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「理想を忘れれば、『いずれ』は永遠に『いずれ』のまま、か」

 

18世紀に発生し、瞬く間に世界中に広がった巨大生物ギヴル。

漢字で書くと「蟲」となるように、鉄食性の巨大なフンコロガシとか、堅い装甲を身にまとったアリとか、多種多様な模様。

ギヴルによって甚大な被害はでたようですが、彼らの死骸が便利な化石燃料として用いることができるとかで、私達の知る歴史とは大きく変貌を遂げているようです。

実際に効果を発揮する魔術を使う「魔女」が居たりもしますしね。

 

時は「明治」と呼ばれるはずだった時代の少し前。

日本生まれの少年、秋津慧太郎は異国への向かう船の上で襲撃を受け……辛くも命を繋いで、海岸に流れ着いた。

そしてその場所で、蟲を愛して研究対象としている少女アンリ・ファーブルと出会った事で、この物語は動き始めます。

 

2人が出会った時に蟲絡みのトラブルがあって、そこで縁が出来たわけですが。漂流直後に蟲と対峙した慧太郎は気絶。

アンリが保護してくれて本当に良かった。更に彼女、結構頼りになるんですよね。慧太郎が実直過ぎて疑うのに不慣れというのもありますが。

慧太郎が寝ている間に、船に居合わせた東洋人の男が共犯者だろう、と沈没事件について報道されていて……。

その証言をした人物こそが犯人グループだろう、という推測。さらに踏み込んで、最悪警察がそれらと繋がっている可能性まで示唆してくれるんだから、頼もしい。

慧太郎だけだったら手掛かりもなく流離っているところを確保されていただろうなぁ……。

 

アンリと出会った事で、彼女の伝手を頼れるようになって。

完全男子禁制の聖カトリーヌ学園という隠れ蓑を得られたのは大きいですよ。協力して調査する中で、犯人グループの新たな行動に遭遇したり、2人の主義の違いから喧嘩したりすることになって。

敵側にも慧太郎は真摯だが幼稚とか指摘されてましたが……それでも折れずに踏み込んでいく慧太郎の今後を見守りたくなるのが良かった。割と王道なファンタジーで、結構好き。