしてました。
ガルブレイスに来る際に魔物の襲撃があって、メルフィエラが彼女の成果物である曇水晶や、古代魔術の知識を使った攻撃用の道具を作って、アリスティードが使った結果、かなりの規模の一撃をお見舞いすることが出来たりしてましたし。
彼女の存在は、ガルブレイスに結構良い影響を与えてくれそうだなぁと思っていましたが。
そんなタイミングで、初代の侯爵が約定を交わしたという天狼が狂化しかけているなんて大騒動が起きて。メルフィエラが居なかったら解決できなかったでしょうし、良い巡り合わせでしたね……。