「愚かな王よ。お前は少しやりすぎたわ。私だけならまだしも、私の大切な娘にまで手を出したのだから。曽於罪を償うには命を捧げる以外ないわ」
(略)
「わずかなあいだ、自らの愚かな行いを思い返して悔やみなさい」
過去に実際に一国を滅ぼしたことで「国陥とし」の異名を持つ、吸血鬼の真祖一族の姫であるアンジェリカ。
真祖への無礼を働いた国への見せしめとして当主に命じられた彼女は、滅ぼすのは王族だけで良いと言われていたのもあって、滅ぼす前にちょっと市井に繰り出して人間との交流を楽しんだりしていたみたいですが。
……親しくなった相手を、王族の討滅に巻き込んでしまったことで心に傷を負って、彼女はとある王国近くの森に屋敷を構えて暮らすことになった。
その王国の開祖が、アンジェリカからしても傑物で協力した過去があったから近くにいた、というのもあるみたいですけど。
人との交流で傷を負いながらも、なんだかんだ人の近くで過ごしているアンジェリカ、他の真祖を見てないのであれですが、割と人間好きなタイプなんじゃないかな……。
そんな彼女が、森の中で赤ん坊を見つけたらそりゃ保護するでしょう。……タイトルにもあるとおり、その赤子は女神の加護を受けた「聖女」の証である紋章を身に宿していたわけですが。
関係ないとばかりにかわいがって。良い親子関係を築いているのが良かったですね。
ほのぼの異種交流をしていたのは良かったんですが。
アンジェリカが居を構える森の近くの国の当代国王は愚物で……開祖との縁から定期的に交流があったみたいですが、それを過信して彼女を兵隊か兵器の様に使おうとした上に、それに反発されたことに怒りアンジェリカが可愛がっている義娘パールを攫うなんて手を打ったんだから、そりゃ反撃は受けるでしょう。
……敵対者には容赦しない姿勢は、アンジェリカがなるほど真祖一族の姫なんだなぁって感じでしたが。まーた国滅ぼしてるよ……。
とは言え、パールに良くしてくれている人もいるし、王族は愚かだったけれど民に罪はないとみて、体制が整うまでの時間を稼いでくれたのは彼女の人の好さだよなぁ。
その問題が落ち着いたかと思えば、パールが聖女であることに目を付けた勢力からの横槍が入ったりしてましたが。
アンジェリカ、本当に強いし。その薫陶を受けているパールも幼さに見合わない強さを持っているので、結構安心してみてられるのは良いですね。