気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

マグダラで眠れ

マグダラで眠れⅧ

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世界は見方によってどうとでも変わる。

鉛を金に変えるように、変えられるのかもしれなかった。

 

白き者たちを追いかけて、かつて滅びた街まで足を運んだ錬金術師たち。

旧アッバスにおいて生活している人もわずかながらにいて。

しかしながら、伝承にある破壊の痕跡などから、この場所を街として再生させることはできず。

それゆえに、クースラたちが火の薬の謎を解き明かしたという事実に、「呪いが解けた」と喜びを感じていて。

 

アッバスに置いて彼らは、白き者たちの伝承にある「空を飛ぶ方法」の検証を始める。

騎士団の追手が迫る中、時間もない状況という事もあり、ポンポン話が進んでいきますね。

いつも通り試行錯誤しながら実験しているんですが、これまでの経験で錬金術師としての成長が見られますね。

……新しい発見に心躍りすぎて、あわや大惨事な事態を何回か引き当ててましたが。

 

クースラが想像していたように、騎士団から追手が来るだろうとは思っていましたが。

まさかアイルゼンが部下を連れてとはいえ直々にやってこようとは。

そして、白き者たちの伝承における解釈が色々と出てきて、コロコロと違う結末が連想されるのは中々面白かった。

 

街を一つ滅ぼしたのは証拠隠滅の為だとか。あるいはただの実験中の事故だとか。確かに、それぞれに理屈は通ってるように見えますが。

最後にクースラが語った結論は、中々ぶっ飛んでた。

この世界観の中で、その考えを導き出すあたり相当ですな。で彼の考えが正しければ既にそれに着手している人もいるわけで。

ここで一区切りとしておしまい、となってもおかしくはなさそうですが。完結ではなく、次の巻を書く予定はあるようです。

次はどんな謎を解き明かしてくれるやら、今からちょっと楽しみです。あと、クースラが巻を追うごとにフェネシスに対して腑抜けになっている件。そろそろ爆ぜろ。

マグダラで眠れ (8) (電撃文庫)
支倉凍砂
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2016-02-10
 

 

マグダラで眠れⅦ

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「僕たち書籍商はすべてを見られるとは最初から思っていないんです。失われいくなにかを必死につなぎ止めるのがせいぜいなんです。だから、誰も見たことのない新しい書物、それこそ、著者でさえ未だ書いていない書物を見たいと考えるのは、傲慢でしかありません。そういう特権は」

小さい、咳払い。

「また、別の誰かのものです」

 

クースラたちがたどり着いたのはかつて太陽の召喚によって滅びたと言われるアッバスの街。

伝承にある滅びた街は別に有り、そこに似せて作り同じ名前を付けた場所ではあるようですが。

叡智のかけらは残されていて。

 

道中で見つけたコレド・アブレアのメッセージ。

そして、彼と過去につながりがあったフィルという書籍商……『少女は書架の海で眠る』で出てきた彼がついに本編に登場。

ただ純粋なままの少年としてではなく、経験を重ねた商人でありながらも夢を忘れていない彼の姿が見られたのは、うれしかったですねぇ。

気になるのは、『書架の海』で出会った少女は今はどうしているのか、という点ですが。せっかくフィルが登場したんだから、彼女も出てくると個人的にはすごくうれしい。

 

前回の街は、他人の騒動に首を突っ込んだ形でしたが。

今度はまた彼ら自身が踊らされる立場に。あの錬金術師どもは窮地に立ちすぎじゃなかろうか。

彼らが発見する知恵が、魅力的なものだからそれを得ようと周囲が画策するのもわからないではないですが。

密偵たちの支援を得ながら、答えに辿り着き、掌を還されて。

けれどその程度で折れて倒れる程度だったら、クースラたちはここまで生き残っていないわけで。
追い詰められたときの閃きはさすがというか。
一時的に危機は脱しましたが、騎士団側の問題が解決したわけでもない以上、なにかしら接触があるかもしれず。また「太陽の召喚」の答えも不完全な者なため、クースラたちは足を止めず次の目的地へ。
帯曰く佳境らしいので、ぼちぼちシリーズも終わりですかねぇ……

マグダラで眠れ (7) (電撃文庫)
支倉凍砂
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2015-09-10
 

マグダラで眠れⅥ

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「……自分で言って、信じてなさそうだけど」
イリーネの指摘に、クースラは肩をすくめる。
「信じると目が曇る。だがかけらも信じなければ、新しいことは見つけられない。錬金術師の中には二人の人間がいる」

異端審問官アブレアの足取りをたどり、古代の民の謎を追う一向。
アイルゼンが『聖女付きだった大錬金術師』だったクースラたちを旅立たせる腹積もりを語っていましたが。
言われてみればそうですよね。フェネシスは、聖女として死んだということになっていますが。
その傍にいた二人は生き残っているんだから、前線となったあの街においておいても、他の面々の士気を上げる意味では良い駒であったでしょう。
まぁ、その場合フェネシスは人目につかないように隔離された場所に軟禁状態になるか、安全策で他所の街に移送という形になるでしょう。
クースラは自分のマグダラを手放せないでしょうから、またぞろ問題起こしそうな予感。

さておき。
アイルゼンとしては、クースラたちは重要な手駒ですが、それでも自由を許すのは、古代の民の情報を追う中で、龍に匹敵するような新たな知識を得られないかと期待しているからのようで。
こういう油断ならないけど、こちらに利用価値を認めて評価してくれる相手がバックについてくれたのはクースラたちにとっていいのか悪いのか。
騎士団に伝手があるのは頼もしいことでしょうが、いざという時それが首輪にならないとも限らない。
前回の鐘の話でも、安全策に逃げようとしていたら、聖女の錬金術師という名札の価値が上がってのっぴきならなくなったわけですし。

今回は北へと向かうことにした一行。
騎士団の力が及んでいない地域もあったりするようで、監視役・補佐役として密偵が数名ついているのはその辺の事情もかかわっているのだろうか。
そしてクースラのヘタレっぷりが留まるところを知らない。
お前孤高の錬金術師じゃなかったのか。

錬金術師という金看板を使えなくなったので、変装をしたりする訳ですが。
イリーナはもともと職人だし、ウェランドはそつなく着こなす。フェネシスも、職人見習いだと思えば、問題はない感じ。しかし、クースラはどうしても職人には見えない、ぎこちなさが残るとか。
こういうところだけ錬金術師きわめてどーすんだってツッコミ入れればいいんだろうか。
その様を踏まえたうえでそれぞれの設定を考えているわけですが。
反論の余地がなくとも面白くなく、微妙にふてくされているクースラがもう……その見栄っ張りな鎧は、前回ひびが入っているんだから、脱ぎ捨ててしまえばいいのに。
少しずつ二人の関係が変わったり、クースラの行動にも変化が見られたりと、着実に進んでいっている感じではありますね。

今回はガラス職人たちのお話でありました。
変装していても、会話をしていく中で、クースラのことを錬金術師と見抜いた親方とかいいキャラいたと思います。
少し柔らかくなったとはいえ、やっぱりどこまでも錬金術師であるんだよなぁ、という格好よさがありました。
フェネシス絡むと途端にダメになるあたりも、キャラクターとしては良い属性何ではないかと。

マグダラで眠れ (6) (電撃文庫)
支倉凍砂
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-09-10

マグダラで眠れⅤ

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「……子供じゃ、ありません」
(略)
「欲しいものには手を伸ばす……錬金術師です」

アイルゼンさんがなんか個人的に株が急上昇しているんですけど。
あの人中々面白いキャラクターじゃないですか。
女神と崇められたフェネシス。
敵に囲まれた状況で、どうにか危地を脱し、逃げ延びた先にすら問題があって。
鐘の鳴らない街。追い込まれた状況で、それは人々の心を徐々に蝕んでいく。
そして、ついには逃げられないほど問題は悪化し、聖女として祭り上げられていたフェネシスとその傍にいる錬金術師であるクースラたちへと持ち込まれるわけで。

そんな追い込まれた状況になってクースラたちは気になる書物を見つけたりとイベントが地道に進行中。
電撃大王の番外編にちょっとだけ出ていた異端審問官の名前が出てきたりと、行く先が少しずつ変わってきているのかなぁ、という感じです。
クースラ、オマエは本当に何をしているのかと。
『利子』であったはずのクースラがどんどんヘタレになっていっているのは、良いのか悪いのか。
迷っているあたりに人間味あって俺は好きですけどね、今のクースラ。

錬金術師であるからマグダラの地を目指すのか。マグダラの地を目指すから錬金術師なのか。


クースラがヘタレてる傍でフェネシスはどんどんしたたかになっていますね。
昔は、クースラが一方的にからかったり教えたりしている感じでしたが、少しずつ逆転していっているというか。
逆転、とまではいかなくても関係がどんどん変化していっているのは確かですか。

あと、地味にクラトール大公が気に入ってます。
演説というか、演出がうまいよなぁ、という所が。
アイルゼンさんともども地味に気に入ったので、いつか登場しないだろうか。
クースラたちが北に行くんだったら無理かなぁ。

マグダラで眠れ (5) (電撃文庫)
支倉 凍砂
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-02-08

マグダラで眠れⅣ

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「どうにかしてよ」
不思議な物言いだった。
「あんたは、鉛を金に変える錬金術師様でしょ。たまには夢みたいな奇跡が起こるって教えてよ」


覚悟を決めて進軍してきた騎士団は、今更引き返すこともできず、カザンの街へと入る。
改宗がなされた後とはいっても、本隊が追い付いてくると異端の知識は消されるかもしれない。
それを避けるために先んじて入り込んで、重要な知識を得ようと画策しているわけですな。

しかしこの作品世界は容赦がないというかなんというか。
少なくとも甘くはないですよね。けれど、これで主人公たちが号運の持ち主で都合のいい展開ばかり引き寄せていったら、あの性格と物言いだし、敵を方々に作ることにはなるでしょう。
問題が発生して渦中にいるからこそ、錬金術師というあやふやで怪しげな知識が求められ、彼らは頭を悩ませる羽目になる、と。
でも、クースラたちは結局真理を追い求めて何かをしているときの方が生き生きしていていいと思いますがねー。

最後の異教徒の街、カザン。
騎士団は異教を狩ることで権力を増してきた組織。
では、異教がすべてなくなってしまったら、どうなるのか。
順調に物事が運んでいるとき、予想外の事態が発生したとき。
そこに罠というものは潜んでいるわけで。
どちらかというと、今回は準備の巻、という感じがするので、5巻と続けて読むといいと思います。

マグダラで眠れ (4) (電撃文庫)
支倉 凍砂
アスキー・メディアワークス
2013-09-10

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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